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ミステリの祭典

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たかだいさんの登録情報
平均点:5.10点 書評数:153件

プロフィール| 書評

No.113 5点 御堂筋殺人事件
内田康夫
(2025/02/12 17:42登録)
内田康夫の旅情ミステリーシリーズ「浅見光彦」の一つで、今回の舞台は大阪・御堂筋
御堂筋で行われたパレードの最中、とある地元の有力企業と契約しているモデルが毒に苦しみ、パレードの乗り物から転落して死亡する
元々が雑誌連載の作品らしく、その第1話に当たる上記のインパクトは悪くない
そのモデルの死をきっかけに第二第三の殺人も起こり、その最中には謎の強請り電話が掛かってきたり、更に技術盗用といった社会的な謎まで絡んでくるので、全体像が余計に掴みにくく浅見光彦も苦戦を強いられる
そこまで派手な作品ではないものの、エピローグにて事件の全容が解ってくると「ほぉ」と感心出来るくらいには上手く事件の流れが繋がっていて悪くなかったです


No.112 3点 名探偵のままでいて
小西マサテル
(2025/02/11 22:29登録)
認知症を患い、日常的に幻視に苛まれる元名物校長の祖父
いわゆる安楽椅子探偵と呼ばれる探偵にしても、かなり攻めたキャラ設定かと思います
とは言っても、前述の病はありながら、煙草の紫煙を吹かしつつ、思わず聞き入る語り口で孫が持ち込む様々な謎に対する推理を聞かせてくれる。このお爺ちゃん、中々、良い探偵をしていると思う
本作は基本的に孫が謎を持ち込み、祖父が答えるの繰り返しから成る連作ミステリーで、個人的にあまり好きではない日常の謎も多分に含まれる内容となっています
そのせいか、私としては設定の面白さは認めながらも、正直あまり面白く感じなかったです
クライマックス辺りで盛り返して来ますが、読んでいて中弛みしてしまいました


No.111 7点 犬神館の殺人
月原渉
(2025/02/11 18:07登録)
実際に読んだのはちょっと前なんですが、猟奇性とある種の幻想が同居した独特のシチュエーションがお気に入りの作品です
3つの扉の奥にある部屋。部屋を隔てる3つの扉には人が入る箱があり、扉が開けられるとギロチンが落とされ、中の人を寸断してしまう。要は、「人を3人殺してまで密室を破りたいですか?」という人の命を盾としたある意味で物理的かつ精神的な鍵が掛けられている
新興宗教の儀式という体で作り出されたこの独自のシチュエーションに加え、問題の部屋には凍りつき氷像と化した死体があり、最奥へと逃げた筈の犯人は忽然と消えていたという所までがメインの謎となる
いわゆる館物の本格ミステリーとしてテンプレ的でありながら、独自の持ち味もきちんと持ち合わせた秀作だと思います


No.110 4点 仮面劇
折原一
(2025/02/10 20:02登録)
完璧な計画に基づいて実行された保険金殺人に端を発し、その後、謎の脅迫者との対決を経て、とある人物による自宅監禁へと結び付いていく…そんな話だった筈
本作は三部構成になっており、そのうち二部までは面白かった記憶があります。個人的には脅迫者との対決までがピークで、それ以降の展開は取ってつけたように感じられたのが理由です
著者の持ち味(叙述トリック)も活きていたと思うし、無駄に複雑過ぎない分、分かりやすい話ではあったと思います
それだけに三部の展開(話の〆)がイマイチだったのは残念です


No.109 3点 死仮面
折原一
(2025/02/10 19:43登録)
なにが現実で、なにが虚構か…次第にあやふやになって驚愕の真実へ⁉︎
そういった狙いの作品なのは理解してますが、それを踏まえてもこの小説に面白味を見出す事が出来ませんでした
クライマックス辺りはサスペンスとして少し興が乗ってきた部分はありましたが、全体的には肉付きのない骨格標本とでも言いますか、なんか単調で退屈に感じてしまいました


No.108 5点 螺旋館の殺人
折原一
(2025/02/10 15:40登録)
私は「螺旋館の奇想」と改題された文庫本を読んだので気にならなかったものの、原題のまま本作を読むと本筋と違った意味で騙された、もしくは肩透かしと思うのも分かる気はします
山奥に隠居する大御所が十年ぶりに本格ミステリを執筆する所から話は始まり、ファンだという女性の来訪を受けながら完成した原稿が紛失。後にとある盗作疑惑が持ち上がる
あらすじは中々に面白く、比較的読みやすい文章でスラスラ読める魅力はあります
本作に関しては著者お得意の叙述も二重に張られていて、そこまで複雑じゃない分、分かりやすかった(親しみやすかった)気がしました


No.107 2点 潜伏者
折原一
(2025/02/10 15:04登録)
正直言って読み終わって得た感想が、「コレ何が面白いん?」というある種の戸惑いでした
叙述トリックの名手と知られる作家・折原一は、面白いと詰まらないがかなり極端なピーキーな作家というのが個人的な主観なのですが、本作は後者でした…
「○○者」という一種のシリーズで、中でもタイトルに惹かれて読み進めましたが、複雑な割に叙述に嵌ったというカタルシスもあまり無く、淡々とした印象
思ってた話とちょっと違ったなという感じで、退屈に感じてしまいました


No.106 6点 夜葬
最東対地
(2025/02/10 12:57登録)
日本ホラー小説大賞の読者賞を受賞した作品
ミステリー要素も含むホラーはチラホラ読んでいたが、この手の純粋なるホラー小説となると久々な気がする
死者の顔を抉って地蔵の顔に埋め込み、顔のない遺体に供物を詰めて弔う
なかなか衝撃的な土着信仰に基いた怪奇現象を描いた作品で、過去の似た傾向の作品を挙げるとすれば、かの名作「リング」がストーリー展開としても近いだろうか
個人的には古き良きジャパニーズホラーのテンプレに則った良作だと思った。純粋なホラーが久々で、新鮮に感じられたのもあったかも知れない
話にスピード感もあって、グロさと怖さも程よい作風で読み易いホラー小説だと思います


No.105 6点 蘇る殺人者 天久鷹央の事件カルテ
知念実希人
(2025/02/09 05:27登録)
今回のテーマは、死者蘇生といった所でしょうか
連続猟奇殺人が起こり、犯人の目星も付いている。唯一、問題なのはその人物は既に死んでいて、しかも、その死亡判定をしたのが他ならぬ天久鷹央その人であるという一点
読んだのが一年くらい前なのでうろ覚えですが、確かそんな筋書きだったかと思います
本作も例に漏れず、ミステリーとして楽しみつつ、人体の不思議を純粋に学べる内容となってます。まして今作のような事例は医療関係者でなければ知る由もない内容ながら、「そんな事が起こるんだ」という関心度合いはシリーズ中でも屈指の印象で楽しめました


No.104 5点 変な家
雨穴
(2025/02/08 16:17登録)
まずYouTubeの動画を見る機会があり、雨穴氏の動画は粗方興味深く観させつつ頂きました
その上で、この「変な家」の書籍化が発表され、発売当時も楽しみにしていたものです
で、その感想ですが、良いとも悪いとも言い難い…
怪しい間取り図は更に2枚追加、それに伴い怪し気な新キャラや旧家の因習が絡んでボリュームはアップしている
でも、正直言って動画で見た「変な家」(本書でいう1話もしくは1部に当たる)で完結していた方が気味の悪さといい、話の余韻といい、想像の余地がある分、いろいろと膨らませて楽しめていたと思うのです
雨穴氏の話の持ち味はリアル寄りな薄気味悪さだと私は思っているので、本書のように左手供養(...でしたっけ?)みたいなB級ホラーの要素を出されるとなんか冷めるんですよね
色々文句は言ってますが、詰まらなくは無かったですよ。雨穴らしさが薄れてる印象はありつつ、ホラー小説としては普通に楽しめます。少なくとも、あの映画版とは雲泥の差です


No.103 7点 不死症
周木律
(2025/02/07 17:51登録)
冒頭いきなり瓦礫の中からスタートし、訳も分からないまま生存者が集まり出した所で、一般的に言う所のゾンビに当たる異形「ウェンディゴ」の襲来…
まさに、カプコンの名作タイトル『バイオハザード』が日本で起こったらこうなるといった感じに話が進みます
純然たるバイオホラー物ではありますが、主人公の失われた記憶にもある種の仕掛けがあり、ミステリーとしての側面もあって飽きさせません
また、希望と絶望の調整が絶妙で、単なるサバイバーで終わらない魅力があるように感じました
元々バイオハザードシリーズが好きで、こういったバイオホラー、サバイバルホラーも好きなジャンルだから嗜好に合っていたのも多分にありますが、この手の小説としてはわりと薦められる完成度だったかと思います


No.102 4点 図書館の美女
ジェフ・アボット
(2025/02/06 17:13登録)
とある田舎町で頻発する爆破事件、土地開発に揺れる開発業者と反対派の不和、そこにかつての恋人が現れて混沌とする中、遂に殺人事件まで起こる
なにかと詰め込まれた印象があり、事実、それに振り回されて(負傷もしながら)事件に巻き込まれていく図書館長ジョーディの活躍を描く「図書館」シリーズの2作目
話自体は真相も含めてなかなか面白かったです。登場人物は曲者揃いで、特にいかにも黒っぽいのに白くも見える終始灰色な元カノの存在感は大きかったように思います
ただ、個人的に引っ掛かったのは主人公・ジョーディのキャラクター。私が前作を読んでないから余計にそう感じるのか、そこはかとなく良い人風な割に優柔不断、元カノに対する接し方なんかも嫌悪感が湧くなど、主人公として決して好きになれないタイプの人物でした


No.101 3点 連続殺人鬼 カエル男
中山七里
(2025/02/06 10:07登録)
中山七里はわりと好きな作家だし、本作に関しても「このミステリーがすごい!大賞」の最終候補の一つに選出された程で、氏の代表作の一つなのは間違いない
…が、面白かったか?と問われると、私は首を傾げる
幼子がカエルを苛めるように幼稚で残虐な犯行を繰り返す殺人鬼「カエル男」の正体に迫るサイコスリラー的な話で、いわゆる『序破急』といった感じのスピード感がある語り口が魅力だとは感じた
しかし、良かれ悪かれ勢い任せな印象で、特に住民達が暴徒化して警察署を襲うシーンなんかは演出過剰な気がして、個人的には冷めてしまった
また、この手の犯人(サイコパス)としてキャラ付けが微妙というか作り物めいて感じられたのも楽しみ切れなかった一因かもしれません(似た感じ方をしたサイコパス犯人としては「レモンと殺人鬼」の「ウシワカ」とかもそうでしたが…)
私としては中山七里の作品としては「護られなかった者たちへ」や「隣はシリアルキラー」のほうが断然オススメ出来ますね


No.100 5点 架空犯
東野圭吾
(2025/02/04 15:18登録)
とある夫婦が死亡し、稚拙な自殺偽装に隠された意図であるとか、秘された人間関係であるとかが徐々に浮かび上がり、入り組んだ果てにある一つの真相に辿り着くまでの流れが素晴らしい
ガリレオシリーズは勿論、一見似た傾向がありそうな加賀恭一郎シリーズとも一線を画す警察小説だったかと思います
ただ、個人的に東野圭吾作品にしては本作はちょっと読みにくく感じて、読み切るまでいまいちペースが上がらなかった印象です


No.99 8点 久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ
知念実希人
(2025/02/04 08:27登録)
個人的には、今の時点でこのシリーズ作品中最も好きな作品
本作では、ある意味で医療ミステリーらしい「不老不死」をテーマに挙げている
昔と寸分変わらぬ幼さすらある容姿で現れたアイドルの少女。あまりの異様さに鷹央先生が呼ばれるも、彼女の身内によるガードで、詳しく調べる事も難しい。そんな中、当の少女は崖からの飛び降りを生中継しながら、その場で蘇生して見せ、世間を熱狂させていく
十何年経ても容姿が変わらない不老、一見生存不可能な飛び降りからの復活。そこに、倒産した芸能事務所の敷地から見つかったタイムカプセルに入れられた遺体、海から打ち上がった謎の女性の腐乱死体まで係り、いかにも現代的な企みまで見えて来る
1冊に納めるには中々の詰め込み具合だと思う。それらを破綻なく収束させ、不老不死の真相は興味深く、追い詰められる黒幕にカタルシスを覚え、ある意味で一番の被害者とも言える人物にも希望が与えられて幕を下ろす。綺麗に、すっきりとした終わり方に満足です


No.98 6点 VR浮遊館の謎ー探偵AIのリアル・ディープラーニング
早坂吝
(2025/02/04 08:03登録)
そう遠くない近未来の現実を舞台に、「名探偵」のAI・相以と「犯人」のAI・以相の対決を描く「探偵AI」シリーズの4作目
今回の舞台はVRゲームの中、1人に付き1種、特定の魔法を扱う事が出来る浮遊する館。浮遊し続ける館の謎を解き、既に発動している魔法を解除し、無事に脱出するのが目的となる。そんなゲームに紛れ込んだ現実のシリアルキラーが、ゲームと思っている参加者を実際に殺し始めて…
あらすじの時点で、このシリーズらしさもあって好きです。ある種の館物でもあり、特殊設定が活きる謎と、現実的な謎も混ぜ合わさってシリアルキラー「骨折りジャック」に辿り着く感じが良い
あと、なんやかんや言って「探偵」相以は勿論なんですけど、なにかと天邪鬼な「犯人」以相が輔の言葉に振り回される様子は微笑ましいというか可愛らしいです。こう言った憎めない悪役の存在も、本作の面白さだと思います
シリーズを1作飛ばした事に気付きましたので、その内、抜けた3作目も読みたいと思います


No.97 3点 神話の密室 天久鷹央の事件カルテ
知念実希人
(2025/02/03 00:43登録)
現役の医師でもある著者による人気シリーズの一つで、お固そうな医療ミステリーでありながら、専門用語や聞き慣れない病名が絡みつつもライトな語り口で堅苦しくなく楽しめる実績ありきのシリーズ
今作の場合、『密室』にフォーカスした中編2本で構成され、『閉鎖病棟で酔っ払ったアル中患者』(物理的な密室)と、『衆人環視の場で急死した選手』(状況的な密室)という毛色の異なる密室の謎が楽しめる
だが、(特に前者に言える事だが)本作はどちらかと言うと事件カルテというより推理カルテ寄りな内容で、正直あまり楽しくはなかったというのが正直な感想です


No.96 4点 ミステリークロック
貴志祐介
(2025/02/03 00:26登録)
例によって著者の「密室」に対する拘りが詰まった短編集
防犯カメラと迷路に阻まれた犯行現場、突如ボートから投げ出されて海の藻屑となった男。この2編は結構好きで、特に後者(「コロッサスの鉤爪」)はボリュームといい内容といい文句はない。前者については、映像化した際に映えるようなトリックである為、文章で訴えるには分が悪い感じはしたが内容自体は面白かった
逆に、表題作になっている「ミステリークロック」に関しては、作中で一番力が入ったトリックが用いられているのはヒシヒシと感じるが、一方で、それが空回っていたように感じてしまった。はっきり言って、「すげぇな」と思う前にダレてきてしまい、トリックが緻密で壮大な割に受け手に響かない自己満足になってしまっていたように思う(少なくとも私はそう思った)


No.95 5点 狐火の家
貴志祐介
(2025/02/03 00:08登録)
かつてドラマ化もされた「鍵のかかった部屋」の原作で、著者が『密室』に拘りを持って放つ「防犯探偵・榎本」シリーズの2作目
日本家屋、蜘蛛の飼育部屋、閉じ籠った棋士、凶暴な番犬…例に漏れず様々なシチュエーション下で意図的もしくは偶発的に発生した4つの密室が提示される
個人的に発想の面白さでは毒蜘蛛を使ったトリックは好きでしたが、一方で古い日本家屋で起きた実質的密室殺人(表題作)の真相は話の雰囲気が良いだけにちょっと物足りなさがあり、残る2編は正直良くも悪くも特にこれといった印象に残らない凡作と感じられました


No.94 5点 悪夢のドライブ
木下半太
(2025/02/02 23:50登録)
木下半太によるユーモアミステリーシリーズ「悪夢の○○」の一つで、今回は、食っていく為に止むなく運び屋のバイトを引き受ける羽目になった売れない芸人が主人公
車を所定の場所まで運転するだけのお仕事だった筈が、やがて命の危機にも直面し、思ったより多くの人間が関わる一大事へと発展していく
木下半太の軽快な文章と、アフロヘアーの売れない芸人(主人公)など分かりやすく個性的なキャラクター、そこに勢いのある展開も相まってまさに珍道中といった感じが魅力の作品
あまりシリアスになり過ぎていないのが逆に功を奏している気がしていて、木下半太が描くユーモアミステリーは本作がある意味で最適解なのではないかとも思う

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