狂骨の夢 百鬼夜行シリーズ |
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作家 | 京極夏彦 |
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出版日 | 1995年05月 |
平均点 | 6.89点 |
書評数 | 55人 |
No.55 | 6点 | みりん | |
(2023/09/24 03:52登録) 皆様が『鵼の碑』を読んでいるであろう頃に自分はまだ狂骨の夢(´-ω-`) いや〜すごいねぇ…京極夏彦。1000ページほどあるのに1日半ほどで読み終えちゃったよ。しかし『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』に比べると蘊蓄部分のとっつきにくさと事件の真相の複雑さを感じました。作者自身は特にこのシリーズを推理小説だと思って執筆しているわけではないそうですが、今作の本格度はなかなか高いと思います。 相変わらず京極堂の推理力は神のレベルに達しているな。もしも「名探偵推理力トーナメント」があれば決勝で亜愛一郎を打ち負かして余裕で優勝するぞコイツ。 |
No.54 | 5点 | ミステリ初心者 | |
(2022/11/15 09:01登録) ネタバレをしております。 分冊版を買いました。3冊に及ぶ超大作でした…。正直、少し疲れましたね(笑)。 読み進めるたびに謎がどんどん増えてき、明らかに現実ではありえないような状況ばかりになります。すさまじく散らばっている謎たちが、はたしてうまく収束するのか不安でしたが、最後には一つにまとまっていくのが見事でした。 このシリーズは本格推理小説として捉えないほうが楽しめるとはおもいます。しかし、推理小説的要素が無いわけではありません。小説上朱美が一人のように見えて、実は二人という、よくみるオーソドックスな叙述トリックが使われておりました。思えば、大量のヒントがありました。私はこれに気づかずに悔しい思いをしました。登場人物たちは皆、宇多川と朱美の二人をにみていませんし、隣家の親切な夫人などは非常に怪しんでおりました。なのに、この叙述トリックがわかりませんでした(涙)。 1000年や500年に渡る悲願を果たそうとする人たち、父親の病を治そうとする人、勘違いで復讐をする人…。すさまじく多いイベントが絡み合って力作であると感じます。しかし、これらにはいまいち興味がそそられず、途中で読むのが苦痛に感じてしまった部分もありました。 また、前作や前々作と比べ、小説的な厚みは今作が一番ですが、やや質が異なってしまい、それが自分の好みと違ってしまいました。推理小説的な試みは前々作、圧倒的なインパクトとホラー感は前作にそれぞれにあり、それと比べると大分魅力が落ちてしまったように思えます。これは私の好みであり、今作のほうが好きという方も多いと思いますが。 あとは、私の好きな榎木津と関口の登場が少なかったのもやや不満でした。京極堂の関口に対する偉そうで辛辣な態度にもイライラします。 |
No.53 | 5点 | 雪の日 | |
(2022/03/30 18:38登録) 前作に比べるとインパクトに欠ける印象。私には難しい話でした |
No.52 | 8点 | 斎藤警部 | |
(2020/10/08 18:30登録) 「本当に前世の記憶だった訳だよ」 うっかりすると読者の記憶からこぼれてしまいそうな、こぼれ寿司の如くふんだんに盛られた内容を味わい尽くせばこりゃあ面白い一冊。 シリーズ先行二作に較べると、トリックや真相はきっちり枠の中で纏まっている一方で、物語背景の遠大過ぎる奇想ぶりにはフラフラします。バカミスにも通じる大胆爆走の力点置き所を一旦チェンジしたのですかね。 前半分強は作者らしい親切な冗長に溢れていたものの、全体として感じればこれは、長大なサイズに関わらず密度厳しくビシリと詰まった、えも言われずリッチな犯罪ファンタジー小説です。 もはや、叙述トリックではない。。。。 “ありとあらゆる幻想が次次と現実に姿を変えて行く。それがどう云う意味を持つのか、そんなことは全然解らなかったが、兎に角おお、と云いたかった。” いくつもある反転の中で、ひとつ際立ってブライトなやつ(道尾秀介みたい..)が出て来たのはちょっと笑っちゃったが、大きな救いになりました。 秘密の通路はルール違反とか、楽屋落ち的メタな物言いもポロポロあって可笑しかったなあ。 歌が、記憶ときほぐしの鍵を握っていたなんて、素敵な話です。。。。 と思っていたら!!。。 このへんは登場人物も作者も、余裕でさばいてる風ですな。 そしてこの、バッサリ来る、名エンディング。 |
No.51 | 9点 | じきる | |
(2020/08/23 18:20登録) 宗教学・民俗学・精神医学の要素が色濃い魅力的な世界観と、キレの良い伏線回収が織りなすカタルシスにどっぷり浸かることが出来た。 |
No.50 | 8点 | mediocrity | |
(2019/04/19 07:42登録) 面白かったがちょっと読み疲れた。文庫本で「たった」969ページの中にいくらなんでも内容を詰め込みすぎ。 テーマに魅力的な要素が多いこの本こそ、前後作以上の長い枚数が必要だったのではないかと感じた。 稀代の傑作になってたかもしれないのに残念な作品だ。 |
No.49 | 5点 | レッドキング | |
(2018/05/31 21:48登録) つまるところは場所錯視トリックね |
No.48 | 6点 | 文生 | |
(2017/11/10 14:57登録) 幻想的で不可思議な事件を魅力的なレギュラーキャラを交えながらムードたっぷりに描く手腕はさすがだが、それに対する真相がやや凡庸。ミステリー的な仕掛けも個人的にはデビュー作である「姑獲鳥の夏」がベストであり、作を重ねるごとにインパクトが薄くなっている印象を受ける。 |
No.47 | 6点 | 羊太郎次郎吉 | |
(2016/10/21 06:50登録) 降旗がいい感じに気持ち悪い。百鬼夜行シリーズに出てくるキャラは男の方が女よりウエットな気がする。ラストの朱美のセリフと行動が爽快。自分と自分の親のことしか考えられない男なんか捨てろ。 |
No.46 | 6点 | 風桜青紫 | |
(2016/07/16 01:47登録) なかなかの作品だが、前二作に比べるとスケールダウンか。真相もそこまで意外性のあるものではなかった。セックスと首無し死体なんて怪奇のお膳立てとしてはベタ中のベタだし、『姑獲鳥』と『魍魎』に比べると異様さがチープ。とはいっても、シリーズらしい面白さは健在なので6点は固い。 |
No.45 | 7点 | いいちこ | |
(2015/08/07 20:47登録) 前2作のファンタジックな世界観が影を潜め、よりリアリスティックな、いわば土着的な色彩が濃くなったためか、本格ミステリとしての性格を強めており、その点で嗜好にフィット。 登場人物・事件が丹念かつ網羅的に描写され、披露される衒学と事件が一体感を増していることから、これまで以上に「やたら長いが無駄が少ない」構成となっており、1個の読物としての完成度・リーダビリティは明らかに向上。 一方、提示された謎の怪奇性は抜群なのだが、事件をあまりにも複雑にしすぎたのが大きな難点。 こうした謎がすべて一点に収斂する解決は圧巻であり、伏線の回収の妙は以前にも増して見事ではあるのだが、真相があまりにも壮大すぎてリアリティに乏しく、無理筋の印象が非常に強い。 以上を総合すれば、世評では前2作に見劣ると言われているものの、互角以上の力作と評価 |
No.44 | 6点 | ボナンザ | |
(2014/04/07 22:50登録) 悪くはない。インパクトには欠けるが、十分読ませる。 |
No.43 | 8点 | HORNET | |
(2013/05/06 19:06登録) 「魍魎の匣」の直後だからその反動なのか、このシリーズの中ではあまりパッとしない評価の本書だが、私はシリーズの中でも全く遜色ない作品だと感じた。うまくいえないが前2作があまりにも特異で奇異な世界であったのに対し(それが京極作品の魅力ではあるのだが)、本作はやや現実感も伴うというか、泥臭いというか、横溝作品のような土着的な匂いも感じるような・・・そんな感じで本格的要素を色濃く感じた。それが京極作品らしさを欠くと感じられたのかもしれないが。 しかし「髑髏」をキーワードとした不可思議な現象の連続、現実と過去とが倒錯する不安定な磁場のような展開は「らしさ」を存分に発揮しており、ワールドは十分堪能できると感じる。トリック・結末も読者の範疇の度を越えているものではなく、そういう意味では本格ミステリとしても楽しめる作品だった。 |
No.42 | 6点 | TON2 | |
(2012/11/05 20:25登録) 講談社NOVELS 金色髑髏、真言立川流、南朝後醍醐天皇の末裔、古代の神タケミナカタノミコトの復活を図る神人、フロイトとユング、キリスト教の神・・・。 様々な謎がからみあい、最後に京極堂が憑き物をおとしてほぐしていくのが見事です。 ただ前2作に比べ、おなじみのメンバーたちの登場が遅く、この点がやや不満です。このシリーズは、奇矯な登場人物と、京極堂の薀蓄たっぷりの長口舌が面白いの名だと思います。 |
No.41 | 8点 | mohicant | |
(2012/10/24 22:02登録) 相変わらず高い完成度。真相にも度肝を抜かれた。同一人物の首を何度も切り落とすという状況。これを本格的に解決させる手腕はさすが。きれいな叙述トリックだった。 |
No.40 | 5点 | 大泉耕作 | |
(2012/06/02 20:58登録) 解決編に二百頁を要しており、やはり丁寧さは流石と唸らされ、なおかつ通常の作家との筆力の差は一目瞭然であり、それを一千頁も持続させ、しかも二カ月ほどで書きあげたというのだから並大抵のことでじゃあない。しかし・・・、前作の『魍魎』と比べてしまうとその差がついてしまう。一千ページを持たせるほどの展開と要素に欠けていた、と言ってしまえばそれまでですが、相変わらず漫画チックな登場人物が右往左往していることに読者が付き合わされていた感がしてしまう。 事件の真相自体は水準を越していると言えます。しかし、今回ばかりは荒唐無稽な「謎」が展開をせき止めてしまい、『姑獲鳥』や『魍魎』に見られた探偵小説味が薄らいでしまったような気がします。 筋合わせがこのシリーズの醍醐味的なモノなのですが、筋合わせは中々のものです。 |
No.39 | 5点 | 好兵衛 | |
(2011/04/24 02:09登録) キャラクターが増えてきますね。 京極氏のキャラクターは増えても増えても 皆味があるので、嬉しいです。 謎解きは大体予想がつくも、 全部とくことはまずむり (あの厚さ細かい点など) 予想不可能な謎は毎度のこと。 もう三作目ぐらいまでくると、 読んでいる人もかぎられてくるのでは? 以下評価参考 10~7 妖怪、ぺダントリー好き 京極氏のキャラクター 話しの語り口、雰囲気が好き。 京極氏ファン(もうやみつき)。 6~4 おどろおどろしい雰囲気を味わいつつ 謎、殺人もおまけ程度に欲しい人。 3~1 筋の通ったトリック、オチ。論理的な解釈結末 をこの作品にもとめてみる方。 本格を読むつもりで見る方。 読後感がシリーズの中でただいまトップ。 海の情景と女の人が爽やかで軽やか。 ここらへんからキャラクターの絡みがじわじわおもしろく。 超絶探偵が覚醒する。 |
No.38 | 6点 | ムラ | |
(2011/01/20 04:15登録) 前半パートが長く、京極堂の出番も無いからちょっと退屈してしまったけど、最後まで見ると必要な長さだったかな。問題編が間延びした分、解決編はすらすらと読めた。しかしそれでも、やっぱり前半をスムーズに進める事が出来ればという残念さが残る。 内容は幻想と現実が交互に顔見せるいっそう不思議な世界に仕上がっていました。個人的には前二作よりも幻想臭が強い気がする。トリックの内容も好き。最後の、朱美のセリフもなかなか。 これで京極堂の妖怪講座がもっとあれば満足だったが、まぁ仕方ない。 |
No.37 | 6点 | メルカトル | |
(2010/07/06 23:38登録) 百鬼夜行シリーズの中でも幻想色の濃い一作。 宗教に対するアプローチは、「鉄鼠の檻」よりも私には難解に感じられた。 それだけ読み難い印象なのである。 文体が私にはあまり合っていなかったせいもあるが、世間の評価が高いのはやや意外だった気もする。 |
No.36 | 8点 | E | |
(2009/03/29 14:46登録) 登場人物が錯誤する話だった。(其処がポイント) 最後の台詞が大好きだッ! |