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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.896 4点 囲碁殺人事件
竹本健治
(2010/06/29 00:41登録)
囲碁のルールは大雑把にしか知らないが、本格ミステリ部分の解決には影響なくスラリと読めた。
探偵のキャラも含めて非常に印象が薄く次に手が出ていない。
将棋やトランプの方が馴染みがあるだけに先に其方を読めば良かったのだろうか?


No.895 4点 御手洗潔のメロディ
島田荘司
(2010/06/29 00:29登録)
御手洗シリーズの長編が、無駄に分厚く感じだした頃に島荘から離れたが、この短編集は図書館の棚で見つけて、パチンコ屋の開店前の並び時間に暇つぶしで読んだ。
この頃の島荘は、ハッキリ云うなら量産作家としての西村京太郎と大差ないだろう。
そして結構長続きした御手洗ブームも大きな下降線を辿りだした。
「このレベルならパクリで非難されている金田一少年の方がミステリとして楽しめる」と感じたのは私だけではないだろう!


No.894 5点 高すぎた代償
佐野洋
(2010/06/29 00:11登録)
「密会の宿」シリーズの長編で、テレ朝・土曜ワイド劇場でドラマ化されている(テレ東の同シリーズではドラマ化されなかった)
松尾嘉代&森本レオの熱演が実にチープでシリーズの良さを発揮していた。
絶対にドラマ版がお勧めだが、果たして(BSやCSで)再放送してくれるのだろうか?
原作の方は大抵の図書館で書庫にあるから何時でも読める。


No.893 6点 警官の血
佐々木譲
(2010/06/28 23:56登録)
テレビ朝日で2夜連続放送したスペシャル・ドラマを先に観ていた。
ドラマ同様に楽しめたので、どちらが先でも問題ないだろう(今だと、原作の方が先に接し易い)
三代に渡り描かれ、どの世代の事件も取り立てて面白くはない。
それでも、警察エンターテインメントととして作品の流れを追えばよいだけなので非常にリーダビリティが高く娯楽としての読書が堪能出来た。
やや間延びする二代目の描写もラストに繋がり上手く処理している。
警察内部は、描いただけでミステリーやエンターテインメントになる素晴らしい題材だとつくづく思える。


No.892 5点 華やかな死体
佐賀潜
(2010/06/28 23:34登録)
当時、現役弁護士が法廷小説を書いた点で物珍しさがあったのが乱歩賞を受賞出来た一番の理由かもしれない。
本格ミステリが乱歩賞を受賞していた頃ではあるが、当然のごとく受賞作にもレベル差はある。
小説としてはさして面白くないし、法律に関しては今では時代の隔たりを埋められない。
高校生の頃、神保町の古本屋店頭に作者の法律実用書がゴロゴロあった事が懐かしく思い出される。


No.891 3点 浦賀和宏殺人事件
浦賀和宏
(2010/06/28 23:13登録)
図書館がネット予約など無く棚に並んだ本を借りる時分に、パチンコ屋の開店前に並ぶ時間の暇つぶし用に、タイトルに惹かれて手に取った。
暇つぶしにすらならない強烈な作品で、以降作者と接する事はヤメタ。
この作品の時点で固定ファンが存在し、そこを相手に限定した様な作風では一見さんにはどうにもならない!
遊び心の方向性が内輪に向かっては、外野は楽しめない。
※マトモな書評にならない事から作風を察して下さい。


No.890 4点 交渉人・爆弾魔
五十嵐貴久
(2010/06/27 23:55登録)
昨日ドラマ化された作品が放送され録画を観た。
単行本タイトルは最後の事件となっているがシリーズの新作も出た。
オウム真理教の地下鉄サリン事件と麻原を想起させる設定な教祖の釈放要求に絡む爆弾事件で、爆弾犯から交渉人に指名される遠野麻衣子だが、交渉の余地は少なく、心理戦を期待すると肩すかしをくらう。
爆弾魔事件が一旦終結するが、まだ残りページがあり(ドラマ同様に)先の展開が読めてしまった。
作者らしくリーダビリティは高い反面、如何にも二時間ドラマ的で薄っぺらい。
※注意事項
ドラマは違う設定の裁判で始まり問題なかったが、原作は前作のネタ(犯人)バレ裁判シーンから始まるのでシリーズ順に読んで下さい!


No.889 4点 交渉人
五十嵐貴久
(2010/06/27 23:37登録)
作者の作品マネージメントをドラマ制作会社がしている(詳細不明)からか?やたらとドラマ化される。
書かれた少し前からアメリカの映像作品で流行りだしたプロファイリングを用いた交渉術を描いていて、ドラマ化が前提にありそうな作品だった。
交渉人と病院立てこもり犯が心理戦を繰り広げる作品にしては都合良くスムーズ過ぎる前半に違和感を感じた。
前・後半で実質の主人公がチェンジし、上記の違和感を後半の主人公が察する展開は、この手の設定では、ありふれた意外な犯人のパターンだった。
二時間ドラマにキッチリ嵌る作品なので、仕事をこなす作者のプロ意識は褒められる。
その一方で、作品レベルは二時間ドラマの域を出ない。


No.888 6点 蒼林堂古書店へようこそ
乾くるみ
(2010/06/27 01:05登録)
林四兄弟シリーズの第三弾で、今回の主役は林雅賀(ガガーリン)
一編だけだが姪のひとみが登場するのが、シリーズのお約束だと思っていただけに登場しなかったのは残念。
私的な事だが、形見の一冊は天藤真「大誘拐」にしたい。
全14話からなり、各話の後に小説のテーマに合わせた林雅賀の「ミステリ案内」が付されている。
ミステリとしては緩い「日常の謎」作品だが、連作らしい全編を通じた最終話で明かされる仕掛け(遊び心)は楽しい。
そして「ミステリ案内」の最後(本の最後の一行)に恋愛の行方をサラリと描いた終わり方にニヤリとしてしまった。
同一人物だが「乾くるみの仕掛け小説」と「市川尚吾のミステリ書評」の融合に成功した楽しい作品だと思う。
さすがに、自作「イニシエーション・ラブ」の紹介は恥ずかしかったのか?小説の時代設定を2003年頃にしている。
※更なる楽しみ方
林雅賀の「ミステリ案内」と「本格ミステリ・フラッシュバック」や「本格ミステリ・クロニクル300」での市川尚吾・担当作品欄との読み比べは如何だろう。


No.887 4点 ワールドカップ殺人事件
ペレ
(2010/06/27 00:23登録)
南ア・W杯、日本代表・決勝トーナメント進出オメデトウ記念!
昨日、図書館に出向いて読んで来た。
作者名にサッカーの‘王様’ペレ(とんねるずの木梨がよく番組でマガイモノなサインをしている)を引っ張り出したが、実作はゴースト・ライターのハーバート・レズニコウ(正直知らない作家)
ペレが書いたのならどんなにミステリーとして駄作でも許されるのだろうが、ゴーストで先の読めるフーダニットでは褒めようがない(3点)
それでも、技術面&戦術面の濃密なサッカー描写はペレの監修が活かされ、スポーツエンターテインメントとしてなら楽しめる(1点加点)
しかし、そのサッカー部分の技術&戦術が現在では格段に進歩してしまい、時代を考慮しながら読まなければならないのは皮肉といえる。
どうせなら、小説での決勝戦の組合せをブラジル(ペレ)対アルゼンチン(マラドーナ)にしてほしかった。
※余談
野球界なら‘ミスター’長嶋茂雄(読売新聞・発行部数世界一に貢献大)が「日本シリーズ(天覧試合でも可)殺人事件」を書いた様な物だと考えると出版されただけでも凄い。


No.886 4点 赤い影の女
島田一男
(2010/06/26 23:55登録)
「本格ミステリ・フラッシュバック」で紹介されたノン・シリーズ中編集で表題作を含む2作を収録。
初期の春陽文庫でしか出版されていず、入手困難だが、それに見合う作品ではない。
作者の真骨頂が本格ミステリではなく、会話主体にテンポで読ませるスピード感(軽い読み物として楽しむ)にあるので、持ち味が活きた作品ではない。
表題作は駄作で片付けて問題なく、「山荘の〜」も構成の面白さは買うが作者に求める作品ではないので5点(表題作と平均したら4点)
※余談
図書館に無かったので、わざわざトランク・ルーム奥から、島田一男・春陽文庫版全作品を詰め込んだダンボール箱を引っ張り出して再読してしまった。


No.885 6点 赤い影の男
島田一男
(2010/06/26 23:30登録)
公安調査官・加下(影)千里を主人公にした緩いハードボイルド・シリーズ。
徳間文庫版ではシリーズ2冊目だが、初出に関して等の詳細は不明。
仲間割れ芝居などで調査対象に潜り込むのが毎度のお約束。
内部の女を操り組織壊滅を図る。
会話主体にテンポで読ませる作者らしさは発揮されているが、パンチに欠け代表的シリーズにはなれなかった。
※こちらも詳細不明だがテレビがモノクロ時代にドラマ化されたらしい。
タイトルは「赤い影の男」だが、主人公名が別シリーズのキャラなので紛らわしい。


No.884 3点 本格ミステリー・ワールド 2008
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/26 18:53登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので一律の3点。
この雑誌に関しては海外翻訳情報の扱いは「本ミス」以上に限定的なので私的な不満はない。
この年度は、本格ミステリ作品が原点回帰していて、二階堂一派の主張と一般本格ミステリ読者の意見に違いが見られない。
その意味で、他誌で読めない「自作解説」が読めるのは素直に嬉しい。
二階堂一派の自己満足本な事は変わらないが(私的見解だが国内では一般読者に見限られている)島荘が台湾に活路を求めだし、その意向が反映されだした。
同じ「俺ミス」と揶揄されても、この年度から二階堂一派と並び島荘も‘俺’(オナニー仲間)に含まれだした。
※私的見解
作品自体は嫌いではないが二階堂は人間性に問題がある。
島荘は人間性は気にならないが、主張する現代本格の方向性が相容れない。
小森は小難しくミステリが娯楽ではなく、勉強を強要される気分になってしまう。


No.883 2点 本格ミステリー・ワールド2007
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/26 18:35登録)
本来なら年刊雑誌なので一律の3点だが出版姿勢に疑問があり1点減点し、最低なミステリーと同格とした。
出版社&書店には年末の販売促進祭りであるランキング本に対して‘島荘’が巻頭言で「ランキングと作品の絶対評価の在り方」をブチあげた内容を実践した点では、非常に出版意義を感じる。
しかし、最大の失敗は島荘が(僻みから「容疑者X」論争を巻き起こした)二階堂に煽てられて実質の監修を任せてしまった事だろう。
しかも、その二階堂が、作品選抜者を小森&つづみの二階堂一派で固めてしまった。
島田荘司監修に名を借りた二階堂黎人の自己満足本にしかならなかった(巷で「俺ミス」と揶揄されているのが明確に分かる)
後追い雑誌ながら、創刊号?が一応書店に並んだ事は(「本ミス」は長い間並ばなかった)驚きで、ミステリーにおける島田荘司のネームバリューの凄さだけは明確に感じられた。
※多くの図書館が所蔵している「このミス」「本ミス」と違い、所蔵する図書館の少なさが資料としての価値を物語ってもいる。


No.882 5点 本格ミステリ・ベスト10 2008
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/26 17:59登録)
最初に、海外翻訳ランキングには興味なし。
本来なら年刊雑誌なので一律の3点だが、国内・本格ミステリに原点回帰を齎したランキング上位2作品に敬意を込めて2点加点した。
その上位2作品の優劣だが、シリーズ新作を読者が渇望した状態で出版された有栖川「女王国の城」には多分に贔屓点が加算されていると思っている。
時を経た絶対評価なら差は小さいとはいえ三津田「首無し〜」の方が優っていると思う。
上位2作品から離されたが歌野「密室殺人ゲーム〜」などは、続編が今年度のランキング1位&本格ミステリ大賞を獲得し先に繋いだ。
年度的に、近年の国内・本格ミステリ最強年度と云える豊作だった。
国内・本格ミステリ・シーンの盛り上がりと違い「本ミス」自体は例年に変わらなかった。
それでも、本格分野ではラノベ・コミック・映像の方が柔軟性があると感じさせ意義はある。
映像では、私的に傑作だと思っている「キサラギ」を紹介しているのが特筆できる。
最後に、特集「ジャンル力学の周縁」でピックアップされた作品達を多くの方々が読んで是非とも悶絶してほしい(笑)


No.881 6点 国語入試問題必勝法
清水義範
(2010/06/22 08:57登録)
ミステリーなのか?と問われると断言できないが、境界線に存在する一風変わったミステリー短編集でよいと思っている。
謎のある話からファンタジーまでバラエティーに富む7編を収録。
白眉はミステリーではないが、ミステリを読み自分で推理する上で参考になる表題作だろう。
国語の入試問題での出題者の意向を汲み取る姿勢は本格ミステリでの読者対作者に通じている。
問題文を読まずに選択肢を解析して正解を判別する技法は、二時間ミステリー・ドラマで配役から犯人を推定するのに似ていて日本人好みな方法だろう。
ちなみに、実際の入試では7割程度の確度なので、さほど役に立たない。


No.880 4点 やっとかめ探偵団
清水義範
(2010/06/22 08:44登録)
先日ドラマ放送されたのを録画視聴し、ついでに原作もおさらいしてみた。
作者の本質が推理作家ではないと思っているのでミステリー部分に関しては期待値が低い。
正に期待値通りな推理レベルだが、このシリーズの楽しさは別にある。
それは、名古屋を描き込む事でのコミカルさだろう。
地元の人々限定なら確実に楽しいだろうが、名古屋に何ら愛着がない(名古屋に降り立った事がない)私には興味の薄い作品だった。
ミステリーとしてではなく、名古屋を理解する為にあるローカル本としてなら存在意義はある。
数多あるトラベル・ミステリーの亜流と考えればよい作品。


No.879 3点 ABO殺人事件
清水義範
(2010/06/22 08:31登録)
表題作を含め3中編収録。
冒頭から読者を惹きつける圧倒的な謎で「本格ミステリ・フラッシュバック」でも紹介されているソノラマ文庫(ジュヴナイル)作品。
作者の本質は推理作家ではないと思うし、少年向けな緩いSFミステリーだと最初から認識して読めば楽しいのだが(表題作には読者への挑戦らしき文言まであり)本格ミステリとして読むとルールの明示と運用に大きな不満を感じてしまう。
「本格ミステリ・フラッシュバック」の作品選定にも不満が波及する悲しい作品でもある。
逆に、後続作品に与えた影響を考えれば、SF設定ミステリの失敗作見本として存在意義は大きい。


No.878 6点 ホシは誰だ?
アンソロジー(出版社編)
(2010/06/22 08:06登録)
ネタバラシ推理クイズの帝王・藤原宰太郎の本が多数売れて成功した影響で、当時を代表する推理作家陣に推理クイズ小説集を書かせた企画は良かったのだが、知名度から来る期待度と作品レベルのギャップは大きい。
現在、一番入手し易いのは文春文庫版(16編収録)だろうが、オリジナルから土屋隆夫作品がカットされているらしい(そちらは未見なので詳細不明)
企画自体が好きなので無条件に6点としたが、作品のデキはネタバレの無い藤原宰太郎の推理クイズといった感じで褒められない。
さらには(現在では間違いと認識されている等)書かれた時期の世間常識を考慮しないと正解に到達できない作品まであり隔世の感を禁じ得ない。
その意味では都筑のSF設定な作品なんかは時代に左右されずに良いのかもしれない。
もう少し推理クイズでなく小説寄りだったら良かったかもしれず惜しい。
逆の意味で、少々の穴や古さも推理クイズと割り切り、緩〜い気持ちで楽しめば気にならない。


No.877 4点 ゴルフ場殺人事件
アガサ・クリスティー
(2010/06/22 07:35登録)
マクドゥエル、全米オープン・ゴルフ40年ぶりヨーロッパ勢制覇&宮里藍、米本土初勝利記念書評。
小学生の頃からゴルフを嗜んでいたので「ゴルフ場」のタイトルにつられ、図書館の同じ文庫棚にあった「ABC〜」と共に借りた、私的な大人向け翻訳初体験作品。
小学生だった自分には人間関係や外国の風習が理解出来ず大人向け翻訳の壁は厚かった。
この体験が翻訳アレルギーを齎した事はミステリ読みにとっては非常にハンデとなったと最近実感する。
以前、NHKで日本アレンジのドラマが放送された時に再読したが、ポアロの良さより周りの滑稽さを楽しむクリスティーにしては緩い作品だと思った。
ポアロに関しては、原作をどんなに端折っていてもドラマでスーシェを楽しみたい。
それにしても、もう少し邦題を工夫して付けてくれれば翻訳アレルギーに見舞われずに済んだとの積年の恨みがある。

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