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ミステリの祭典

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viviさんの登録情報
平均点:6.50点 書評数:327件

プロフィール| 書評

No.247 5点 展望塔の殺人
島田荘司
(2008/12/08 00:38登録)
あまりにも「社会派」過ぎて、
ちょっと引いてしまう作品もありました。
表題作は特に、始めに社会問題ありきという感じで・・・
これは単に個人の嗜好の問題ですが。
何となく、森村誠一氏の作品のようだったですね。

一番面白く読んだのは、やはり「発狂する重役」かな。


No.246 6点 Yの構図
島田荘司
(2008/12/03 01:49登録)
いじめという社会的な問題を前面に取り上げた作品。
しかし、肝心のミステリの要素との絡みが不十分だったかな。
ミステリとしての構造が、ちょっと中途半端な気がしました。

愛増の感情と折り合いをつけながら日常生活を送るという、
人間の存在の辛さのようなものを作品世界から感じました。
犯人は、その術を知らないから罪を犯したのかも。

吉敷の思考の膠着状態には、少しイライラしましたね。
それはこの事件が、彼のフィールドである「理」では解けない、
「情」の事件だったことにも原因があるのかもしれないけれど。
そして最後に彼は「情」というものの奥深さを実感したのでしょうね。
その答えが、あの選択なわけです。


No.245 7点 火村英生に捧げる犯罪
有栖川有栖
(2008/11/27 17:51登録)
携帯サイトで配信された非常に短い掌編もあるので、
タイトル数は多いけれど、軽いものも多かったです。
でも、その作品が非常にバラエティに富んでいて、
キャラクターのファンも満足できたんじゃないでしょうか。

表題作が、やっぱり面白かったですね。
一番ロジカルで、物語的にも盛り上がりました。


No.244 5点 確率2/2の死
島田荘司
(2008/11/18 01:38登録)
短いし、テンポもいいのでサクサクと読めました。
ただ、いつものドカーン!という派手な展開は無かったので、
その辺りが地味な印象です(^^;

以下、ネタバレ。

しかし、人が死にすぎましたよね・・・
今回の吉敷はドライだな~。
いくら犯人でも未遂なんだから、死ぬのはかわいそうでしょうに(^^;
別件逮捕って・・・賭博のほうが大きな事件じゃないの?
よっぽど走らされたの、頭にきてたんでしょうか(笑)


No.243 7点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2008/11/18 01:27登録)
ミステリとしては、複合技がナイス!って感じですけど、
案外、単純な構造になっているので、
「やられた~」という破壊力は薄かったかもしれません。
あまりにも自然すぎる不自然さに、
途中で何となく構造も分かってきてましたし・・・

この行為は、実は「献身」ではないというところが、
東野氏のシニカルな創作者としての視点なのじゃないかな~?
だって、これは「自己愛」だと思うんですよね。
彼は失った自己を支える存在として彼女らを据えていたわけで。
本当の意味で人を愛せない人だから、あんなこともできたのでは??


No.242 6点 どんなに上手に隠れても
岡嶋二人
(2008/11/11 00:30登録)
プロットや展開は非常に面白かったのですが、
今ひとつ、どの登場人物も印象に残りづらかったかな~と。
一番影が薄いのが、誘拐された女の子ですけど(^^;

真犯人は誰なのか、というより、
作中に展開する綱渡り気味の「計画」が、
いつ、どのようにして壊れるのかが妙味だったかもしれません。
しかし、相変わらずのストーリーテリングぶりです☆


No.241 8点 北の夕鶴2/3の殺人
島田荘司
(2008/11/01 23:57登録)
ハードボイルド系は苦手ですけど、この物語は楽しめました。
吉敷シリーズはまだ2冊しか読んだこと無かったけど、
これを読んで、いつもはクールな吉敷の「熱さ」にしびれました。

また、提示されている謎は島田氏流の大胆本格トリックで、
その辺りも、こぢんまりしてなくて楽しめたかな~(^^)
御手洗シリーズのある作品を思い出したので、
これは御手洗シリーズにも使えたネタなのでは?と思いました。
でも、御手洗ならこんなに悩まず速攻で解いてしまいそう・・・


No.240 7点 魔術はささやく
宮部みゆき
(2008/10/22 23:47登録)
題名やプロローグの醸し出すムードにまずやられ、
そういう怪しい空気を才気と真っ直ぐな心と軽やかなフットワークで切り裂いていく主人公の守少年にやられ、
ラストの「裁き」での葛藤シーンにやられ・・・
やられっぱなしの作品でした☆

ブレイブ・ストーリーの萌芽が、この作品にあるような気もします。


No.239 7点 チョコレートゲーム
岡嶋二人
(2008/10/04 18:03登録)
貫井徳郎氏の『天使の屍』を先に読んだのですが、
私はエンターテイメントとしてはこちらの作品の方が面白かったです。
こういう泥沼には、子供といえどハマっていきそうな世相ですもんね。

表紙がネタバレだと、私も激しく思いました(^^;
まあ、伏線として比較的初期から文章中に潜んでいて、
読み取ろうと思えば、分かる内容ではありますが・・・


No.238 7点 天使の屍
貫井徳郎
(2008/09/25 00:02登録)
息子の自殺を受け入れられない父親のこだわらずにはいられない心情を、
人物設定が見事にフォローしていると思います。
次々と続く、子供たちの死が焦燥感を高めますよね。

「子供の論理」について、途中で「もしかして?」と思ったけど、
まさかと打ち消して読んでいたら、やっぱりそうでした(^^;
ありえなくも無いけど・・・

こういう動機が通用しなくなりつつある今の世の中が、
この作品世界よりもさらに怖いかもしれないと思いました。


No.237 6点 金沢W坂の殺人
吉村達也
(2008/09/24 23:54登録)
今度は四重殺という不可能犯罪の謎でした。
HOWについては色々考えさせられはしたけど、
この方法しか考えられないな~とは思っていました。
それを可能たらしめる人物造形が多少強引ではあったので、
そっちの方からバレてしまうのは、ある意味仕方なかったかな。

冒頭の謎という点では、このシリーズは凝ってますね。


No.236 5点 御殿山の殺人
吉村達也
(2008/09/24 23:47登録)
最後の最後の謎解きの場面が、かなり印象的。
しかし、登場人物達の隠している部分の開示が遅くて、
ちょっとまどろっこしい感じがしました。
犯人も、この人しかいないだろう、という人物でしたし・・・

登場人物間に漂う、よどんだ空気のようなものが気持ち悪かったですね。
書き足されたエピローグも、ぞ~っとします。
どういう展開を目論んでいることやら・・・


No.235 5点 六麓荘の殺人
吉村達也
(2008/09/20 00:51登録)
東西の高級住宅地で、ほぼ同時に、双子が殺されるという謎自体が、
まあちょっとありがちな感じで、トリックも難解ではなかったです。
以下ネタバレ気味ですが・・・

登場人物欄がヒントになりすぎているのは、
ちょっとフェア精神にこだわったせいかもしれませんね(^^;
私は登場人物欄もしっかり読む人間なので。

しかし、氷室探偵。
キャラ設定がここまで大きく変更された人も珍しいです(笑)


No.234 6点 R.P.G.
宮部みゆき
(2008/09/15 18:43登録)
ちょっと小ぢんまりした印象の作品です。

アンフェアだと宮部氏自ら断ったことも、
犯人を推測する障害にはならなかったかな。

種明かしをされて、「これあり?」と思ったのは、
地の文の表現ではなくて・・・
「うますぎるでしょ!」という点だけでした(笑)


No.233 3点 殺人鬼
綾辻行人
(2008/09/08 18:52登録)
こういう系は嫌いなのですが、怖いもの見たさで読んでしまいました。

でも、何でだろう?
別に怖くなかったし、さほど気持ち悪くもなかった。
我孫子氏の『殺戮にいたる・・・』の方が10倍気持ち悪かったです。
これは単に、質感の問題かもしれません(^^;

まあ、1人で出かけたら、殺られるんだろうな~と思い、
思ったとおり殺されちゃった、みたいなパターンで、
恐怖感には欠けますし。

思うに、綾辻スプラッターは記号的なのだろう、と。
だからやっぱり、彼には「本格」を書いてもらいたいな~。


No.232 5点 白い家の殺人
歌野晶午
(2008/09/08 18:39登録)
「本格」の要素を目いっぱい詰め込もうとした作品。
でも、歌野氏の作家スタイルとは、ずれてたのかもしれないです。
だから、構成も文章もキャラも、少し窮屈そう・・・
いかにもな機械的トリックなんですけど、
それを並べただけで物語としての面白みに欠ける気がしました。

でも、信濃探偵は、ちょっと好きになりました(笑)


No.231 6点 クリスタル殺人事件
吉村達也
(2008/09/06 02:16登録)
短編集です。
色んな趣向が凝らされたもので、ショートショートも有り。
人間の心の弱さとか、運命の残酷さとか、
そういうメンタルな面を考えさせられる作品が多かったです。

犯罪者を取り巻く世界が、
一ひねりで、ぐにゃりと形を変える気味悪さが、
味とも言える作品集かもしれません。


No.230 7点 仮面山荘殺人事件
東野圭吾
(2008/09/06 02:08登録)
解説を先に読むという悪癖がたたって、
かなりの先入観を持って読んでしまったので、
あんまり驚けなかったのが残念。

若干、無理がある場面なんかもありましたが、
アンフェアとも思いませんでした。
まあ「知らなかった」のだから、仕方ないですよね(^^;

しかし・・・練習したのかな?
その辺がちょっと気になってしまいました(笑)


No.229 7点 シンデレラの五重殺
吉村達也
(2008/09/05 02:03登録)
これは、トリックが、ロジックが、というより、
ミステリの物語として楽しめました。
キャラクターも魅力的に描かれていましたし。

このシリーズは「異常」な犯罪に取り組んでいくものらしいので、
犯人像というのは、いわゆる世間一般とはずれた人が多いみたいだけど、
それごと飲み込んで楽しめるのがいいところ。
伏線等もわりと親切で、事件の解明に納得できるところも、
ミステリとしては、ポイント高いと思います。


No.228 6点 編集長連続殺人
吉村達也
(2008/09/03 00:33登録)
就任して13日目に、編集長が次々と死ぬという設定もすごいけど、
その死に方が、あからさまな殺人ではなく「事故」であるというのが、
どうなってんの!?という好奇心を駆り立てます。

事件の解明も非常に論理的だし、
作者がエンターテイナーだけあって、山場の見せ方も上手い。
1つだけ物足りないのが、動機の説明・・・
まあ、話の流れ的に仕方がないのかな??

サイコセラピストって、面白い探偵役だと思いました。

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