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ミステリの祭典

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sophiaさんの登録情報
平均点:6.92点 書評数:384件

プロフィール| 書評

No.184 7点 叫びと祈り
梓崎優
(2018/08/26 16:36登録)
独特の硬質な文章でちょっと読みにくかったです。主人公の人となりがあまり見えませんし。全体的に紀行文としては面白いですがミステリーとしては微妙な出来でしょうか。「凍れるルーシー」の猫が鳴いた回数や「叫び」の川で服を洗う時間の論理などがちょっと頼りない。


No.183 8点 王とサーカス
米澤穂信
(2018/07/31 21:54登録)
殺人事件自体はそう大したことはないけど、それに付随して起きたことがすごかった。糞坊主に腹立ちますね。タイトルもしかして「オートフォーカス」とかけてます?違いますか(笑)


No.182 5点 ボトルネック
米澤穂信
(2018/07/25 01:16登録)
後味悪いですね(笑)回想シーンでノゾミがイチョウのおばあさんを「殺してやりたい」とか言ったときに、何かおかしな方向に行っちゃうんじゃないかという予感はしましたが。タイムパラドックス系と言いますかパラレルワールド系と言いますか、こういうタイプの作品でバッドエンドってあまり記憶にありません。設定や展開は大変面白かったので、感動系に仕立てて欲しかったですねえ。百歩譲ってバッドエンドでもいいんですけど、もっと上手い終わり方があったのではないでしょうか。ちょっと難解な終わり方をしたせいでどうもすっきりしないです。


No.181 7点 鬼の跫音
道尾秀介
(2018/07/21 01:07登録)
途中まではいまいちな感じでしたが、最後の2つ「冬の鬼」と「悪意の顔」がすごかった。「冬の鬼」は冒頭での謎の提示、そして1日ずつ遡っていく日記という構成がよかったです。7日前にどんなことをやらかしたのかという興味で引き込まれました。伏線もばっちり。「悪意の顔」はSFなのか妄想なのかというシーソーゲーム。最後の最後にはっきりするのですが、その直前のSの一瞬の変貌に含みを持たせているのも効果的。主人公の母親がデザイン事務所に勤めているのが伏線かと思ってちょっと混乱しちゃいましたけど。その他には「よいぎつね」で残された謎の解答を次の「箱詰めの文字」の作中作で示したのには唸らされました。しかしこの作者の「S」と「鴉」に対するこだわりは何なのでしょうか(笑)


No.180 6点 ジェリーフィッシュは凍らない
市川憂人
(2018/07/13 02:24登録)
ネタバレあり

「ジョジョの奇妙な冒険」のような、ウイダーインゼリーを冷凍庫に入れようとする人への注意のような洒落た(?)タイトルの作品。文章が読みやすく展開も速いのでグイグイ引き込まれました。しかし竜頭蛇尾。一方だけを描写するというのは叙述トリックとしてはちょっとあざとく感じるんですよね。一団のキャラ造形はステレオタイプで、「エイリアン」や「インビジブル」等のハリウッド映画のよう。事件の背景は「金田一少年の事件簿」のよう。「21世紀の『そして誰もいなくなった』」と評される割にはそれほど新しさを感じません。しかし「DNA鑑定のない時代ですよ」と登場人物の雑談で念押しをする手法は素敵でした。


No.179 7点 片眼の猿
道尾秀介
(2018/07/08 00:21登録)
殺人事件の解決などどうでもよく、私の関心事は「冬絵の能力はいつ発揮されるんだ?何のために雇ったんだ?作者は何か忘れてるのか?」ということでしたが、見事に作者の術中に嵌ってしまいました。最終盤のネタバラシで×××のオンパレードなのがこの作品のデリケートなところですから、好みは分かれるでしょうか。


No.178 5点 死神の浮力
伊坂幸太郎
(2018/07/03 18:21登録)
結末が読めるんですよねえ。その先に更にサプライズがあると思っていたんですけど特に何もなくて、それで終わり?という感じでした。それも伏線だったのかと思う箇所がある反面、あれは伏線じゃなかったのかと思う箇所もあります。「一週間の生涯なら、百年でもささげるべきである」の下りや、レインコートの男が殺された件です。その辺がどうも荒いんですよね。前作「死神の精度」の方が断然よかったです。麻耶雄嵩の神様シリーズと同じで、短編向きの設定ではないでしょうか。


No.177 8点 ジェノサイド
高野和明
(2018/06/12 19:43登録)
えらい作品を読んでしまった。どこまでが本当でどこからが虚構か分からないです。特に理系部分。東野圭吾が「超理系殺人事件」で言ってたのってまさにこの作品ですね。結構な斜め読みで読みましたが、それでも読了に5日かかりました。スケールも地球規模でとにかくすごい作品なのは確かです。タイトルから想像できる通り残虐描写もありますが、アフリカって現実でもこんなんなんでしょうねえ・・・


No.176 7点 インシテミル
米澤穂信
(2018/06/02 03:00登録)
だいぶ前に映画を先に観ていたんですが、内容をほぼ忘れたのもあって今回読んでみました。久々に評価の難しい作品ですねえ。作者がミステリー大好き、クローズドサークルもの大好きなのはひしひしと伝わってきますし、意欲作ではあります。私自身もクローズドサークルものは大好きで、特に「時計館の殺人」の舞台設定に似ている本作は大変楽しく読ませてもらったのは確かです。ただ、武器にメモランダムにカードキーにとアイテムが多すぎて混乱しますし、賢いキャラだった人物が終盤に突然どうしようもないアホな推理を披露するところや、探偵が間違った人物を犯人と指摘した場合に探偵は報酬減額されるのに助手はされないルール等にご都合主義を感じました。可もあり不可もありで7点というところでしょうか。


No.175 6点 さよなら妖精
米澤穂信
(2018/05/14 20:58登録)
数年前に出た新装版の単行本を読みました。博物的に勉強になる部分は多いんですが(特に東欧の歴史)、物語に大きな展開がないのでちょっと退屈に感じました。ミステリー的主題が母国を突き止めることのみというのも渋いですし。個人的にはマーヤはいくつか謎を残して帰国するものだと思っていたのですが。ただ、随所にちりばめられた伏線から消去法で真実を突き止める手法には「折れた竜骨」の原型を見た気がします。新装版のボーナストラック「花冠の日」は追加して正解でしょう。カタストロフィは変わりませんが、後味の悪さが少しだけ和らいだ感じがします。最後にひとつだけ。こんなしっかりした長大な日記を書く高校生はいないでしょう(笑)


No.174 9点 追想五断章
米澤穂信
(2018/05/03 23:20登録)
単行本でわずか230ページほどの作品ですが、そう感じさせないほどに密度の濃い作品でした。リドルストーリーという物を逆手に取った展開は見事。米澤作品の中では「折れた竜骨」に次ぐぐらいの出来ではないでしょうか。難を言えばタイトルですかねえ。堅苦しくてとっつきにくい。でもむしろこれがいいのかなあ。しかし全体に流れる物悲しさが何とも言えませんね。登場人物はみんな不幸ですし。


No.173 8点 星降り山荘の殺人
倉知淳
(2018/04/20 20:07登録)
「過ぎ行く風はみどり色」を読んだついでに再読しました。章初めの注意書きによる大技ミスディレクションばかりが印象に残っていましたが、それを除いても本格ミステリーとして面白い。メインの謎が大いなる偶然によって成立しているところは「過ぎ行く風はみどり色」と同じではありますが。しかしこの作品の犯人の逆ギレっぷりはミステリ史に残りますね(笑)


No.172 9点 過ぎ行く風はみどり色
倉知淳
(2018/04/12 22:57登録)
視点人物が二人いることの必然性を考えると叙述トリックを疑いはしましたが、これは明かされるまで分かりませんでした。読み返してみると茶封筒の忘れ物の件や着物の帯の件など伏線もしっかり張られており感心しました。第2の殺人のやり方はちょっと難しいんじゃないかとは思いますが。

追記 皆さんの書評を読んでいて思いましたが、取り違えに気付いていたのは例の2人組だけですよね。誤解があるようなので指摘しておきます。


No.171 7点 怪盗グリフィン、絶体絶命
法月綸太郎
(2018/04/09 19:46登録)
アルセーヌ・ルパンも全く読んでいないぐらいで普段手を出さない分野なのですが、なかなか楽しめました。ミステリーランドレーベルの作品ですが、子どもにはちょっと難しいかも。二転三転どころか四転ぐらいしていて、事の成り行きがどうだったのかを完璧に理解しようとするのはなかなか骨が折れます。特に「大統領のジレンマ」のあたりが難しいですね。あんまり深く考え過ぎない方がいいのかもしれません。


No.170 6点 龍神の雨
道尾秀介
(2018/03/27 19:22登録)
「シャドウ」や「ラットマン」の系譜、さらに貴志祐介「青の炎」を彷彿させる展開の本作ですが、ちょっと期待外れでした。真犯人(?)の正体に驚くよりも引いてしまったんですよね。後味も悪いですし。雨のせいでも何でもなく、全部あいつのせいでしょう。全編に渡って使われている「龍」の比喩もあまり効いていないような。散々「龍」に例えられた人物が、終わってみれば何も大したことなかったですからねえ。それとこの作品の柱になっている「脅迫者」ですが、楓はなぜ迷いなく××だと思ったんでしょうか。まず××の方を疑いませんか?最後に、2段ベッドが揺れるミスリードは分かりにくいですよ(笑)××××しようとすまいと彼に対する心証に影響はあまりありませんし。


No.169 9点 カラスの親指
道尾秀介
(2018/03/22 18:46登録)
「シャドウ」に比肩する出来。あるいは超えているかも。テツさんの正体についてはちょっと考えはありましたが、ここまで壮大な話だとは思いませんでした。各章サブタイトルの中にさり気なくネタバレを混ぜる手法がニクい。冒頭の銀行での詐欺に違和感(そのやり方でどうやって成功させられたの?という)があったのも伏線でしたか。


No.168 7点 儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
(2018/03/16 17:15登録)
暗黒ミステリとも称されるイカれた短編集。そのイカれ具合が「玉野五十鈴の誉れ」までは程よかったんですが、最後の「儚い羊たちの晩餐」がさすがにやり過ぎなので1点マイナスしておきます。彼女がなぜあれを引き受けたのかが全く理解できません。この短編集はキ印の人がいっぱい出てきますが、彼女は間違いなく一番のそれでしょう。もう一つ腑に落ちないのは、対象が全てなのは彼女のこれまでの仕事ぶりから簡単に予測できたのではないかという点です。最後の最後に破綻してしまった、もったいない短編集でした。


No.167 8点 死神の精度
伊坂幸太郎
(2018/03/13 19:42登録)
「死神の浮力」を読もうと思ったのですが、前作の内容を完全に忘れてしまっていたので復習がてら再読しました。文句なしに面白かったのは「死神と藤田」です。設定を生かした見事な終わり方でした。「旅路を死神」は感動的な話ですが、死神はあまり関係ありませんでした。全体的に「可」か「見送り」かで迷うところをもう少し見たかった気がします。


No.166 8点 ラットマン
道尾秀介
(2018/02/26 17:22登録)
とても読み易くてなおかつ続きが気になり一気に読めます。過去の事件と現在の事件両方に「錯誤」があり、それは読者に対しても仕掛けられています。まんまと騙されました。ミスディレクションの方向性が氏の先行作品と似ていますが。


No.165 5点 ソロモンの犬
道尾秀介
(2018/02/22 20:01登録)
サプライズはカフェパートの正体ぐらいですかねえ。物語があまり心に残らない。主人公たち四人と椎崎鏡子・陽介親子の間にもう少し接点を持たせて欲しかった。四人の中に犯人がいるとはとても思えなかったので。

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