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[ 本格/新本格 ]
medium 霊媒探偵城塚翡翠
城塚翡翠シリーズ
相沢沙呼 出版月: 2019年09月 平均: 7.63点 書評数: 30件

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講談社
2019年09月

講談社
2021年09月

No.10 7点 パメル 2020/08/02 08:38
本ミス1位、このミス1位、本屋大賞にもノミネート、帯の「すべてが伏線」という惹句に綾辻行人氏、有栖川有栖氏も絶賛、そして何よりこのサイトでの評価がとても高いということで、文庫化まで待つことは出来ませんでした。
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎と死者の言葉を伝えることが出来る霊媒師の城塚翡翠が力を合わせて事件に立ち向かう。設定にSF的趣向があり、ラノベ風な雰囲気があるので読者を選ぶかもしれない。
香月史郎と城塚翡翠が事件を解決するたびに、インタールードという幕間のようなシーンが差し挟まれる構成になっている。キャラクターが苦手で、あまり楽しめないなと読み進めていたが、最終話でそれまでのストーリーの印象が見事なまでにひっくり返るような衝撃的な真相が待っていた。ヒロインのキャラクターだけでなく、各話の事件の解決に至る推理までもが鮮やかに違うものに変化するというのには驚かされた。

No.9 10点 mimsk 2020/07/24 00:15
相沢さん、、、さすがです。
期待して読み始めて裏切られた(いい意味で)
まさに「やられた」の一言につきるどんでん返し。
おもしろすぎた。
登場人物もすごく魅力的だったからこその、という感じ
リビング3周歩き回って落ち着けたレベルで衝撃だった

No.8 8点 蟷螂の斧 2020/03/24 10:32
久しぶりに「どんでん返し」を食らいました(笑)。正直言って、途中まではつまらない期待外れの小説と思っての読書。何故って、犯人が霊媒能力で分かってしまうんですから。まあ、倒叙ものだと思って読めばいいか・・・。しかし、推理も甘いしなあ・・・・・・。ところが最終章で???!!!。

No.7 9点 sophia 2020/03/17 21:12
翡翠タンハアハア・・・じゃなくて、
これは究極のリドルストーリーですね。読者は騙されたのか否かすら判然としません。前3章を別アプローチで振り返る構成にしびれました。香月と翡翠の関係性には、今村昌弘の「屍人荘の殺人」シリーズの葉村譲と剣崎比留子の関係性を重ね合わせて読みました。それ故に最終章は衝撃的でしたよ。ラブコメ要素がちょっとあるだけでラノベだ何だと批判する読者へのアンチテーゼのようにも感じました。

No.6 8点 メルカトル 2020/01/30 23:01
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた―。
『BOOK』データベースより。

完敗(乾杯)です。これは久しぶりに凄いものを読んでしまった気がします。三冠は伊達ではなく、それまで日常の謎を主に書いてきた作者が初めて真っ向から本格ミステリに挑んだ力作で、もう最高傑作と言っても過言ではないと思います。『マツリカ・マトリョシカ』と並ぶ相沢紗呼の代表作になるのは間違いないでしょう。
途中までは割と普通かなという印象しかありませんでしたが、丁寧に読まないとつい伏線を見逃してしまいます。まさに伏線だらけ、後から思えば、ですけどね。


【ネタバレ】


これから先は、既読の方か終生本作を読まないと自分に誓える方のみ読んでください。読む予定の人、読むかも知れない人は絶対スルーしてください。後悔しても責任は負いかねます。


【ネタバレ】の【ネタバレ】


本当に良いんですね?
私は早い段階で作者の目論見を見破りました。と勝手に独り悦に入っていた自分の馬鹿さ加減を呪いたいくらい、愚かさで胸がいっぱいになりましたよ。おそらくそれは作者も織り込み済みであったのだと思います。更にその先に新たな地平線が待ち受けていたとは、予想もしませんでした。まだページ数が残っているが・・・と嫌な予感がしなかった訳ではないですが、それにしてもこれは。最後まで読んでしまった方、まだ大丈夫です。今からでも遅くはありません、本格ミステリ・ファン必読ですよ。

No.5 9点 名探偵ジャパン 2020/01/02 21:57
相沢沙呼、やっちまったなぁ~!(笑)
後半に出てくる「日常の謎」に対しての登場人物の言葉。あれを書きたかっただけなのでは?(笑)「このミステリがすごい」「本格ミステリベスト10」の二冠を取ってしまったのは、ついでです(違います)
これまで、こつこつと「日常の謎」「青春ミステリ」と呼ばれるジャンルを書き続けてきた作者が、初めて殺人事件を扱ったミステリを出したら大ヒットですよ。二冠王ですよ。人生なにが起きるかわからないものですな。
相変わらず、読んでいてムカムカする(文章が下手という意味でなくて)キャラクター造形は健在(?)ですが、ラストで「ああ、ムカムカしていてよかった」と痛快に思いますよ(?)(また別の意味で「ムカムカする」可能性もあるかもですが……)

No.4 8点 HORNET 2020/01/02 19:17
 ラスト前までの各章は、確かにそれなりに面白くはあるが「各ランキングで1位を獲るほどか?」と思っていた。が、最終章を読んだら納得。この仕組み方は・・・新鮮だった。
 メインの「連続死体遺棄事件」の真犯人は後半で分かり、「ああ、そういうパターンね・・・」と思っていたが、それを上回る仕掛けに見事にやられた。

 とても楽しめた。

No.3 7点 まさむね 2019/12/26 23:51
 総合的に見て、精緻に組み立てられた良作であると思います。「解明の解明」とでも言うべきシーンは新鮮で圧巻でした。現時点における作者の最高傑作と言えましょう。本年の本ミス&このミスにおいて第1位を獲得したことも肯けるし、巷での「翡翠萌え」的な評も分からないではありません。
 この作家さんの作品は、鮎川哲也賞受賞作「午前零時のサンドリオン」からポチポチ読み続けていて、なかなか達者な作家さんだなぁ…と感じつつも、その後の作品を追っていくうちに「日常の謎系青春ミステリしか書かないのは何故?思春期の微妙な心の動きを繰り返し読まされるのは辛いのだけれど…」といった印象に変化し、しかしながら最近の「マツリカ・マトリョシカ」はミステリとしてもなかなかの好作品であったので、まぁ、何を言いたいのかといえば、紆余曲折がありつつも「今後一皮むけそう」という期待が高かったのです。本作については、内容は勿論のこと、作者にとっては(おそらく)初めて「殺人」を扱っており、作者の確実な進化を感じられたことが、まずは嬉しかったです。進化しつつも「フトモモ愛」は不変。このこだわり(?)も嫌いじゃない。
【以下、未読の方はご注意を】
 とはいえ、ワガママと知りつつも、率直な感想を申し上げれば「帯に書かれているコメントだとか(余計な)周辺情報がない状態で読みたかったなぁ…」。作家さんは何も悪くないのだけれど、個人的には絶妙に損をした気持ち。
 三話目までのユルさ(これも作品として重要ではあるのだが)と、巷の評価の高さとのギャップ、そして何よりも帯の余計な文言等々から、作品のポイントの一つは容易に想像がつきます。想像しやすいだけに「これだけで終わるはずはない。もう一段は何か?」と考えてしまうダメな自分がいたりします。で、表紙が…ねぇ。薄々感じるモノがありますよね。したがって、「驚き」という面では、個人的にはそうでもなかった。すみません。ただ、真っ白な状態で読めば、もっと楽しめただろうなぁ…という我が儘を言いたかっただけなのです。繰り返しになりますが、すみません。

No.2 8点 人並由真 2019/11/07 17:31
(ネタバレなし)
 若手ミステリ作家の香月史郎は縁があってここ数年、警視庁捜査一課に協力していた。そんな香月は、高級マンションに仕事場を構える霊媒師・城塚翡翠(じょうづか ひすい)に会いたいという、大学の後輩・倉持結花に同道。超美人の翡翠と対面する。やがて翡翠の語るいわくありげな予言と関連するかのように、殺人事件が発生。香月は翡翠ともに、その殺人事件の捜査に加わるが。

 連続短編集っぽい仕様で語られる長編作品で、作者が作者だけにあれこれ思いながら読む。それで仕掛けの一部は予想がつく部分もないではないが、クライマックス、作者が何を狙うのかを認めた時には顔色を失った。もうこの作品についてはこれ以上、あんまり何も言わない方がいい。

 今年の国内の新作は現時点で50本以上読んでるけど、現状のマイベスト3には確実に入るであろう。

No.1 7点 yoshi 2019/09/15 20:19
この作家は作品に個人的性癖を感じてしまってあまり好みではないのだが、これは面白かった。
正直三話目までは微妙な感じで、キャラのあざとさとロジックの貧弱さにがっかりしていたのだが、最終話に入って一気に良作に変化。キャラのあざとさも計算のうちだったとわかって納得。


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相沢沙呼
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