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ミステリの祭典

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死神の精度

作家 伊坂幸太郎
出版日2005年06月
平均点7.00点
書評数37人

No.37 8点 zuso
(2020/01/31 20:44登録)
六編からなる短編集で登場する死神は、死の国の調査委員で、担当する人間が死ぬのにふさわしいかどうか、身辺調査をして情報部に報告するのが仕事。調査期間中には、ストーカー問題がおき、ヤクザの抗争に巻き込まれ、殺人事件の現場に居合わせ、恋のキューピッド役になり、自殺行につきあわされetc。
クラシックな密室殺人劇あり、昔のハリウッド映画を思わせるサプライズ・ストーリーありの各編は、大なり小なりミステリの骨格を保って、絶妙にリンクし、死神はいつもちょっとした探偵の役割を果たす。
構成を含めた作品的な巧みさで言えば、「死神の精度」「恋愛で死神」「死神と老女」の三編だと思うが、個人的には感動したこともあり、「死神と藤田」「旅路と死神」が好みです。

No.36 7点 猫サーカス
(2019/12/31 19:39登録)
さまざまな趣向を凝らした六つの物語を収めた連作短編集。ある物語の登場人物が、別の物語の中に少しだけ顔をのぞかせるという仕掛けによって、最後に置いた「死神と老女」で、ある大きな感動へと導く構成が見事なので、順番通りに読んでいくのをおすすめします。クールだけど少しずれてるキャラクターが魅力の死神を狂言回しに描かれる悲喜こもごもの人生模様。死を扱いながら、哀しみだけに落とし込まない軽妙な筆致が素晴らしい。

No.35 6点 パメル
(2019/10/21 11:00登録)
死神が主人公の6編からなる連作短編集。
この死神は、近々死ぬことになっている人間に近づき、観察して最終的に死なせるかどうかを判断するのが仕事という設定。人間の死には全く関心がないため、かなりクールな印象がある。(この点は好みが分かれるでしょう)
ハードボイルド風味、嵐の山荘風味、恋愛小説風味、ロードノベル風味、人情噺風味と多彩ではあるが、謎と人間ドラマが結びついたストーリーという点が共通している。
リーダビリティーが高く、時にコミカルに、時に感動的に描かれ、軽く洒落た作風。この作者の持ち味なんでしょう。
最後の一編に、さりげなく驚く仕掛けがあるとともに、ストーリーの世界を拡大するような作用があり、それがとても心地良く読後感が非常に良い。
オシャレなミステリ、エンターテインメント性の高い作品を求めている人にはお薦め。濃密なストーリーが好きな方には、物足りなさを感じるかもしれません。
同じファンタジーならば、東野圭吾氏の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の方をお薦めします。

No.34 8点 sophia
(2018/03/13 19:42登録)
「死神の浮力」を読もうと思ったのですが、前作の内容を完全に忘れてしまっていたので復習がてら再読しました。文句なしに面白かったのは「死神と藤田」です。設定を生かした見事な終わり方でした。「旅路を死神」は感動的な話ですが、死神はあまり関係ありませんでした。全体的に「可」か「見送り」かで迷うところをもう少し見たかった気がします。

No.33 6点 mohicant
(2013/08/05 09:44登録)
 第一話目のような話を最後にもってきた方が、後味がよかったと思った。

No.32 7点
(2013/02/12 10:09登録)
今、旬の作家ですね。ミステリーファンとしては出遅れ気味ですが、このたび初めて読んでみました。

本書は死神が主人公の連作モノです。アイデア的には「笑うせぇるすまん」みたいなものでしょうか。
一人称の地の文による死神の内面描写や、死神と調査対象者との会話文は実にうまい。「年貢の納め時」などの比喩表現を理解できないのには笑えるし、死神仲間がみな音楽好きというのも愉快です。文章に良い味が出ていて、センスの良さが光っています。リーダビリティも抜群です。
ストーリー的には短編ごとに工夫があり飽きることがありませんし、締めくくりかたも絶妙だと思います。それでいて技巧に走りすぎという感じもしません。いろんな切り口から読者を話の中に誘導してくれる器用な作家との印象を受けました。

多種の作品を書いて賞もとっているようです。東野圭吾、宮部みゆきにつづく次世代を担うミステリー作家ですね。それとも世評どおり、春樹チルドレンなのでしょうか?
独特の世界観でもって種々の作品を器用に書き分けている、というのが一般的評価のようですが、個人的には、本書のようなSF調の特殊な設定の作品を不器用なほど一途に書きつづけて、星新一(子どもの頃から好きなのでつい引用してしまいます)のショート・ショートみたいな変わった路線を突っ走ってほしいなという期待感もあります。

No.31 8点 ある
(2012/09/11 11:59登録)
 死神の発する警句や,ときにコミカルな言い回しがツボでした。
 伏線の回収のされ方など,私はこういう伊坂作品が好きなんだなぁ…とあらためて気付かされました。
 ぜひ続きが読みたい作品です。
 

No.30 6点 simo10
(2012/06/26 22:31登録)
以下の六つの短編で構成されており、全て死神が語り手となっています。

①「死神の精度」:標的はストーカー被害に悩む冴えない女性。オチはベタで予想通りだけど後味は爽やか。
②「死神と藤田」:真の仁侠の男に無様な死は似合わない、といったとこなのかな。
③「吹雪に死神」:伊坂氏には珍しい、というかまさかの雪の山荘もの。しかし、というかやはり本格ではなかった。
④「恋愛で死神」:実に切ない話でしたな。
⑤「旅路を死神」:この作品だけ、やけに文学色が強いというか、自分には合いませんでした。
⑥「死神対老女」:美容師の老女の奇妙な依頼。その真相以外にも幾つかサプライズが仕掛けられている。

人の生き様もしくは死に様、人と人の繋がりが死神を介して描かれた異色の作品です。そんなテーマにも関わらずどの話もライトに描かれているのが良いです。
しかしどっちが先かは知らんがデスノートと似ている。

No.29 5点 スパイラルライフ
(2012/02/18 23:13登録)
ラストに収束する伏線に満足。
リーダビリティも流石ですね。

、がミステリーではない気が…

No.28 9点 NAP
(2012/02/13 17:28登録)
個人的にはほっこり系でした。死神の短編集。

No.27 3点 ムラ
(2011/10/22 16:08登録)
全体的にレベルの高い短編集
死神の冷静なキャラもいいが、個々の人物の物語も同様によかった。
きちんと落ちているのもいい。

(ここからネタバレ)
個人的には全部が繋がってたらさらにうれしかった。

No.26 7点 卑弥呼
(2011/08/18 22:34登録)
おなじみのミステリを斜め下から見させてくれるという印象のシリーズです。
ご飯というよりは桃ラー。
ミステリアンソロジーに載っていて、他の本格重厚な作品の合間に読むのに丁度いいです。
もちろん、シリーズ通して読んでも楽しめますが。

No.25 6点 メルカトル
(2011/05/01 21:43登録)
死神のクールさがなあ・・・そこが良いという読者も勿論いるだろうが、私にはやや食い足りなかった。
全体としてはよく考えられた連作だと思うが、ちょっぴり物足りなさを感じるのも確か。
ただ、様々なシチュエーションが楽しめる作品ではあるし、死神が主人公のわりに、暗すぎず重すぎず、適度なユーモアを保っているのは評価できる。
尚、最終話のオチには深く頷かされ、感動的といってもよいと思う。

No.24 7点 haruka
(2011/04/24 23:11登録)
死神のキャラクターがユニークで各話楽しめるのだが、最終話を読んで連作短編としての完成度の高さに気づかされた。

No.23 7点 ZAto
(2011/04/11 00:00登録)
この小説のユニークな点は、本来ならばドラマチックな見せ場となりそうな「可」と「見送り」の判定の場面をクライマックスとして機能させない点にある。
言い換えれば伊坂幸太郎は「生」か「死」かという究極の選択にはまったく興味を示さず、また死に行く者たちへの慈しみも薄い中で、どちらかといえば死神が人間の「生」を観察する様を面白がっている風にもとれる。
死という単純にして深遠なテーマがあるならば、当然、人間とは何ぞやという設問に行き着く。そして伊坂幸太郎の見事なところはその重厚長大な(?)テーマをちらつかせながらも、面白主義の一歩手前の位置で悠然と立っていることなのではないか。

No.22 6点 touko
(2011/04/01 23:15登録)
死神が主人公の連作。
最初の3作くらいは、平板でお約束って感じのあまり面白くない作品ばかりで、読むのやめようかと思ったくらいですが、中盤以降は面白くなります。
通して読むと、意外と感動しました。

No.21 9点 seiryuu
(2011/01/12 23:02登録)
とても読みやすくて発想が新鮮で、主人公のキャラもいい。
クールで浮世離れした死神のセリフが面白い。
死がテーマだけど暗くなくていろいろ考えさせられた。
6話それぞれ趣向が違っていて凝っているなあと思った

No.20 8点 HORNET
(2011/01/10 16:17登録)
 他のアンソロジーで表題作を読み,それがとてもよい読後感だったので読みました。結果としてはやはり表題作が一番よかったかな,と思いますが,伊坂作品の中では最も好きにありました。昔の「死神くん」という漫画を思い出しました。

No.19 7点 E-BANKER
(2010/11/13 00:03登録)
「死神」を主人公とする連作短編集。
今回も「伊坂ワールド」全開という感じで、独特のストーリーを味わうことができます。
①「死神の精度」=唯一の「見送り」なんですよね。これが伏線として最後に効いてきます。
②「死神と藤田」=ラストがよく分からなかったな。
③「吹雪に死神」=何と「雪の山荘」で連続殺人事件が発生! ですが、そこはやっぱり「伊坂作品」ですから・・・
④「恋愛で死神」=とってもいい話。なんで「見送り」にしないかなぁーと思ったら、そういうことですかぁ・・・
⑤「旅路を死神」=死神の行動&言葉が何ともいえずいい。
⑥「死神対老女」=ラストはサプライズが2つ。そうかぁ・・・そういうまとめ方かぁ・・・うまいなぁ!
以上6編。
「死神」が何ともいえない「いい味」出してます。是非続編を出して欲しいですね。

No.18 7点 Q-1
(2010/10/17 02:19登録)
ミステリーとしてはイマイチ緊迫感に欠けますが
オチがとても素晴らしいと思います。
ほっこりしたい方にオススメ。

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