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[ 本格/新本格 ]
メルカトル悪人狩り
メルカトル鮎シリーズ
麻耶雄嵩 出版月: 2021年09月 平均: 6.00点 書評数: 10件

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講談社
2021年09月

講談社
2023年10月

No.10 6点 mozart 2023/07/28 11:16
久々に銘探偵メルカトル鮎を堪能しました。ちょっと「毒」が薄く感じられるのは慣れてしまったからかも。とは言っても「メルカトル式捜査法」には「脱帽」させられました。

No.9 8点 E-BANKER 2023/06/10 13:02
メルカトル鮎登場!! それだけでもうワクワクする、という感覚なのだ。
今どき、シルクハットを被った礼装の男なんて、周りからみたら奇人変人にしか見えんだろうに・・・(実際変人ではあるけれど)。
2021年の発表。

①「愛護精神」=こんな条件だけで、メルカトルの推理どおりに本当になるのか? なります。フィクションですから。ケチをつけたら、作者からこんなふうに言われそう・・・。でも、普通こんな考えで殺して、〇めようなんて思わないでしょ!
②「水曜日と金曜日が嫌い」=山陰地方の田舎道で道に迷った美袋。さまよった先に忽然と現れた白亜の洋館・・・なんて、こんなこと起こるのか? って、起こります。フィクションですから・・・。うーん。今回もメルカトル登場であっという間に事件は解決。解決するんだけど、結局犯人(または被害者)は登場してないじゃないか? まあまあ・・・しょせんフィクションだからね。
③「不要不急」=コロナ禍での一幕。まさに「一幕」。
④「名探偵の自筆調書」=いかにもメルカトルらしい「一幕」。まさに「一幕」。
⑤「囁くもの」=これも山陰。鳥取の旧家が舞台。急遽一夜を過ごすことになった旧家で発生した殺人事件。しかし、これもメルカトルがさっさと片付けてしまう。決め手は「ガムの跡」。なのだが、すべてをメルカトルが予見していたなんて、そりゃないだろう? あります。だってフィクションですから・・・
⑥「メルカトル・ナイト」=これも奇妙な設定、奇妙な事件だ。身辺警護のために雇ったのがメルカトルなのだが、嵐の夜、リゾートホテルの一室から結局は転落してしまう。真相は・・・最初から分かってた?
⑦「天女五衰」=部隊は天女伝説が残る天橋立。天女の幻影を見たという美袋の体験から始まる事件なのだが、これも真相までほぼ一直線。すべての伏線をあっという間に回収して、解決! でも死体を宅配便で送るのは今のご時世、かなり無理があるのでは?
⑧「メルカトル式捜査法」=病明けで調子の出ないメルカトルが静養に行ったはずの乗鞍の別荘で殺人事件に遭遇する。この「病明けで調子が出ない」ことまでが伏線になっている・・・なんて無駄のない! で、最後に明かされる真犯人はなんと! 非登〇人〇! これはスゲエ

以上8編。
いやいや、久々に作者らしさ全開のミステリーを堪能させていただきました。
やはり、メルカトルは特別な存在なのだなぁーという思いとともに、こんな無駄のない短編は初めて読んだように思う。
「シンプルisベスト」とは言うが、ここまで削ぎ落さなくてもいいだろ!っていうくらい無駄がない。事件が発生すれば、関係者にちょこっと話を聞き、ちょこっと捜査をすれば、即座に真相解明に移っていく。
まぁこれは「神様」にも通じているのかもしれないけど、こんな作品を成立させられるのは、他にはなかなかいないだろう。ということで、高評価。
(個人的ベストは不思議な感覚になる⑥。あとは、⑦→⑧の順)

No.8 4点 いいちこ 2023/04/11 16:07
著者の作品を散々読んできた者として、執筆意図は理解できるし、それに意味がないとも思わないが、作品として面白いかどうかは別の話。
同工異曲と比べれば、相当に、非常に強く、見劣りすると言わざるを得ない

No.7 5点 ボナンザ 2022/12/22 23:29
相変わらずやりたい放題だが、最初の頃のようなインパクトはどうしても薄くなるか。
弦チェレの方は中々単行本になりませんな・・・。

No.6 7点 メルカトル 2022/01/01 23:00
悪徳銘探偵メルカトル鮎に持ち込まれた「命を狙われているかもしれない」という有名作家からの調査依頼。“殺人へのカウントダウン”を匂わせるように毎日届く謎のトランプが意味するものとは? 助手の作家、美袋三条との推理が冴えわたる「メルカトル・ナイト」をはじめ、不可解な殺人事件を独自の論理で切り崩す「メルカトル式捜査法」など、驚愕の結末が待ち受ける傑作短篇集!
Amazon内容紹介より。

これは言わばメルカトルファンのための一冊ではないかと思います。彼にしか解決できない事件、彼ならではの推理法、偶然をも必然に変えてしまう銘探偵の宿命などを楽しめばそれで良いのではないかと。確かにメルカトル鮎が見ている世界が我々凡人には見えないのかも知れません、だからと言って本シリーズを突き放してしまうのは、如何にも勿体ない気がします。

個人的に好きなのは想像の斜め上を行く反転が味わえる『メルカトル・ナイト』、シンプルながらよく考えられている上に解り易い『愛護精神』が好きです。『水曜日と金曜日が嫌い』は『7人の名探偵』で既読であったにもかかわらず、初出一覧を見るまで気付かなかった自分の記憶力の無さにつくづく嫌気が差した作品。でも意外と面白かったですよ、残念な事に。こんなのを忘れているとは麻耶ファン失格ですね。
まあしかし、得体の知れない怪人メルカトル鮎の人間らしいところがささやか乍ら見え隠れしている、好編が揃った作品集だと思います。最後の『メルカトル式操作法』はメルの疲れ切った姿が見れてラッキーでしたし。どちらかと言えば読者を選ぶ一冊でしょうが、シリーズ入門編としては格好の短編集ではないでしょうか。しかし、美袋君も並みの人物じゃないなあ。

No.5 6点 まさむね 2021/12/19 17:47
 メルカトル鮎の魅力?を味わえる短編集(掌編も含む)。
 個人的なベストは、最も”らしい”作品である「メルカトル式捜査法」。独自すぎる論理をどう捉えるか、ということにはなるのでしょうが。それと、掌編「不要不急」も何気に好き。メルカトル鮎が言うからこその、社会派的なオチがいい。

No.4 5点 HORNET 2021/12/12 20:10
 本格ミステリとメタミステリとお遊び的趣向とを行き来しているような、作者らしいシリーズ短編集。
 事件の様相を描く段から真相推理までが一足飛びで(まぁそれがメルの天才ぶりを描いているのだが)、「水曜日と金曜日が嫌い」なんかはちょっと安っぽく感じてしまった。
 よかったのはラスト2作「天女の五衰」と「メルカトル式操作法」。前者は本格的な短編、後者は一番メルカトル鮎らしい一作。

No.3 7点 虫暮部 2021/11/03 15:25
 突出した傑作は見当たらないものの、シリーズに期待されているものをきちんと引き受けた作品集。それはつまり、奇想を“いい塩梅”でまとめずに、行くところまで行くぜ、と言うことだ。
 
 伝聞の“~らしい”が頻出するのは気に障った。しかし、カギカッコの台詞なら嘘もあり得るが、地の文の“~らしい”は事実、ってことで情報の正確さを担保している?
「水曜日と金曜日が嫌い」は、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』で“四重奏団”があまり生かされていない、との私の不満に応えてくれたかのよう。で、アンソロジー本『7人の名探偵』での初出から“大鏡→大栗”と名前が変更されてるんだよね。元ネタがあまりにも通じなかったか。
 “イケメン”と“ハンサム”はどう違う? “ドリカム編成”なんて今も言うのだろうか(伏線かと疑ってしまった→男1人は不祥事で脱退してるじゃないですか)。題名を使った駄洒落はいらないと思う。

No.2 6点 レッドキング 2021/10/02 22:44
「残念ながら私は長編には向かない探偵なんだよ」・・・そりゃあ、あんたが非人間的なまでに事件を即解決しちゃうから、長編浪漫に絡めなかったからだよ。あと、キャラ的に・・・。
が、この拾遺+新作短編集のメルカトル、何か「丸くなった」は、言い過ぎだが、従来の「悪人(悪人狩りどころか)」から多少は人間的な顔を見せるようになり・・そこで、どうせなら、麻耶には是非に新作長編を期待したく。
個人的には、御陵みかげ(初代)過去事件帳の超ブラック物を所望。

「愛護精神」・・何故に愛犬は殺されたのかのトンデモ展開・・ブラックファルスかな。
「水曜日と金曜日が嫌い」・・長編には向かない探偵なの分るが、あの黒マント死体消失トリックメインに長編こしらえてほしかった。でも、もう一つ、中~大ネタと捻りが必要かなあ・・。
「囁くもの」・・移動した椅子とアリバイのロジックが見所。にしてもメルカトル、銘探偵どころか神探偵の可能性さえ匂わせて・・舌の火傷の仕込みネタもほしく。
「メルカトル・ナイト」・・美人作家から一夜(ナイト)の警護騎士(ナイト)依頼を受けたメルカトル。依頼者の死は防げず・・にも拘らず本来の目的は達成し・・。
「天女五衰」・・麻耶風「樽」「黒いトランク」短編版。これも長編にするには、もう一ネタ一捻り必要かな。
「メルカトル式捜査法」・・麻耶十八番のアリバイ時間ロジック。でーもメルカトル、何か心身共々弱気になり、霊の意志を受けた霊媒探偵の匂いまで仄めかし・・。

※この新作本の帯に「夏と冬の奏鳴曲」新装版の広告があった。表紙画の舞奈桐璃、おおこれだ!て久しぶりに血が沸いた。あの表紙だけのために絶対買おう。

No.1 6点 じきる 2021/09/25 14:09
良くも悪くもファンブック的な作品集。例によってかなりのトンデモ論理なので、メルカトルはこういう存在なんだと割り切って読めない場合は楽しめないかも。


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麻耶雄嵩
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