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ミステリの祭典

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虚栄の肖像
佐月恭壱シリーズ2

作家 北森鴻
出版日2008年09月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 7点 ALFA
(2022/04/13 13:32登録)
「深淵のガランス」に続く、天才的な絵画修復師五月恭壱(さつききょういち)を主人公とする第二作。
主人公のキャラも、絵画修復や絵画取引、贋作問題といったほの暗い世界観も大変に魅力的。

中編三篇の構成だが、それぞれにプロットの工夫があって変化はついている。
それでも同工異曲に見えてしまうのは、登場人物が重なるためだろう。主人公とその相棒はいいが、周辺人物や仕事の依頼人まで同じでは世界が拡がらない。
謎の中国人富豪や大物政治家などはごくたまに登場させてこそ効果的だったと思うが・・・

作者が若くして亡くなったのは残念。ダークで独特の輝きを放つ世界をもっと見せてほしかったなあ。

No.4 6点 まさむね
(2018/09/02 22:30登録)
 絵画修復師・佐月恭壱シリーズの第二弾。
 過去の恋人も登場し、佐月の過去も多少明らかにされています。シリーズとしての続編を期待したくなる締め方であるものの、もはや続編を読むことが叶わないことが残念でなりません。

No.3 6点 ボンボン
(2017/11/05 18:14登録)
情念渦巻く暗い話で、あまり好みではないのだが、きちんとした大人の作品だと思う。絵画修復に関する驚くほど深い知識に裏打ちされた謎の仕掛けが物珍しく目を惹く。また、絵画や骨董の世界には、こういくこともあるのだろうなと思わせられるような裏社会に絡むサスペンスも見どころだろう。
シリーズ前作の『深淵のガランス』から続く物語は、まだまだこれから展開していく気配を感じさせるが、もう続きが望めないのが本当に残念。
愛川晶氏による文庫の解説に、作者の北森鴻さんが亡くなった時のエピソードがあり、涙なしには読めなかった。

No.2 8点 makomako
(2011/09/21 12:01登録)
佐月シリーズの第2弾。3つの短編が連作のように絡み合い、花氏であり絵画修復師という魅力的な主人公の過去が少しずつ明らかになっていく。物語の謎のに伴って大変興味深い。少し暗い感じもしますが個人的には非常に好きな短編集です。

No.1 6点 E-BANKER
(2010/11/16 22:49登録)
花師にして絵画修復師という別の顔を持つ男、佐月恭壱シリーズの第2弾。
作者らしい上質で気品のある連作短編集に仕上がっています。
①「虚栄の肖像」=古備前の甕とピカソの絵画、そしてそれを取り巻く人間の欲望や思い・・・何とも言えない重い雰囲気を醸し出してます。
②「葡萄と乳房」=佐月の元恋人と洋画の大家、藤田嗣治の未発表絵画・・・やっぱりラストは意外な展開に・・・
③「秘画師遺聞」=佐月も魅せられた女性の「縛り画」の作者の謎・・・作者とモデルの正体は意外な人物でした。
以上3編。
全編に渡ってピーンと糸を張ったような緊張感のある作品。
何となくスッキリしない展開やオチが多いので、若干残尿感を感じてしまいました。
あと、できれば本作は前作「深淵のガランス」読了後にお読みください。その方が登場人物の関係性が頭に入りやすいでしょう。(私は読む順番を間違えちゃいました)

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