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ミステリの祭典

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こうさんの登録情報
平均点:6.29点 書評数:649件

プロフィール| 書評

No.609 6点 中途半端な密室
東川篤哉
(2012/03/25 23:53登録)
 デビュー当時の短編もこういうユーモアミステリだったんだなあとちょっと感動した短編集でした。
 表題作の中途半端な密室のロジックが一番気に入りましたが2作目以降のミキオと敏ちゃんのコンビの作品たちも楽しめます。最後の有馬記念の冒険だけはいわゆる初歩アリバイトリックの転用でちょっと面白みに欠けましたが東川作品は楽しい読書が満喫できれば満足なので個人的には全体として満足でした。 


No.608 7点 不必要な犯罪
狩久
(2012/03/25 23:41登録)
 折原一のガイドブックの推薦で5年ほど前に購入したのですが初版時のままのアンカット装で1ページ1ページ切らないと本が読めない状態が面倒くさくて積読になっておりましたが今年になってようやく読了しました。
 殺害動機、登場人物にあまり深みを感じないことへの個人的不満はありますが殺人プロットは新本格の作品にも転用がありますが面白いものでした。タイトルも秀逸です。
 ただページを切るのがとにかく面倒くさかったです。当時はアンカットがおしゃれだったんでしょうか。復刊がもしあるならアンカットなしの方が読者受けはいいでしょうね。


No.607 4点 耳すます部屋
折原一
(2012/03/25 23:28登録)
 読んだ当時不満だったのは異人たちの館の作中作が2編そのまま転用されていたことでした。この2編は出来もイマイチでこれを読んで「異人たちの館」を手に取ろうとする読者がそれほどいるとは思えないので入れなければ良かったと今でも思います。「異人たちの館」自体は評判は良くないようですがインタビュー形式の作品の中で個人的には面白いと思っていますがその面白さは作中作にあるわけではないのでかえって誤解を与えかねないと思いました。
 あとはE-BANKERさんが丁寧な書評を挙げられてますがとにかくプロットの転用が多いことが気になりました。


No.606 7点 追悼者
折原一
(2012/03/25 23:16登録)
 インタビュー形式にした作品群の中では上位に入る作品だと思います。こういったインタビューでみられる〇〇を上手く利用している点とあるエピソードのミスリードが上手く騙されました。タイムカプセル以降は読んでませんでしたが少なくとも冤罪者以降の作品では最も楽しめました。
 ちょっと小技の様な印象もありますがこれだけ叙述作品オンリーなのによく考えたなあと感心しました。未読の「逃亡者」も読んでみようと思いました。


No.605 6点 まほろ市の殺人 夏
我孫子武丸
(2012/03/25 23:05登録)
 この枚数、値段のコンセプトの中でしっかりしたミステリで非常に好感が持てました。有栖川氏の冬が不満だったため10年近く手に取りませんでしたが読んで良かったです。
 トリックは我孫子作品ということで想像しやすい所もありますが不満はありません。 


No.604 6点 ジョーカー・ゲーム
柳広司
(2012/03/25 22:53登録)
 一つ一つのトリックに独創性は感じませんでしたが手堅い作品集といった印象でした。戦争中の日本国内のスパイ組織という作品世界はユニークで、ストーリーもクリアカットにまとまっていますし楽しめました。


No.603 6点 ロジャー・マーガトロイドのしわざ
ギルバート・アデア
(2012/03/25 22:45登録)
確かに日本の新本格を思わせるようなプロットで既読感がある作品ですが古き良き黄金時代の本格作品のようなストーリーで個人的には良かったです。密室トリックはちょっと失笑ものではありますがまあまあ満足です。


No.602 7点 フィッシャーを殺せ
クリストファー・フィッツサイモンズ
(2012/03/02 00:26登録)
 スパイ物の佳作です。ガイド本の折原一推薦で以前読みました。
 亡命し足を洗った東側諸国のスパイが12年後に突然故国から命を狙われたことからはじまる逃亡劇ですが(元は)優秀だった主人公の造形が秀逸で読者の感情移入もさせやすくなっている印象です。
 クライマックスに対する事前の伏線も十分ありますし通常はそこでストーリーが終了してもおかしくない所でラストはその後を想像する余地のある幕切れとなっておりよく考えられた佳作だと思いました。 


No.601 5点 地下道
ハーバート・リーバーマン
(2012/03/02 00:13登録)
 ガイド本の折原一の推薦を見て読んだ本です。
 老夫婦と彼らの家の地下室から連なる地下道に住み着いた青年のストーリーでした。へんてこなストーリーでよくこんな題材を思いつくなあという印象でした。登場人物3人もそれぞれ変で感情移入は難しいですし読み進めていくと最後は大体予想通りのエンディングになるのですが不思議な味わいのある作風でした。 


No.600 6点 牡牛の柔らかな肉
連城三紀彦
(2012/03/02 00:04登録)
 悪女物でストーリー全編にミステリ的技巧、伏線がちりばめられていますが途中まではミステリとは思えない印象でしたがその後サスペンスクライム調になり終盤に肝となるミステリ的仕掛けが味わえました。
 主人公の香順のインパクトだけが強く緒沢を含めた男どもの印象が大分希薄で緒沢だけが特別扱いなのはちょっと変な感じもしました。
 個人的には少し長さを感じたのと完読してもミステリというよりミステリ風な文芸作品の様な印象が強い作品でしたが楽しめた覚えがあります。流石連城三紀彦と思える作品でした。


No.599 5点 モナ・リザの身代金
三好徹
(2012/02/27 01:33登録)
 シリーズ第2弾で今回も殺人や人間の誘拐とは無縁で今回はモナ・リザ強奪を成功させます。
 計画自体は80年代としてもちょっと御都合主義な所が目につくのと泉が優秀そうに描写されているにも関わらず仲間の選定はかなり杜撰な所(1作目もそうですが)も不満な点です。血液型の下りで医師が不正に働く所もちょっとありえない感じがします。
 全体として1作目よりストーリーがあっさりしている印象が強かったです。


No.598 6点 愛する者に死を
リチャード・ニーリィ
(2012/02/27 01:26登録)
 リチャード・ニーリィのデビュー作はサイコサスペンス+本格ミステリといった趣きでその後の「殺人症候群」や「心ひき裂かれて」をほうふつとさせる筆致ではありますがそこまでの衝撃はありませんでした。ストーリー上「人物誤認」があまりにも都合よすぎるのが不満でした。ニーリィらしさは味わえるので個人的にはまあまあ満足でした。
 あとがきで仁賀克雄が未訳作品の解説をしてくれているのはうれしいです。あと長編8作どこか訳してくれないでしょうか。


No.597 5点 瓦斯灯
連城三紀彦
(2012/02/27 01:17登録)
 男女の色恋を扱った作品集でミステリ的技巧はありますがミステリとはいえない作品が並びますが唯一「親愛なるエス君へ」のみはミステリと言えます。
 超絶技巧は流石ですが実際に起こったパリの人肉食事件をモチーフとした作品で読後感は悪く読者を選びそうです。


No.596 3点 倒錯の帰結
折原一
(2012/02/25 01:04登録)
 構成の妙はあるかもしれませんが面白くなければ意味がないと読了当時思いました。先に文春だったかのベスト10を見ていたのでなんでこんな作品が2位(だったかな)なんだろうと非常に不満でした。
 「首吊り島」はまあまあでしたが倒錯シリーズ全体としては尻すぼみ感が強いです。倒錯シリーズファンは当時こぞって買ったんでしょうけどこれで満足できたんでしょうか。以前のキャラクターに頼った作品でしょう。


No.595 6点 猿島館の殺人~モンキー・パズル~
折原一
(2012/02/25 00:52登録)
 「モルグ街」などのパロディですが黒星警部シリーズらしい作品です。動機もこのシリーズならありだと思います。他の作家の作品なら何だ、と思うでしょうが。
 「〇〇じゃが仕方ない」なんて横溝作品のパロディの部分もあります。
 パロディに合わない方はこのシリーズ全体が合わないと思いますが個人的には結構好きです。


No.594 2点 タイムカプセル
折原一
(2012/02/25 00:40登録)
 そもそもミステリーYA!をジュブナイルと知らずに買った自分も悪いんですがここまで伏線を投げっぱなしの作品ははじめてで大変不満だった覚えがあります。再読していませんが折原一の中ではワーストに近い出来だと思います。


No.593 5点 疑惑
折原一
(2012/02/25 00:36登録)
 kanamoriさんの書評を見て「タイムカプセル」以来久々に折原一作品の 「追悼者」を買おうと思って勘違いしてこちらを買ってしまいました。
 交換殺人計画がこの中ではまあまあな印象でした。全体として小粒な印象です。石田黙のボーナストラックは個人的にはいいかげんやめたらどうかと思います。


No.592 4点 アガサ・クリスティ殺人事件
河野典生
(2012/02/25 00:28登録)
オリエント急行殺人事件のパスティッシュです。この作品を読む方でオリエント急行を読んでない方はいないと思いますが完全にオリエント急行のネタばらしをしています。
 インドに舞台を移したのもいわゆる真相も面白みに欠けました。どうせなら変名ではなく堂々とオリジナルの名前を使ってくれればまだ楽しめたかもしれません。


No.591 6点 氷の男
フィリップ・マーゴリン
(2012/02/22 23:48登録)
 プロット派リーガルスサスペンスの雄マーゴリンの第2作目です。連戦連勝の主人公弁護士が婦人警官殺しの容疑で逮捕された弁護士の弁護を担当するストーリーがメインです。 
 黒い薔薇や暗闇の囚人ほど派手な展開はありませんし全体として軽い印象はありますが後の大作をうかがわせるプロットでした。ラストはこの展開では甘いなあと思わないでもないですがリーダビリティの高い作品だと思います。またマーゴリンにしては短い作品なのでさっと読むにはいいと思います。解説はいかにもこの作家が好きそうな折原一です。


No.590 6点 亡き妻へのレクイエム
リチャード・ニーリィ
(2012/02/22 23:38登録)
 20年以上前従軍中で離れていた前妻の事故死の真相を探るストーリーですが既読作品のようなあざといどんでん返しはなくどちらかというと通常本格の作品でした。ラストの真相の所にひとひねりはありますがニーリィ節を期待するとちょっと肩透かしを食らう構成ではありますが楽しめた記憶があります。

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