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[ 短編集(分類不能) ] ポオ小説全集2 創元推理文庫 |
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エドガー・アラン・ポー | 出版月: 1974年06月 | 平均: 6.40点 | 書評数: 5件 |
東京創元社 1974年06月 |
No.5 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2020/07/29 19:46 |
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ポオ小説全集4冊の再読完了。結構時間がかかりました。やはり全体的には難解なものが多かったという印象です。
①ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語 7点 冒険譚で楽しめましたが終わり方に?マーク ②沈黙 5点 岩に書かれた文字が変わる? 理解力不足でよくわかりません(苦笑)。余談~沼地の睡蓮(スイレン)とありますが蓮(ハス)の誤りだと思います。 ③ジューリアス・ロドマンの日記 5点 本作は中編ですが、プロットが似ている冒険譚(短篇)がありましたね。 ④群集の人 6点 何ということがないストーリーなのですが、不気味。これも難解。 ⑤煙に巻く 6点 ユーモア系 マニアほど騙しやすい? ⑥チビのフランス人は、なぜ手に吊繃帯をしているのか? 6点 コント風 題名の理由が笑えます。 |
No.4 | 8点 | クリスティ再読 | 2020/01/22 16:40 |
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「ゴードン・ピム」の巻である。質+量でやはり代表作に思う。これでもかこれでもか、のサービス精神旺盛な怪奇冒険譚。デテールの魔。中絶みたいな終わり方が、変な想像を誘う。最後の方の「文字」に関する考察とか、わけがわからないて割り切れないのが良さと思うんだ。テケリ・リはやはり白い毛の奇妙な獣の名前なんだろうか。何が忌まわしいんだろうか?わからない。わからないから、いい。なぜ手記があるんだろう。わからない。ラヴクラフトも「ゴードン・ピム」から韜晦を学んだんじゃないかな。
「ジューリアス・ロドマンの日記」は「ゴードン・ピム」の北米大陸横断版みたいなもの。こっちは抑制的な筆致がいい。とくに大したことが起きてないのが困るけど。 「群衆の人」はやはり事件のないミステリ。何も起きないのに不穏。 でおまけのボードレールによる「エドガー・ポオ その生涯と作品」はなかなか鋭い考察なんだけど、小林秀雄の訳が古すぎ。何とかした方がいいと思うよ。詩人が詩人を語った文章だから、一筋縄ではいかないし。 ポオの酩酊は、一つの記憶法、労作の一方式、その情熱に相応わしい断乎たる致命的方式であったと私は信じるのである。 この「記憶法」という言い回しに膝を打つ。 |
No.3 | 6点 | ∠渉 | 2015/07/17 21:06 |
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やっぱりピムの冒険かな。これがむちゃくちゃ退廃的な冒険小説。なんか中絶しちゃうのもわかる気が。むちゃくちゃ好きだけどね。 |
No.2 | 7点 | おっさん | 2011/03/19 13:05 |
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ミステリの楽しみを共有できることを信じて・・・いつものように書きます。
<全集1>が21篇を収録していたのに対して、本巻の収録作は―― 1.ナンタケット島のアーサー・ゴードン・ピムの物語 2.沈黙 3.ジューリアス・ロドマンの日記 4.群衆の人 5.煙に巻く 6.チビのフランス人は、なぜ手に吊繃帯をしているのか? 全ページの半分以上を占めるのが、主人公が密航していた船で叛乱がおき、船は漂流をはじめ・・・という海洋冒険小説が後半、南極を舞台にした幻想小説にスライドする1。異様な迫力に満ちていますが、統一感はなく、結末も尻切れとんぼです(その未完成感が後続を刺激するのか、ラヴクラフトやジュール・ヴェルヌがこの“続編”を書いています)。 同じく道中記にカテゴライズできる3(副題は、文明人によってなしとげられたる最初の北アメリカ・ロッキー山脈横断の記録)も、中編サイズの力作ですが、これまたストーリーなかばで中絶したようなエンディング。 この2作を読むと、やはりポオは生粋の短編職人で、長い話の構成力は無かったのかな、と思わせられます。ともに、主人公を次々と危機が襲う、そのエピソードは面白いのですが、肝心の旅の終わり(物語の解決部)に何もカタルシスが無いのは、物足りません。 また、文章の密度に関しても、計算違いがあるような。とくに1に顕著なのですが、長めのお話ということで、従来以上に説明的な文章をこと細かに盛り込むサービスぶりで、必然的にひとつの段落が長くなっています。長編の“面積”を短編(以上)の“密度”で埋められたら・・・リーダビリティはあがらないし、読んでいて疲れるだけです(学生の頃は、背伸びしてましたから、その“重厚さ”を有難がってたようなw)。 完成度は、残る4作のほうが上です。 異界のアフリカで、悪霊が神をしりぞける、ファンタスティックな寓話の2、ユーモア系の5と6(ベタなオチの後者より、シニカルな前者が好み)、そして白眉は、都市型ミステリ(にして心理的ホラー)の雛型といえる4でしょう。 初読時より、この「群衆の人」の不気味さがはるかに増して感じられることに、驚かされました。風俗的な描写は古びても、属性の集合体として群衆をとらえ、そこから匿名の個人をクローズアップする狙いと効果は、いささかも古びていない、どころか、きわめて現代的(いまの作家であれば、問題の人物を、老人ではなく青年に設定するか?)。1840年の作ですが、普遍性という点では、ポオの数ある傑作のなかでも、屈指のものだと思います。 |
No.1 | 5点 | mini | 2009/07/01 09:50 |
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発売中の早川ミステリマガジン8月号は、ポー生誕200周年特集
便乗企画とは言え一応本家ポーの書評も書かないとね 創元文庫の全集は単純に各短編を発表順に並べて全4巻に分けただけ 世界最初の探偵小説「モルグ街」が第3巻目収録だから、ミステリー作品は第3巻と4巻に収録されてるだけという理屈になるが、「モルグ街」以前の作品しか収録されていない第1巻と2巻にはミステリー的な作品は無いのか? 第1巻には「メルツェルの将棋指し」が収録されていたが第2巻はどうか? 第2巻はやや特殊で、ポー唯一の長編である「ゴードン・ピムの物語」が全体のページ数の半分以上を占めるので、第2巻はミステリー読者には最も無用な巻ということになる しかし全く用無しというわけでもないのは「群集の人」という短編が含まれているからだ 「群集の人」は昔から一部のファンの間でも、”事件無き探偵小説”との声がある作である これをミステリーと呼ぶにはちょっと拡大解釈が必要だが、ポーのミステリー作品で纏めた今年の新潮文庫の新刊でも、「群集の人」をあえて入れてあったので、ファンの間では知られていたんだな |