雪密室 法月綸太郎シリーズ |
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作家 | 法月綸太郎 |
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出版日 | 1989年04月 |
平均点 | 5.31点 |
書評数 | 49人 |
No.49 | 6点 | みりん | |
(2024/10/19 20:47登録) シリーズ1作目。後の『頼子のために』『一の悲劇』に繋がるような親子がテーマの内容です。警視のオヤジが初っ端から息子の頭脳をアテにしすぎていて笑いました。あの信頼関係はシリーズを通して徐々に構築されてきたのではないのですね。 肝心の密室トリック、ひさびさの「読者への挑戦状」に心が踊りましたが、いささか簡単すぎましたね。映像を思い浮かべながら読んでいくと、明らかに怪しい奴がいるんだなこれが(笑) ああもうこいつで決まり決まり。と思っていたら…まさかの…嗚呼…私はいつまでこういうのに騙されるんでしょう… 簡単すぎた方には、検死で「絞殺」ではなく「縊死」と診断された背景を推理するのもまた一興です。 やはり法月綸太郎はイイね |
No.48 | 6点 | zuso | |
(2024/02/08 22:15登録) 雪の離れで女性が殺されて、足跡は彼女のものと思われる一組しかない、という雪の密室トリックもの。 非常に洗練され最適化されており、ほとんど無駄なものがない。探偵の動きもよく描かれているし、トリックの出し方も際立っている。地味ではあるが、オーソドックスな本格ミステリの魅力が詰まっている。 |
No.47 | 9点 | ひとこと | |
(2023/06/03 22:07登録) シリーズ1作目なのでおまけ。ところで新装版の表紙良いですね♪ |
No.46 | 8点 | 虫暮部 | |
(2023/05/02 13:17登録) カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』と並べると、被害者(上昇志向の高慢な女性)のみならず何人かは役柄と属性が大胆に重なっている。これはまぁ本気のオマージュと言うよりは、“雪の密室” をやればどうせアレが引き合いに出されるんだから、とのジョークじゃないかな。 離れの灯りを消した為、現場に不自然さが残った。しかし点けっぱなしだと計画より早く第三者に見付かるリスクがある(と言うか実際に見られていた)わけで、“足を引っぱっただけ” ではないと思う。 良かったポイントはソクラテスのエピソード、ジェスチャーの手掛かり、ぐりもお。殺人者を消去法で特定するあたり、原典の不備を意識的に補っているのかも(“靴のサイズ” はちょいと御都合主義的だけど)。作者の長編の中では最もバランスが取れていて、なかなか上手く “改築” 出来ているのではないか。 “真棹” と言う女性名は泡坂妻夫『乱れからくり』からの借用? でも意図が良く判らない。 |
No.45 | 6点 | 人並由真 | |
(2020/04/27 03:41登録) (ネタバレなし) 読み終わってこれがシリーズ初弾だという事実に、改めて唸る。どう見ても名探偵サーガが積み重ねられたのち、少なくとも第五作目か六作目あたりに書かれるような内容ではないか。こんな文芸の物語からシリーズを開幕した作者の若き日の向こうっ気に讃嘆の念すら覚える(ちなみに本シリーズはつまみ食いで、まだ5冊前後しか読んでいない・汗)。 一方で謎解きミステリとしての種々の工夫は認めるが、生々しいドラマの話だけに犯行の実現度の危うさが、結構気になってしまった(特に××トリックと、証拠の品を(中略)のあたり)。 それと最初からの仕掛けは最後にどう切り返すかの大枠がさすがに見え見えで(細部の軌跡までは読めなかったが、アレは布石はあっても伏線がないのだから仕方がない・笑)、この辺りも挑戦的なギミックの反面、いささか夾雑な趣向に感じないでもなかった。 ロマンさんがレビューでおっしゃる「媒体問わず様々な形で後継となる作品が出揃っている現代にあって、発展史を学ぶ以外にわざわざ読む意義がどれ程あるかは悩み所。」の言葉はいささか厳しいと鼻白むが、かたや作品総体で確かにそう思わされる部分もなきにしもあらず。 (ちなみに作中のある技術的な描写で「あ?」と思ったが、そうか、これってもう、ほぼ30年前の作品なんだね。当時はまだ(中略)。) とはいえリアルタイムで、この後のシリーズ展開も知らないで読んだ人にとってはたぶんそれなり以上に大事な作品にはなっているのだろうな。もちろんそれだけの価値と手応えのある長編だとは思うけれど。 |
No.44 | 6点 | ミステリ初心者 | |
(2020/01/22 21:27登録) ネタバレをしています。 最近不眠症気味なためか、非常に読みやすい文だったためか、ほぼ一晩で読めました(笑)。余計な部分が少なく、ページ数が無駄に多くないのもよかったです。 個人的にあったほうが良いものがついていて、ポイントが高いです。平面図が描かれていたり、犯行現場の図が描かれていたり、読者への挑戦状があったり、至れり尽くせり! 本作の殺される人物や事件は1つ。謎も雪の密室もので、本格度がつよいです。シンプルながら面白いトリックであり、ヒントも適度にあってフェア度が高いです。 私は耳栓問題に気づき、端っから兄弟入れ替わり共犯説と決めつけておりました(笑)。しかし、金庫を開けるのが二人がかりということと、プロローグがいかにも"恭平犯人ですよ~"というのが臭すぎてむしろ恭平が犯人ではないっぽいのに困りました(笑)。プロローグは早苗の父親が逮捕されるのまで読めました(笑)。まあそれじゃ3人目がいればよかったんですがね…なぜそれを思いつかなかったのか(涙)。 難癖ポイント。 ・共犯は好みではありません(笑)。頭パープリンの私でもすぐに兄弟共犯は思いつきました。作者は兄弟共犯までは、敢えて分からせるようにヒントを出したと思います。3人目の存在の国夫が犯人というのはどんでん返しですし、悪くはないのですが、3人も事件にかかわっているとちょっと…。雪の密室問題だけみれば2人で片付くのだし、読者の裏をかくことを優先しすぎている気はします。 ・上で耳栓問題に気づいたと書きましたが、耳栓って結構蛍光色おおくないですか? 耳栓して寝てる人って、見たらすぐにわかりませんか? ・嘘の供述おおくね(笑)。皆なにかしら弱みを握られているというのはわかりますが、裕子の証言の真偽がわからなければ、結局国夫が犯人かどうか判断がつかなくないですか(笑)。まあすごい嘘っぽいのは感じましたが。 ・法月綸太郎の出生の秘密の真贋はッ!? 糞ウンチ野郎の息子なのでしょうか? |
No.43 | 4点 | mediocrity | |
(2019/08/13 18:42登録) ネタバレしないようにボカシて書きます。 読み終わってから該当箇所を読み返してみましたが、寝ぼけていたとして本当に気付かないのか疑問が残りました。結構会話してますしね。もっと言えば、警視が先に飛び出して行く危険性も0ではないような。 あと、それほど重要箇所ではありませんが、女の子に時計見せて時刻特定する所もちょっと無理がある気がします。 ところで、クイーンと同じ設定とのことですが、自分のペンネームと同名の有能探偵は書いてて照れくさくないのかな?有栖川さんはどちらのシリーズもワトソンポジションだからそうでもないだろうけど。 |
No.42 | 6点 | 邪魅 | |
(2017/03/07 19:06登録) オーソドックスな本格ミステリでした 耳栓に端を発する推理は、確かに良く考えるとそうだなとなりますね たとえそれが起こり得ないようなことだとしても、あの描写がある以上はそうでないと説明が付かなくなってしまいます そしてベッドの重さ、これを考慮すれば、複数犯以上であることは容易に想像が付きますからね 読者への挑戦状が示すように解くための手がかりはこれ以上ないくらい配置されていて好感が持てました ということで、プラス一点させていただきます |
No.41 | 5点 | 青い車 | |
(2016/01/28 18:24登録) この作品でもまだ作者は成長過程にあるといえると思います。トリックもストーリーも突出した部分はなく、生真面目でかっちりした造りではあるものの新味に欠けます。あと、やはりこのプロローグの小細工は蛇足でしょう。 実質的に法月警視を主人公に据えた最初で最後の作品であり、彼の心理描写はファンなら間違いなく楽しめる内容ではあります。家族というテーマや(あまり驚けはしなかったものの)終盤のどんでん返しは後の『一の悲劇』を思わせるところがあり、少なくとも読んで損はないと保証します。 |
No.40 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2015/10/23 03:12登録) 先達の「企み足跡」各作(特にやっぱり白い僧院)に較べると、謎と解決の複雑化は流石にきちんとキメてくれてるが、驚きや納得や感動と言ったよりホット部分ではむしろ少し弱まってるかな。日本人にありがちな事。 でも面白く読めたので問題無し。足跡トリックの発展に寄与したと思います。おなじみの青臭い文章もさして気にならず。 最後にネタバレを言うと、偶然を上手に使いましたね。 |
No.39 | 5点 | ロマン | |
(2015/10/20 14:33登録) 「法月綸太郎シリーズ」第一長篇。シリーズ作品は先に数冊読んでいたが、単なる探偵役に済まされない、法月親子の物語として意識される内容が新鮮だった。作風自体は異なるものの、全編に漂う空気には何処かデビュー作『密閉教室』と同様の肌触りも感じられる。ただ、流石にトリックに関しては古びてしまっているような印象も。媒体問わず様々な形で後継となる作品が出揃っている現代にあって、発展史を学ぶ以外にわざわざ読む意義がどれ程あるかは悩み所。構成に係る仕掛けも見破れてしまい、謎解きによるカタルシスは味わえなかった。伏線は丁寧。 |
No.38 | 5点 | アイス・コーヒー | |
(2014/06/14 18:59登録) 著者第二作にして名探偵・法月綸太郎初登場作。その名の通り「雪の密室」がテーマとなる。 トリックは定番中の定番であり、工夫は感じられるが驚きはない。ストーリーもまだまだ描き足りないところはあるように思った。新本格ならではの欠点が良く目立つ。 しかし、個人的には決して嫌いじゃない。法月警視の苦悩や、事件の裏にある暗い過去、そこから著者自身の苦悩が感じられて驚いた。あとがきにある「法月警視自身の事件」という副題が、ぴったりだ。「密閉教室」とはだいぶ印象が異なるものの、本作もまた作りこまれている。 他にも、真相に至るまでの論理や綸太郎の捜査手法など、見どころは多い。今後も法月氏の著作を読んでいきたい。 |
No.37 | 5点 | ボナンザ | |
(2014/04/08 01:35登録) 密閉教室に比べるとトリックは平凡だが、本格に挑む姿が固まってきたように思える。 |
No.36 | 5点 | メルカトル | |
(2014/02/21 22:25登録) 再読です。 確かに法月綸太郎シリーズの中では、特に本格志向の高い作品と言える。まあしかし、ストーリーといい、プロットといい、どうにも突出したものが見当たらない。それに加え、既視感のあるトリックは単純明快さはいいけれど、あっと驚くような要素がない。 ただ、本作では法月親子、特に法月警視ががんばっているのは読んでいて楽しい。その他の登場人物は特に目立った者はいないが、要所で幼女の香織が意外にも重要な役割を果たしているのは、とてもいいアイディアというか、ナイスな人選だったと思う。 しかし、総体的には至って普通の出来との印象が強く、凡作とまでは言わないが、特記すべき事柄があまりない。 シリーズ第一作ということで、他に見られるような、綸太郎の苦悩も垣間見えないし、気楽に楽しめばいい作品じゃないかな。 |
No.35 | 6点 | バード | |
(2013/06/19 11:48登録) そこまで複雑な構成でもなくわかりやすい、実はこれの前に誰彼と頼子のためにを読んでいたのだがその2つに比べ法月親父が頑張っているのが好印象だった。雪の足跡トリックもわかりやすかった。 しかし不満点を挙げるなら冒頭のシーンは露骨なミスリードであんな小細工は余計な気がした、さらに肝心の足跡トリックだが後ろ向きに歩いてついた足跡は警察にすぐ見破られるはずなので少し警察の怠慢プレーが目がついたのは残念。(まぁ作中では上から圧力をかけられていたから、という事か?) |
No.34 | 4点 | ayulifeman | |
(2012/04/04 21:26登録) 密閉教室を読み終え、法月綸太郎シリーズ初読書。今後の読書のためシリーズ最初の作品は読んでおこうと。 現在の夫、以前の夫とその弟、以前の夫の現在の妻、が登場し人間関係の把握に時間がかかった。 そしてその人間関係がスッと入ってこないので違和感を抱えたまま終わってしまった。 イマイチ。 次は「一の悲劇」いきます。順番じゃなくて大丈夫かな? |
No.33 | 7点 | まさむね | |
(2012/01/26 23:14登録) まさにタイトルどおりの内容。オーソドックスかつストレートな本格ミステリと言えます。私は楽しめましたよ。「読者への挑戦」は大好物だし,伏線もキッチリ。法月親子の描き方をはじめ,雰囲気も悪くなかったと思いますねぇ。 確かに,トリックとしては微妙な点もあります。しかし,私としては,判明した瞬間「嗚呼!その可能性に気付かなかった!不覚だ!」って気持ちの方が強かったので,まぁいいかなぁ…と。 こういう端正な本格モノへの個人的な想いにより,1点加点! |
No.32 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2012/01/17 08:41登録) 法月綸太郎シリーズの第1作目。プロローグからミスリードがあり、これに翻弄されてしまいました。雪の密室自体にそれほどの大胆さはありませんでしたが、しっかり本格していると思います。父親の法月警視の苦悩も、よく描かれています。この点が「一の悲劇」や「頼子のために」に続いていったのだと感じました。 |
No.31 | 2点 | モグ風 | |
(2011/12/02 11:54登録) タイトル名にそそられて読みました。 特に雪密室のトリックに興味があったのだが 肝心のトリックはくだらないし それ以外の内容に全く興味がわかなかった。 作風が自分に合わなかったみたいですね。 |
No.30 | 5点 | nukkam | |
(2011/09/11 13:50登録) (ネタバレなしです) 事件の悲劇性や犯罪に巻き込まれた人々の苦悩描写を強調するようになった後年の作品と比べると1989年に発表された法月綸太郎シリーズの第1作である本書は純粋な謎解き小説であり、物語の深みは求めようもありません。とはいえ本書の場合はそれが欠点とは思えず、むしろ気軽に謎解きを楽しめることが長所になっていると思います。「読者への挑戦状」を挿入しているだけあって、緻密に考えられた伏線に明快な推理と本格派推理小説としての完成度は高いです。ただそれでも(ネタバレ防止のため詳細を書けませんが)この真相は残念であります。 |