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ミステリの祭典

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びっくり館の殺人
館シリーズ

作家 綾辻行人
出版日2006年03月
平均点4.76点
書評数42人

No.42 3点 雪の日
(2020/04/11 07:25登録)
あまり面白くなかった

No.41 5点 バード
(2019/08/10 08:59登録)
(再読シリーズ5)

他の館シリーズに比べるとメインのしかけがこじんまりとしているのは事実だが、単品のミステリ、ホラーとしては結構上手いと感じた。

ミステリとして関心したのは、あおいの発した虐待というワード。俊夫がリリカの役を演じていたことを隠しながら話がつながるように組み込みつつ、実際は人形役をやらせられていたということへの台詞。そうすることで事件の際に読者に対し密室を提供でき、ただの単純な殺傷事件をミステリの事件へと昇華させたのである。

昔読んだときはホラー色が強く、いまいちと感じたが、今回の再読で、本書のミステリとしての良さに気づけた。

No.40 4点 パメル
(2019/08/02 10:26登録)
ジュブナイル作品で館シリーズ第7作。
子供向けという事もあり、文字はやたらと大きいし、行間は広いし、漢字にはすべて仮名がふってあり、逆に読みづらい。(笑)(単行本で読みました)
一人称による騙しのトリック、密室殺人、異常心理を扱ったホラーテイスト、謎解きの遊び心と作者らしさにあふれている。
ただ、この作品のメイントリックは「●●を●●と思わせる」ことですが、想像できてしまう方も多いのではないでしょうか。また、深刻な児童虐待の問題を扱っているので、子供向けとしては、とてもお薦めできない。
ラストに関しても、不気味な含みを持たせた感じで「今後どうなるのかは、読者の皆さん、それぞれ想像してみてください」的な終わり方で、賛否両論あると思うが、個人的には好みでは無い。

No.39 7点 mediocrity
(2019/05/08 22:28登録)
平均点は現状5点を下回っているが、悪い作品だとは思わなかった。雰囲気はむしろ好き。色々制約がある中で書かれたとのことだが、その中で最大限に工夫されたストーリーだと感じた。
小学六年生がニトログリセリンを知っていたり、「奇縁」なんて言葉を使ってみたり、鹿谷が解決編に出てくるのかと思ったら出てこなかったり、館に壮大な秘密があるのかと思ったらそうでもなかったり、確かに色々とビックリでした。

No.38 7点 名探偵ジャパン
(2017/07/27 20:11登録)
前作「暗黒館」が、ああだったこともあり、「びっくり」するほどの薄さの本作。もちろん子供向けであることを考えたボリューム構成であることは言うまでもありません。
子供向けということを差し引いても、「館シリーズ」として加えるのはどうなのか? というご意見もあるようですが、私は本作を正統シリーズに加えるのには大賛成です。
もし本作を「シリーズの番外編です」と謳ってリリースしたら、メインの子供たちはどう思うでしょうか。「子供向けだから手を抜いたんだな」的な不信感や、「子供向けだから距離を置いたんだな」的な疎外感を持ってしまうのではないでしょうか。「子供向けでも手を抜かない。むしろ、子供相手だからこそ本気で作る」優れた子供向け作品全てに共通するテーマだと思います。
確かに大人のミステリファンから見れば(そして他の「館シリーズ」と比較したら)、内容もトリックも地味で小粒な印象は拭えないでしょう。
私は「館シリーズ」はひとつのテーマパークのようなものだと思っています。スリル満点な絶叫マシンがあれば、恐ろしいホラーハウスもあり、中には小さい子供も楽しめる「ゆるいアトラクション」があってもいいのではないでしょうか。
本作が正統シリーズに加えられているということは、綾辻の作家としてのスタンスを如実に現した、素晴らしい試みだと思っています。

No.37 7点 邪魅
(2017/02/28 01:51登録)
かなり評価低いですけど、やっぱりこの作品は好きなんですよね
大胆不敵なトリックは薄気味悪ささえありますが、私は綾辻氏のこの幻想小説染みたところも好きなので
ミステリとして、だけでなく
その読後感も加味しての7点です

No.36 5点 青い車
(2016/03/01 22:36登録)
ミステリーランドのテーマ、「大人も子供も楽しめる」は書く側からしたらかなりの難物なようで、綾辻さんもこれは苦労したのではないでしょうか。正直、傑作とは言い難い出来です。
問題なのは、子供を意識した読みやすい文体とストーリーなようでいて、事件の真相や恐怖を残す幕引は刺激が強すぎるところです。結果として、子供向けとしても大人向けとしても中途半端になってしまったように思えます。トリック自体はなかなか悪くないので、もうひとつかふたつアイディアを足して、大人向けの正統的な館シリーズの一作として書いた方が収まりが良かったのでは?

No.35 5点 風桜青紫
(2015/12/21 04:21登録)
「伏線からするとこんなトリックか?」と思って読み進めたら、予想以上のトンデモぶりだった。こういう物語の構図が変わってくるトリックは嫌いじゃない。ただ、その説明についてはトンデモぶりを消化させるほどではなかったかな。もっと上手く料理してほしかった。あと、「びっくり館」が中村くんの失敗作としか思えないほどつまらない(『消える総生島』の霧越館のがずっといいレベル)。ただのおもちゃ王国じゃないですか。館シリーズっぽい道具仕立てが楽しめなし、全体的に、なんていうか、地味。館シリーズにする必要あったのかな。島田さんに至っては子どもたちからジャングルジムを占拠してただけだし。本当にただの不審者じゃないの(笑)。

No.34 5点 sophia
(2015/07/20 18:25登録)
暗黒館でげんなりして以来、約10年ぶりに館シリーズに手を付けました。
人形館のテイストに近いですね。
ミステリーランドレーベルだけあって読みやすさは抜群で、読者をしっかり引き付ける構成は良い。
あともうひとひねり何かあれば評価が上がったかもしれません。
今回の館の象徴になっている「びっくり箱」があまり関係なかったのが残念です。
奇面館に期待します。

No.33 5点 CHABI
(2015/04/10 23:55登録)
館シリーズの他の作品と比べて、メインの謎の部分が小手先だけという印象です。
正直、真相には驚きましたが、なるほど~とは思えませんでした。

No.32 9点 公アキ
(2014/12/26 14:26登録)
 美しい作品でした。私は、何年も前に著者・綾辻行人が展開していた「ミステリ=雰囲気論」のようなものを読んだことがあったからこそ、著者のミステリが起きる「場」への愛を強く感じることができました(ただ、その後彼の中では価値観の変化があったようですが、私はそのことについてはあまり明るくありません)。
 私にとって、スタンダードな推理小説、ミステリ小説というのは、作品の前半で事件が起こって、明らかに提示された/されつつある謎に探偵役が立ち向かい、紆余曲折の末に謎が解明され、解決へ向かう、という物語です。それに比べて、本書は読んでも読んでも、中々「事件当日」まで話が進まない。最初に、人形や館で飾り付けられた密室殺人という魅力的なミステリの現場を見せられるが、1994年12月25日のその事件の日には、同年の5月頃から遡って、少しずつ事件当日に向かっていく。なので、本を読んでいる私としては、事件当日に到達することが一つのカタルシスでもあり、事件の解決ではなく、謎めいた事件の発生こそに異常な快感を感じることとなったのです(実際、小説はここまでのボリュームの割合が全体の中では大きく、事件発生現場の前に辿り着いたところで第2章の区切りとしています)。そうして、怪しげでミステリでホラーな幻惑的事件現場への価値を高めているところに、著者の「場」への愛を感じたのであり、こうした作品構造に、「美しい作品」と感じる所以の一つがありました。
 しかしそうすると、「残りのこのページ数で、どうやって伏線を回収し、謎の解明に向かうのだろう」という不安が私を襲いました。電子書籍ではなく実際に手に本を持って読んでいると、どうしても「残りページ数の視覚的な予想」から逃れられません(笑)。私はこの作品の結末を想像しながら読んでいましたが、冗長でなくすぱっとエッヂの効いた「メイントリック」にまんまと騙され、驚異的な伏線回収の大波に、唸ってしまいました。

(以下、ネタばらし有り)
 「メイントリック」とは即ちカギカッコで括られた「リリカ」とは俊生の変装であったこと、そして事件の第一発見者である三知也・あおい・新名が事件の隠蔽工作を行っていたこと(事件の当事者と読者で、そもそもの事件や「腹話術劇」の見え方が違っていたこと)です。リリカ/「リリカ」は作品の中で一貫した表記になっており、ミステリとしてはフェアなのではないか、と思います。だからこそ素直に驚き悔しがることができました(笑)。そしてさらに驚くべきは、この変装が事件のためだけのものではなく、古屋敷龍平氏の腹話術劇の相手として、「日常」の中で行われていたことです。そして最も驚くべきは三人による隠蔽工作です。確かに現場は密室だったが、それは不可能殺人でもなんでもなかったのです。そして、この作品が綾辻行人の作品であるブランドとして、中村青司の造ったからくり仕掛けがこの「読者に隠された隠蔽工作」のミソとなっているのも、ニヤリとしてまうところです。冒頭の文章の微妙な違和感、腹話術劇後の「虐待」という認識等、メイントリックを知ってから読み直すと、全く違った見え方がします。
 既読の方には知っていることばかり話してしまいましたが、私がこの『びっくり館の殺人』を「美しい作品」だと考えるあと2つの要素だけ、簡潔にまとめます。
 一つは、ミスリードも含めて、殆ど作品の要素に無駄がなく、『暗黒館の殺人』の8分の1のサイズとも言われる小品である本作の濃度が高く作り込まれていること。「虐待」への理解や隠蔽工作は新名無しには成し遂げられませんでしたし、俊生を庇うという発想やそのことへの説得力を持たせるためには、三知也の家族の話は欠かせませんでした。
そして、最後にこの作品のホラーテイストな終わり方。論理的な謎解きの後だからこそ、論理の追いつかない「悪魔の仮定」や「梨里香26歳の誕生日会場」等は、通常のホラー一色の作品の何倍もの怪しさや恐怖を生み出します。
 未読の方に作品を薦められる文章ではなくなってしまったので、既読の方でこの書評を読んで楽しんでいただける方がいれば幸いと思います。

No.31 4点 ボナンザ
(2014/04/10 17:22登録)
こども向けということもあったのかもしれないが、どうしても他作に比べると作者のやる気が感じられない。

No.30 8点 虫暮部
(2013/10/21 06:46登録)
短めの長編だが、物語に必要にして充分なだけの長さできっちり収めているという感じで、好ましい端正さである。私はあのラストあっての説得力だと思う。あと、新名さんがあんなにさらっと死んでしまうのは悲しい。

No.29 4点 アイス・コーヒー
(2013/07/01 18:59登録)
お屋敷町にある「びっくり館」。不思議な噂を持つこの館で、小学生の三知也は館に住む少年・俊生に出会う。館には彼の祖父と亡き姉の名前のつけられた人形が住んでいた。そんな中、密室殺人が発生する。
ミステリーランドから出版された、子供と、かつて子供だった人への作品。これが本作のコンセプトだ。そして本作は館シリーズの正式な一作でもある。しかしこれは・・・。トリックが明らかに従来より劣っている。恐らくあまりミステリを読んでいなかった子供のときであればこの真相に「びっくり」していたであろうが(事実最初にクリスティの●●●●●●●を読んだときはびっくりしたものだ)、「館」シリーズの一作とするにはどうも・・・。さらにこの作品が本格であるかも微妙である。最後に、ラストシーンの後味が悪く子供向きかどうかも・・・。
描写も上手で、それなりに楽しんで読んでいただけに第三部が残念だった。

No.28 2点 TON2
(2013/01/15 17:57登録)
講談社
 読者の対象が子どもに想定されたためか、ロジックなミステリーというよりも乱歩の世界のようです。
 母親が悪魔の子と呼んだ眼の色が変わる娘、舞台俳優だった老人の腹話術など、おどろおどろしい感じはするものの、滋味が足りません。

No.27 5点 まさむね
(2012/11/25 21:50登録)
 「ミステリーランド版の館シリーズ」ってことになるのでしょうが,内容的には「館シリーズ」にこだわる必要は無かったような気も…。でも,例えば小学生の頃に本書を読んで,その流れで十角館…っていう子もいそうですし,未来のミステリ界にとっても,まぁ,アリということで自分を納得させました。
 しかし,こういう作品は評価が難しいなぁ…。純粋にジュブナイルとして見ればもっと高評価でも良いのですが,一方で「もう一捻り欲しい感」が残ったのも事実ですし…。悩んだ末にこの点数で。

No.26 4点 スパイラルライフ
(2012/02/05 22:01登録)
まぁ子供向けだから。

とはいえ、子供時分に読んだらトラウマになる笑

敢えて館シリーズを持ち出さなくても
作品はなりたつかな。

No.25 3点 蟷螂の斧
(2011/12/30 11:45登録)
子供向けだから致し方ない評価となります。

No.24 5点 白い風
(2011/12/02 23:15登録)
『ミステリーランド』4冊目だったけど、綾辻さんらしい作品だった気がするよ。
館シリーズの8作目にもなるんだね。
ただミステリー(トリック)は子供向けで、人形を扱ったホラー色が強かったね。
子供には十二分に楽しめる作品だと思うけどね。

No.23 5点 frontsan
(2011/04/12 15:28登録)
自分が小学生だったら面白く感じたと思います。

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