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ミステリの祭典

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ソロモンの犬

作家 道尾秀介
出版日2007年08月
平均点5.52点
書評数21人

No.21 7点 斎藤警部
(2024/03/27 21:34登録)
「人間と動物を区別するなんて、お茶と飲み物を区別するようなものだ。人間に失礼だよ」

序盤より何気な叙述ジャブ心地よし。あざといくらいで丁度よし。またエピローグでも対称形のように、叙述のアレの答え合わせがそこかしこでパチリパチリと心地よく、碁石を打つが如く響く。 回想配置と時系列揺さ振りの妙味・醍醐味ったらない。 この構成の中でうねりまくり、ミステリ興味を引き摺りまくるストーリーの向こうには作者の固い拳が見える。 頑張ったな、道尾秀介さん。

大学生の男子二人(一人は主人公)+ 女子二人(一人は主人公の恋愛対象)= 人間四人の友達サークル。その周辺にて、シンママ助教のご子息でもある「四人が可愛がっていた少年」が交通事故死。連れていた愛犬に、腕に巻き付いたリードを引っ張られ、トラックの前に体が引き摺られる形で、多くの違和感を残しながら。。。。 或る雨の日偶然に、古式ゆかしい喫茶店に同席した四人は事故?事件?の真相を探り出そうと、年季の入ったテーブルを囲み、過去を振り返り、掘り返そうと対話を始める。
 
普通だったらエピローグになるような「本編最終章」から本当の「エピローグ」の最後の最後まで、魚卵びっしりニシンのように味と謎とミステリ興味が詰まりまくった素晴らしきガッツを見せる入魂の一篇です。 セイスンミステリだからって、いい大人の方も敬遠する事はまるでありません。 犬の習性。ヒトの習性。ふむふむ。。 まあ、或る人物の行く末があまりにも爽やかにうやむやに放置された感は少し気になります。そのため完璧作にはなり損ねていると思いますが、そんな事はいいんです。 メイン事件の真相がちょっと弱いかな、とは思いますけどね。 それでも高得点だね。

No.20 6点
(2024/03/02 20:37登録)
伏線をうまく回収しています。
教授のキャラクターもいいですね

No.19 5点 八二一
(2024/01/06 20:35登録)
いたいけな少年の事故死とその母の自殺。その裏に隠れているものを、迷いながら探り出そうとする大学生たち。彼らの心象風景はとても切ない。少々奇矯な動物行動学の教授がとても魅力的。

No.18 6点 バード
(2023/05/22 08:47登録)
(ネタバレあり)

作者の読ませる力が遺憾なく発揮されており、スラスラと読める。また、本作は締め方も良い。ハッピーエンドとはいかずとも青春物は前向きな締めにかぎる。
その一方で、キャラクター造形は気に入らない方も多いだろうな。自分は主人公以外のキャラをそれ程好きになれなかった。
(リーダビリティやキャラクターへの評価は同作者の『ラットマン』で抱いたものとほぼ同じ。)

ミステリ面の評価はそれなり。どんでん返しや人物誤認ネタは仕込まれているが、肝である事故の真相は無難で、驚きは少ない。面白トリックも緻密なロジックも無いので、こてこてのミステリを求める人と本作はミスマッチかな。

総括すると、本作はベストや一押しとまでは言えないが、ミステリ要素のある青春物として及第点以上。

No.17 4点 いいちこ
(2021/07/30 21:00登録)
著者らしからぬ凡作であり、読後の印象も薄い

No.16 6点 zuso
(2020/02/14 20:23登録)
同じ大学に通う四人の男女を中心にしたある少年の死をめぐるミステリ。
秋内は、自転車便のアルバイトをしながら学校に通い、仲間と遊ぶ大学三年生だった。ある時偶然にも、知り合いの少年が犬の散歩中にトラックにはねられるという現場に居合わせた。だが、その事故は作為的なものではないか、という疑問が浮かび上がる。
舞台は夏の漁港町。同級生に片思いの若者が語り手をつとめている。そのため、随所に軽妙なユーモアが含まれていたり、主人公のほろ苦い想いが伝わってきたりする全体的に爽やかな雰囲気の物語。後半にはいると、人を食ったような仕掛けがあり、作者らしさを感じで満足した。

No.15 4点 新世紀ミステリー
(2019/06/30 06:25登録)
2007年発表。冒頭の喫茶店だかスナックでの場面が印象に残っています。自転車が坂道で吹っ飛ぶトリックも視覚に残りますね。でもそのくらいかな。

No.14 5点 sophia
(2018/02/22 20:01登録)
サプライズはカフェパートの正体ぐらいですかねえ。物語があまり心に残らない。主人公たち四人と椎崎鏡子・陽介親子の間にもう少し接点を持たせて欲しかった。四人の中に犯人がいるとはとても思えなかったので。

No.13 4点 風桜青紫
(2015/12/29 00:36登録)
「バーベu」の露骨ぶりと、道尾教授のトカゲには変な笑いが出てきた。こういうのを森見登美彦的というかは知らんが、大学生をモデルにした青春小説としては、そこそこ楽しめます。主人公いいやつっぽいし。とはいってもミスリードの露骨さが鼻につきすぎたうえに、その回収の仕方もイマイチだったので、そう、気の晴れるような読後感じゃなかったかな。幻覚でした。ってなネタはそれをメイントリックにしていなきゃ受け入れられないわけです。

No.12 5点 take5
(2015/01/12 11:26登録)
期待していた分、道尾作品の中ではインパクトがなかったですが楽しめました。
レストランの名前がダブルミーニングでなくトリプルミーニングになっているあたり作者が大変賢い(失礼)のがよく分かります。

No.11 8点 ayulifeman
(2014/08/02 17:44登録)
再読でしたが完璧に内容を忘れていました。
大学生活青春系ミステリ大好きです。

No.10 6点 mohicant
(2012/09/17 21:28登録)
 青春ミステリーって感じの話だが、伏線の張り方など作者の技術の高さを感じた。

No.9 5点 yoneppi
(2012/08/01 22:10登録)
犬の生態は学べた。

No.8 5点 isurrender
(2011/07/12 23:09登録)
ミステリとしては平凡な作品。
むしろ道尾氏の悪ふざけなんじゃないかと思える、下らないギャグ(僕としては嫌いではないが)のオンパレード。
青春小説としては良いラストだと思います。

No.7 4点 つよ
(2011/05/01 21:56登録)
ミステリー?

No.6 5点 まさむね
(2011/04/22 21:22登録)
 氏にしては珍しく(?),ちょっと笑えるシーンも挟み込んでいて,サラサラと読むことができました。ページをめくらせる手腕は相変わらず素晴らしいです。登場人物も魅力的だったし,読後感も悪くないですね。
 でもなぁ・・・ちょっとズルすぎたかなぁ。結局は○○オチの派生版ですしねぇ。「欺瞞のための欺瞞」って感じで,ミステリの側面で見れば,ちょっと落ちるかも。
 ちなみに,多分確信犯でしょうが,某売れっ子作家を意識したタッチにしてますよねぇ。まぁそういう遊び心は嫌いじゃないですけど。
 総合的にこの点数で。

No.5 5点 3880403
(2011/04/19 00:25登録)
途中が長く感じたし、インパクトもあまりなかった。
教授のキャラは良い。

No.4 7点 E-BANKER
(2011/04/10 21:35登録)
ごく初期に書かれた青春3部作の1つ。
作者に対する個人的なイメージとは真反対の爽やか系ミステリー。
~秋内たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい助教授に相談に行く。そして、予想不可能な結末が・・・~

これは、「予想外」に面白かった!
そんな大したトリックやら、叙述的仕掛けがあるわけじゃないですが(多少はありますけど)、なぜか引き込まれるものがある・・・そんな作品。
特に「犬」の生態に関してはなかなか興味深かったですね。
「事故」に付随して起こった「犬」の不可思議な行動・・・それを動物生態学から解き明かしていくというのも割りと新鮮な感じがしました。
「叙述系のトリック」はちょっと上滑りしているかなぁー いわゆる「○○オチ」に近いので、ちょっとレベルが低い気がする・・・
フーダニットもややいただけない。ラストまでに真犯人の情報がなさすぎるためちょっと唐突。
というような欠点も垣間見えますが、トータルでは十分お薦めできる水準の作品かと思います。
後味も爽やか・・・
(こんなウブな大学生、今どきいるのかな?)

No.3 5点 こう
(2010/03/15 01:12登録)
 道尾作品も何作か読み進める中で勝手な思い込みと期待をもってしまい十分水準作だと思いますが期待したのとは違ったというのが正直な所です。
 個人的には「アクリル板」のストーリーはそのあとのミスリードのために無理やりつけた感じがしていらないなあとも思いますがやはりあそこでひねらないと道尾作品ではないのかなあとも思います。真相自体は他作品と違い予想しやすいですが相変わらず読みやすいですし楽しめました。

No.2 8点 おしょわ
(2010/01/24 22:23登録)
うまい。面白かったです。
もうちょっとみなさん書き込む価値あるのでは?

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