皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] パンチとジュディ HM卿シリーズ/旧題『パンチとジュデイ』 |
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カーター・ディクスン | 出版月: 1959年04月 | 平均: 4.50点 | 書評数: 6件 |
早川書房 1959年04月 |
早川書房 2004年03月 |
No.6 | 3点 | レッドキング | 2021/02/25 21:11 |
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「パンチとジュディ」ってドタバタ人形劇のことなのね。ドリフ大爆笑みたいなんかな。結婚前夜にH・M卿から怪しげな任務を命じられた元諜報員。殺人死体二体と偽札事件に出くわし、警官隊に追われて、女連れで逃げ惑うドタバタ劇を演じる羽目に。フー・ハウよりも、そもそも一体何が起こってたの?ホワットダニットだった。劇のカラクリ解体は鮮やかだが、早川文庫の二階堂黎人解説「カー初心者向け作品」てのには・・・大いに異議あり。 |
No.5 | 6点 | 雪 | 2019/11/21 03:10 |
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元英国情報部員ケンウッド・ブレイクは、婚約者イヴリン・チェインとの結婚式を前にして強引にヘンリー・メリヴェール卿に呼び出された。トーキーで待ち構えていた情報部長のH・Mと警察署長のOBチャーターズ大佐は、彼に元ドイツ・スパイ、ポール・ホウゲナウアの身辺を探るよう指示する。ホウゲナウアは情報部に、指名手配中の国際ブローカー「L」の正体を二千ポンドで明かそうと持ちかけてきたのだ。
途中で偽名のバレるアクシデントはあったもののとにかくモートン・アボットに辿り着いたケンだったが、なぜか早々と警察に拘束される羽目になってしまう。手違いからか当のH・Mとチャーターズが、ケンの逮捕命令を出したというのだ。イヴリンとの挙式は明日の午前十時半。こんなところで油を売っている暇は無い。 警官に化けてさっさと署から逃走するケン。追っ手を巻きながらようよう目的の屋敷を訪れるが、書斎で彼を待っていたのは肘掛椅子に腰掛けたまま笑っているホウゲナウアの毒殺死体だった・・・ 「一角獣殺人事件」に続くケンとイヴリンのスクリューボール・コメディ。1936年発表。なかなか面白い作品ですが、作者に頭を掴まれ反対方向を向かされて、強制的に突っ走らされる展開には拒否感を持つ人もいるでしょう。以前書評した「首のない女」よりもはるかに嫌らしく、初読の際にはなにがなにやら分からない。しかし読み返すと事件の連続でテンポも良く、作者の語りの上手さを感じさせます。 警官に引き続き今度は牧師に扮装。駆け付けたイヴリンの助けで背広に着替えたのちにホテルの窓から泥棒まがいの侵入、ギロチン窓の恐怖、第二の死体の発見、偽札を使用して逮捕されかかり知人の助けで救出と、混乱の連続。笑わせる最後のオチも良く効いていてよろしい。 ただ変則的な構成に加えミステリとしては前作に比べると弱いかなと。ドタバタ騒ぎの中に手掛かりを仕込むいつもの手ですが、今回それほど冴えてはいません。ストーリーテリングで勝負する型の作品です。 |
No.4 | 6点 | 弾十六 | 2018/11/03 23:52 |
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JCD/CDファン評価★★★☆☆
H.M.第5作。1936年出版。HPB(1959)で読みました。 当時の国際情勢を反映したようなスパイ・スリラーかと思ったら不運なスコットランド人ケンが酷い目にあう冒険ドタバタ劇。結構起伏に富んでいて楽しい読書でした。ネタには皆さんガッカリされているようですがJDC/CDとしては上手く扱っている方だと思います。 原文が手に入らなかったので調査が全く行き届いていませんがトリヴィアです。 p170 そしてメクリン教会の塔から半の時鉦が鳴り渡った/そしてジョリスが沈黙を破った、『まだ時間はある!』: 何かの詩?らしいのですがわかりませんでした。 p174 アンニイ ローリイ: Annie Laurie 詞William Douglas 曲Alicia Scott(1834/5) The song is also known as "Maxwelton Braes". p201 『オイ、気取り屋』H.M.は引用した。: 何の引用か不明。 (2018-11-11追記) And from Mecheln church-steeple we heard the half-chime, So, Joris broke silence with, ‘Yet there is time!'’ How They Brought the Good News from Ghent to Aix a poem by Robert Browning (Dramatic Romances and Lyrics, 1845) かなり有名な詩らしいですね。 |
No.3 | 5点 | nukkam | 2015/02/27 14:22 |
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(ネタバレなしです) 1936年発表のH・M卿シリーズ第5作で、前作の「一角獣殺人事件」(1935年)同様、ケンウッド(ケン)・ブレイクの冒険談的な要素が非常に強い作品です。次々に展開が目まぐるしく変わり、ピンチに次ぐピンチをケンがどうやってくぐり抜けるのか全く目が放せません。但し本格派推理小説としては出来があまり良くないのが難点。最大の問題点は10章と11章で、死体が遠く離れた場所に瞬間移動したかのような魅力的な謎が10章で提示されたと思ったら11章であまりにもお粗末なオチだったのには本当にがっかりさせられました。H・M卿が一人一人に誰が犯人かを推理させる終盤の場面なんかは謎解きのスリリングに満ち溢れているのですが、私にとってはあまりにも中盤の落胆度が大きかったです(それでも好きな作家なのでおまけして5点評価しちゃいますが)。 |
No.2 | 4点 | kanamori | 2010/06/27 16:43 |
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本書は前作「一角獣殺人事件」の後日譚になっていて、陸軍情報部が絡む冒険スリラー風の物語です。
元情報部員のブレイクなど登場人物も前作と重なり、彼の一人称でドタバタ・コメデイを描きながら、全体の構図に仕掛けを施していますが、不可能興味のない凡作となってしまいました。 最後のH・M卿の行動は愉快で、事前に伏線が張られていたのはさすがですが。 |
No.1 | 3点 | Tetchy | 2008/08/30 18:56 |
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題名の「パンチとジュディ」はドタバタ喜劇の人形劇の名前に由来する。つまり物語のメインの設定である“L”の正体探しは実は実体のない事件だったということを現している。
つまり、今回のカーがこの作品でやりたかった仕掛けは物語の設定自体がトリックだったというものだが、それがために色々盛り込みすぎて、つくり過ぎたという感が否めない。 作中で扱われている遠距離で起きた2つのストリキニーネによる毒殺の謎が非常に魅力的なのに、これがなんと真相としては単に物語の添え物に過ぎないというのに驚いた。 作品の力の入れどころを間違えているようにしか思えないんだけど・・・。 |