テレキャスさんの登録情報 | |
---|---|
平均点:6.92点 | 書評数:49件 |
No.29 | 7点 | 道具屋殺人事件 神田紅梅亭寄席物帳 愛川晶 |
(2009/12/02 05:16登録) 落語に関して全く無知な私でもとても楽しめた。 北村薫の円紫と私シリーズを彷彿とさせるがより落語の噺がテーマとなっており、それに絡めた日常の謎だったり殺人事件が紐解かれる様は驚きと共に人情味ある暖かさをくれた。 落語に精通していると最後に主人公の夫がする噺は新説っぽくてより驚けるのだろうか?そこが私には分からなくてちょっと残念だった。 |
No.28 | 3点 | 白兎が歌った蜃気楼 高里椎奈 |
(2009/11/26 10:56登録) プロットは良いはずなのだがいかんせん文章が下手。 ラノベ風なのに読みづらいとは致命的。 特に会話文が誰のセリフなのか分からなくなることがしばしば。 この手のトリックは新しいわけではないが一定の驚きはくれたのに勿体ない。 高里椎奈は私の高校の先輩らしいがしばらくは彼の作品を手に取ることはないだろう。 |
No.27 | 7点 | 名探偵に薔薇を 城平京 |
(2009/11/24 13:58登録) 絶対に痕跡を残さずに殺せる毒薬「小人地獄」を巡る物語。 こんな毒薬、ミステリでは反則だけど、この設定こそが作品の鍵であり全てである。 二部構成で視点も変わり、工夫が随所に施されていて楽しめた。 読み終えた後にタイトルの意味が理解出来た。 ただこの名探偵凄すぎではないか? そうなる経緯は全く触れられてないので多少違和感を感じてしまうのが残念だった。 |
No.26 | 5点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 泡坂妻夫 |
(2009/11/24 12:20登録) う~ん、評価するのが難しい作品。 実際、内容は他の泡坂作品と比べると数段劣ることは間違いない。 ただ無難にまとまってて悪い出来ではないんだよなぁ。 あの仕掛けもあるし、高得点を付けたいところだけど、何かあるってのは見え見えだったので辛口にしました。 |
No.25 | 7点 | 慟哭 貫井徳郎 |
(2009/11/21 10:18登録) どんでん返しものとして勧められることが多いがこのトリックは存外気づき易い。 そんなことよりもラストの一行を読む度に、主人公の「慟哭」が聞こえてくる喪失の物語として評価をしたくなる作品。 |
No.24 | 8点 | 盤上の敵 北村薫 |
(2009/11/21 09:59登録) こんなにも圧倒的な悪意に出逢ったのはこの本が初めて。 それを北村薫の筆力で描かれてしまうと恐怖は倍増される。 実はミステリにこなれる前に読んだ作品なのでラストの展開に度肝を抜かれた記憶がある。 再読したいと常々思ってはいるのだがあの悪意を目の当たりするだけの心の余裕が今はない。 |
No.23 | 6点 | 四神金赤館銀青館不可能殺人 倉阪鬼一郎 |
(2009/11/20 10:46登録) 倉坂の作品で一番楽しめた。 初めに言っておくけどバカミスです。 エピローグで大爆笑してしまった。 そりゃあんなことされちゃあ自暴自棄になりますわ(笑) |
No.22 | 8点 | 透明な一日 北川歩実 |
(2009/11/09 13:37登録) 前向性健忘という記憶障害がテーマ。 絶対そこに何かあるって勘ぐってたけど、全く見抜けなかった。 何重にも展開するラストは読み応え有り。 伏線の張り方もさることながら、ホワットダニットの構図が新鮮で驚いた。 北川さんのレビューが少ないことにも驚いた。 |
No.21 | 7点 | 七つの海を照らす星 七河迦南 |
(2009/11/09 13:22登録) 連作短編集らしい最終章でのドカーン(笑)ってのが心地良かった。個々の短編の出来は他の方が書いているように尻つぼみ感は拭えない。でもテーマが重い割には語り手の主人公の明朗さがバランスを取っていてすんなり読ませてくれたのには好感が持てた。 ペンネームの仕掛けと表紙の綺麗さで1点おまけ。 |
No.20 | 6点 | インシテミル 米澤穂信 |
(2009/08/02 20:24登録) 表紙のイラストが大好きな西島大介だったので思わず手に取った作品。 誤植としか思えない高額な時給に釣られてやって来た男女12人がバトルロワイヤルのような殺し合いゲームを繰り広げる。 正直、惜しいと言う印象が拭えない。個人的にはエピローグでもう少し掘り下欲しかった。 |
No.19 | 7点 | 未明の悪夢 谺健二 |
(2009/08/02 20:13登録) 鮎川賞受賞作品。 阪神·淡路島大震災がテーマ。 【それまで】、【そのとき】、【それから】の三部構成。 本編の半分は阪神大震災の描写にあてられ、関東で生まれ育った私には想像をはるかに越える状況が描かれている。 そんな中に起こる殺人事件は多少浮いてしまった感がないこともないが圧倒的な震災パートだけでも充分に評価でき、いまだかつてない読後感を与えてくれた。 |
No.18 | 7点 | 『アリス・ミラー城』殺人事件 北山猛邦 |
(2009/07/28 23:56登録) 大掛かりな物理トリックのイメージが強い北山がこんな変化球で攻めてくるとは驚いた。 アンフェアと言うより読み返せばわかる伏線を張りつつ最後の最後まで真相を隠し通した手腕を素直に誉めるべきだと思う。 動機は無茶苦茶に感じるがこの世界に触れてしまうと意外と納得出来たりする。 【ルイス·キャロル】と【そして誰もいなくなった】をモチーフにしているのもミステリ好きにはニヤリものだったので1点プラス。 |
No.17 | 7点 | どんどん橋、落ちた 綾辻行人 |
(2009/07/28 19:14登録) こう言う作品に【叙述トリック】と言ってしまうのはネタバレになるのでレビュワーの方はなるべく使わないように気をつけていることでしょう。 でもあえて言っちゃいます。この作品は全編叙述トリックが施された短編であると。 私はなぞなぞを解くような感覚で気楽に読みました。 アンフェアだの、分かりっこないなんて言われてるけど肩の力を抜いて考えると意外と答えが簡単に分かったりします。 綾辻行人の遊び心と苦悩が伝わってくる意欲作。 |
No.16 | 6点 | ミステリアス学園 鯨統一郎 |
(2009/07/26 18:23登録) これは推理小説ではなくてミステリ入門書。 巻末のグラフや年表は持っておきたいと思いました。(私は図書館で借りたので) ただ名作を読んでないと分からないような小ネタも散りばめられているので初心者以外も楽しめます。 ラストのオチは論外だけどそれ以外の短編は一定のレベルはあります。 でもやっぱり推理小説を読むのではなくて評論を読む感覚のほうが楽しめるのかも。 |
No.15 | 8点 | 火蛾 古泉迦十 |
(2009/07/26 18:01登録) 参った。他に類を見ない結末にただ呆然とするばかり。 最初はイスラム教やゾロアスター教の難解な語句達が混沌に誘い私を辟易とさせたがその妖しげな空気が肺を満たし始めた頃には抜け出せなくなっていた。 そして難解な宗教観が伏線と言う刃になり突如襲い掛かってくる。 メフィスト賞を取ってはいるが埋もれてしまった秀作だと言っていいだろう。 たった一作を残し音沙汰を無くした古泉迦十の帰還を願わずにいられない。 |
No.14 | 9点 | シャドウ 道尾秀介 |
(2009/07/23 20:22登録) 読み進めて行くといやな予感が頭にこびりついて離れない。 精神病や幼児に対する性的虐待など重苦しい問題が主人公の男の子に襲い掛かり気付くと主人公に感情移入してしまっていた。 何を書いてもネタバレになりそうで怖い。 ただ私の読後感は清々しく晴れやかだったとだけ言っておこう。 道尾秀介は伊坂幸太郎ぐらい流行るのではないかと思いたくなってしまう。 |
No.13 | 8点 | クール・キャンデー 若竹七海 |
(2009/07/22 23:48登録) 破壊力抜群のラスト一行に呆然自失。 おそらく中高生向きの青春ミステリなんでしょうがいやいやよく出来ていて驚いた。 ジュブナイルだと麻耶の神様ゲームなんかも大人が読むに足る良作として有名だけど私は断然この作品のほうが好きですね。 |
No.12 | 10点 | 地底獣国の殺人 芦辺拓 |
(2009/07/19 04:00登録) 開き直ったかのようなトンデモSF的展開にミステリやスパイものの要素も織り交ぜられ、盛り沢山の内容は圧巻そのもの。 そして、切れ味鋭い解答編がSF的展開さえ上質なミステリであったことを気付かせてくれた。 序盤がやや冗長だが、エピローグも好みだったので満点献上! |
No.11 | 9点 | 弁護側の証人 小泉喜美子 |
(2009/07/17 18:47登録) 《多少のネタバレがあるので未読の方はご注意を》 巧なミスリードにやられまくりでこれは傑作。 本当なら満点をあげたいのですが、あらすじで虚偽の記載がある点がアンフェアに感じられて1点マイナスにすることにしました。 地の文同様、あらすじでも虚偽の記載と言うのは反則過ぎると思います。 そんな事をしなくてもよく出来ているのに勿体なく感じてしまいました。 |
No.10 | 8点 | ブラックスワン 山田正紀 |
(2009/07/16 20:09登録) 冒頭からアリバイ工作が描かれていますが、決してアリバイものではなく、 この作品の中心の謎は、「姿を消した女性に何が起こったのか?」です。 ミステリとしても青春群像としても秀逸な作品。 あっと驚く仕掛けも施されており、真相に至った時のカタルシスはかなりのもの。 SFやアクション、ホラーのイメージが強い山田正紀の別の一面が感じられた良作。 |