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ミステリの祭典

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sainoさんの登録情報
平均点:9.00点 書評数:5件

プロフィール| 書評

No.5 9点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2020/02/25 00:22登録)
他にレビューされている方にも言いたいのだが、そもそも「ブラウン神父シリーズ」は「本格推理小説」ではない。チェスタトン氏の他の作品にも言える事だが、
基本的には「大人の為の誌的な寓話」であり、また「警句」「逆説」「宗教思想」「社会思想」をもちりばめた作品である。
はっきり言ってブラウン神父ものには現実には偶然の要素や実現不可能であろうトリックが多い。
また、ブラウン神父の推理過程にもほとんど想像が多く、決定的証拠が不足している。
そして、犯人への接し方・処遇も警察に突き出したり自首を薦めたりする事もなく徹底的に「こんな事はしてはいけない」と話し合うのみである。
彼は探偵ではなく、あくまで「宗教者」であり、犯人の心の闇を打ち払うのが使命である。
この、作品を本格推理小説を評価するように評価すべきではないと私は考える。
具体的な「作品に対してのコメント」でないっぽくてすいません。
ただし、トリックは確かに「宝庫」です。アレンジする事によって本格推理小説にも十分使えます。


No.4 9点 Yの悲劇
エラリイ・クイーン
(2017/12/21 23:56登録)
傑作は傑作なんですが、この作品の問題点は「13歳はそんなに子供なのか?」という点です。
この点は昔からよくつっこまれてます。
中学生だし、日本の江戸時代以前なら元服しているような年齢ですし、
試しに現代日本の13歳の平均身長を調べてみたら160cmでした。
とてもとても、この作品を読んだ時に連想するようなおチビさんではないですし、

行動も中学生でこんなバカな行動はとらないだろうなと思いました。
ちなみに現実では佐世保で起きた小学生の事件での小6女児はPCで入念に少年法を調べて自分がどれくらいの処置がされるかチェックした履歴があったそうです。


No.3 8点 ねじれた家
アガサ・クリスティー
(2017/12/21 17:56登録)
某作と比較されがちだが、その進化系と言える部分が評価できる。
それは某作では犯人の人格描写や探偵との会話がほとんどなかったのに対して、
この作品はそれが豊富だという事だ。
「影の薄い犯人」は正直、アンフェア気味なので、
きちっとその辺が描写されている本作はフェア度の高い作品と言っていい。

推理小説としての出来が某作より落ちるのは事実ではあるが
まあ、ミステリというよりはスリラー・サスペンス小説寄りな感じではある。
犯人がわかってからのラストは感動的で良い。
犯人と心の交流があった主人公たちの心情は察してあまりあるものがある。


No.2 9点 犯人のいない殺人の夜
東野圭吾
(2010/06/13 13:14登録)
粒ぞろいの良作です。一つとして劣った作品がありません。
個人的には「小さな故意の物語」の物語の迫真のクライマックスシーンがイチオシです。
あと「エンドレスナイト」の皮肉さが好きです。
「踊り子」「白い凶器」「犯人のいない夜」「さよならコーチ」いずれもミステリとしてもストーリー敵にも面白いです。

ただ、個人的には「闇の中の二人」は赤ちゃんが殺されるのが好きではないです。


No.1 10点 高校殺人事件
松本清張
(2010/06/13 13:04登録)
この作品の最大の魅力は最後の方に出てくる、少女探偵の魅力が最高なことだろう。
まさに「昔の女学生」という感じである。
普通は「てよだわ口調」や一人称のみで女性キャラを表現するのは低等なことなのかもしれないが、
ここまで完璧だとまさに芸の域かもしれない。

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