home

ミステリの祭典

login
死の鉄路
フレンチシリーズ

作家 F・W・クロフツ
出版日1983年11月
平均点7.12点
書評数8人

No.8 6点 レッドキング
(2022/10/05 15:11登録)
クロフツ第十三作。海沿い鉄道作業現場での連続不審死事件。作業量の嵩増し偽装「社会派」風ネタ巻き込んで、地味なアリバイトリックで収束する。が、クロフツでは、この作まではなかった「意外な真犯人」感があってなかなかにGood。あと、「製材所の秘密」「紫色の鎌」よりも不正行為の費用対効果感がランクアップしててよいネ。

No.7 7点 斎藤警部
(2019/07/10 06:44登録)
「あなたに対して使ったのと、まったく同じ手口です!」

”仕事ミステリ”の快作。舞台はイングランド南部の臨海鉄道。偽装アリバイを●●のではなく●●●●という素晴らしいトリック!叙述欺瞞もどきの要素があり、中途半端にアンフェアな(ツブシが足りない)所も見えますが、、いっそ完全なる叙述トリッカーに仕上げてたらどんなもんになってたんでしょうか? フリーマンが専業作家に転じて間もない頃、直前まで身を置いた鉄道業界内で起きる連続殺人(なのか?!)を扱った充実の本格推理です。フレンチの人間臭いとこも例により適量見え隠れ(探偵役を他の登場人物に持ってかれ気味だが!)。“目の高さをゆっくり上下するたくましい主運棒と連結棒”のピクトリアルな描写、“面積計”を上手に使いこなす事務所のシーン等々、男心に響く(?)現場報告が続く様は壮観!! アリバイ工作は、、、そっかソレ言うとネタバレになるんでしたね。。

nukkamさん仰る通り、’80年代創元推理文庫の表紙絵(この小説ロマン溢れる危険な構図!)、惹き込まれますねえ~。

No.6 7点 ボナンザ
(2018/11/04 17:48登録)
クロフツ中期の傑作。作者がクロフツなのでまさかと思わされる真相に考え抜かれた犯行方法が見事。

No.5 8点 nukkam
(2015/09/06 00:41登録)
(ネタバレなしです) 1932年発表のフレンチシリーズ第9作の本格派推理小説です。「少年探偵ロビンの冒険」(1947年)の中で本書のことをとりあげていることから作者としても結構自信作ではなかったかと思いますが、私にとっても1番お気に入りのクロフツ作品です。別に凄いトリックが用意されているわけではありませんが、鉄道ミステリーの雰囲気が濃厚で、地道なアリバイ捜査と最後の劇的な展開の対比が鮮やかです。本筋とは関係ありませんが薄暗がりの中、遠方から近づく列車を描いた創元推理文庫版(初版)のジャケットが大変素晴らしいです。

No.4 9点 了然和尚
(2015/07/10 13:06登録)
これはクロフツの中でも最高に面白かった。背景が鉄道工事であったり図面に関する複写の細かいことが出てくるので、馴染みにくい点が多いが、ミステリーの組み立ては優れてました。一人称に近い人物が犯人で叙述物の感じもあるのですが、その近くに読者的に最有力容疑者が燻製ニシンになっていて、この人物のアリバイが固いが故に(退屈なくらいに丁寧にアリバイが検証される)よけいに引っ張られるのが、作者にしてやられた感があります。最後の勘違いー>活劇展開というのもクロフツらしくて、意外な犯人を盛り上げて良かったです。

No.3 5点 E-BANKER
(2010/11/12 23:54登録)
フレンチ警部物の長編。
鉄道工事現場が作品の舞台となっていますが、これは作者の前職(鉄道技師)での経験がフルに生かされており、なかなか読み応えのあるストーリーにはなっています。
クロフツ作品らしく、容疑者1人1人のアリバイ&動機を丹念に調査し、その結果有力な容疑者が犯人として逮捕されますが、これが何と「誤認逮捕!」
最後はフレンチではなく、容疑者の恋人が真犯人を特定する有力な証拠に気付き、逮捕に至るという始末!
『主力の探偵役が結局事件を解決できず、他の登場人物が真犯人を指摘する』という展開がほかの作品でも見られますが、特に今回はそれがヒドイ!
この程度なら、当然フレンチ自身が捜査のうえ気付いて当然じゃないかと思わずにはいられません。読者に対してもこの事実が最後の最後にやっと提示されるので、その点でも不満が残ります。(動機も)
ちょっと貶し過ぎかな?

No.2 9点 toyotama
(2010/10/19 17:04登録)
クロフツの作品は、内容は覚えていても、どの作品だったか思い出せないものも多く、とくに海関連の作品に多いと思います。
イギリスの地図と首っ引きで読んだのですが、さすがに80年前の地名と違ってるところも多く、詳しい場所が特定できませんでした。

No.1 6点 kanamori
(2010/06/19 16:14登録)
クロフツが専業作家になってすぐの作品で、題材も鉄道関係者が絡む列車礫殺事件ということで、相当気合の入った重厚なフーダニットになっています。
作者の前職が鉄道技師なので専門的な用語が頻繁に出てきたり、フレンチの捜査が相変わらず地味ですが、後半のプロットが起伏に富み退屈感はありませんでした。まずまずの力作だと思います。

8レコード表示中です 書評