皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] 五つの箱の死 HM卿シリーズ |
|||
---|---|---|---|
カーター・ディクスン | 出版月: 1957年01月 | 平均: 4.88点 | 書評数: 8件 |
早川書房 1957年01月 |
早川書房 1957年04月 |
国書刊行会 2023年06月 |
No.8 | 5点 | ボナンザ | 2023/10/28 19:53 |
---|---|---|---|
ある意味シンプルなトリックだが・・・。ミステリアスな雰囲気と馬鹿馬鹿しい真相の組み合わせ、私は好きです。 |
No.7 | 4点 | クリスティ再読 | 2023/02/24 12:34 |
---|---|---|---|
西田政治訳カーの唯一の生き残り。「ワイルダー一家の失踪」やって気になっていた。いや「ワイルダー」悪くないじゃん?で訳者のあの評判が気になる...1989年の重版だから、そうそう入手困難なものでもなし。
結論を言えば、大変読みづらい。カーって原文も持って回ったようなところがあるようだが、訳文も持って回ってぱっと見で頭に入りづらい。悪評はなるほど。カーは腕のある訳者が必須だろう。 作品自体は、不可能興味とフーダニットを両立させようとしているんだが、この欲張った狙いのために、過度に技巧的な犯行計画にならざるを得なくなって、納得感がないのが問題。いやね、ホントはアリバイ物だと思うんだよ。素直にアリバイ物で再構築したら悪くなかったんだと思うんだけどもね.... あともう一点。評者はこのトリック、ありえないと思う。理由を述べるから、以下はネタバレごめん。 だってさ、ホワイトレディ。ジンとコアントローとレモンジュースで、白濁した見た目とスッキリが身上のショートカクテル。シェイクの技術練習台にもよく使われる。白濁はコアントローのオレンジ精油が冷えて出てくるのと、シェイクで空気を含ませるのと両方...だから手っ取り早くシェイクして冷やすのが肝要。それをさあ、3分間シェイカーに入れたまま「赤ん坊の泣き声の真似」とかで放置! ありえんよ。ショビショビの水っぽいのが飲みたいのかしら? (あと、ウィスキーのジンジャエール割を「ハイボール」と呼ぶのは、昔風らしい) |
No.6 | 5点 | レッドキング | 2021/03/01 23:01 |
---|---|---|---|
飲料毒混入の不可能トリック。①大容器に入った酒に毒は混入してなかった。②各グラスにも混入しておらず、③グラスに注がれる際にも混入は無かった。にも拘らず、酒を口にした全員に毒がまわった・・どうして?
昨日、4点採点したものの、書評に、このトリックはカーのオリジナルとあり、それ信じて、特許権の1点を加点。 ※仲間由紀恵「トリック」に、同じ物を口にした一族の一人だけが毒死するって話あったなあ。 |
No.5 | 4点 | 弾十六 | 2018/11/11 04:49 |
---|---|---|---|
JDC/CDファン評価★★★☆☆
H.M.第8作。1938年出版。HPBで読了。 名門校出だがパッとしないポラード再登場。キャラを書き分ける気がないJDC/CDなので印象に残りません。昔の事件への言及(ファンへの目くばせ)が所々にあり、でもそーゆーのって作家に焼きが回ってる感じで嫌な予感が… やっぱりな結末でした。 発端の異常なシチュエーションは良い、中盤の小ネタも良い。(五つの箱はワクワクしますよね) JDC/CDお馴染みの、偶然にも犯人が特定できない目撃証言とか重要容疑者が残した文書あたりから怪しくなって、全員集合!犯人はお前だ!で「?」、大ネタはズッコケ。(絶対、誰か気づくはず。警察の捜査能力も低すぎです…) これで良し!とする作者の神経って… まー実にJDC/CDらしいんですが。 トリヴィアは原文なしなので不発。 p51『船頭さん、岸辺へ着けて』p180『船頭、船を岸に着けよ』: 同じ歌だと思うのですが、何故違う訳に?(2018-11-19 追記) Pull for the Shore, Sailor (Philip Paul Bliss作 1873)でしょうか。タイタニック号の沈没時に歌われたらしいです… p146 クルーガー空気拳銃: Kluger, Kruger, Krugelで調べましたがヒットせず。 翻訳もセリフが古臭くて微妙な感じですが、作品自体がダメなので新訳は望めません。駄作でも全然オッケー!というコアなJDC/CDファン向け。 <ネタバレになるかも?> 家庭用のアレが普及したのは1930年代らしいです。1922年だとT型フォードの1.5倍の値段でした… |
No.4 | 5点 | nukkam | 2016/08/13 05:58 |
---|---|---|---|
(ネタバレなしです) 1938年出版のH・M卿シリーズ第8作の本格派推理小説です。同年には名作「ユダの窓」も発表されていますがまるで違うタイプの作品になっており、作者が好調期だったことをうかがわせます。異様な犯罪現場の雰囲気、不思議な品物の数々、奇妙な証言と序盤の謎づくりに関しては全作品中でもかなりの出来映えではないでしょうか。それなりに有名なトリックが使われていますしユーモアにも事欠きません。多くの読者や批評家から指摘されているように着地に失敗した感はありますが全体としてはまずまず楽しめました。 |
No.3 | 5点 | はっすー | 2016/02/23 00:20 |
---|---|---|---|
カーが好きだがこれは…アレをやるための作品としか…
毒殺トリックは当時としては画期的だったのかもしれないが今見ると平凡な印象 |
No.2 | 8点 | 了然和尚 | 2015/02/11 00:39 |
---|---|---|---|
一年に一回ぐらいはテレビの犯罪もので目にする、あの毒殺トリックはこのカーの作品が最初のようです。乱歩の類別トリック集成にも選ばれていました。
偶発的な出来事が多いとはいえ、すべての手がかりが示され、意外な犯人を推理可能な本格物でした。 毒を仕込む機会を考えると、別の人物が必然的に怪しくなるのですが、その線を丁寧に消しているのは、カーらしいと思いました。 |
No.1 | 3点 | kanamori | 2010/06/27 17:21 |
---|---|---|---|
本書は著者の全盛期に書かれた作品の中では一番の問題作(失敗作?)でしょう。
おそらく、意外な犯人像を突きつめていくうちに、このような設定を考えついたのではと思いますが、実際にH・M卿から真犯人を指摘されても、驚きより戸惑いのほうが大きかった。「えっ、それ誰?」という感じです。 「貴婦人として死す」の真犯人の設定は、この趣向を改良したものじゃないかと思います。 |