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ミステリの祭典

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シャドウ

作家 道尾秀介
出版日2006年09月
平均点6.61点
書評数36人

No.36 7点 ぷちレコード
(2021/11/05 22:11登録)
登場人物は精神医学の医師や研究者数名とその家族。精神障害が核となっている構図が第一章で分かる。複数の登場人物の視点によって物語が語られるという一見ありふれた手法を逆手に取り、終幕近くになって事件の全貌が明らかになるとともに、一挙にカタストロフィへとなだれ込んでいく展開は圧巻。

No.35 6点 パメル
(2020/07/20 10:12登録)
ふたつの家族を巡る心理的な葛藤の物語。人物関係は、一見単純で分かり易いが、底流にすさまじいものがある。物語は、それぞれの人物の視点から語り進められて行く。リアルな人物造形、奇をてらわないストーリー展開など、万人向けの作品に仕上がっている。特に派手な事件が起きるわけではないが、日常の中に正体不明の異物が紛れ込んできたような、何とも形容しがたい気味の悪い緊迫感が心地良い。
サイコ・サスペンスの体裁をとりながら、それらが結末への伏線となり全体像が一気に浮かび上がる。二転三転するプロット、無駄のない構成と文章に強く惹きつけられた。子供があまりにも悲惨な目に合うのが辛いが、主人公の成長とラストに随分と救われた。
ただ、仕掛けに前例があり、先が読めてしまった点とこじんまりとまとまりすぎている点が不満。

No.34 4点 新世紀ミステリー
(2019/06/30 06:06登録)
2006年発表。この作家が最初から「背の眼」等の横溝京極風シリーズと別な方向も考えていたのが分かります。注目もされたが嫌悪評も多かった「向日葵の咲かない夏」への反省もあったのでしょう。

No.33 7点 斎藤警部
(2017/04/20 04:13登録)
ふうううー ふうううー        遺書をめぐるくだり、唐突に現れた現代利器版クイーンみたいでとても面白い。 カットバックとオーバーラップの併用など割と普通だろけど、この小説でのそいつの活かし方はなかなか。。。。 いいよ、好きだよ、竹内。。 彼女絡みのまさかのダブルミーニングだかミスディレクション(瞬殺技!)には驚きと深みが籠もって忘れられないね。 ところで「犯人」ってあの人でいいの? 本当にハッピーエンドなの? 片耳イヤホンで聴くステレオ盤ビートルズのように、何気に釈然としないところが残るんだけど、面白いからいいノ。 本格なんでスかねエ? それにスても、スイスイ読め過ぎて困ったス。 表題の意味が、イメージ勝負だけでなくきっちり定義付けされているのも(本作の場合は)好印象。 the shadow knows…

No.32 7点 名探偵ジャパン
(2017/01/19 09:39登録)
伏線とミスリードを巧みにばらまいた秀逸なサスペンスです。
読者を誤認と勘違いの海に叩き込む作者の手腕は非常に秀逸で、まるで詐欺師のようです(褒めてる)。
メインキャラクターの子供が、小学生にしては確かにあまりにしっかりしすぎていると思いはしますが、ここで変にリアルな小学生っぽく描いてしまうとストーリーの流れに支障が出てしまうため、作者は分かっていながらこうしたのでしょう。
私は、サスペンスは作者の「騙しの技量」を素直に楽しむジャンルだと思っていますので、優れた構成の作品であれば、リアリティの問題は十分カバーできると考えており、本作はそれを達していると思います。
この手のサスペンスにありがちな、インパクトだけを狙ったような陰惨なバッドエンドや、「読者に委ねる」という名の投げっぱなしに逃げず、すっきりとしたハッピーエンドに着地させたことも好印象でした。

No.31 7点 青い車
(2016/10/23 22:39登録)
 『ラットマン』の方を先に読んでいたことで、作者の手法を多少なりとも知って読むことができたのは幸運でした。この本も生々しく死やセックスを感じさせられ、身構える人も多そうですが、なんだかんだで多少の救いを残したラストで安心しました。叙述トリックも物語において効果的に機能しており、作者のストーリー作りの冴えを感じます。

No.30 7点 風桜青紫
(2015/12/28 23:35登録)
道尾秀介の作品は露骨なミスリードに首をかしげることも少なくないんだが、この作品に関しちゃミスリードと話運びがうまく噛み合っていて面白かった。「狂ってるのは貴様のほうだ!」とかもう書いてる側のノリが伝わってきてたまらんです。主人公サイドの人間模様がなかなかよく出来ていて楽しめる一方、犯人の描写がテキトーで、ラストには「んん!?」といろんな意味で驚きましたが、まあ、リアリズムよりもプロットを意識すりゃ仕方ないのかな(笑)。後のリアリズム(言ってしまえば「ブンガク」。ああ嫌だ!)を意識した直木賞受賞前後の道尾作品に比べりゃこっちのがイキイキしてて楽しいです。というわけでこれが道尾さんのベスト作品。

No.29 5点 nukkam
(2015/05/14 09:52登録)
(ネタバレなしです) 2006年発表の長編第4作で私にとって初の道尾作品でした。創元推理文庫版では本格ミステリと紹介されている一方、巻末解説では謎の発生から解決までを骨格とする本格派推理小説の展開にぴったり当てはまるわけではないとも書かれており、どちらかといえばサスペンス小説と評価している人も少なくありません。確かに色々な伏線が後になって真相に結びつく形態はとっているのですが、そもそも解くべき謎が何なのかがはっきり提示されていないところが本格派としてはどこかしっくり来ないのかもしれません。もちろん犯人当て謎解きでなければ本格派でないと言うつもりはないし、そもそも作者は「人間を描くこと」が先にありきで書いているのでジャンルについてはこだわっていないのかもしれません。その人間描写は確かによく描けていますが主人公の少年は小学生にしてはしっかりし過ぎ、自分が主人公だったら現実逃避して泣き叫んでいただろうな(笑)。

No.28 5点 take5
(2015/01/01 00:58登録)
道尾作品の中では、犯人については裏が読めてしまう、ちょっと残念な作品でした。犯人以外ではなかなかの伏線の張り方でしたが…確かに初期作品という感じがします。
個人的な嗜好ですが、私はカラスとラットの方が好きです。

No.27 9点 sophia
(2014/04/12 23:32登録)
ミスディレクションが秀逸。難を挙げるならば、各章サブタイトルの「二人」とか「三人」とかがいまいち的を射ていない感じがすることですかね。いやしかし殺される人間がクズ過ぎますね。

No.26 4点 ドクターマッコい
(2013/06/03 10:25登録)
ネタばれあり

こう言った精神の病気の絡みはこっちも
おかしくなりそうである。

本格的ミステリーにしては、少しジャンルが違う気が
する。

No.25 8点 mohicant
(2012/09/16 22:40登録)
 ページをめくる手が止まらず2時間ほどで読破してしまった。本格ミステリ大賞に輝いた本作だが、推理物というよりぞくぞくするサスペンス。自分の先入観が覆される感じは気持ちがいい。

No.24 6点 いいちこ
(2012/02/20 20:43登録)
本格ミステリというよりサイコ・サスペンス風の作品。
真相が見えそうで見えないように計算された多視点の論述構成。
随所に散りばめられた伏線がダブルミーニングをはじめ多種多彩でミスディレクションの嵐。
見事なテクニックは相変わらず。
それだけに犯人に待ち受けるラストには引っかかるものがある。
主題の処理の仕方もやや安易な感は否めず、パッケージ全体としては軽量級の印象。

No.23 4点 スパイラルライフ
(2012/02/08 01:53登録)
この作家とは相性が悪い。
登場人物の消去法で犯人には迫れるが、伏線がいまいちで論理的に辿り着けないように思える。話が飛躍するが、このネタを乙一氏とかが手掛けるとミステリ色はさておき楽しく読めたんだろうな、と思う。

このミスの評価と自分の感想が最も食い違った作品。

No.22 5点 makomako
(2011/06/23 08:03登録)
この作者とは愛称が悪いようだ。出だしから暗くて読みにくい。精神障害に興味があるようだが本で読んだ精神科といった感がとても強い。、精神科から神経科へ転科(神経内科ならともかく)とか、精神科医?が狂った人の治療と述べたり(これは多分ありえない。精神科医は病気と捕らえている)。
こういった本が共感されるということは精神科医や精神科医療が多くの人にこのように捕らえられているということを示すのかもしれないので、この方面に携わっているものとしては何だか心配な気もする。
主人公が精神科医の苦悩に絶望して国家試験を受けなかったというのもぜんぜん納得できない。医師にとってはほかの臨床科目はいっぱいあるし(むしろ精神科はマイナーなほう)、それが嫌なら基礎分野にも進める。
色々書いたが作者の筆力はなかなかのものと思うので、こういったことが気にならないならもう少し良い印象となるのだろう。

No.21 7点 haruka
(2011/05/28 23:38登録)
しっかり騙された。「向日葵の咲かない夏」と比べ物語の不自然さもなく、読後感も悪くない。

No.20 6点 3880403
(2011/04/03 23:48登録)
読み易く、ラストも悪くなかった。

No.19 5点 minii
(2011/01/26 22:45登録)
思わせぶりな書き方が、色々想像を書き立てられるが、少々展開が読めてしまったかな。

そこまで、ミスリード尽くしにしなくてもいいんじゃないかなと。
個人的に、精神疾患患者に対して偏見が残りそうな文章だったので、好きじゃないですね。

No.18 6点 isurrender
(2010/05/03 07:57登録)
小説としてはもっと高評価だけどミステリとしてはそこまでかな
ラストをもう少し工夫してほしかったですね

No.17 9点
(2010/04/10 17:54登録)
初めての通尾作品でした。ミスリードにすっかりだまされましたが読後感は悪くないです。

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