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[ 本格/新本格 ] 亜愛一郎の転倒 亜愛一郎シリーズ |
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泡坂妻夫 | 出版月: 1982年07月 | 平均: 7.41点 | 書評数: 22件 |
角川書店 1982年07月 |
角川書店 1986年11月 |
東京創元社 1997年06月 |
No.2 | 10点 | レイ・ブラッドベリへ | 2008/02/04 00:25 |
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〔掘出された童話〕
暗号をテーマとした「掘出された童話」は、前作「亜愛一郎の狼狽」所載の短編。 僕は暗号モノが特別好きなわけではないのだが、大層面白く思ったので、ここで感想を。 まず例によって構成がすごい。 物語の冒頭に、暗号の全文4ページが、「さあ解いて見ろ」といわんばかりにドーンと掲げられる。(「もりのさる おまつり の」)。 そして「一荷聡司(いちに さとし)は、面白い玩具に出会った」と、物語が開始する。 一荷は事あるごとに、この「消えるドクロ」の玩具を見せびらかすのだが、雑誌社の編集部でこれを見た探偵が、突然、目を白くして倒れかかる。 彼はこのとき、玩具の仕掛けを見破ると同時に、冒頭の暗号解読の手掛かりを得たのだ。 それから物語の進行と共に、(作者一流の手段による伏線として)次々に解読の手掛りが示されていく。 暗号文の綴りミス。暗号作者の経歴(!)。ひいては彼の吝嗇(りんしょく)という性格までもが、解読の手がかりとなる。(でもさすがにこの部分は、いささか強引という気もするのだが…)。 とにかく「読者への挑戦状」こそ無いが、まさしくこの物語は堂々たる「本格もの」として構成された一編であることがわかる。 〔本作の暗号について〕 これまでミステリで創案された暗号は、例えばポーのものは数字や記号を組合せたものであり、ドイルのものは、様々なポーズをとった「人形の絵」であった。だから暗号文自体に意味はなく、それを読んでも「ん? 何だ、これ?」としか思えないものが多かった。 ところが本作のものは「かな文字」で書かれた、きちんと意味の通る「童話」の体をなしている。それゆえ読者は、書かれている内容から意味を読み解こうとして、まんまと作者の仕掛けたワナに陥ることになる(のだと思う)。 次に、この暗号文が二重の構造となっていること。 「もりのさる」の暗号の構成に気づくと、そこにもうひとつの言語体系が浮かび上がる。 そしてこれは、「コードブック」を参照しないと解けないものなのだ。 このため解読の手がかりをつかんだ探偵は、しっかり図書館へ行って、このコードブックを調べている。 それから解決編で、この二重に構成された暗号文を読者に説明するため、作者は「もりのさる」にルビをふる。 なんという驚異! 泡坂氏は、ひらがなで書かれた「もりのさる」にカタカナの「読み仮名」(!)をふるのだ。 〔亜愛一郎の転倒〕 全8作中、亜愛一郎は、すべての物語で「ちゃんと」転んでいます。(笑)。 それから「砂我家の消失」では、旅先の宿で目を覚ますと、隣にあった家屋が消えているという謎を扱っています。 E・クイーンの作品と比べると(マジシャンでもある泡坂さんとは思えないような)「ちからワザ」の印象を受けましたが、これもまた一興なのでしょう。 |
No.1 | 9点 | Tetchy | 2007/10/30 19:10 |
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1作目よりもかなり好き!
1作目は理路整然としていたが、今回は泡坂氏特有の歪んだ論理が見られ、驚き指数は高い。 最後の「病人に刃物」は絶品だ! |