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ミステリの祭典

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卒業−雪月花殺人ゲーム
加賀恭一郎シリーズ

作家 東野圭吾
出版日1986年05月
平均点5.28点
書評数39人

No.39 5点 クリスティ再読
(2024/09/22 18:30登録)
さて評者「茶道ミステリ」第二弾。
評者のお茶の先生って花月が大好きなんだよね。2月に一回くらいはしている気がする..「花月百ぺんおぼろ月(百回やっても悩む...)」と言われるくらいにややこしいものだ。回数目、座る位置、当たった役で「すること」のバリエーションがあり過ぎるし、その上に他の方の迷惑にならないように手際よく、さらには動きが揃うと褒められるポイントとかある。茶道でもスポーツっぽいところがある「鍛錬」。
その花月の上位互換のややこしい雪月花式だから「学生が、よくやるよ~~」というのが正直な感想(苦笑)。で、花月は5人でやるものだから、本作のトリックのキモの部分が現象しない。というか、6人でやるからトリックが実現したんじゃないのかな。加賀がもし間に合っていたら、殺人が起きなかったかもよ。

いや別な「結託」を想定して評者別な人が犯人じゃないかと推理してた(苦笑)あと「密室」の話は、話を密室に持っていきたい、という作者の作為が見えすぎて、苦笑するところもあったな。密室のトリックはつまらない。これは「SFは腐る」と言われたのと同じ陳腐化だと思う。

考えてみれば本作の学生さんたちって評者と同じ卒業年度になりそうだ。とはいえ、地方都市で高校からの持ち上がりで大学でも仲良しグループ、しかもサークルは別、という人間関係が評者はあまりピンとこない...というか、大学生というよりも高校生っぽいイメージ。ヘンに明るいナンパ系サークル的な「リア充」っぽさが、そんな印象なのかな。青春ミステリだけども、小峰元の高校生が老成しすぎなのと比較しちゃいけないが、幼いイメージもあるよ...そうか、そういうあたりが「茶道」と少しミスマッチ感なのかなぁ。
評者的には「昭和の学生生活、懐かし~~」とはならなかった。すまぬ。

No.38 6点 HORNET
(2023/10/29 21:36登録)
 加賀恭一郎の学生時代が描かれた、シリーズ第一作。
 いつもつるんでいる大学の悪友たちの一人が、卒業を前にして不可解な死を遂げることを皮切りに、心を許し合ったと思っていた友人たちの間にあった見えない部分が露になっていく。
 大学卒業を目前にした何とも言えないセンチメンタルな雰囲気と、極めて正道な本格ミステリの展開がマッチして、私としては非常に好印象だった。(ちょうど最近の国内新作を立て続けに読み、「どんでん返し」や企みに満ちた作品に触れ続けていたから余計そう感じたのかも。)
 茶道の「雪月花」の作法を用いたトリックはやや複雑でパズルに走りすぎているきらいもあったが、大学4年生をモチーフにした物語展開は、自分の当時を思い返して(もちろん殺人などないが)なんとなくノスタルジックな気持ちに浸って読めた。
 面白かった。

No.37 4点 じきる
(2021/06/29 07:15登録)
初期の作品だからか、粗が多い印象です。
雪月花のトリックはまだしも、あの密室トリックはあんまりだ。

No.36 7点 mediocrity
(2019/10/03 04:14登録)
大学4年生、仲良しグループだったはずの7人の間で起こる事件。
密室トリックは確かに期待はずれだったが、そんなのはどうでもよくなるくらい、茶道のゲームのトリックが良かった。

No.35 4点 レッドキング
(2018/05/29 18:41登録)
せっかくいい感じの青春小説を陳腐この上ない密室トリックが台無しにした

No.34 6点 nukkam
(2016/03/27 14:38登録)
(ネタバレなしです) 1986年発表の加賀恭一郎シリーズ第1作の本格派推理小説です。後に警察官となって活躍する加賀ですが本書では大学生の設定です。青春ミステりーと宣伝されていますが会話がどこか醒めているというか他人行儀な感じがして、学生仲間同士という雰囲気ではないような気もします。とはいえリアリティーにこだわらなければ単なる謎解き小説に留まらない面白さがあります(明るく楽しいという意味ではありませんけど)。シリアスで独特の重苦しさがあるストーリーだけに、密室トリックが拍子抜けトリックだったのが何とも不思議な読後感を残しました(青春ミステリーではありませんが三好徹の「光と影」(1960年)を読んだ時の読後感に近かったです)。

No.33 5点 風桜青紫
(2016/01/15 01:03登録)
W村上の若者小説からちょこちょこ要素をとってきたようなエセ友情小説。トリックはなかなかアイデアにあふれ、初期の本格志向の東野圭吾を見せてくれるが、まだまだぶっきらぼうな感じ。内容に大して絡むわけじゃないし、トリックをお披露目したかったというような印象だった。まあ青臭いころの加賀さんを楽しめたということで……。

No.32 7点 ニックネーム
(2015/12/13 11:21登録)
読み終わってすごく悲しい気持ちになりました。
結局誰も幸せになってない。

No.31 6点 斎藤警部
(2015/06/24 06:38登録)
副題の通り、ゲーム的トリックが数学的愉悦を運んで来る~
茶道の複雑な作法に基づいた一連のナニは、まさか「黒いトランク」への遠回しなオマージュじゃないでしょうね?

No.30 6点 ボナンザ
(2014/04/08 01:40登録)
この時期以降増えた学園ものだが、素人小説のような筆力の作品が目立つ中で、東野の筆力は流石である。
トリックもおもしろく、本格に集中していたころの作品ならでは。

No.29 4点 バード
(2013/07/14 13:46登録)
特に何が悪いって感じではないのだがあまり面白くなかった。学生達の妄信的な友情がどうにも気持ち悪くてあわなかったのだと思う、加賀以外のキャラがイマイチ。
ちなみに殺害トリックや犯人はほぼ完璧に当てられたので気分爽快。

No.28 4点 スパイラルライフ
(2012/02/07 13:18登録)
盛り上がりにかける。
構成、展開にややスピード感がないけれどトリックはそこそこ面白い。

No.27 6点 3880403
(2011/05/05 22:22登録)
加賀が大学生の頃の話。
茶道のゲームの話など新鮮だった。

No.26 7点
(2011/04/20 10:17登録)
(ちょっとネタバレ)
密室トリックはまったく好みではない。雪月花ゲーム・トリックはまだましだが、種明かしでは、実は○○がカードを準備したとか、××が隠し持っていたとか、パズルとしてはフェアじゃない気がした。それとも、与えられた図面や説明だけでパズルを解こうとした読み手側に問題があったのか。あくまでもミステリ小説なので、全体を読むべきなのでしょうね。

トリックには多少批判的ですが、青春ミステリ好きにはたまらない内容です。6人の学生の役割分担もよくできているし、人物描写もなかなかのものです。6人という人数も多すぎず適度です。
それにしてもこのサイトでは、どうしてこんなに点数が低いのでしょうか。本格ミステリに対しては、厳格にミステリ要素のみで判断している方が多いということでしょうか。なんとも哀しく切ない青春群像におおいに惹かれたので、得点は高めです。

No.25 4点 ムラ
(2011/03/24 22:29登録)
加賀シリーズ第一弾。
初期の作品だからそれほど期待はしていなかったけど動機やらトリックやらがしっかりとしていて面白かった。
図面とかで分かりにくい茶道のルールなんかも説明してくれてわかりやすくなっている。
大学生特有の青春が終わる頃の悩みがしんみりと伝わっくるような作品だとどこか物寂しくなるね。
形状記憶の所なんかは割とガリレオっぽかった。学生の所為か加賀もちょい子供っぽい。
ただいまと違って無駄な文がかなり多い気がした。タイトルも「卒業」だけのほうが良かったかなぁ

No.24 5点 seiryuu
(2011/01/19 20:08登録)
自然な展開でわかりやすく読みやすかった。
トリックは期待したほどではありませんでした。
学生らしい行動や悩みは読んでいて懐かしさも感じました。
でも南沢先生は変だと思った。
ラストが中途半端だなと思いました。
タイトルの殺人ゲームというのは違う気がします。

No.23 6点 まさむね
(2011/01/16 15:40登録)
加賀恭一郎の初登場作品。
いやはや,何とも多彩なご学友に囲まれた学生生活だったのですねぇ。
なんだか,加賀サンが可哀相になってきましたよ。

さて,作品としては,WHO,HOW,WHYすべて盛り込むあたり,理論的な説明が可能となっているあたりは,さすがという印象を受けました。
しかし,正直,膝を打って感嘆したり,しんみり考えさせられたり…ってのはなかったですねぇ。よって,採点は辛めに。
この作品に盛り込まれた(盛り込もうとした)要素が,氏のその後の各々の作品で花開いているような気がしますね。
その意味では読む価値は大きいかも。

No.22 6点 E-BANKER
(2010/11/16 22:33登録)
作者初期の青春ミステリー。
大学生の加賀恭一郎が連続殺人事件の謎に挑みます。
現場の見取り図や鍵の形状をわざわざ挿入した割りに、密室トリックはたいしたことはありません。
ただ、例の「雪月花ゲーム」のトリックについては、なかなか面白い仕掛けだと思います。まぁ、「茶道」自体馴染みのない世界ではありますが、ここまで懇切丁寧に説明されれば、読者にも十分推理可能ですし、フェアでしょう。
「青春ミステリー」としてもよくできてますね。あの年代の頃の悩みや苦しみ・・・何となく思い出してしまいました。
剣道や茶道の薀蓄話も適度に絡ませてあるのも好印象です。
評点は辛めですが、作者の初期代表作、そして加賀刑事の初登場作品として外すことのできない作品なのは間違いないところです。

No.21 6点 江守森江
(2010/06/18 07:57登録)
加賀恭一郎シリーズ第一弾。
大学生の加賀恭一郎が描かれるのは「この作品」だけ。
私の様に新しい作品を先に読んでから原点に立ち返ると、加賀恭一郎と初期の東野圭吾作品を知る為には欠かせない作品だと分かる。
密室の物理トリックはガリレオ・シリーズ、イタい若者描写は各ノワール作品で昇華される。
雪月花ゲームのルールに馴染みがなくジックリ理解する気を起こさせない弱点を図解添付で少し補う。
トリックの方は、カード系賭博のイカサマやマジックのタネに発想の転換を絡め論理パズル好きには面白い。
加賀恭一郎も名刑事になる片鱗が伺えて楽しく読めた。
※余談
全日本剣道選手権のトーナメント表を見て出場者の9割が警察官だった事にビックリしたのが思い出された(世界のスポーツになった柔道と違い剣道は警察に牛耳られている)
中学時代に胴着の臭さに閉口し剣道は観るだけになった。

No.20 4点 だい様
(2009/05/28 02:15登録)
加賀恭一郎シリーズ第1弾

序盤は登場人物の描写の弱さに不満を感じたが読み進めているうちに段々と気にならなくなってきた。
トリックに関しては作者の自己満足的なものになってしまっているように思えたのが残念。

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