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ミステリの祭典

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華やかな死体

作家 佐賀潜
出版日1962年01月
平均点5.17点
書評数6人

No.6 6点 ◇・・
(2024/02/22 20:44登録)
法曹としての知見がよく生かされた法廷ミステリ。
大手食品会社社長の死体が花に埋もれて発見された。被害者の元秘書で、現在は後妻のマネービルの指南役をつとめている男に疑いがかかる。少壮検事の城戸は、十分な証拠固めをした上で起訴に持ち込んだつもりだったが、弁護側の意外な反撃にあって敗北を喫する。
刑事裁判の実態をリアルに描いた重厚な作品で、冤罪を生み出しやすい日本の法体系に対する批判も含まれている。

No.5 6点 斎藤警部
(2020/08/04 19:30登録)
最後の数頁で心拍数上げてくれるぜ思ったら、、、モヤモヤが止まらない急襲型エンド! 表題の由来が”その詩”にあり、その書かれていた場所がズバリ、、ってのも微妙過ぎますよ。 おぼこい少壮検事が、大物実業家殺人事件を相手に活躍するのか、しないのか、どっちだ、、の物語です。 唐突な証言翻し(ところが、突くに突けないハウダニットがそこに!)や、笑っちゃうバカ証言(笑)も地味に華を添える法廷シーンは地味ながらなかなか読ませるもの。 昭和30年代丸出しのセクハラナニハラ上等で、酒席で「ヨカチン」を踊る検事が出て来たのは大笑いww 少壮検事と叩き上げ部長刑事のコンビは良かった。

空さんご指摘の
> 法律的には再度のどんでん返しもできそうな
アレのことですよね。。私もそれ、期待してしまいます。(そんだけのめり込んだんだなあ、物語に)
> 「やはり『意外な解決』になった」
木々さんの言葉ですが、私もその通りと感じました。

この方は何気に弟さんもミステリ作家で、その筆名が「佐賀蒼(さがそう)」と言うんですね。 ちょっと笑います。

さて、ここからはネタバレになると思いますが
社会派付け足しの法廷本格ミステリかと思ったら、最後の最後でその付け足しっぽい社会派主張みたいなのが前面に半歩しゃしゃり出て終わるもんだから、急~に矮小な作品になっちゃった感が・・ 「フミオ」の存在も、大化けするか、意外性を込めたそのまんま、のどちらかと思ったら、どちらでもない小化けでシュンと去って行った。。 それと、結局事件内幕全貌が晒されないまま終わってるもんだから、なんだか続篇がありそうでムズムズする。。

No.4 5点
(2016/06/01 22:50登録)
久々の再読。狙いは非常におもしろいと思いました。講談社文庫版の巻末に引用されている、乱歩賞選考委員だった木々高太郎の言葉どおり、「…という一本が最初から通っていたので、読み終って、やはり『意外な解決』になった」作品です。(解説の木々の言葉を全文引用するとネタばらしになってしまいます。)
ただし読んでいて、主役の検事はバカじゃないかと思えてきたのも確かです。なにしろ、動機が不明瞭なままの上、当人へのアリバイの有無確認さえしないまま逮捕してしまうなど、指紋の証拠があるにしても無茶でしょう。その指紋にしたところで、ただついていればいいのでななく、どんな状況でその場所にその形でついたかを明確に説明できなければならないのは当然なんですが。
この結末の後、その原則は特定個人にのみ適用されるのではないかと考えると、法律的には再度のどんでん返しもできそうな気がするのですが…

No.3 4点 ボナンザ
(2016/01/23 00:39登録)
話としてもミステリとしてもかなり微妙な出来。

No.2 5点 江守森江
(2010/06/28 23:34登録)
当時、現役弁護士が法廷小説を書いた点で物珍しさがあったのが乱歩賞を受賞出来た一番の理由かもしれない。
本格ミステリが乱歩賞を受賞していた頃ではあるが、当然のごとく受賞作にもレベル差はある。
小説としてはさして面白くないし、法律に関しては今では時代の隔たりを埋められない。
高校生の頃、神保町の古本屋店頭に作者の法律実用書がゴロゴロあった事が懐かしく思い出される。

No.1 5点 測量ボ-イ
(2010/06/12 15:26登録)
前回書評を書いた「大いなる幻影」と同時に乱歩章を受賞
した法廷ミステリ。
事件の発生から容疑者の逮捕、勾留、起訴、公判、判決ま
でが描かれ、刑法の勉強(僕は工学部出身なので)にはな
りますかね。
但しこういうミステリが好みでない人にとっては、単調に
感じられて楽しめないかも。

評価はまず水準(6点)の評価はできますが、やはり
僕が定義する「本格ミステリ」は思えないので、マイナス
1点。

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