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ミステリの祭典

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Yの悲劇
悲劇四部作

作家 エラリイ・クイーン
出版日1950年01月
平均点8.05点
書評数62人

No.62 4点 hsiyehmeipo
(2024/05/04 07:32登録)
ネタバレあり


大男の靴を身長150センチの中学生がはいたらパコパコでつま先だけの足跡はつかないような…
それにつま先立ちでかがんで歩くのもそんなに不自然な気はしないし…

Xの悲劇もそうだけど、よくわからない理由でドロリーレーンが秘密主義を貫いて結局不要な被害者を生んでたりするし、今回に限っては本人のよくわからない倫理観で犯人が死んで読後感もよくない。

祖父が作ったミステリーを盲目的に信じるというミスリードがあるとはいえ、身長ネタ一本のネタをそのミスリードでごまかしながら引き延ばした感じがして、間延び感もすごい。短編でいいような…。

Xの悲劇に続いて、名作と聞いていたのでちょっとがっかり。

No.61 8点 みりん
(2023/03/05 23:32登録)
人生で1番最初に読んだ長編推理小説。ラストがとても好み。

No.60 8点 じきる
(2021/04/19 14:41登録)
良い作品には間違いないが、ミステリとしての完成度ではXより一段落ちると感じた。

No.59 7点 Kingscorss
(2020/09/17 10:39登録)
エラリー・クイーンの最高傑作の一つ。一般的にはXの悲劇よりこちらの方が高評価ですが、個人的にはそこまでではなかったです… (Xの悲劇は最高評価しました!)

これは完全に個人的見解ですが、最初の卵酒事件ですぐ犯人がわかってしまい、第2の事件のルイザの証言が出た時、犯人確定(いや、あれは流石に犯人丸わかり)だと思いました。実際その通りでひねりもなく最後のどんでん返しを迎えたので、あまり驚きもせず、予想通りの結末を予定調和で読破しただけという感じになってしまいました…

いや、いくら勘の悪い人でも手記の内容が出た時点で完全に犯人のネタバレになると思います。あの手記が出た時点でもうどんでん返しが成り立たなくなってしまうんじゃないかと…

Xの悲劇と違い、読者を驚愕させようとしすぎて逆に、犯人の隠し方があまりうまくいかなかったのではないかと感じました。

ただ、ミステリー小説してはもちろん完成度が高い素晴らしい作品なので未読の人は是非読んでみて下さい!個人的には”それなり”にとどまりましたが、もしかしたら全く犯人わからず最後まで読み進み、超絶驚愕するかもしれません。

No.58 7点 ◇・・
(2020/02/29 10:55登録)
ドルリー・レーンという探偵の造形が古臭い。一番特徴的なのは、ラスト少し前に変装して、犯人をおびき出す場面。
確かに、純粋な謎解き脳内ゲームとしては良く出来ているし、面白い。ただクイーンの代表作と言われていることには違和感がある。
この作品は、中学生くらいの時に読むべき作品だと考えれば、最高の作品。その年代なら文句なく、語りで読者をミスリードしていくスタイルの面白さに驚くと思う。

No.57 6点 imnottheonlyone
(2019/02/21 12:06登録)
「傷んだ梨」ってミスディレクションとして機能するんだろうか?見え見えな気がするけど。

No.56 9点 ことは
(2019/01/31 18:53登録)
バニラの匂い、マンドリンが凶器など、そそられるガジェットが満載で、クイーンの生涯のテーマ「操り」の初出とか、注目点が盛りだくさん。
推理部分は今ひとつと思うけど、やっぱりこれは傑作。8点と迷うけど、9点で。

No.55 8点 虫暮部
(2019/01/24 11:23登録)
 1932年、EQは『ギリシア棺の秘密』『エジプト十字架の秘密』『Xの悲劇』という、パズラーのスタイルを規定するような端正な傑作群を発表し、同時にそのスタイルがまさに“スタイル”であることを逆手に取ったような或る意味セルフパロディの如き本書も上梓。あたかも右手で穴を掘りながら左手で埋めるような自由自在な自己対象化スタンスは驚嘆に値する。実はエラリー・クイーンって二人いたんじゃないの?

 第一幕第二場、“次は百合の花が凶器になるでしょうよ”って何。英語の慣用表現、それとも単なる意味無しジョーク?

No.54 6点 レッドキング
(2018/05/19 13:09登録)
十代のころ初読したときには衝撃をうけた 
時を経て二読三読して こんなもんだったのかと

No.53 8点 クリスティ再読
(2018/01/14 15:53登録)
XとかYとか本サイトに書き込むようになる直前に再々読くらいの感じで読んでたから、今さら書くのもややこしいから何だ...となってしまってたが、ちょっとネタも思いついたので書くことにしよう。

(失礼、結構バレます)
直前にヴァン・ダインの例の作品を読んでいたため気が付いたことでもあるのだが、あの作品の犯人は作中でちゃんと年齢が書かれていないのだけども、ハイティーンくらいと解釈するのもあながち不自然じゃないんだよね。で最〇の事件で〇〇者を装うとか、閉鎖された部屋とか、学習参考書とか、一般的なイメージ以上に、直接的な「いただき」なモチーフが多いように感じる。評者はトリックの特許先願争いみたいなものは不毛なスノビズムとしか感じないから、「それよりも小説の中にどれだけうまく埋め込めるかを競おうよ」と思うだけのことで、本作の方が元ネタよりもずっとうまく書けていることは間違いない。
で評者は実は、皆さんのクリスティの「〇〇〇〇家」に対する批評の辛さ、が気になるのだ。皆さんの大好きなクイーンの本作が「先行作の模倣」の要素がかなり大きい作品なのに、クリスティの「〇〇〇〇家」をそう咎めるのは、ダブル・スタンダードも甚だしいのではなかろうか。どっちか言えばクリスティの方の方が自分独自のテーマをいろいろと盛り込んだ、定型的でないモダンなミステリになっているように評者は見てるんだが....いかがなものだろうか。
というわけで、本作読むんなら、クリスティの「〇〇〇〇家」もトリック・マニアな視点じゃなくて、ちゃんと読んでもらいたいなぁ、と感じる。なので、評者は「〇〇〇〇家」よりも少し低い評点にしたいと思うのだ。
あ、あとどうせ読むなら、で今回は平井呈一の翻訳(講談社系)で読んだ。べらんめえなドルリー・レインというお楽しみ。古風な訳ではあるが、なかなかの名調子でドルリー・レインの自称が「小生」である。

こいつはのっけに一本、剣呑喰らったね、ハッタ―嬢。あいにくとね、小生、ちと妙癖がありましてね。(大久保康雄だと「いたみ入ります、ハッターさん。不幸にも私は妙な道楽がありましてね」)

いいなあ。日本語の豊かさを感得する翻訳である。このバーバラの形容として、「起居振舞にどことなく、暢達なリズムに近いものを身につけている」し、「この人の心の奥には、かんがりとした火が燃えていて、それが外面にほのかにさしいで」...と古風ながら実に味のある「創作性の強い訳」になっている。ホラーの教祖として言うまでもなく有名なのだが、平井呈一って凄いな。ただ本作だと今どき言葉狩りにひっかかる単語が連発になってしまうので、新しく出るわけがないから古本とか図書館で探すしかないだろう。原著の罪である。

No.52 9点 saino
(2017/12/21 23:56登録)
傑作は傑作なんですが、この作品の問題点は「13歳はそんなに子供なのか?」という点です。
この点は昔からよくつっこまれてます。
中学生だし、日本の江戸時代以前なら元服しているような年齢ですし、
試しに現代日本の13歳の平均身長を調べてみたら160cmでした。
とてもとても、この作品を読んだ時に連想するようなおチビさんではないですし、

行動も中学生でこんなバカな行動はとらないだろうなと思いました。
ちなみに現実では佐世保で起きた小学生の事件での小6女児はPCで入念に少年法を調べて自分がどれくらいの処置がされるかチェックした履歴があったそうです。

No.51 8点 文生
(2017/10/29 13:25登録)
クイーンらしいロジカルな推理と衝撃的な展開が楽しめる本格古典ミステリの名作。しかし、物語の構成上途中で犯人がバレバレになっており、世間で言うほど意外な犯人ではなくなってしまっている点が残念である。

No.50 8点 いいちこ
(2016/12/22 18:20登録)
薬物に関する造詣の深さや、緻密な犯行プロセスから知的な犯人像が窺われるところ、毒が混入された傷んだ梨、床にまき散らされたパウダー、凶器に選択されたマンドリンと弱すぎる殴打、甘いバニラの匂い、犯人のすべすべしたやわらかな頬など、チグハグな犯行プロセスを想起させる数々の伏線が、もやもやとした違和感を惹起する展開。
その違和感ゆえに、こうした伏線が一点に収斂する真相解明時のカタルシスは強い。
登場人物の造形がことごとくトリッキーすぎることが、犯人候補の限定に作用している点は、本作のわずかな瑕疵。
作者の抜きんでた構成力の高さ、プロットの完成度の高さを称賛せざるを得ない

No.49 8点 ボンボン
(2016/08/29 23:04登録)
『Xの悲劇』で作品世界や登場人物の説明が済んでいるので、スムーズに物語に入ることができて読みやすかった。私の感覚では、ミステリー的な驚きとしては、『Xの悲劇』の衝撃の方が大きかった。しかし、本作は、いつまでもあれやこれやと考えさせられることが多く、ずっと後を引くものがある。

〈ネタバレあり〉
終盤で犯人がついに脱線して、ありったけの毒を使った瞬間には、本当にゾッとした。
犯人が探偵と同等に論理的で、合理的で、捜査陣と知恵を競うように細工に腐心するという推理小説のファンタジーが破られる快感。
最後のドルリー・レーンの苦悩については、賛否ともに深く、人間の課題として永遠に正解は出ないだろう。あの食堂で何が起こったのか。一言一句確認して、どう読めるのか、延々と議論したくなる。
それにしても、レーンの焦らし方、情報の出し惜しみには、サム警視とともに身をよじる思いだ。もー、なんなの・・。

No.48 8点 風桜青紫
(2016/07/10 23:46登録)
館ミステリ好きの日本人の感性にあってるからか知らんが、過大評価されすぎてないか?……とは思うものの、やっぱり面白い。強固なロジックと意外な犯人像、そしてなんとも薄気味悪い後味。本格ミステリと称した作品が乱造されるこのご時世でも、クイーンが神聖視されるのも納得というものだろう。三島由紀夫がなんと言おうが、クイーンは純粋に面白いのである。

No.47 8点 ギョギョテンテ
(2016/04/04 13:10登録)
初めて読んだのは、13歳の時。その時の感想、「私ならもっと上手くやれる」。

No.46 10点 青い車
(2016/01/27 19:50登録)
 『X』で推理の美しさを極めたクイーンが、論理性と怪奇性をミックスしたことでひとつのピークを刻んだ名作。毒入りの梨、床に落ちたパウダー、凶器のマンドリン、そしてバニラの匂いと、奇妙なことづくめの事件の手掛かりはどれも秀逸で、推理により恐怖が増幅するという特異な構造の小説です。犯人の設定は今ではさほど意外ではないようですが、その動機の異常さと事件の構図には類例が見当たりません。『X』と『Y』どちらも傑作ですが、この二作が同じ年に書かれたというのはまさに偉業と言って差し支えないでしょう。

No.45 9点 tider-tiger
(2015/12/31 10:42登録)
少し前にXを読んで書評、昨日、Yを読了しました。
決定的な根拠をもってレーンは犯人を見抜くも、訳あってそれを秘したまま終盤になだれこみ、機を見ておもむろに真相開示。同じような構造ですが、ロジックの詰め方はXの方が小気味良く決まっているように思えました。ですが、私は物語としてYに軍配を上げます。
狂った血、どんな真相が隠されているのかがひどく興味深くて読み進めました。予想とはまるで違ったとんでもない真相で驚きました。
ただし、冷静に検討すると非常に瑕疵の多い作品でもあると思います。特に心理的な部分で。犯人の動機や心理についてほとんど触れられていなかったのは不満でしたが、ある意味正解でしょう。余計なことをすると墓穴を掘ることになりかねない危ういプロット。心理面をぼかすことによってどうにか成立しているように思えました。



以下 ネタバレあります。

特に気になった点。
なぜ、ばあさんはルイザばかりを溺愛したのか? この理由が解明され、物語に絡んでくるような展開を期待していましたが、そこは曖昧なまま。(瑕疵とまではいえないものの、個人的には気になりました)
ハッター家の連中がそこまで異常だとは思えませんでした。平常人の延長上として理解しうる範囲内。真犯人だけは唯一異常であるように思えるものの、その内面には踏み込まず。なぜ事件を起こしたのか。子供だからなのか、異常だからなのか? 
ルイザはなんで死ぬことになった?(なぜ作者はルイザを殺した?)
真相開示の場面を劇的に盛り上げるための道具(真犯人である可能性の一つ)にしたようにしか思えませんでした。こういう趣向は好かない。
まあ、そうはいっても、ひねりの効いた操りや犯人が自己制御不能になってゆく流れは圧巻ですし、犯人が殺害に失敗して失望していたという件は寒気がしました。
採点は8点かなと思っていましたが、最後の頁を読んで気が変わりました。レーンの行動は個人的にはとうてい支持できませんが、凄いラストであることは認めざるを得ませんね。
瑕疵多いが衝撃がそれを上回る傑作。主観では8点ですが、客観的な評価を採って9点とさせて頂きます。

それでは、みなさま良いお年をお迎え下さいませ。

No.44 10点 ロマン
(2015/10/20 12:04登録)
(ネタバレ)誰もが怪しいと思えるハッター家の奇異な人々。物語が進んで行くと犯人は絞れてくるのだが、なんとも後味が悪い。捜査が迷宮入りしていく中で犯人はいったいどんな気持ちでいたのだろうか。13歳という大人でも決して幼い子供でもない微妙な年齢の設定は見事だ。犯人の悲劇の結末は『誰にも』予期せぬことだったのだろうか。

No.43 8点 斎藤警部
(2015/08/27 20:48登録)
小学校の頃、学校の図書館で借りたジュヴナイル翻訳で初めて読みました。犯人は早い段階でピンと来てしまいましたが、それまでに味わった事の無い、なかなかにエキサイティングな読書体験でした。 ミステリ好きの大叔父に話したら嬉しそうな顔してたなあ。 今思えば、「初めて大人の推理小説を読破したぞ」と思った記念すべき本でしたね。 もちろん、この物語の背景に埋め込まれた奥深いところには気付きようも無かったわけですが。。

その後、中学に上がったばかりの頃読んだ「グリーン家殺人事件」。本作の師匠筋とされるその作品の方にすっかり心を奪われ、軍配はそちらの方に上がってしまいましたが、それでも本作は「グリーンズ」に無い空間的・時間的拡がりのイメージが豊かで、また別種の魅力を感じます。

薄暗い陰鬱な雰囲気の豪邸で繰り返される殺人劇、その根底に蠢いているはずの、外からは容易に見通せない歴史的因縁やら鬱屈した人間関係のこじれやら、そんなおぞましく呪わしいものを美味しく味わう方法、それを子供の私に教えてくれた一冊でしたね。
高校の時に創元推理文庫で再読し、理解の度合いの違いはともかく、やはり昔と同じくらいの感銘を受けたものです。

点数は「X」と同じ8点相当ですけど、こちらの方にはどうしても長々と語らせてしまう何事かが潜んでいるんだな。

しかしどうも初期の「エラリイ・クイーン」に何かしら軽いイメージが付き纏ってしまう私としては、本書は「バーナビィ・ロス代表作の一つ」と呼びたいですなぁ。 

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