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ミステリの祭典

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牡牛の柔らかな肉

作家 連城三紀彦
出版日1993年12月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 4点 E-BANKER
(2017/10/08 21:13登録)
1992年9月~1993年7月まで「週間文春」誌に連載され、後に単行本化された長編。
「終章からの女」「花塵」とともに、“平成悪女三部作”とも呼ばれているとのこと。(全然知らなかった・・・)

~「剃髪前の私は本当に恐ろしい顔でひとりの男の命を死にまで追い詰めた、人殺しと変わらない女なのですから・・・」。謎に満ちた過去を墨染めの衣の下に隠す美しき尼僧・香順。愛を失い、社会に居場所をなくした男たちを意のままに操る彼女は救世主か、それとも稀代のペテン師か? 万華鏡のごとき目眩く展開の会心作~

これは・・・一体どんなストーリーだったのか?
正直、途中でよく分からなくなった。
果たして、作者は分かっていたのだろうか?
自分がどんな物語を紡いでいたのかを・・・
もしかして、作者も分かっていなかったのではないか、という疑問すらも抱かせる、何とも曖昧模糊としたストーリー。

他の方は本作のミステリー的技巧にも気付かれたようですが、私にはもはや理解不能でした。
尼僧・香順の秘密めいた過去がプロットの中心になっていることは分かりますが、順次登場する男たちとの絡み合いは、どれだけ必要だったのか?
矢沢を思わせる稀代のロックスター桜木準なんて、その登場にどんな意味があったのでしょうか?
参議院選挙出馬には一体どんな意味があったのでしょうか?

最後の最後で、作者らしく反転による決着が付くのですが、このために500頁以上も読まされたのかと思うと、ただ脱力感に苛まれてしまったというのが本音。
巻末解説の香山氏も、さすがに「並みの書き手なら前半だけで読者に見捨てられかねない・・・」というフォローのようなフォローでないようなコメントを残しているのだから、こういう思いは私だけではないのだろう。
いやはや・・・これから本作を手に取ろうとしている方! 心して手に取るようご忠告します!

No.2 6点 こう
(2012/03/02 00:04登録)
 悪女物でストーリー全編にミステリ的技巧、伏線がちりばめられていますが途中まではミステリとは思えない印象でしたがその後サスペンスクライム調になり終盤に肝となるミステリ的仕掛けが味わえました。
 主人公の香順のインパクトだけが強く緒沢を含めた男どもの印象が大分希薄で緒沢だけが特別扱いなのはちょっと変な感じもしました。
 個人的には少し長さを感じたのと完読してもミステリというよりミステリ風な文芸作品の様な印象が強い作品でしたが楽しめた覚えがあります。流石連城三紀彦と思える作品でした。

No.1 7点 kanamori
(2010/05/13 19:07登録)
いわゆる悪女ものの系統に入る長編ミステリですが、物語がいったいどういう方向に向かっているのか把握できないプロットに翻弄されました。
主人公の香順尼と取巻きのダメ男たちを中心にした新興宗教もの風のクライム小説でありながら、次々と小さなどんでん返しを繰り返し、物語の様相が変化していきます。
短編のように最後の反転で驚かすタイプのミステリではありませんが、犯罪者が探偵に、逆に探偵役が犯罪者に変化したりする物語途中の構図の逆転が読みどころだと思います。

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