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ミステリの祭典

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マジックミラー

作家 有栖川有栖
出版日1990年04月
平均点6.98点
書評数53人

No.53 7点 みりん
(2023/01/24 04:50登録)
作中のアリバイ講義で解説されていたアリバイトリックの巨匠達の作品も読みたい思えました。

No.52 8点 HORNET
(2021/02/07 14:53登録)
 ノンシリーズの、アリバイトリックを主題にした長編。(ただ、作家アリスシリーズの編集者、片桐光雄は登場しているが)
 鉄道ダイヤを駆使した、複雑で手の込んだトリックではあるが、カーの「密室講義」の向こうを張らんとする「アリバイ講義」があったり、ダイアローグ・エピローグにまで仕掛けが施されていたりと、二重三重に工夫が凝らされていて全体的に厚みのある作品だった。
 重要人物が双子である時点でトリックの概要は何となく予想がつくのだが、それでも各登場人物の言動をテンポよくつないでいく展開は魅力があり、最後まで非常に興趣が尽きることなく読み進められた。
 鮎川哲也氏による最後の解説も読後の余韻を後押ししてくれる。

No.51 7点 虫暮部
(2019/12/30 10:32登録)
 ネタバレしつつ書くが、アリバイ・トリックで良く判らない点がある。某が、白鳥を小松で降りずに、わざわざ金沢まで行って小松へ引き返す手間をかけた理由は? 少しでも長く白鳥に乗っていたかった? どこかに書いてあるのを私が見落とした?

No.50 8点 makomako
(2019/06/16 08:14登録)
この作品は発表されてすぐ読んだ覚えがありましたが、内容はすっかり忘れてしまって、全くの初読のように読みました。発表当時は学生アリスがとても気に入っていたので、本作品のようにトリック勝負の内容にやや不満を感じたものですが、好みがが本格推理の方へ傾いてきたせいか、非常に面白く読みました。
 双子のトリックで犯人はほとんど明らかであるのに、実に精緻で巧妙な手段を解明しつつなお謎は残る。さらにもう一つのトリックが仕掛けられこれまた双子が問題となり、犯人もかなりはっきりしているように思われるのだがやっぱりアリバイが崩せない。
 若き作者は細かいところまで考え抜いてこの話を完成させたのでしょう。
 素晴らしい出来栄えです。
 締め切りに追われて一定の作品を量産させられているらしい?うれっこ作家になるとこんな作品はなかなか大変かもしれませんが、最近とみに充実してきた有栖川氏には期待しております。学生アリスも書いてね。
 本格物が好きな方なら絶対楽しめると思います。

No.49 9点 mediocrity
(2019/05/06 06:07登録)
鉄道アリバイものも工夫すればここまで面白くなるのかと感動した。この種の作品が好きな人は文句なく楽しめるだろうし、苦手な人が時刻表部分を読み飛ばしても、その他の謎で十分楽しめるだろう。
学生アリスシリーズでも作家アリスシリーズでもないので、正直あまり期待してなかったが嬉しい誤算だった。

No.48 7点 ミステリ初心者
(2018/04/12 14:30登録)
ネタバレをしています。


 推理小説を読み終わった後、"なんで自分はわからなかったんだ~よく考えたら当てられたのに~"という感想がでる作品ほど好みというか、価値が高いと思っています。まさにこの作品がそうでした。大トリックというわけではないのですが、職人的な印象があります。
 時刻表トリックが苦手で、時間と場所の情報が頭に入りづらい私ですが、途中の小桑の推理によって、つまり論点は何か?とわかりやすく説明されているため読むのが苦ではありませんでした。
 その他、空知が主人公や探偵のような雰囲気を出しながら否定するミスリード(違う?)、はじめの文が小桑兄弟であること(たぶん)も好みです。アリバイ講義も面白く、「これは好みのタイプだな」とか「これは嫌いだな」とか「あの作品もこのタイプだ!」など脳内に浮かびおもしろいです。今よりもっと推理小説を読んだら、また違った思いがあるかもしれませんね。
 題にもなっている、マジックミラーの使い方も好きでした。

 私は、第一の殺人で新一と健一があらかじめ入れ替わって生活しているとか、すさまじく的外れな推理をしていましたw
さらに、第二の殺人では、空知が犯人であり双子がほぼ同時に殺され、かつアリバイに利用されるところまで予想しましたが(だれでもそうか)まったくトリックを思いつきませんでした。

No.47 8点 ねここねこ男爵
(2017/09/28 23:17登録)
この作者の2大シリーズもの以外では最高傑作では。
ロジックよりトリックに比重が置かれていますが、切符の指紋など細かいところまでよく出来ています。長さもちょうどよく、無駄な下りもほぼなし。人物も結構好きです。

有名な『アリバイ講義』ですが、個人的には講義本体よりもそのあとの推理小説観にグッときました。

No.46 7点 青い車
(2017/02/13 18:34登録)
 なんとなく予測しやすい犯人ですが、意外な犯人よりも有栖川作品では珍しいハウダニット、それもどちらかと言えば派手になりにくいアリバイ・トリックで魅せる作品です。実現可能かどうかはともかくとして、あまり類を見ない方法による工作は種明かしされた瞬間の快感にたまらないものがありました。
 もうひとつの見どころは密室講義ならぬアリバイ講義のトリック分類と解説で、実に興味深く読めました。まあ、「あの作品にアリバイってそんなに重要だったっけ?」と作品名のネタバレを見ても思い出せなかったものもありましたが。

No.45 9点 ボンボン
(2016/11/08 15:15登録)
「乗り鉄」有栖川有栖氏の傑作。鉄道だけでも十二分なのに、扱いにくそうな双子ネタにさらに色々絡めて、これでもかこれでもかと波状攻撃でトリックを仕掛けてくる。この複雑さ、たっぷり過ぎて勿体ないほどの豪華さに圧倒された。
作品世界としては、珀友社の編集者片桐さんが登場したり、承認欲求がスルーされる傷心がポイントになったりと、作家アリス前夜といった趣だ。読後に振り返って表題「マジックミラー」の切なさを噛みしめることになる。
途中挟まれるアリバイ講義にはあまり惹かれなかったが、推理作家空知に語らせる「ミステリとは何か」の論を面白く読んだ。

No.44 6点 パメル
(2016/03/16 00:58登録)
いわゆるアリバイ崩し物
事件の鍵は思いがけない場所につながっている
鉄道ミステリとしてのみならずそれをミスディレクションとして
相対化した謎解きミステリとしても楽しめる

No.43 6点 風桜青紫
(2016/01/14 02:59登録)
アリバイトリック、双子トリックをからめた有栖川有栖の野心的な一品。双子の必要性を、色々な意味でアリバイにからめた手腕は見事。ラストシーンの味わいもなかなか。このあたりから有栖川作品はストーリー面でも結構充実してると思うのだ。その代わりロジック推理が微妙になっていくけど。アリバイ講義については、かのフェル博士のお言葉(興味がなければ読み飛ばせ)通り、流し読みさせてもらった。こういうのってミステリ好きが自分の博識ぶりを知らしめたいだけに思えるのね……。

No.42 8点 ロマン
(2015/10/20 14:11登録)
新本格ではあまり見ない鉄道を使ったアリバイトリックと、タイトルに懸かる双子トリックが盛り込まれたとても贅沢な謎解きミステリ。アリバイ崩しものはあまり得意でないのだが、それがメインでない構成とラストの巧みなどんでん返しには“流石”の一言だ。ダイアローグとモノローグの美しさ、伏線の周到さ、空知が繰り出す“アリバイ講義”、ラストのカタルシスまで非常によく練られた作品である。

No.41 9点 斎藤警部
(2015/05/29 16:47登録)
あれはもう十と何年前かしら、帯の惹句で手にした初めての有栖川本。
犯人の固い意志が滲み出る強烈なアリバイトリックを新手の双子興味で貫通させた意欲作ぶりに、したたかやられました。作中に「アリバイ講義」を挟んで来たあたり、画期的アリバイ物を歴史に刻むぞとの決意が感じられます。それは成功しているのでは。ちょっと無理筋な道具使いも見られるが。。小説全体に漲る気迫でまず吹き飛ばしている所。

この本に感銘を受けた私は、当然の様に「有栖川」の他作品に手を伸ばすのですが。。 本作が異色と呼ばれる所以がよく分かりました。

No.40 5点 りらっくま
(2014/07/22 22:34登録)
登場人物が少なく、どのキャラクターもいまいち地味。
以下ネタばれ

特に推理作家・・・
復讐するほど好きだったのなら、学生時代に別れるなよ。
結局自首したのかしてないのか???

内縁の妻・・・
性格等いいのになんであんな男と???

No.39 6点 ボナンザ
(2014/04/07 15:49登録)
隠れた名作ではなかろうか。実に充実した内容であった。

No.38 8点 バード
(2013/05/06 20:49登録)
初の有栖川さんの作品がこれだった。なぜ作家有栖でも学生有栖でもないこの作品からだったのか・・・?
自分はフーダニットが最も好きなのでアリバイ崩しものの評価は辛くなりがちだがこれは面白いと思えた。切符の指紋に関するトリックがシンプルだがきれいだったと思う。

No.37 9点 蟷螂の斧
(2013/01/02 11:21登録)
著者のイメージは、ロジック>トリックですが、本作はトリック主体、それも2本立てで好みにピッタリ合いました。時刻表トリックは、日本独自のものらしい~時間が正確ゆえ成り立つ。だから、列車・飛行機が遅れたらどうするの?というような愚問は無しで良いのでしょう(笑)。切符の指紋によるアリバイ崩しの壁は秀逸でした。また、首なし死体のトリックのモチーフ(本作品1990)は、その後の「…捜査官(1998)」(Y氏)、「超有名作品(2005)」(H氏)の先例となっていると思いますので+2点です。さらに先例があった場合は10点ですね(笑)。

No.36 7点 mozart
(2012/09/13 11:07登録)
新本格ミステリーの旗手とも言うべき作者の、別の面を堪能できる作品。アリバイトリック、双子トリック、いずれも独創的で十分に唸らされました。

トリックに目が行ってしまって、登場人物にそれほど感情移入できなかったのが残念だったけれど、結末を考えると、そのことも織り込み済みで作品が書かれているんでしょうね。

No.35 6点 いいちこ
(2012/02/19 17:07登録)
第一のトリックは実行困難と思われる点もあるが、チケットに秘められた巧妙な仕掛けがさすが。
第二のトリックはH氏の人気作の先例とも言うべき非常に独創的なもので鮮やかな出来映え。
いま一つ盛り上がりに欠けるストーリーテリング、最終盤の真相解明にあたっての探偵の動きなど不満な点もあるが、単なるアリバイ崩しに終わらない本格魂は感じた

No.34 6点 スパイラルライフ
(2012/02/06 14:16登録)
ただのトラベルミステリではないところが
流石の作品。双子ネタもユニークに調理されてます。、があまり記憶に残らなかった。
この手のオチが個人的に苦手なのかも。

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