home

ミステリの祭典

login
超・殺人事件―推理作家の苦悩

作家 東野圭吾
出版日2001年06月
平均点6.31点
書評数26人

No.26 6点 mozart
(2023/10/25 08:19登録)
ミステリーとしてではなくブラックジョーク(?)として楽しめました。特に最後の「超読書機械殺人事件」の「ショヒョックス」。昨今の生成AIの動向を見るにつけ「妄想」とは言えなくなっているような。流石に有名どころの文学賞の選定に(今のところ)利用されていることはないと思いますが、あるいは某書評サイトあたりには…。

No.25 6点 蟷螂の斧
(2021/05/22 14:44登録)
①超税金対策殺人事件 4点 オチを期待したけど・・・
②超理系殺人事件 5点 「この小説が肌に合わない方は飛ばし読みしてください。」なるほど当てはまります(苦笑)
③超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇) 7点 作家は短篇の犯人当てを編集者に課した。その意図は・・・本格っぽい展開
④超高齢化社会殺人事件 6点 作家の高齢化が進み、その結果こういうことになってしまう?
⑤超予告小説殺人事件 6点 犯人は見え見えだが、ラストの落としどころはいい
⑥超長編小説殺人事件 7点 いかに長篇にするかの知恵比べ。これは笑えた
⑦魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚) 8点 ショートショートらしい。単純明快
⑧超読書機械殺人事件 6点 アイデアは面白い。真面目腐った教訓みたいなものは不要だったかな(笑)

No.24 6点 斎藤警部
(2021/04/05 18:03登録)
各作、面白いし手堅くまとまっている。 何度か笑ったし感心もした。 KS.54と来るか。。(笑)

「超税金対策殺人事件」⇒ クスクス笑い、弱から強へ。題名、そういう意味でしたか~~、いきなり攻めるなあ。ひょっとして、風刺の本当の対象は小説家ではなく。。?
「超理系殺人事件」⇒ ほぼ笑い抜きの面白小説。風太郎風。作中作ミステリに始まり、悪ノリでミステリから外れて行って、最後ミステリで締める。
「超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)」⇒ オチ、というか真相はちょっと見え透いてますが、、ミステリ短篇のクセに何故かそこには力点置いてないから問題無し。安易な叙述トリックをおちょくったりとか、色々。
「超高齢化社会殺人事件」⇒ 本気で笑ってはいけないという意見もありましょうが、、私はこれが一番大笑いでした。何度も噴き出しました。ちょっとした叙述(なんとか●●)トリックのセコいダメ押しも、よく計算されてる。
「超予告小説殺人事件」⇒ 唯一、純粋なミステリじゃないのかな(本格じゃなく、サスペンス)。 面白かった。
「超長編小説殺人事件」⇒ 業界への風刺がいちばん純粋に凝縮されてるのは本作か。嘲笑の花吹雪。
「魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)」⇒ リドルストーリーと解釈すればちょっとした趣。そんなニクい箸休め。
「超読書機械殺人事件」⇒ メインのアイディアに拡張性と現実性が高い故、最もスキャンダラスな一篇と言えましょう。”ショヒョックス”って、どんな商品名にしたらいかにもテキトーに付けた感じになるものか、よくよく検討に検討を重ねたんでしょうなあ。惜しむらくは、他の評価モードでも少し書き分けて欲しかった。 しかし、黄泉よみ太ww

『名探偵の掟』とは似て非なるコンセプトの一冊だが、敢えて比較すれば、向こうさんの勢いある統一感、完成度に軍配かな。

No.23 6点 Kingscorss
(2020/09/19 20:55登録)
ミステリー要素自体はかなり薄いが、単純に読み物として面白かったです。まぁ、同作者の『名探偵の掟』同様にバカミスですよね。これも。ただ、今回はメタ発言みたいなものはないので、『名探偵の掟』でメタ視点が苦手だった人にもおすすめです。

内容は色んな推理作家の苦悩を面白おかしくブラックユーモア全開でまとめた短編集です。ところどころ東野圭吾さんの売れてなかった時代(今では考えられない…)の心情とか作家としての心の声とかが作品に反映されていると思われ、それらを想像しながら読むと又違った面白さがありました。

最初の税金対策の話とか抱腹絶倒で、これ絶対作者の経験した税金地獄をベースにフィクション化してるよなぁと勝手に想像してました。最後のエピソードで出てきたショヒックス・キラーとかシッタカブリックスとかは自分も超欲しいと思いました。東野圭吾さんも欲しすぎて妄想した結果、作品に取り入れたんだなぁと。

何にせよ、軽い気持ちでサクッと読めるので超オススメの一作です!

No.22 4点 バード
(2019/09/24 10:12登録)
本書はミステリの短編集よりも推理作家周りのブラックジョーク集である。(もちろんミステリ要素のある話もあるが。)
今回ブラックジョークの潜在的な難しさについて少し思うところがあったので少し書いてみる。ブラックジョークの基本は他人の不幸は蜜の味という奴で、人間の嫌な性質を利用している。
この「他人の不幸」が曲者で、決して「自分自身やその周辺の不幸」ではジョークとして成立しない。そしてこの他人か自身の周辺かの線引きは完全に個人の性質に依存するため、万人受けするブラックジョークなるものは原理的に存在しないのである。

なぜこんなことを思ったのかというと、このケースが本書で私自身に当てはまりまして。
問題は二番目の「超理系殺人事件」と四番目の「超高齢化社会殺人事件」で、まず「超理系殺人事件」の方は理学を学んでいる身としてどうにも「他人の不幸」と思えず、どにかく馬鹿にされているように感じた。同様に「超高齢化社会殺人事件」の方も周りに認知症の方がいるため、それを茶化した終わり方にもやもやを感じた。
もちろんジョークなんだからそうカリカリするなと言われればそれまでだが、本書はどうしてもこの二編に引きずられ全力で楽しめなかった気がする。(他の話は結構好きなのもあったけどね。)
なのでこれまで読んだ東野さん作品の中では低めの点数とするが、あくまで個人の感想なので(悪徳セールスみたいな言い訳だけど)、これから読む方は私の感想などは気にせず是非「他人ごと」として本作のジョークを楽しんでほしい。

上記二編以外の感想

・超税金対策殺人事件
これは単純に笑った。主人公の仕事がなくなるオチだが、そりゃあんなひどい仕事をしたらそうなるよね(笑)。

・超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)
本短編集の中でミステリ要素が一番強い話。叙述トリックに気が付くことを犯人あてに組み込むという技巧が光る良短編。オチもそりゃそうだ(笑)という感じでコメディ要素もいい。

・超予告小説殺人事件
小説の展開通り殺人が起こるが、最後は作者自身が小説の展開通り死んでしまうというオチ。
昔ジャンプで連載していた「アウターゾーン」にありそうな話。結構好きです。

・超長編小説殺人事件
上手さとかはなく、ひたすらページ増設によるごリ押しのパワーギャグですね。本短編集中で一番ブラック要素が薄いと思う。全体の中では微妙。

・魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)
体をはった一発ギャグならぬ、小説をはった一発ギャグ。読む前に目次を見ないほうが良いと思います。

・超読書機械殺人事件
東野版の「笑ゥせぇるすまん」。ミステリ要素はないが、本読みとして心にとめておきたい話ではあるかな?

No.21 7点 mediocrity
(2019/03/12 20:48登録)
アイロニーの効いた短編8編。薄い本だが面白かった。
特に良かったのは以下の3つ
「超理系殺人事件」
予想していたオチの上を行った。
「超犯人当て小説殺人事件」
これは一応推理小説としても楽しめる、はず。
「超高齢化社会殺人事件」
これは爆笑ものだった。でも8作の中では一番現実にありうるのかも。

No.20 9点 ijoema
(2019/02/13 16:30登録)
すごい

No.19 5点 パメル
(2018/07/25 01:25登録)
ユーモアと皮肉がたっぷりの8編からなる短編集。
かなりデフォルメされているとは思いながらも、出版業界の舞台裏や推理小説作家の苦悩を垣間見たような気分になれて嬉しい。
それぞれ面白いが、「超長編小説殺人事件」は馬鹿馬鹿しさを受け入れることができれば、かなり笑えると思います。
ただ、笑いを織り交ぜながらも出版業界の窮乏に対する強い危機感と使命感を示していて違った意味で興味深い。
ミステリとしての面白さは少ないため、点数はこの程度になります。

No.18 8点 風桜青紫
(2016/01/18 03:19登録)
さすが売れない時代が長続きした東野圭吾だけあって、愚痴を言わせれば一流。しかしまあ、『名探偵の掟』のときに比べてユーモア感覚にはさらに研きがかかっており、どの作品も笑いながら読ませてもらった。『超税金対策殺人事件』の強引な結末がとにかく酷いwww。しかしまあ、東野圭吾は元売れない人(いまは売れる人)だけあって作品の本質を見てくれない読者にも批判の目を向ける。『超理系殺人事件』は、『すべてがFになる』のごとき荒唐無稽な話を読んで「頭が良くなった気がする」などとのたまうトンチキな読者たちをよく示しているし、『超長編殺人事件』は、『模倣犯』や『レディ・ジョーカー』やどこかの弁当箱のような、物語に不要な描写をだらだら繋げた作品を大作だと言ってありがたがる読者を痛烈に皮肉っている。結局そんな批判の行き着く先は『超読書機械殺人事件』で、東野圭吾からすれば、もはや読者たちが何をやりたいのかわからなくなってくるわけだ。推理小説の世界には、ジャンプの打ちきり漫画より売れてないくせして人様の作品を偉そうに「ゴミである」といい放つような「大御所作家」もいるわけだが、それに比べれば、こんな風に文章でうっぷんを晴らしながらもそれをエンタメ小説として昇華させている東野圭吾は実に書くことに真摯な作家だといえるだろう。

No.17 7点 いいちこ
(2014/09/19 19:56登録)
下世話な楽屋ネタといってしまえばそれまでだが、示唆に富んだ作品だろう。
ミステリの本質から外れた記載が延々と続く長編群、ミステリ・ランキングの一位だけが売れて後は死屍累々というミステリ界の現状に一石を投じる作品。
パロディとしてはほぼ最高級の評価で、ミステリを愛する方ほど読む価値のある作品

No.16 8点 Tetchy
(2013/01/06 19:26登録)
各編には「作家はつらいよ」と云わんばかりのアイロニーに満ちている。「推理作家の苦悩」と副題にあるように本書を読めば文筆業に携わる方々の苦労が偲ばれる。物語を生みだし、創作するということがいかに大変か、そして日夜いかに苦しんでいるかが本書を読めば解る。本書の内容はかなりユーモアに満ちているがその8割は作家が日常に孕んでいる苦労や苦悩であるに違いない。

つまりこれらには実際の作家たち、評論家たち、編集者たちの生の声が収められている業界裏話でもある。そして作家たちの心からの悲痛な叫びであろう。恐らく一般読者は面白く読めたが、作家たちの多くは身につまされるエピソードや共感し、快哉を挙げた話が多く、単純に笑って済まされない物語が多いに違いない。
果たしてこれは東野氏からの作家を目指す全ての作家予備軍たちに対する警鐘の書ではないだろうか?該当する方々にとって本書は必読の書と云えよう。

一番笑ったのは「超長編~」。特に本筋とは全く関係のない情報を織り込んで水増ししているのを作中作で過剰に実践しているところは笑いが止まらなかった。また本作では実作家の名前や作品名のパロディが多いのも特徴的だ。

しかし「超税金対策~」を書くことで実際に作者がハワイ旅行とか経費で落としていたら、スゴイな…。

No.15 6点 take5
(2011/11/05 18:41登録)
友達に勧めました。
超面白いよと。
ミステリーとしてではなく、
エンターテイメントとしてですが。

No.14 7点 ムラ
(2011/01/09 22:58登録)
かなり毒が効いていて面白かった。
脱税のため、人気のために描き続けるって話しは読者してんでは笑えますが、作者してんだとなかなか辛そうですね。
しかし高齢化・予告・長編殺人がちょっと捻りが足りなかったのが残念。理系はパラパラと読み飛ばしちゃいましたね、自分は理系人間ではないようです。

No.13 6点 touko
(2010/02/14 15:40登録)
なんとなく昔の筒井康隆とか清水義範を思い起こさせる作風のコミカルかつちょっと辛辣な切り口の短編集。
内容はミステリ作家の楽屋ネタオンリーなんですが、ちゃんと一般の読者が楽しめる作品になっているので、安心して読めます。

No.12 3点 まさむね
(2010/02/06 17:07登録)
正直,楽しめませんでした。
パロディとしても,正直…すみません。
好みの問題なのでしょうが。

No.11 5点 文生
(2010/01/24 12:32登録)
「超読書機械殺人事件」とか結構面白いけれどミステリーのパロディとしてはベタで特筆するものはない。
マニアとしてはもっと凝ったものが読みたかったというのが正直な所。

No.10 8点 江守森江
(2009/12/20 06:38登録)
ある種のアンチ・ミステリで「天下一シリーズ」とは違う切り口の短編集。
この作品で二階堂黎人に喧嘩を売った?のが容疑者X論争の火種と思える「超長編~」
あと数年後の辻真先(先生ゴメンナサイ)を彷彿させる「超高齢~」
そして、書評家や「このサイト」にも喧嘩を売る「超読書~」
他の作品も皮肉タップリに粒ぞろい。
(まるで野村克也氏のボヤキを小説にした如くで)今まで読んだ東野圭吾作品では断トツに面白い。
皮肉系エンターテインメントの最高峰と断言したい。
※ショヒョックス&シッタカブリックス(私の目指すファジーな読書に最適)を一台づつ購入してみたいと思ったのは私だけだろうか!!
特に「おべんちゃらモード」と「酷評モード」での同一作品書評を読み比べてみたい。

No.9 7点 itokin
(2009/12/07 11:33登録)
なるほどこんな事まで小説の題材にとか、推理小説の書き方の参考にも出来ると思われミステリー作家の思考回路が垣間見られる楽しい作品。

No.8 7点 メルカトル
(2009/10/31 23:56登録)
素晴らしい!
良くぞここまで描ききった、と作者を高評価したい。
ミステリファンだけでなく、一般の読者にも是非読んでもらいたい一冊。

No.7 7点 深夜
(2008/09/26 18:54登録)
現代の小説界を皮肉った小説。「超読書機械殺人事件」が一番好きかな。その他の作品も結構笑えました。

26中の書評を表示しています 1 - 20