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ミステリの祭典

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さよなら妖精

作家 米澤穂信
出版日2004年02月
平均点6.42点
書評数19人

No.19 6点 take5
(2024/01/27 10:19登録)
青春小説であり
戦争小説である
このギャップが
本の力です。
ユーゴスラビア紛争下で
飛び交う砲弾と
弓道の高校生大会で
放たれる矢との
切ない対比です。

No.18 10点 虫暮部
(2021/08/03 13:05登録)
 大好き。三読目。
 墓地や白河さんの名前についての件は、謎解きとして納得感が無く、物語の中で据わりが悪い気はする。消去法推理の最後の決め手に、調べれば判ることを推理で求めようと言うのも奇妙。
 でもそのへんは本作の本質ではないし、ケチを付けても評価は揺らがない。

 新装版に追加された短編は、無難であまり意味がないと私は思う。

No.17 5点 じきる
(2021/05/23 17:35登録)
ミステリーとしては弱いが、辛く切ないラストが胸を打つ。

No.16 5点 パメル
(2020/02/17 09:10登録)
真実を明らかにするべきではないことを、明らかにする痛みと葛藤。この作品は、そんな真実の重さ、辛さが描かれている。
何事にも熱中できない主人公が、ユーゴスラビアから来た少女と交流し、成長していく。外国から来た少女の大人の側面と、日本で何の使命感もなく生きている主人公たちの心情を対比して描いている。
少女の持つ使命感と、芯の強さ。これは非常に魅力的。そして後半に登場する解きたくない謎。知ってしまうことの恐怖と、知らないでいたことの悲しみ。隠したい人間の心情と、明らかにしなければならないという心理。さまざまな思いが交錯して、登場人物たちが感情を発露させていく様は胸を打つ。
このストーリーの終わりに辿り着くのが、どうしても辛くなってしまう。そしてその感情が、登場人物たちの思いとリンクして深く感情移入してしまいました。
ミステリとしては弱いが、平和な日常が当たり前の国、時代に生まれた自分にとっては、考えさせられる作品だったことは間違いない。

No.15 6点 sophia
(2018/05/14 20:58登録)
数年前に出た新装版の単行本を読みました。博物的に勉強になる部分は多いんですが(特に東欧の歴史)、物語に大きな展開がないのでちょっと退屈に感じました。ミステリー的主題が母国を突き止めることのみというのも渋いですし。個人的にはマーヤはいくつか謎を残して帰国するものだと思っていたのですが。ただ、随所にちりばめられた伏線から消去法で真実を突き止める手法には「折れた竜骨」の原型を見た気がします。新装版のボーナストラック「花冠の日」は追加して正解でしょう。カタストロフィは変わりませんが、後味の悪さが少しだけ和らいだ感じがします。最後にひとつだけ。こんなしっかりした長大な日記を書く高校生はいないでしょう(笑)

No.14 6点 メルカトル
(2017/10/11 22:10登録)
異国の少女との出会いと別れ、いやー切ないですね。
青春ミステリというか、どちらかというと日常の謎系に属する作品だと思います。ただ、途中の誰でも予想の付く軽めの謎は大したことありません。それよりも、帰国したマーヤの行方を必死に探す主人公守屋のくだりは心に残るものがあります。でも、どうしても守屋の言動で理解できないところがあり、またマーヤも異邦人らしさがあまり感じられず、感情移入はできませんでした。いきなり「俺をユーゴスラビアに一緒に連れて行ってくれ」と告白されてもねえ、そこに至るまでの伏線らしきものもないため、突然何を言い出すんだろうくらいにしか思われません。
ラストの守屋と太刀洗の「対決」は読み応えがありますが、それ以外はさして盛り上がりもなく、なんとなくストーリーが進行してしまう感じで、ボーイミーツガールの物語としては物足りませんね。恋愛小説みたいな甘いものではなくても、もう少し男女のふれ合いの描き様があったように思います。
個人的には残念ながら期待外れに終わりました。先述の切なさはあくまで最後まで読み終わってほのかに感じることで、全体的なトーンとしては淡さや透明性を体感できるものではありませんでした。

No.13 7点 青い車
(2017/02/13 18:10登録)
 ほろ苦い青春小説要素+ライトな推理小説要素の調和がいいですね。最初の方はもちろん、特に終盤の畳み掛ける推理と感動を残す結びが端正な文体で綴られていて、心地よさを感じる一作です。作者の将来性が垣間見える出来で、10年近く経って主要人物が再登場を果たしたあたりからも、特別な地位を占めています。

No.12 5点 白い風
(2016/02/17 23:23登録)
「真実の10メートル手前」を読んで主人公太刀洗が既に出ている作品があるのを知って読みました。
この作品では主人公は他の同級生でしたが、その存在感は十分味わえましたね。
基本的には”日常の謎(ミステリ)”の種類になるのかな?
ただメインになると思うマーヤの居所(出身地)を探る所は私にはビミョウかな。
正直犯人捜しトリックと違って読み手(私には)にそれ程の魅力が感じられなかったからね。

No.11 6点 まさむね
(2016/01/09 22:02登録)
 昨年話題の「王とサーカス」、さらに連作短編集「真実の10メートル手前」を読む前に、これらの探偵役らしい「太刀洗万智」に触れておこう…という、ある意味で邪まな動機で手にした次第です。
 ミステリとしてはちょっと弱いというか、多少のこじつけ感もありますねぇ。しかし、印象は決して悪くない。ユーゴスラビアから来日した少女を中心に添えた意義は大きく、ラストは印象に残りそうです。同国についても、随分勉強になりましたしね。
 さて、この作品でも印象的であった「太刀洗万智」のその後について、「王とサーカス」、or「真実の10メートル手前」を読むことが楽しみになってきました。

No.10 6点 風桜青紫
(2015/12/19 08:47登録)
米澤穂信を多少は見直そうと思ったのがこの作品。ミステリとしては弱いって意見が多いけど、途中のショボい日常の謎はともかくとして、ラストの生存確率推理に関しては、解決の行方を気にさせるという点で絶妙な盛り上げかたでしょう。「密室なんてなんかトリック使ったんだろ?」ってな白けモードにはならない。キャラの動きに関しても、守屋くんのガキっぽい健気さとか妙にじんとするし、マーヤも無性に儚げで可愛らしいから守屋くんの行動に説得力が生まれるんだよね。センドーや剣道部の顧問やホットドッグ屋のおっさんみたいな脇役もいい味出してる。というわけで、米澤作品でも別格(それでも6点だけど)。これデビュー作にすりゃよかったのに。

No.9 4点 ボナンザ
(2014/08/28 00:21登録)
古典部において「私、気になります」が全てを表す言葉であるように、この作品は「哲学的意味がありますか」という言葉が全てである。

No.8 9点 mohicant
(2012/09/17 23:22登録)
 米澤穂信の作品の中で一番好き。
 悲劇的な結末が待っているが、この小説としてはそれが一番きれいな終わり方だったんだろうと思う。

No.7 6点 isurrender
(2012/01/30 23:57登録)
ミステリとしてはそこそこといったレベル
ややチープなラストの主人公の衝動が興醒めしたが、やるせない気分にさせられるところはさすが人気作家といった印象

No.6 7点 kanamori
(2010/07/11 01:29登録)
ミステリとして読むとちょっと物足りない。
しかし、青春小説としては心に残る物語でした。初読の時には分かりずらい言葉の綾が、結末を知った後に再読してみると、きっちり響いてくるような。

No.5 5点 makomako
(2009/09/13 09:02登録)
 これはあまりミステリーのしての要素は強くなく、青春小説といったところでしょう。ユーゴスラビアからきた少女の話。昨年訪れたところでもあり、スロベニア、クロアチア、ボスニアヘルツェゴビナ、モンテネグロなどが懐かしく思い出され、国によって大分様相が異なることも実感しながら読んだ。ところがいかんせんこの少女が私にはあまり魅力的にうつらなかったため、妖精といった感じがせずかなり薄味の小説といった印象でした。もうちょっと味付けがほしいところ。そうしたら評価もずいぶん違うと思うのだが。

No.4 9点 あるびれお
(2009/06/13 04:17登録)
描かれている高校生の雰囲気に、なんとなくですが、恩田陸さんの「夜のピクニック」などと共通するにおいを感じました。切ない物語なのに、とても居心地のいい読書をさせてもらいました。

No.3 10点 daiki
(2009/06/02 00:25登録)
青春ものとして面白いと感じました。

No.2 4点 江守森江
(2009/05/22 18:40登録)
殺人のないミステリーだが大量殺人(民族紛争)がテーマのミステリー。
でも、暗号的国当て以外はミステリーにすらなっていない気がする。
一般的日本人にとっては他地域での民族紛争なんか対岸の火事でしかなく、新聞やニュースだけでお腹一杯だ!
勝手にやってろ!!!

No.1 6点 ぷねうま
(2007/11/17 07:01登録)
楽しめた(哲学的意味はない)

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