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ミステリの祭典

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退職刑事2
旧題「四十分間の女」

作家 都筑道夫
出版日1981年03月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 6点 nukkam
(2016/02/17 20:18登録)
(ネタバレなしです) 現職刑事の息子と退職刑事の父が謎解きに挑戦する、1975年から1976年に発表された7つの短編を収めた1976年発表の退職刑事シリーズ第2短編集です。最初に出版された時はその中の「四十分間の女」をそのまま短編集のタイトルにしていました。1週間続けて同じ下り列車でやって来て40分後の上り列車でどこかへ帰っていく女性が1週間目に死体となって発見される「四十分間の女」は評価が高いですがそれも納得です。退職刑事は安楽椅子探偵役ですが、ここでは息子も安楽椅子探偵状態になっています。謎の魅力も十分ですが、ハリイ・ケメルマンの有名短編「九マイルは遠すぎる」(1947年)をちょっと連想させるような結末が印象的でした。退職刑事自身がある作品の中で「推理だけで証拠はない」と述べているように、十分な手掛かりを用意せずに好き勝手な解釈でつじつまを合わせているように感じてしまう作品もいくつかあります。とはいえ短い中にそれなりの容疑者を揃え、推理を(時に強引でも)丁寧に積み重ねていくプロットは短編本格派推理小説として十分に魅力的で、作品ごとの水準のばらつきも少ないです(ずば抜けた傑作というのもありませんけど)。

No.4 6点 まさむね
(2013/09/22 23:28登録)
 シリーズ第2弾も魅力的な謎に囲まれた安楽椅子モノ。
 ロジックというよりも想像に頼った部分が多いような…との印象もあって,正直第1集の方が好印象ではありますが,それはそれとして,やっぱり楽しめましたよ。

No.3 6点 E-BANKER
(2010/11/23 18:47登録)
作者の代表的シリーズ第2弾。
今回も現役刑事である息子の話だけで事件を解決してしまう「脅威の退職刑事」が大活躍!しますが、途中の2編は息子以外の人物の話を聞いて・・・という点でやや変化を付けてます。
①「遺書の意匠」=絶対に自殺しそうにない人物が自殺するのか? その理由は? という趣向。
②「遅れてきた犯人」=短編向きのプロット。要は時間差の問題で・・・物事は見る角度で違って見えるということですね
③「銀の爪切り鋏」=なぜ片手の指の爪だけを切ったのか? 想像力の勝利ですねぇ・・・
④「四十分間の女」=この短編集では一番の有名作。実際の事件を下敷きにして創作したそうですが、普通の想像力では真相に至らないでしょうね。
⑤「浴槽の花嫁」=パート1でも同じようなプロットが出てきましたが、確かに「意外性」はあるんですよねぇ・・・
⑥「真冬のビキニ」=真冬の海で、どうしてビキニ姿になったのか? 謎そのものは魅力的。
⑦「扉のない密室」=これも謎そのものはたいへん魅力的ですが・・・真相はちょっと残念な感じ。
以上7編。
前作同様、「安楽椅子型探偵物」として水準以上の出来だとは思いますが、ロジックというよりは想像力の問題のような気がするのも事実。
いずれにしても秀作がそろった前作よりはやや落ちるかなという印象です。

No.2 6点 kanamori
(2010/06/28 17:56登録)
シリーズ第2作の初出時タイトルは「四十分間の女」。
今作も現職刑事の息子が持ち込む7つの不可解な謎を安楽椅子で解いていきます。
「なめくじ長屋」(少なくとも初期の作品)は不可能犯罪を中心に据えたハウダニットの面白さで読ませますが、退職刑事シリーズは純正ホワイダニットという感じでしょうか。

No.1 8点 VOLKS
(2009/01/25 20:22登録)
シリーズ第二弾も色褪せずに面白かった。
現職刑事と退職刑事の2人に、時折加わる登場人物がいる点も目先が変わって良い。
「四十分間の女」が印象に残った。

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