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ミステリの祭典

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盤上の敵

作家 北村薫
出版日1999年09月
平均点6.25点
書評数24人

No.24 8点 虫暮部
(2024/06/22 12:39登録)
 結局自己保身じゃないかと言う印象を避けるには相応のやむにやまれぬ事情が求められ、すると “傷付けられた人” が必要になる。状況のヘヴィさは単なる飾りではなく、騙しの構造上必然的なものである。しかも、この物語の奥にこんな痛快なトリックが潜んでいるとはなかなか思わないから、目晦ましとしても機能している。
 そう考えて納得はしているものの、あの人物の “弱さ” には苛立ちを覚えた。と正直に書いておこう。

No.23 4点 いいちこ
(2022/08/02 18:46登録)
ご都合主義としか言いようがない舞台を設定したうえで、さらに著者の都合がよいように一部のエピソードを後出ししているだけ。
加えて本作で描かれるさまざまなエピソードがリアリティ・説得力に欠けるうえ、それらがすべて必要だったようにも思えず、プロットの完成度の点でも難がある。
主人公の犯行計画に至っては、あまりにも杜撰というか、稚拙であり、警察がこれを阻止できないというのはあり得ないだろう。
独特の筆致に読ませるものがない訳ではないが、サスペンスにも乏しく、本格ミステリとしては評価すべき点が見つからない。
3点か4点か、熟慮を重ねたうえで4点の最下層

No.22 6点 雪の日
(2022/05/03 17:22登録)
ミステリとしては面白かったです。
しかし、読むのがつらい、あと怖かったです
ということで、つらいのが苦手という方は機械的に読むべきですね。

No.21 7点 Kingscorss
(2020/09/04 14:41登録)
北村薫さんの作品らしくない緊迫した文章、白と黒が交互に書かれるミステリアスな構成。もうたまりません。

TV制作会社勤め(だっけ?)の主人公の留守中の家で発生した、在宅の妻を人質に取られた強盗立てこもり事件。主人公をチェスの駒のキング、妻をクイーンに見立て、チェス盤上の棋譜のように戦略的にこの一連の事件の解決を試みる夫。しかし、その裏には隠された真実が…

個人的には思い切り騙されましたし、とても面白かったんですが、イヤミス的な要素も含んでいるので合わない方(特に女性の方)も結構いらっしゃると思います。読後感も決していいとはいえません。ただ、日本ミステリー史の重要な立ち位置に残るであろう作品(言い過ぎ?)だと思うので機会があったら是非読んでみて下さい。

No.20 5点 haruka
(2019/08/22 22:59登録)
このトリックは、なるほど想定していなかったもので、面白いと思った。しかし、そのトリックを効果的に見せるための演出である白のクイーンの独白を読むのが苦痛で、読後感は良くない。

No.19 4点 くりからもんもん
(2010/03/16 09:52登録)
読まなければ良かった感 と やっぱり読んで良かった感
のバランスってあると思うのですが、この作品は後者を前者が凌駕してしまっています。
よく練られているだけにもう少し書きようがあったんじゃないかとも思いますが、そうするとただの駄作になるんでしょうね。

No.18 8点 テレキャス
(2009/11/21 09:59登録)
こんなにも圧倒的な悪意に出逢ったのはこの本が初めて。
それを北村薫の筆力で描かれてしまうと恐怖は倍増される。
実はミステリにこなれる前に読んだ作品なのでラストの展開に度肝を抜かれた記憶がある。
再読したいと常々思ってはいるのだがあの悪意を目の当たりするだけの心の余裕が今はない。

No.17 6点 シーマスター
(2009/02/13 23:55登録)
(ややネタバレ気味かも)

これが「空飛ぶ馬」と同じ作者の作品だとはとても信じられ・・・・・・・・る。

前半の「白のクイーン」のまどろっこしさにはマイッタが、「あの女」の出現以後を際立たせるために延々と語らせるあたりはこの作者らしい。最初のオジサンの話の詳細さも。

意外な真相はよくできていると思うが(いろいろと都合よすぎ?・・作者は始めからそのつもりで書いている)、このタイプは他で見られないこともない。(折原、東野?・・・・他にもあった気がするが具体的にあまり思い出せない)

前書きで作者は「読後感の悪さ」を予告しているが、これは反語ではないかと。
良識ある読者に対して「これが社会通念上、それ以前に道義的に『善』ではないことは百も承知ですが、敢えて私はこの因果を提示します」という作者なりの「正義観」の宣言であったようにも感じられる。
(ていうか、ミステリ、サスペンス小説として、そんな前置きをしなけりゃならんほど悪い話とも思えんがね)

もし自分が(そう、このストーリーの中で)同じ環境で同じ立場に立たされて、(絶対ありえないが)同じレベルの才覚と機知を持ち合わせていたなら、同じ行動をとったことだろう。

最後の最後にチョッと懸念した(脳裏をよぎった最悪の)更なるドンデン(本当はそういうの大好きだが)があったりしないでくれて、ホっと終わりを迎えられた数少ない一冊。個人的にはグッドエンド。

No.16 6点 こう
(2008/09/14 01:56登録)
 円紫さんと私シリーズ以外で初めて読んだ北村薫の作品でした。後味は悪かったですがカットバックに似た(正確には違いますが)スタイルも悪くないと思います。この作品では叙述トリックも使用されていますが読者のみならず作中人物も欺くためのトリック(というか嘘なわけですが)が使用されておりますがその嘘の必然性もあり記述も客観性の見地からはフェアだと思います。
 読んでいて楽しい作品ではありませんが一読の価値はあるかと思います。

No.15 5点 spam-musubi
(2008/05/12 09:23登録)
筆者の作品で初めて読んだ本がこれなのは
もしかしたら失敗だったか…^^;

No.14 9点 o3345
(2005/08/19 12:46登録)
賛否が出るのは承知の上で、大好きな作品です。ミステリというより、寓話のような感じで読みました。
銃(=力)を手にして暴走するもの、幼いときから周りをその悪意でねじ伏せ善なるものを破壊してやまない”邪悪”、悪意によって傷つけられたものを愛し再生するもの、そしてその愛に応えてその人を信じ守ろうとする力。これらをたくみにつないで、どんでん返しをはさみながら、チェックメイトまでを書ききっています。最終場面も”苦い”という評もあるでしょうが、寓話(神話)とおもえばこれしかないともいえると思います。
個人的な不満としては、まだ邪悪さが足りないかな。

No.13 6点 884
(2004/08/10 17:26登録)
 一応ミステリ。
 冒頭に書いてあったとおり、癒し系ではありませんね。肝心なところ、人間の内面に関わる描写は省いてある感じですし、物語を通じて感動を得たい人には不向きな内容ではないでしょうか。
 確かに今日子さんの言うとおり、サスペンスの方が座りがいいかもしれませんね。

No.12 7点 ぶんぶん
(2004/02/07 22:06登録)
読んでていい意味で滅入ってしまいました。。

No.11 6点 SD
(2003/12/19 00:12登録)
このタイトルにする意味はあったのかなぁ???という気持ちだけが残る作品でした

No.10 4点 今日子
(2002/04/18 22:03登録)
装丁が良かったので買っちゃったけど、ほんと、
この人サスペンス向いてないなーって思いました。
こんなのも書けるぞって言いたかったのかな?

No.9 2点 織水
(2002/01/02 17:08登録)
 かーなーりー、ショックだった作品。
 期待して、しかも『円紫さんシリーズ』のような雰囲気だと思っていたから、なおさら。
 後味悪くて、人にお勧めはできない。

No.8 2点 馨子
(2001/10/23 05:01登録)
みなさん高評価ですが、私には読んだのを後悔するくらい嫌な話だった。
「過去」の話が重過ぎるのと、北村氏独特のほのぼのとした文章のせいで「現在」の事件に臨場感やスリルを感じられませんでした。アイデアは面白いのに。チェスに喩えているのでもっと心理戦が楽しめるのかと思った。ラストは一応ハッピーエンドなのかもしれないけど釈然としません。
読み始めてすぐ宮部みゆきの「スナーク狩り」を思い出しました。あちらはサスペンスとして上手く出来ているので物語として読めたのですが。

No.7 9点 J.Mascis
(2001/10/10 22:27登録)
[善意]の人を描くのが上手い作者だからこそ描ける[悪意]とそれによる痛み。ミステリの仕掛けも繊細な筆致で組み立てられる。こういう作品に出会えた事はミステリ読みとして大変幸福な事。

No.6 9点 BEAN
(2001/09/16 03:09登録)
構成が良く、スリル感もある。文章もいかにも北村薫で美しい。
最後(?)の逆転も鮮やか?

No.5 3点 カック
(2001/07/27 14:27登録)
処女作から何も変わってない。というか下手になってる。

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