13階段 |
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作家 | 高野和明 |
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出版日 | 2001年08月 |
平均点 | 6.55点 |
書評数 | 20人 |
No.20 | 7点 | パメル | |
(2021/07/30 08:27登録) デビュー作にして第47回江戸川乱歩賞受賞作。(選考会で満場一致だったらしい) 犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。処刑までに残された時間はわずかしかない。二人は無実の男の命を救うことが出来るのか。冤罪を晴らすための情報収集をしていく中で、簡単に解けない謎と解け始めたと思ったら、その先が思わぬところへ繋がっていくという驚愕の展開。良い意味で翻弄され、最後まで目が離せない。 もうひとつの読みどころである死刑制度については、状況説明とそれを執行、遂行する人々の苦悩を南郷の過去を通して語られ、殺人に関わってしまった人々の因果と悲劇をサスペンスフルに描いている。探偵、依頼人の設定が前代未聞なので、ありきたりのの社会告発ドラマに終わっていない。企みに満ちたエンターテインメントに仕上げた筆力はお見事。 |
No.19 | 7点 | HORNET | |
(2018/06/03 17:57登録) なかなかいいどんでん返しで、面白かった。特に、後半の一旦真相とは違う方向に振ったうえでの真相解明はよかった。現実的な目で見れば確かに粗はあるが、読者を楽しませる仕掛けと思えばさして気にならない。何よりも「ホントのところはどうなんだ!?」と、作者の仕掛けに完全に乗せられてページを繰ってしまう力はあった。 ミステリとしての面白さの一方で、死刑制度に関する問題提起的な要素も多分にあり、素人ながら考えさせられる面白さもあった。 |
No.18 | 4点 | いいちこ | |
(2016/11/15 15:32登録) 叙述自体が決して上手くないこと、司法制度に対する問題認識の踏み込みが浅いこともさることながら、依頼人の不可解な行動やプロットの前提における破綻が、致命的なレベルであるように思われる。 ミステリにおいて、その舞台設定や事件の展開がご都合主義的になるのはやむを得ないところだが、本作は許容範囲を大きく超え、かつそれに対して読者を説得する努力・工夫が見られない。 テレビの2時間ドラマのような表層的な作品という印象が強い |
No.17 | 6点 | sophia | |
(2014/04/13 21:48登録) 読んだのはかなり昔ですが、大変に荒っぽい、穴だらけの作品だったことは覚えています。 |
No.16 | 6点 | メルカトル | |
(2013/09/15 22:23登録) こういうのを力作と言うのだろうが、とにかく前半が重苦しすぎる。確かに勉強になるし為にもなる。しかしながら、後味がどうもスッキリしないのはどうしたものだろう。 最も印象深いのは、南郷が過去に携わった二つの死刑執行のシーンだった。これは読み応えがある、臨場感も感じられるし、リアリティもあり、まさに真に迫った描写力は素晴らしいと思う。 その後は一気にテンポアップし、実にサスペンスフルな展開が用意されている。でも、なぜか手放しで喜ぶ気にはなれないのが残念なところ。 やはり乱歩賞はどうも信用できない。審査員の満場一致で受賞が決定したらしいが、そんなに高レベルな作品だろうか。 何かこう納得がいかないもやもや感を残したまま、読了してしまった気がする。 |
No.15 | 7点 | TON2 | |
(2012/11/19 21:06登録) 集英社文庫 第47回江戸川乱歩賞受賞作。 (ネタバレ) 死刑はどういう手順で決まり、どのように執行されていくのか。日頃知ることのない知識を得ました。このように、読者に新しい世界や知識を提示することは、今のミステリーの一つの型だと思います。 過去に死刑執行をしたことのある刑務官と過失致死により服役していた青年が、死刑囚の冤罪をはらすために捜査を始めます。 最後に、もう無実の人間を殺すのが嫌だと言っていた刑務官が真犯人を殺し、偶然による過失致死事件だと思われていたものが実は計画的に殺意のある事件だったということが分かります。 死刑とは何か、裁判は絶対か、刑罰とは因果応報による復讐か更生のための教育か。生活の苦しさから殺人を犯したものの、死刑執行までの間に後悔し、更生しているとしても死刑は行わなければならないのか。そんなことを考えさせられます。 |
No.14 | 7点 | isurrender | |
(2012/05/31 07:26登録) ミステリの部分のみの評価を。 スリリングな展開に、どんでん返しのある結末でなかなか楽しめました。 |
No.13 | 9点 | 蟷螂の斧 | |
(2011/11/24 11:19登録) 前半はけだるい感じでしたが、後半になると一気にヒートアップします。二つの事件が絡み合い、裏もあり、よく練られた筋書きだと思います。犯人の指紋が検出され、その名前が判明する場面が一番ドキッとしました。(ページをめくるとその名前がある。にくい演出です。) |
No.12 | 4点 | ムラ | |
(2011/10/03 19:25登録) 日本における死刑制度の感じが伝わってきて面白かった。 二転三転する話も最後までひきつけられてとてもいい。 ただ、話の内容からすると、作中に出てくる死刑囚はやはり死刑にされても仕方が無い人物ばかりだったように思える。 ただ、最後の手紙にあるように、全員が平等に裁けていないというのはやはり問題があるということがわかる。 |
No.11 | 6点 | take5 | |
(2011/08/18 18:01登録) 社会的事象についてよく取材をされていると感じます。 それだけ読んでいて引き込まれますし勉強にもなります。 その上で冒険活劇のワクワク感がありますが、 裏を返せばワクワクを生む為なのか強引な感じもややします。 死刑制度の是非については、 思想信条のみならずそれぞれの生活上の経験や立場で違うのでしょうが、私は 哲学者の池田晶子さんが死刑囚と交わした往復書簡をまとめた 『死と生きる』 が大変よいと参考書であると思っています。 しかしこれはミステリではありません。 ↑良かったら手に入れてみてください。 |
No.10 | 5点 | seiryuu | |
(2010/07/16 18:21登録) 死刑制度について考えさせられた。 内容は重いけれど 文章は読みやすい。 人を裁くって難しい。 |
No.9 | 8点 | STAR | |
(2010/02/18 11:32登録) 乱歩賞の作品何冊か読んでいますが、これはかなりの傑作だと思います。 主人公に何か過去があるなと感じますが、その過去も後半でうまくかみ合ってきています。 |
No.8 | 7点 | E-BANKER | |
(2009/10/08 23:19登録) 乱歩賞受賞作らしい作風ですが、処女作としてはかなりレベルの高い作品だと思います。 主要登場人物が少ないだけに、終盤のどんでん返しはある程度見えていましたが、決してつまらなくはないです。 死刑制度の是非ついても作中で語られていますけれど、特に中盤での南郷の「死刑制度なんて、あってもなくても同じなんだよ」という言葉が印象に残っています。確かに理性と本能の問題は難しいですね。 |
No.7 | 7点 | (^^) | |
(2009/09/24 22:49登録) “死刑制度”にスポットをあてたミステリー+サスペンス。 裁判員制度の始まった昨今、勉強にもなったうえに考えさせられた。 元刑務官と元囚人のコンビで、10年前の事件を追う・・・そして意外な犯人に辿りつく・・・。 |
No.6 | 9点 | 涼 | |
(2009/05/18 21:34登録) 乱歩賞作品の中では、薬丸岳「天使のナイフ」より、藤原伊織「テロリストのパラソル」より大好きです。 死刑制度という社会問題に真正面から向き合った名作であり、ミステリーとしても、伏線の張り方もうまいし、二重三重の結末に驚かされました。終盤のドキドキ感もたまらない作品です。 乱歩賞史上ベストスリーに入る傑作だと思っています。 |
No.5 | 6点 | abc1 | |
(2008/12/23 13:07登録) 読んでいるときは、かなり面白くて興奮した。その時採点していたら9点くらいつけていたと思う。でもその後、この指紋のトリックは実現不可能であることを知って少々がっかり。まあ、元々掟破り的なトリックだったけど。 |
No.4 | 6点 | シーマスター | |
(2008/03/29 00:59登録) ミステリとサスペンスに跨る作品だが、前者としてはそこそこ、後者としてはかなり面白いと思う。 死刑囚が陥る無限の恐怖、執行関係者を襲う底知れぬ重圧とトラウマなどが生々しく描かれ、更に死刑制度が孕む人間の根幹にも関わる様々な問題点が登場人物達を介して如実に焙り出されている。 死刑の是非などは未来永劫に渡り決着されることはないと思うが、廃止論に関しては個人的には「被害者遺族が唱える廃止論」だけが説得力があると思う。 それ以外の廃止を主張する法律家や人権擁護派に関しては、少なくとも「あなたの奥さんや娘さんがレイプ殺人され両親が焼き殺されたとしても、その犯人の死刑に反対しますか?」という問いに対し、家族の前で堂々と「イエス」と答え得る人のみが廃止論を展開する資格があるのではないだろうか。 少々脱線したが(本作は死刑廃止とは関係ない)本編に戻ると、殺人が被害者・加害者の家族に齎す生涯に渡る絶望的な物心両面の重荷もリアルに描写されているが、特に2人の父親の姿は最近の理不尽な殺人事件関連の報道とダブるものがある。 全体の流れとして、かなりのところまで『○の△』のパクリかとも思わせられる辺りは、作者の意図したものか訊いてみたいところ。 |
No.3 | 8点 | itokin | |
(2008/03/01 12:26登録) 最初から最後までだれることなく楽しめた。死刑執行のあり方がリアルに表現されておりそれだけでも読む価値あり。 |
No.2 | 5点 | いけお | |
(2008/01/13 00:30登録) 犯人の心理描写がほぼなく客体での描写もあんまりないので分かりにくい。 なんで急に二人同時に事件の内容を把握できたのか、特に三上が不自然。 |
No.1 | 7点 | マニア | |
(2008/01/12 04:19登録) 冤罪の死刑囚の無罪を晴らすため、元刑務官と傷害致死の罪を犯し仮釈放中の主人公がコンビを組んで再捜査するという結構スリリングなストーリー展開。 死刑制度に関する記述も豊富で興味深かった。序盤から何かを隠していそうな主人公・・・。それがラストの二転三転する展開につながっていく流れは爽快。 |