皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 青春ミステリ ] 友達以上探偵未満 |
|||
---|---|---|---|
麻耶雄嵩 | 出版月: 2018年03月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 9件 |
KADOKAWA 2018年03月 |
KADOKAWA 2020年11月 |
No.9 | 5点 | E-BANKER | 2024/10/06 14:18 |
---|---|---|---|
これは・・・麻耶雄嵩版のラノベなのだろうか・・・
なぜか三重県伊賀市を舞台にしたふたりの女子高生を主人公とした連作短編集。 単行本は2018年の発表。 ①「伊賀の里殺人事件」=「犯人当て」の趣向も取り入れた一編目。「伊賀」といえば、当然「忍者」とそして「松尾芭蕉」。ということで、忍者と芭蕉のコスプレ(!)をするイベントで発生した殺人事件。なんと、芭蕉の俳句の「見立て殺人」などの要素も盛り込んでいるんだけど、メインテーマは「広義の密室」と作者お得意の「細かいアリバイ」。でも、うーん。そんなに面白くない、ような・・・ ②「夢うつつ殺人事件」=今度の舞台は高校内の美術室。美術室内で部員の殺人事件が発生するんだけど、これにも「広義の密室」問題がある。①と同様、「犯人当て」の趣向はあるんだけど、最後はあまりにもアッサリと真犯人が指摘される。でも、うーん。そんなに面白くない。 ③「夏の合宿殺人事件」=今回は打って変わって、ふたりの主人公の出会いから始まり、中学校の文芸部時代にあった夏合宿で発生した殺人事件が舞台。つまり「過去の話」である。合宿所建物のどん詰まりの部屋で発見された死体、となるとやはり今回も「広義の密室」がテーマとなる。今回は「もも」と「あお」の推理対決のすえ、思わぬ真犯人が指摘されることに・・・。でも、うーん。今回はマズマズというところか。 以上3編。 「麻耶雄嵩」・・・三重県上野市(現、伊賀市)出身。知らなかった。ついに生まれ故郷を舞台に作品を書いたわけか・・・。市長にでもタイアップを頼まれたのか? まあそれはいいとして。本作。イタイです。麻耶雄嵩もいい年のオッサン。オッサンが女子高生コンビのミステリーを書くなんて無謀すぎる。③ではふたりの過去を描いて、人物面の肉付けを図ろうとしているけれど、特段成功していない。 ①②③とも作者らしいロジックこそ盛り込まれているけれど、如何せん練りこみ不足、迫力不足、なにより作品としての熱量不足。まあライトなミステリーを目指しました、ということなら仕方ないけど、作者のファンは本作のようなベクトル作品は求めていないような気が・・・ 作品ごとに思いもよらぬ趣向や仕掛けを産み出す作者なので、一概に否定する気はありませんが、本作を持ち上げる要素はない、かな。 ということで、「麻耶雄嵩」を欲している読者であっても、本作はスルーしてまったく問題ないでしょう。 (敢えていうなら③がベスト、ではあるが・・・) |
No.8 | 5点 | ボナンザ | 2021/08/18 13:27 |
---|---|---|---|
麻耶作品としてはややインパクトに欠けるが、それぞれの短編はフーダニットとしては優秀。 |
No.7 | 5点 | じきる | 2021/03/26 07:16 |
---|---|---|---|
ロジック重視の二篇と、探偵とワトソン役をテーマにした一篇から成る短編集。この作者にしては刺激が足りないのは否めないか。 |
No.6 | 6点 | レッドキング | 2020/01/09 21:31 |
---|---|---|---|
女高生探偵物なので「夏と冬の奏鳴曲」「痾」のヒロイン:舞奈桐璃を期待したが、その魅力はなかった。が、表紙イラストから危惧した劣化ラノベミステリではなく、麻耶はあくまで麻耶であった。麻耶ではあったが作品集全体としては3~4点。
だが、「世界は、観察者である探偵と、観察される群衆と、ワトソン役でできている。」・・この言葉、探偵が己の孤独を癒す媚薬としての「ワトソン君」ではなく、「第一人称」「第三人称」による完結幻想を批判する他者=「第二人称」としてのワトソン役を要請した麻耶雄嵩の「ミステリ哲学」と過大評価して、2~3点オマケ付けちゃう。 |
No.5 | 4点 | いいちこ | 2019/07/28 14:23 |
---|---|---|---|
各短編にはややスムーズさを欠き、無理が感じられる部分もあるものの、本格ミステリとしてそんなにデキが悪い訳ではない。
ただ、それらを1個の作品として見た時に、「オーソドックスではあるが平凡」と映るのである。 悪いところはないのだが、尖った、エッジの効いたところもまたない。 著者への期待感が高すぎるが故に、この評価 |
No.4 | 7点 | 青い車 | 2019/01/28 20:47 |
---|---|---|---|
他の麻耶短編集と比べてチャレンジ性のある試みやアクの強さは控えめです。強いていえば女子高生コンビというキャッチーな設定が工夫といえますが、それでも大人しく刺激に欠けるのは否めません。とはいえ、三つのどの短編でも随所で人を喰ったひねりや入り組んだロジックが散りばめられているのは作者らしくて見事です。 |
No.3 | 5点 | まさむね | 2019/01/25 22:02 |
---|---|---|---|
3篇から成る短編集。うち2篇は読者への挑戦状付きで、正統派のフーダニット作品と言えましょう。偶然性が強すぎるといった印象も受けつつ、なかなか面白い真相もあって、全体としては嫌いではないです。
でも、なぜなのだろう。どんどん読み進めようという意欲が、それほど湧かなかったのですよねぇ。女子高生名探偵「桃青コンビ」の設定のせいなのか、私の作者に対する勝手な印象のせいなのか…。 |
No.2 | 5点 | mozart | 2018/08/19 13:16 |
---|---|---|---|
久々に麻耶作品を手にしました。収録された3作品とも割と真っ当なフーダニットものと言った感じです。いずれも私のような年寄りには俄に頭に入って来ない筋立て(特に「夢うつつ~」)がいかにも麻耶作品らしいと言えなくもないのですが、仕掛けの「破壊力」のようなものを期待すると肩透かしを食らうことなるでしょうね。探偵役のあおと「探偵未満」のももが主人公なのですが、二人がJC時代の「夏の合宿~」におけるあおのももに対する見方の変化が、ある意味著者のユニークなミステリー観の一端を表しているのかも知れません。
それにしても、探偵未満とは言えワトソンではないのだからももにもう少し点数の高い推理をさせてやっても良いんじゃないでしょうかねぇ。 |
No.1 | 3点 | 虫暮部 | 2018/04/24 11:46 |
---|---|---|---|
この作者が“問題作”を期待されるのはもはや宿命なのである。“登場人物がごちゃごちゃしてミステリ的な軸になるアイデアがあまり生きていない”とか言う以前に、“何かフツーだな~”と感じる時点で麻耶雄嵩作品としては物足りないのである。今まで出来不出来の波はあれどその志がブレたことはなかった筈。どうしちゃったのか。“相生初唯”というネーミングが本書一番のヒット、だなんて言いたくないよ! |