皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 名探偵に甘美なる死を 〈竜泉家の一族〉シリーズ |
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| 方丈貴恵 | 出版月: 2022年01月 | 平均: 7.41点 | 書評数: 17件 |
![]() 東京創元社 2022年01月 |
![]() 東京創元社 2024年05月 |
| No.17 | 10点 | E-BANKER | 2025/10/11 12:30 |
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| 「時空旅行者の砂時計」「孤島の来訪者」に続く、「竜泉家シリーズ」の掉尾を飾る?三作目。
私としては、異例の早さでシリーズものを読み切ることになりました(たった三作ですが)。 単行本は2022年の発表。 ~「犯人役を演じてもらいたい」と世界有数のゲーム会社・メガロドンソフトからの依頼で、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、その中には「幽世島」の事件に関わった竜泉佑樹もいた。だがイベントは、探偵と人質にされたその家族や恋人の命を賭けた殺戮ゲームへ変貌を遂げる。大切な人と自身の命を守るには、VR空間と現実の両方で起きる殺人事件を解明するしかない! 次々と繰り出されるトリックと鮮やかなロジックが圧倒の、『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に連なる〈竜泉家の一族〉三部作~ 本作の評点は「10点」か「1点」の二択。読了後そう感じた。 「1点」の理由→とにかく複雑すぎる! 前二作では「タイムトラベルと旧家のドロドロ連続殺人」「マレヒトという異形の存在と絶海の孤島の連続殺人」といういずれも「新しさ」と「古さ」を並立させてきた作者。今回は、「VR空間・アバター」と「館もの」という「新しさ」と「古さ」のふたつを出してきた。 で、問題はVR空間とアバターを使った各種トリック。リアルとVRを行き来するところにトリックが仕掛けらているわけだけど、読み手の私はもう、頭の中がゴチャゴチャ。探偵役の加茂の説明を聞いても、「エッ?、エッ?」と何度思ったことか・・・ 特殊設定、ここに極まれりという状況の中で、あまり信憑性とかアラ探しをしても意味はないのかもしれないけれど、コレを完璧に理解しようと思うと、多大なる労力と時間を要すると思われる。 作者の作品に対しては、これまで何回も「伏線の分かりやすさ」に言及してきたけれど、本作の場合、もはや伏線なんていったいいくら仕掛けられているのか想像もつかない。果たして、破綻なく伏線は回収されているのだろうか? というように、もしミステリ初心者の方が本作を読んだら、「もう二度と読まない」なんていうアレルギーすら起こしかねないレベルだ。 「10点」の理由→これはもう、「複雑すぎる」とか「理解不能の動機」などという読者の矮小な批判を超えたレベルの作品、という判断。 こんな設定、プロット、トリック、その他モロモロ・・・よく考えたよなあー もはや神レベルである。組み上げた複雑さは史上最高レベルのミステリだろうと思う(個人的感想ですが) しかも「三部作」。エピローグには三部作のラストに相応しいラストも用意されている。 いやいや・・・もう脱帽。他のミステリ作家ならどう感じるのだろう? 羨望なのか罵倒なのか、無視なのか・・・ もしも。もしも私がミステリ作家なら、あまりのレベチに「放心」・・・のように思える。 ということで、多少迷いましたが、超久々に「10点」です。これは本作単体というよりシリーズ三作まとめてということと、作者への敬意を表してという意味で。 ミステリは方向性はともかく、やはり「驚き」は必要なのだと再認識しました。 |
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| No.16 | 5点 | JIDAMA | 2024/12/31 10:30 |
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| There is a challenge inserted for the reader, but I don't think it will be possible to solve it. | |||
| No.15 | 3点 | makomako | 2024/10/24 18:58 |
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| 本格推理がパズルを解くようなトリックのみに興味を示す方にとっては、評価が高いのでしょうが、あまりにも人殺しをゲームとしてのみ扱って楽しいもんだろうかとちょっとでも感じるものにとっては、読むのが苦痛となりそうです。
三部作としてだんだんゲーム感覚が進化してきていると思いますが、ここまでなると私の感覚からするといやだなあ。 これを楽しむには殺される人にも愛する人がいて家族がいてなどとは考えてはいけないのでしょう。 私には全くあいませんでした。 |
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| No.14 | 7点 | レッドキング | 2024/09/29 22:38 |
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| 現実の館と仮想の館。生身の人間とバーチャル分身アバター。大掛かりなゲームシステムで繋いだ二元空間を並走する、企画的な密室連続殺人。見事な館内図構成と鮮やかな真相解明ロジック。三種・・気圧トリック(いまいち)、ドールハウストリック(Very Good !)、二元設定トリック(まあまあ)・・の密室トリックを解体する、滑る様な伏線回収が心地よい。 | |||
| No.13 | 10点 | のぶゆき | 2024/09/21 10:46 |
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| 「首無の如き祟るもの」以来の衝撃的トリック! 1ヶ月考えても分からす、答えを見て驚きました。これ、答えを分かった人はいるの? SFミステリーの金字塔になると思う。 | |||
| No.12 | 8点 | hsiyehmeipo | 2024/09/13 06:29 |
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| 特殊設定ならではのトリックで面白かった。竜泉家シリーズで一番面白い。 | |||
| No.11 | 6点 | パメル | 2024/07/12 19:17 |
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| 加茂冬馬は、大手ゲーム会社・メガロドンソフトから、大ヒットしたミステリゲームの続編の制作協力を依頼される。そしてイベント試遊会で犯人役を務めることになる。イベント試遊会は、孤島にある保養所メガロドン荘で開催され、冬馬を含む8人の素人探偵が集められた。しかし、それは罠で邪悪なデス・ゲームへと変貌する。
8人のプレイヤーは、探偵役、犯人役、執行役の3つの役割に割り振られる。首謀者であるゲームマスターの手足となる執行役がいることが事態をより複雑にする。探偵役と犯人役の攻防は、多重解決ものの体裁を取っており、常に推理が飛び交う様子が描かれていて読ませる。 VR空間と現実空間を頻繁に行き来する複雑な構成を持った本作は、VR空間ならではの条件やVR装置の特性なども謎と関わっていて、フーダニット重視のミステリでありながら、倒叙ミステリとしての魅力も兼ね備えている。手掛かりもさりげない事象が終盤近くで謎解きに使われるなど感心させられる。 |
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| No.10 | 5点 | ALFA | 2024/05/25 07:21 |
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| 特殊設定そのものは精緻で面白い。一方ミステリーとしては密室トリックを含めて驚きはない。謎解きが、特殊設定の妙を味わう単なる道具になっている。
まあ、ファンならシリーズとしての楽しみはあるかもしれないが。 この作者では「アミュレット・ホテル」あたりがミステリーと特殊設定の馴染みがよく楽しめた。 |
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| No.9 | 4点 | zuso | 2024/05/22 21:19 |
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| 8人の素人探偵がプレイヤーとしてメガロドン荘に集められた。現実世界のメガロドン荘とVR空間の傀儡館を特別なルールのもとで行き来して、その両方で殺人が起こる。プレイヤーたちは、大切な人と自分の命をかけ、殺人事件の謎を解明しなければならない。
設定自体は魅力的だが、かなり複雑でややこしいし、詰め込みすぎに思えた。特殊ルールの説明も、小出しに行われるためアンフェアに感じてしまった。 |
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| No.8 | 8点 | 蟷螂の斧 | 2023/09/24 12:36 |
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| 再度、ミステリーを読むきっかけとなった「インシテミル」のような展開。そして「現実世界」と「VR空間」を行き来するという特殊設定。二つの世界で密室殺人が発生。その謎を解かなければ現実の「死」が待っている。VRならではのトリックが秀逸です。ただ、その密室自体は古典にあるバカミス的なものでした(笑)。惜しいところは、後半の謎解きがやや複雑で難解な点ですね。ラスト、主人公と犯人とのやり取りが意外とあっさりし過ぎと感じたが、エピローグで納得。これは前作の2冊を読んでいないとピンとこないかも。 | |||
| No.7 | 9点 | 点と点 | 2023/08/30 18:04 |
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| 1作目と2作目でネタを使い果たしたのではないかという疑念。しかし3作目でも方丈は期待にしっかり応える。複雑で難解な設定を理解したご褒美に必ず瞠目の仕掛けを用意している。
そりゃあごく一部の変な奴からしかウケないわけだ。 |
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| No.6 | 9点 | mozart | 2023/07/25 15:03 |
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| シリーズ三作目とのこと、某作家の某シリーズで順番を間違えたことを激しく後悔したので今回は順番に読み進めました(余り影響はなかったですが)。本作もなかなか凝った「特殊設定」でした。「執行人」とかの設定もユニークで緊迫した展開にも目が離せなくなって一気読みしました。読後感も良かったです。
「特殊設定」はある意味作家からすると便利なのかも知れませんが読者を納得させるためにはその設定の意義というか物語のコアとしての位置づけに相当工夫しなければならず、その意味でも本作者の優れた才能には感服します。 |
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| No.5 | 10点 | ひとこと | 2023/06/13 23:20 |
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| いや凄すぎでしょこの密室トリック カーが生きていたら嫉妬するんじゃない? | |||
| No.4 | 9点 | みりん | 2023/06/02 17:45 |
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| 「時空旅行者の砂時計」「孤島の来訪者」に続く竜泉家の一族シリーズ第三弾。今作に限っては絶対に前2作品を読んでからにしましょう。
毎度作者の発想力には驚愕してしまう。今回も魅力的なキャラクターであるマイスター・ホラの挑戦状が付いていますが、「いや、こんなの当てられるわけないだろう」と同時に「逆にこんなのどうやったら思いつくの?」というトリック×2で大満足でした。 【ネタバレ】 ラストの犯人の改心があまりに唐突で少しガッカリしていたら、なんとエピローグでとんでもない事実が明かされる。「孤島の来訪者」では果たしてシリーズ物にする意味があるのだろうかと書いてしまったが撤回したい。竜泉家の一族シリーズの4作目が出たら発売日に購入するだろうなあというくらいに楽しみなシリーズになってしまった。 |
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| No.3 | 10点 | 密室とアリバイ | 2023/05/10 19:38 |
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| 時空旅行者でタイムトラベル 孤島の来訪者で未知の生命体 そして今作は仮想現実 全てにそれぞれの良さがあり甲乙つけ難い。
レビュー数が少ないので少し心配になるが、次作以降で作者・シリーズ共に注目度が上がることを期待。このシリーズはもっと続いてほしい |
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| No.2 | 4点 | 虫暮部 | 2022/03/24 12:16 |
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| ごちゃごちゃし過ぎ。それも “読み解くのが楽しい複雑さ” とはちょっと違うんだよなぁ。
VRだからこそ成立するトリック、と言うアイデアはまぁいい。 復讐者側が何故こんな回りくどいやり方をしたのか、色々説明しているが結局よく判らなかった。特に、グレーゾーンには踏み込みつつも “嘘は吐いていない” とフェアプレイに固執する理由(更なる上位者が居てフェアプレイを強要されているのかな……なんて思ったんだけど)。 第九章。ライトを使うトリックはダミーとはいえ酷い。穴の真下にライトがぶら下がるんだから物を落としようがないだろう。 |
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| No.1 | 9点 | sophia | 2022/02/09 18:41 |
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| VRゲームと現実世界の両方を舞台にした、全く新しい最先端の館ものミステリー。「インシテミル」のようなデスゲームものが好きな人へも是非お勧めします。使われる数々のトリックは「そんなの分かるわけないだろう」と怒ってもいいレベルのぶっ飛んだものなのですが、怒らずに済むのは考え抜かれた二つの館の構造やさり気なく出されている数字など、伏線に対する感心が勝るからなのです。ゲームのルールは複雑で、ゲームマスターの気分による後付けルールも続出します。こういう頭を使う凝った作品は本来ページがなかなか進まないものですが、ほぼ一気に読まされてしまいました。
なお本作はシリーズ第3作ですが、第1作と第2作の主人公が共演するという、夢のような(?)作品となっています。二人に最大限に感情移入するために是非第1作から読んでいただきたいと思います。 |
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