home

ミステリの祭典

login
展望塔の殺人
吉敷竹史もの ほか

作家 島田荘司
出版日1987年08月
平均点6.00点
書評数14人

No.14 5点 パメル
(2026/04/23 08:44登録)
都会の歪みや社会問題をテーマにした6編からなる短編集。
「緑色の死」緑色に対して異常な嫌悪感を抱く男を主人公にしたサスペンス。耽美的で不気味な雰囲気があり、初期の島田作品らしい怪奇趣味が楽しめる。亡き父の手紙により緑色嫌悪の理由を悟るが、さらにどんでん返しが用意されており慄然とさせられる。
「都市の声」ヒロインが東京のどこへ逃げ回っても何者かからの脅迫電話がその場所に掛かってくるという不可能犯罪が扱われている。都会の冷淡さや孤独が事件を増幅される様子がリアルで日常が侵食される感覚が味わえる。
「発狂する重役」やり手の商社の重役が机の上にハイヒールを置いてそれを見つめながら発狂していた。一見オカルトに見える事件を、合理的に解き明かされる真相は鮮やか。
「展望塔の殺人」飛山公園の展望塔で、主婦の井上典子が売店で働く女子学生・矢部冨美子に殺される。接点のない二人の間に起きた動機なき殺人が、実は深刻な現代社会の歪みを秘めていたという社会派ミステリで不気味な余韻が残る。
「死聴率」視聴率アップのためにテレビディレクターが思いついた犯罪計画。どこか幻想的で皮肉な物語。数字に支配される現代人の姿を鋭く突いている。
「D坂の密室殺人」江戸川乱歩の名作を強く意識した一編で、レトロな雰囲気の中、密室殺人が解き明かされる。江戸川乱歩作品と錯覚するほど、退廃的で倒錯的な雰囲気が見事に再現されている。乱歩作品と同じテーマを扱いながら、意外な真相を提示し、社会に疑問を呈している。

No.13 7点 みりん
(2025/06/29 09:28登録)
読み落としていた吉敷竹史シリーズ!しかし吉敷はほとんど名前だけの登場であり、シリーズものの楽しみはない。 表題作の展開は『奇想、天を動かす』を想起させる。受験戦争は「父親の経済力」と「母親の狂気」だと40年前に島田荘司によって既に問題提起されていた。 乱歩『目羅博士の不思議な犯罪』の島荘版とも呼べる『死聴率』や、亡霊と偶然と奇想が光る『発狂する重役』が特に面白い。

No.12 4点 ボナンザ
(2020/01/03 20:15登録)
本格というよりは社会派、世にも奇妙な系の短編集だが、どれも真相は微妙。

No.11 5点 まさむね
(2019/07/31 22:30登録)
 いかにも島荘!といった短編集。その印象が最も強く残ったのが「発狂する重役」で、これは様々な意味で凄い。いやいやあり得ないだろう…とか考えてはダメなのでしょう。この短編集に根強いファンがいることも分かる気がします。

No.10 7点 sophia
(2016/06/05 01:54登録)
島田荘司の悪いところ(笑)を詰め込んだような短編集。正気で書いたのか疑いたくなるような話が多く、それ故に「面白い」です。「発狂する重役」なんて読んでるこっちが発狂しそうですよ(笑)ただ、初読み時の衝撃は大きいですが、久々に再読するとイマイチに感じてしまうのは各短編のクオリティ自体がそんなに高くないからなんでしょうかね。最近気付きましたが、表題作「展望塔の殺人」は実は「奇想、天を動かす」と同じ構図をしているんですね。
ちなみにこれ光文社文庫吉敷竹史シリーズに入れられてますが、6作中2作にしか登場しませんし、内1作は吉敷じゃなくても刑事なら誰でもいい感じですし、無理やりな分類ですね。

No.9 6点 斎藤警部
(2015/10/05 23:44登録)
社会恐怖こそ最短最強のエンタメ・スイッチ! と割り切って世のダークサイドに寄宿している様にも見えますが、どうしても行間から滲み出す問題提起や絶望の味わいは島荘の高い当事者意識あればこそ。

都会的、かつ嫌な後味の作品が並びます。トリックは堅調、ぐっと来る結末の意外性は流石の冴え。
表題作の派手で突飛なスタートラインは昔の西村京太郎を思わせる。

でもやっぱり島荘は長篇がいいな。

No.8 5点 yoneppi
(2013/06/03 22:17登録)
都会の中の世にも奇妙な物語たち。

No.7 5点 seiryuu
(2010/09/13 13:57登録)
「展望塔の殺人」はぞくっとした。
「発狂する重役」も面白かった。
あとの作品はあまり心に残らなかった。

No.6 5点 E-BANKER
(2009/08/18 21:46登録)
短編集。久しぶりに再読しました。初読のときは「とても良質な短編集」だったという覚えがあるのですが、今回はなにか食い足りないような感覚でした。
中では表題作が一番良いと思うのですが、動機については「どうかなぁ」という気がします。他の作品も初読時感じたほどの面白さは味わえませんでした。時代が変わったからですかねぇ・・・

No.5 6点 測量ボ-イ
(2009/06/12 21:15登録)
内容自体が悪くありませんが、やはり社会派っぽい作品が
多いので、僕の独断で採点するとこうなっちゃいます。

No.4 6点 江守森江
(2009/05/24 02:51登録)
田宮二郎の最高傑作ドラマ「白い巨塔」を扱った短編だけでも興味深く読んだ。他の作品も社会派だが引き込まれた。
お買い得品。

No.3 5点 vivi
(2008/12/08 00:38登録)
あまりにも「社会派」過ぎて、
ちょっと引いてしまう作品もありました。
表題作は特に、始めに社会問題ありきという感じで・・・
これは単に個人の嗜好の問題ですが。
何となく、森村誠一氏の作品のようだったですね。

一番面白く読んだのは、やはり「発狂する重役」かな。

No.2 8点 おしょわ
(2007/12/14 23:53登録)
これ、隠れ(?)ファン多いですよね。
以前、某巨大掲示板のミステリー版の島荘ベスト3に入ってました。

No.1 10点 Tetchy
(2007/12/04 18:42登録)
珠玉の短編集とはまさにこのことを云うのだろう。
まさにこの頃の島田は神の領域に達していたようだ。
全てがクオリティが高い。
昭和62年のこの作品で、すでにストーカー犯罪やキレる若者を題材に創作していることが瞠目に値する。
流石、島田である。

14レコード表示中です 書評