本格ミステリー・ワールド2007 島田荘司監修 |
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作家 | 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 |
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出版日 | 2007年02月 |
平均点 | 3.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 2点 | 江守森江 | |
(2010/06/26 18:35登録) 本来なら年刊雑誌なので一律の3点だが出版姿勢に疑問があり1点減点し、最低なミステリーと同格とした。 出版社&書店には年末の販売促進祭りであるランキング本に対して‘島荘’が巻頭言で「ランキングと作品の絶対評価の在り方」をブチあげた内容を実践した点では、非常に出版意義を感じる。 しかし、最大の失敗は島荘が(僻みから「容疑者X」論争を巻き起こした)二階堂に煽てられて実質の監修を任せてしまった事だろう。 しかも、その二階堂が、作品選抜者を小森&つづみの二階堂一派で固めてしまった。 島田荘司監修に名を借りた二階堂黎人の自己満足本にしかならなかった(巷で「俺ミス」と揶揄されているのが明確に分かる) 後追い雑誌ながら、創刊号?が一応書店に並んだ事は(「本ミス」は長い間並ばなかった)驚きで、ミステリーにおける島田荘司のネームバリューの凄さだけは明確に感じられた。 ※多くの図書館が所蔵している「このミス」「本ミス」と違い、所蔵する図書館の少なさが資料としての価値を物語ってもいる。 |
No.1 | 5点 | Tetchy | |
(2010/06/25 02:56登録) 島田荘司監修で始まった新たな年末本格ミステリベスト選出ムック。 大いに期待し、飛びついたのだが、結果的には無難に纏まったなというのが感想。 島田が携わるということで期待の新人達との対談や第一期新本格作家達との対談などミステリ論が展開されるかと期待したが、さにあらず、島田が出てくるのは巻頭言のみでその後は2006年に新人賞を受賞した作家達と二階堂黎人との鼎談、2006年黄金本格ミステリー選出、各作者達の今後の予定やその他鼎談など、どこかで見たような内容ばかりで、島田色が出ているというよりもなぜか二階堂の影がちらつくような内容だった。 唯一このムックの特色が出ているのは黄金本格ミステリー選出か。有識者たちによる2006年に発行されたミステリーの中で今後歴史に残すべき黄金本格ミステリーなるものをしかも10作とか20作とかいう縛りを無くして選出しようというこの企画、私的にはかなり血湧き肉躍った。島田が提案したこの企画はなかなかに素晴らしく、こういうのはもっとやってほしいと思った。 しかし、やはりここにも二階堂が絡んでいるのだ。二階堂が求めるミステリについての文章(彼曰く、「檄文」だそうだ)が掲載されているが、これが明らかに独善的である。自分の趣味を他人に押し付けているだけなのだ。選者の俺はこういう話が読みたいの、普通の本格は面白くないの、もうわがまま云い放題である。しかも自分が本格だと認めるものしか選ばないのだから困ったものだ。 しかし『本格ミステリ・ベスト10』とどう差別化するかが、このムックの大きな課題だろう。 |