神様ゲーム 神様シリーズ |
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作家 | 麻耶雄嵩 |
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出版日 | 2005年07月 |
平均点 | 6.88点 |
書評数 | 52人 |
No.32 | 8点 | 龍樹 | |
(2015/12/21 09:39登録) 基本点:4点 日常的な密室設定に:+1点 少年のロジックによるダミー密室解釈に:+1点 どんでん返しの真相解決に:+1点 殺人犯と共犯の設定及び猫虐殺の設定の黒さに:+1点 密室殺人というメインディッシュに連続猫虐殺の前菜がついているが、「平凡な少年」という異形の神様が探偵役に登場するダークなミステリ。神様を登場させずとも、主人公の少年が全てを解決する黒いミステリにしても良かった。「12月の童話」とかなんとかいうタイトルで。 |
No.31 | 8点 | E-BANKER | |
(2015/09/23 17:42登録) 2005年、講談社「ミステリーランド」シリーズの一冊として発表された長編。 昨年、続編の「さよなら神様」が刊行されたことでも話題となった作品。 いかにも作者らしい『企み』に満ちた・・・作品(!) ~神降市(かみふりし)に勃発した連続“猫”殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか、謎の転校生・鈴木太郎が犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことはすべてお見通しだというのだ。鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか。神様シリーズ第一作~ これは・・・決して子供向けじゃないな。 っていうか、逆にこの終章は子供に読ませてはいけない! えげつないほどの「世間の不条理」や「大人の事情」が明らかとなる真相に、読者はサプライズ感を味わうこと必至。 こんな強烈なプロットを本シリーズにぶつけてくる作者って・・・やっぱり尋常じゃない! もちろん本作の肝は「神様」=鈴木太郎の存在ではある。 ただし、神様の推理、ではなく何て言えばいいのか・・・「真理」か? まぁいいや。とにかく神様の言葉は、途中の過程を一切省いて、結論のみ。 猫殺しについてはうやむやに終わったが、それは単なる前菜に過ぎなかった。 途中で発生する同級生殺し。 これこそがまさに「悪意の塊」とも言うべき犯罪なのだ。 実行犯は大凡予想が付いていたんだけど、黒幕までは気付かなかったなぁ・・・ って思ってたら、それにこのラストはなんだ? いやぁー参った!参った! やっぱりマトモじゃないな。作者は! (芳雄君のその後の人生が実に心配だ) |
No.30 | 7点 | 名探偵ジャパン | |
(2015/03/08 10:56登録) 聞くところによれば、本作は「ミステリーランド」という児童向けに書かれた作品だとか。他には、綾辻の「びっくり館」、有栖川の「虹果て村」などもそうだという。 その二作は私も読了済みで、少年少女が初めて触れるミステリとしては、申し分ない作品だな、と思ったものだったが、そこに麻耶雄嵩が出した答えとは? これはアウトでしょう。確かに、子供が時として年齢不相応なものを見聞きしたり読むことを全面的によくないことだ、とは言わない。私も幼少の頃、大人向けのサスペンスドラマ(残酷な殺害シーンや、女性のヌードなど出てくる)を、おっかなびっくり見たこともあった。児童向けにリライトされていない江戸川乱歩ものを読んで、「なんじゃこりゃ?(僕の知ってる明智探偵と違うぞ)」と思ったこともあった。 だがそれは、子供の側から、能動的に大人の世界を背伸びして垣間見た結果。今風に言えば「自己責任」の結果だ。そうやって子供は、「これはまだ見ちゃいけないんだな」ということを学んでいく。 最初から「児童向け」と謳ったものに、必要以上のグロを仕込むというのは違うのではないだろうか。 この作者のファンの方々は、「さすが麻耶雄嵩、子供相手でも容赦しないぜ!」と歓喜するのだろうが、大人は子供に容赦するべきです。大人げないです。 子供が安全面を考えた年齢相応のおもちゃで遊んでる横で、大人向けの尖った部分がたくさんある危険な(子供にとって)おもちゃを見せて、「こっちのほうが角も尖っててディティールも細かいし、塗装も完璧で、君の『DX完全版ジェノサイドロボ』とは出来が違うよ」と悦にいるような大人げなさを感じた。 作品自体は面白かった。 |
No.29 | 5点 | 虫暮部 | |
(2014/10/14 12:22登録) もし小学校4年生の私がこれを読んだら、ブラックな部分も含めて充分理解したうえで楽しめたはず。作者は、子供の為の本なんて子供は喜ばない、ということを良く判っていると思う。 ところで、わざわざ英樹に服を着せ直す必要は無かったのでは。そのまま山奥に埋めて“行方不明”で良かったんじゃないの。 |
No.28 | 8点 | アイス・コーヒー | |
(2014/10/06 11:19登録) ぼく、黒沢芳雄は〈浜田探偵団〉の一員として連続猫殺しの犯人を追っていた。そんな時に出会ったのが鈴木太郎。自らが「神」だと主張する彼とぼくは神様ゲームを始めるが…。 全知全能、唯一無二の神様が登場して事件を解決する麻耶作品の中でもトップクラスの問題作。児童向けのレーベル、ミステリーランドから出版されながらもそのブラックすぎる内容から「子供に読ませたくない児童書」として悪名が高い。 本作では「人間社会の闇」の部分を白日に晒し、純粋な子供に見せつける試みが随所に見える。それ自体はかなり悪趣味な行為で、確かに子供に読ませたくない。 しかし、この本の内容が優れているのもまた事実だ。密室状況の現場やアリバイトリック、解決のロジックに至るまでかなり作りこまれているのは安定の麻耶クオリティ。さらに最初から最後まで(大人でも)驚かされっぱなしの奇抜な展開。凄すぎる。 大人が読んでもかなり衝撃的な内容だが、作中の芳雄や読者の小学生にとっては強烈過ぎる一冊だ。グロテスクな猫殺しの真相もさることながら、神様の天誅や、ロジックの導き出した意外な犯人、そしてあの結末…。 本作の肝は、これを読んだ大人が「子供に読ませたくない!」と感じることにあるのではないだろうか。いくら麻耶氏でも、この本を子供に読ませてトラウマを植え付けるような悪趣味な目的はないだろう。というか、そう願いたい。大人になったかつての子供たちに社会の残忍さを再認識させる一冊なのだとそう解釈しよう。 芳雄がその後どういう人生を送ったのか、気になるところだ。 |
No.27 | 9点 | いいちこ | |
(2014/08/01 17:23登録) どんなに緻密に構成されたミステリでも、ロジックの不備は存在するし、提示された真相以上に蓋然性の高い真相は存在し得る。 それでも提示された真相を「真実」として扱うことができるのは、探偵が「真実」と断定するからである。 探偵は作品世界の中で「神様」として君臨する。 この探偵の無謬性の問題を徹底的に追求した作品が「メルカトルかく語りき」であり、それをベースにした変化球が本作であると理解している。 本作ではもはや「無謬の銘探偵」どころか、文字どおり「神様」が登場する。 本作では2つの仮説が提示されるが、いずれも合理的に成立する余地があり、いずれに立つかによって犯人が変わる。 ひとえに読者が「神様」を信じるか否かで「真実」が決定する。 ミステリにおける「真実」の相対性を抉り出すことで、現実社会においても所詮「真実」は相対的な概念でしかないことを突き付けてみせたのだと思う。 本作はこども向けとして相応しくないと評価する向きが多いようである。 その心情は一定程度理解できるものの、果たしてそうなのだろうか(こどもが本作を理解できるかどうかは別として)。 「真実」の危うさ・いかがわしさ、人生や社会の残酷さや不条理が、まぎれもない真実である以上、こどもに一本道の美談や、紋切り型の勧善懲悪ばかり読ませることが望ましいことなのだろうか。 こども向けという舞台設定を逆用し、敢えて放たれた悪辣な企み。 私はじめナメてかかった大人たちをも完膚なきまでに叩きのめす野心的試みを最大限評価 |
No.26 | 8点 | sophia | |
(2014/04/12 22:25登録) 著者の端書き「これはトイレ掃除を通じて、小学生と神様の心の交流を描いたお話です。」これが最大のトリックですね(笑)ブラックな作品ではありますが、誕生日や天誅の件を二度持ってきたりして構成も凝っていますし、自分は楽しく読めました。ただ、あの人物が真犯人だとすると動機面がどうも。あの人たちがそういうことをしていた絵が浮かばないのでねえ。 |
No.25 | 6点 | STAR | |
(2012/11/14 15:52登録) こちらで高評価なので読んでみました。 たった1つの事件だけれど、子供のやりとりなどがおもしろく途中までは楽しんで読んでいたのですが、最後あれ?って感じです。無理やり読者を驚かせようとしているという感じで。 真犯人が最後神様の天罰が下った人間だとすると記載がアンフェアですね。 (以下ネタバレあり!) 真犯人が最後神様の天罰が下った人間だとすると、父親が事件発生時にとった行動がおかしくなると思います。やはりつじつまがあっていない? |
No.24 | 8点 | simo10 | |
(2012/08/31 23:27登録) --ネタばれ含みます-- 表紙帯に「驚天のラスト」と記載されていましたが、本当に驚天でした。ミステリランドと思ってなめていたのもありましたが、このレベルの衝撃は久々です。 ネタばれサイトを見てようやく理解したつもりですが、つまり神様を信じるならば箱説が真相だった、信じないのならば物置説が真相だった、ということなんですね。 そしてどちらを信じるかは読者次第という、作者から読者に向けてのゲーム(神様ゲーム)でもあったと解釈しています。 芳雄のラストの語りもあるので、きっと神様が正しいのでしょうが。 解が一つでないのはズルいとは思いますが、この作品ならありでしょう。 叙述以外でここまで驚かせてくれた作品というのも中々思い当たらないです。 |
No.23 | 5点 | 蟷螂の斧 | |
(2012/07/25 19:11登録) 芳雄の推理のまま終われば、高評価で、かつ、納得できたのですが、神様の天誅が下るだんで、急に意味不明になってしまいました。奇をてらっただけとしか思えないし、動機が全く理解できませんでした。このような作風には、どうもついてゆけないといったところです。 |
No.22 | 9点 | まさむね | |
(2012/07/21 19:20登録) ジュヴナイル・ミステリの姿を借りた,麻耶雄嵩サンならではの衝撃作(問題作?)です。流石と言うべきなのか,やってくれますねぇ。とにかく多方面(真相のみならずロボのネーミングなども…)で衝撃を受けました。 私はノベルス版で読んだのですが,ミステリーランド版で読めば,さらに楽しめたでしょうねぇ。挿絵とかあるなら,是非見たい。 (以下,未読の方はご遠慮を) で,真相ですが,純粋に「神様」の言った(行った?)とおりなのだと自分を納得させています。確かに,「けっこう小さい」と序盤で述べています。この「けっこう」に疑義は抱きますが,まぁアレの中に隠れられたのだろうと。 ただですねぇ,共犯複数説(つまり二人とも…って説)ってのも成り立ち得るのではないかとモヤモヤしているのです。実はラストの後,神様はもう一人に燃え移らせた…という可能性はないのかと。うーん,誰かこの説を打ち消していただけないでしょうか(涙)。 |
No.21 | 7点 | メルカトル | |
(2012/06/27 21:31登録) これは少なくとも子供向けの読み物ではないね。 特に前半の連続野良猫殺害事件は、本件には殆ど関連性がなく、神様である鈴木君の存在を際立たせるために書かれたとしか思えない。 とは言え、これが全く必然性がないとも言い切れないところもある為、一連の流れとして捉えた場合、不自然さは感じさせない。 それにしても、この捻れたラストは一体何なのだろう。 さすがに麻耶雄嵩氏、一筋縄ではいかない。 もう一度最初から読み直しても、私には本当の真相を見抜く自信がない、誰かネタバレ覚悟で私にこの結末の意味を教えていただけないだろうか。 |
No.20 | 7点 | シーマスター | |
(2012/06/13 22:21登録) これが子供向けというのなら、間違いなく「子供に読ませたくない児童書」のトップを争う作品になるだろう。 ていうか、普通の小学4年生が「脳細胞を活性化」だとか「眉目秀麗」なんて言葉を使うとは思えないし、大人の小説と何ら変わりなく漢字が使われているのに殆どカナが振られていないのだから、始めから子供に読んでもらうつもりなど微塵もないのだろう。まぁ麻耶らしいオフザケでしょう。 本格度はそれなりに高い。そして問題の真相は・・・・自分は○○○がいると判明した時点(かなり終盤)で見抜いた。が・・・それでは終わらなかった・・ 何はともあれ麻耶作品の中ではダントツに読みやすいことだけは確か。 |
No.19 | 10点 | ayulifeman | |
(2012/04/10 23:39登録) ガツンと頭の後ろをやられる感じ。 これを読書で味わえるって…やられちゃたなぁ。 スゴイスゴイ。 |
No.18 | 8点 | 3880403 | |
(2011/04/03 23:09登録) まさに衝撃でした! 読了後、はじめはどういうことか分からなかった。 |
No.17 | 6点 | 鷹 | |
(2010/08/02 17:41登録) 結末は、予想外でしたが。 これは、子供には読ませたくないですね。 |
No.16 | 5点 | seiryuu | |
(2010/07/18 17:07登録) 作品としてはまあまあ。 ミステリーランドにはほかにも子供向けじゃない作品がいくつかあるからなあ。 |
No.15 | 9点 | 図書室 | |
(2010/01/22 10:38登録) これは、人によって評価が分かれるだろうなぁ 私は、かなりおもしろく読ませてもらった。 長編にはどんでん返しがつきものですが、これほどとは・・ ネタバレになりますが、犯人は警察の捜査からは逃げ切りますけれど、神様の鈴木君によって、天誅を下されてしまう。 全ては決まっていること。何とも哲学的です。 真相においては、驚きのあまり、しばらく時間が止まる感覚。 子供たちには、理解できる範囲を超えているし、大人でも補完考察が必要でしょう。 その、あまりにすっきりしない「モヤモヤ感」があるため、限りなく10点に近い9点とさせて頂きました。 |
No.14 | 9点 | 文生 | |
(2010/01/21 13:11登録) 本格ミステリーとしては普通の出来。 しかし、ミステリーの世界になんでもお見通しの神様を登場させる掟破りの設定がユニーク。 そしてなにより、児童文学の皮をかぶって繰り広げられるブラック過ぎる展開がインパクト大である。 |
No.13 | 8点 | ウィン | |
(2009/08/24 17:49登録) グロい。 グロいわ、これ。 「かつて子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド」とはよく言ったもんだと思う。 こんなもの子供に読ませちゃ、子供が不眠症になる。 まだ登場人物が大人ならいいが、子供だからいっそうグロテスクだ。 しかも主人公の子供が好きな女の子には秘密があり、その秘密は物語中でも明かされるが、信じられないものである。 ありえない、とはこのことである。 でも大人が読むには、なかなかいいものになってると思う。 注意するのは「お子様の手の届くところにおかないでください」ということ。 R15指定くらいだ。 |