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[ 本格/新本格 ]
消失!
中西智明 出版月: 1990年10月 平均: 6.50点 書評数: 30件

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講談社
1990年10月

講談社
1993年07月

講談社
2007年10月

No.30 8点 葉月 2020/12/20 23:24
この一冊で“消失!”してしまったのはやっぱり惜しいですね。第1のトリックは読んでいてわかりましたし、文章も非常に読みづらい。それでもこの作品はニ番目のトリックだけでもこの点数に見合う価値はあるのかなあと。自分としては最初のトリックがわかっただけに、騙されたときの悔しさも大きかったです。

No.29 6点 レッドキング 2018/06/27 07:28
不思議な作品だった 自分にも分かるくらいに稚拙な表現の叙述トリックで もっと洗練された表現力のある小説家が描いていればすごいアイデアの傑作だったかもしれない でも この作者については これ一作で「消失」して別に惜しくない

No.28 6点 パメル 2017/09/10 01:06
今現在の採点が2点から10点と幅広い評価を受けている作品
好き嫌いがはっきりする作品だとは思うが、個人的には絶賛するほどではないと思う反面、酷評するほどでもないといった感想
違和感はあると思いながらも、不可解な消失と事件の真相は看破できなかったのも事実
再読すると所々に散りばめられた伏線や、巧みなミスディレクションが使われているのがわかる
一種の叙述トリックだと思うが、単なる叙述トリックにおさまらない鮮やかさに驚かされる

No.27 7点 sophia 2017/06/19 23:44
久々に騙されました。違和感はずっとあったのですが、ユカの隣のベッドのおばさんの独白を挿入して読者の思い込みを補強する手段などは上手いと思います。
ただ、終盤までややコミカルな調子で話が進んできたので、読後感がこんなに悪いものになるとは思いませんでした。少なくとも探偵社パートだけはハッピーエンドにしてほしかった気がします。
それに他の方も書いていますが、ストーリーテリングの粗さがありますね。第二章の「2 裕二」の最後にある犯人の独白は、あそこに挟むのはアンフェアなのでは?「ふたりが部屋を出ていくと」はちょっと駄目でしょう。場面が離れすぎています。また、第三章の初めの「別人」の章は、あそこをそんなに思わせぶりに書く必要があったのでしょうか。
ただ、文章そのものに関してはまあまあ読みやすいですし、登場人物の心理描写も上手いと思います。

No.26 7点 名探偵ジャパン 2017/04/07 23:16
凝った趣向の快作でした。
「犯人と死体の消失」「三つの事件」この二つが最後に結びつく瞬間は、なかなか心地よい快感がありました。
ただ、「綾辻・有栖川復刊セレクション」に入っている自作解説で作者は、「本書の眼目は、昨今はやりの叙述トリック――読者だけがだまされるトリック――ではありません」と書いていますが、そんなことはないでしょう。被害者(「者」と書くとアンフェアでしょうか?)のマリーに対して作中人物が「カノジョ」と言ったり、ユカが自分の髪をマリーと対比させてみたり、マリーが「ほほえむ」と書いたり。地の文で明らかに読者を意識しての、メタレベルでの叙述を仕掛けています。
ある作中人物が、読者と同じレベルで騙されていた、と終盤分かるのですが、そのことを指しているのだとしたら、やはり違うのではないでしょうか? 作者の言葉を借りるなら、本作も立派な「ショッカー型叙述トリック」なのではないかと思います。非難しているのではなく、それは別に悪いことではありません。
ただひとつ、最初の事件で床に倒れた被害者(「者」と書くと以下略)を「死骸」や「死体」とはっきりと地の文で書いている箇所があります。これだけはちょっと気になりました。
色々と書いてしまいましたが、しかし、本作が驚きに満ちた傑作であることに疑いがないことを、最後に付け加えておきます。

No.25 10点 群衆の人 2017/03/18 18:17
※ややネタバレ

ミッシング・リンクテーマの純本格ミステリ、というのは実はほとんど作例がない。大量殺人の合理的な説明など普通はあり得ないからだ。異常殺人者を推理で当てる「スリラー+本格物」のかたちになるのが通例である。だがこの作品は徹底して「本格物」。事件の異常さよりも展開の意外性よりも本格物として徹底することをテーマとし、それを達成している。京極、西澤、倉知等多くの作家がその後もミッシング・リンク本格に挑んだが過去作の凝ったバリエーションにしかならなかったことを思うと、この達成はまさに奇跡である。前半にちりばめられた遊びが余りにマニアックで一般読者には飛ばし読みされかねない点がやや気になるが、後半、無関連に見えていた多くの事実が結びつけられ真相へ至る鮮やかさはまさに本格ミステリの真髄。犯人から見れば特異な被害者、被害者側から見れば節操なき生き方の報い(あんな生活をしていればいつかヤバイ奴に出会うのは当り前である)、と偶然必然が重ね合わせなのも巧妙。特異な偶然がトリックを形成し、だがそれは推理可能な必然でもあったとわかるのだ。完全無欠な論証なんてあり得ない、と断言する探偵役の姿は、合理的かつ独創的なトリックにしか「真相」を決定する力はない、と結論した作者自身の姿に違いない。このプロットは奇想ではない。到達である。これ以上のミッシング・リンク本格はもう出ないだろう。

No.24 6点 ボナンザ 2017/03/18 10:22
馬鹿ミスの典型例。ひたすら意外性を追求する展開と申し訳程度の伏線は確実に賛否両論でしょう。

No.23 3点 いいちこ 2015/11/02 14:27
ストーリーテリングの拙劣さは特筆すべきレベルだが、サプライズの演出に徹したミステリパズルと考えれば、棚上げにしてもよい。
問題は3つのトリックとプロット。
1つ目のトリックは、不自然極まりない叙述により読者によっては序盤で看破できるレベルであるし、一部にアンフェアな叙述も散見されるが、その恐るべき奇想の副産物として目を瞑れなくもない。
問題は2つ目のトリック。トリック自体がご都合主義の極みと言うべき偶然の産物である点もさることながら、本トリックにより犯行プロセス全体が著しく合理性を欠き、かつ探偵が論理的に解明できない真相となり、プロットを完全に破綻させているように思う。
3つ目のトリックは、上記問題のうち3点目を解消するために導入されたものと推測するが、1点目・2点目の問題点は何ら解消されていない。プロット全体を真犯人が自らの犯行を隠蔽するために取った行動と考えても、その必要性や合理性は大いに疑問と言わざるを得ない。
以上、読者を驚かせるために無理に無理を重ねたプロットとの印象が強く、到底褒められるデキとは言えない

No.22 7点 アイス・コーヒー 2014/04/08 17:14
これ一作を世に出した後、著者が「消失!」してしまったという異色作。本格ミステリらしい仕掛けが二重三重にかけられた傑作だけに、残念だ。

テーマは「無差別連続殺人」。本作では、美しい赤毛の持ち主ばかりが狙われる。しかし、被害者同士にそれ以上の接点は見つからない。そんな事件の真相とは…まさに空前絶後のトリック。確かにその発想はなかった。クリスティの「ABC殺人事件」を思わせる鮮やかさだ。
さらに、そのメイントリックにとどまらず本書には「読者をだます仕掛け」が数多く採用されている。一つ一つは他愛もない(むしろ脱力系の)ものだが、こういう直球ミステリを読めると嬉しい。
一方で、ストーリーやキャラクターは粗雑な印象があり完成度は低い。中西氏がプロになっていれば、もっと完成度の高い作品を読めたはずだが、そこは諦めるしかないだろう。
いずれにせよ、本格ファンなら一読しておきたい作品といえる。

No.21 6点 蟷螂の斧 2013/10/13 18:01
発表年代(歌野晶午氏、折原一氏のデビュー後、間もない頃)を考慮すれば、アイデアは素晴らしいと思います。ただ、このトリックを見破られないようにするには、やはり文章表現に難しいものがあり、無理があると思いました。私的には、ミッシングリンクの真相の方が気に入っています。評価が分かれても致し方ない作品といった感じですね。

No.20 7点 メルカトル 2013/10/07 22:10
再読です。
本作の驚愕ポイントは3ヶ所。それらすべてに驚けるが、段々その度合いが減っていくのが少々残念なところではある。
もう少しうまく料理すればもっと見どころ満載の傑作に仕上がったであろうと思うと、やや複雑な心境にならざるを得ない。
或いは、どんでん返しの連続が存分に味わえたかもしれない、その意味では作者の力量がやや足りなかったのかとも思う。
消失のトリックは正直あまり誉められたものではない。と言うか、はっきり言って子供だましみたいなものかもしれない。
だが、この作品の肝はワン・アイディアの仕掛けにあるので、その点はあまり気にならなかった。
読者によっては「人を舐めるのもいい加減にしろ」みたいに感じるんだろうなと思うが、私は十分楽しめた。初読の際の記憶がすっぽり抜け落ちていたのがかえって幸いしたようだ。

No.19 3点 3880403 2011/04/03 23:35
(これも)やっぱりそうきたか!と思った後は普通に読めた。
偶然似たような作品を前後に読んでいたので…

No.18 8点 Q-1 2010/10/24 01:52
作者の方が大学生時代に書き上げたものだということで、
多少文章に稚拙な部分が見受けられるが、アイディアは抜群。
見事に騙されました。

No.17 6点 kanamori 2010/08/28 12:10
あるものを誤認させるバカミス系の超絶的な叙述トリックのみ取り上げられることが多い作品ですが、そのワン・アイデアだけでなく、ミッシングリンクものの様相から「×匹×役」トリックに繋がったり、意外な犯人像などが設定されていて、結構読みどころの多いミステリでした。

No.16 5点 E-BANKER 2010/06/20 16:04
実家の本棚の奥から発見!
そういえば初読のとき、「なんじゃこりゃぁ!」と思ったような微かな記憶があります。
というわけで再読。
うーん。やっぱり、これは大学のミス研で発表すべきレベルのような気はしますねぇ・・・(この頃の新本格はそんな作品も多いですけど)
ただ、メイントリック(騙し)だけは評価に値するのではないかと・・・
ラストの捻りは必要ですかねぇ・・・? 無理やりドンデン返しの連続を作り出そうとしているような感じで、意味がないように思います。
発表当時22歳かつ処女作ということを考えれば、及第点で次作に期待!というふうにも言えたかもしれません。(ちょっと甘いか?)

No.15 5点 あるびれお 2009/09/09 05:05
実は初出時にリアルタイムで読んで、本を壁に投げつけようかと思いました。でも、復刊を機に久しぶりに昔の本を探し出して読んだら、そこまで怒ることもないかな、と。

No.14 4点 江守森江 2009/08/11 22:55
好き嫌いが、そして評価の高低が顕著に出るタイプの作品。
私的には違和感を感じさせずに結末手前まで読ませ、結末での"驚き"を最大限にもたらすか。
仕掛けを知った上でも再読する気になるか。
以上2点を評価基準にしている。
更に、好みの中心からズレているので最高点を8点止まりと決めている。
あとは、読者の"察しレベル"と作者の"隠蔽レベル"の噛み合わせの問題だろう。
この作品が書かれた時代、復刊にあたった選者が仲間内な事の2点を考慮して評価する。
読み始めからネタの大部分はバレバレだった。
結末のドンデン返しも後出しジャンケンで論理的にはダミー推理を結論にして捻らなくても通用する為に評価出来ない。
“あとがき”での作者の自信程の作品では断じてない。
この一作で作者自身が"消失"してしまった事に納得。

No.13 5点 測量ボ-イ 2009/05/13 15:58
う-ん、このオチは微妙ですねえ。まあ個人的にはあまり
評価していません(笑)
とにかく、再読してみようという気にはならないので。

No.12 2点 なの 2008/11/27 19:24
安ッ!寒ッ!!
これは・・・そりゃ作者も一作で「消失!」しますわ
ぶっちゃけバレバレですもの
細かいトリックは置いといて、全体の流れが分かり易過ぎ
第2章半ば程度で殆ど全部読めました
高評価のようですが、私には合わなかったので2点

No.11 4点 ロビン 2008/11/12 23:15
これはちょっとなぁ。この手のトリックにはかなり鈍い自分でも気づいてしまった。まあ真犯人の正体はわからなかったけども。この真相はけっこうアンチですね。


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中西智明
1990年10月
消失!
平均:6.50 / 書評数:30