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ミステリの祭典

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みりんさんの登録情報
平均点:6.66点 書評数:385件

プロフィール| 書評

No.285 6点 クビキリサイクル
西尾維新
(2024/05/25 18:33登録)
初西尾維新。文章が超読みやすい。551ページ5h35min読了。
孤島、天才、人生哲学、その他もろもろ森博嗣から影響を受けてる(メフィスト賞作家だし)のかな?間違いだったらすみません。

なんとなく加点法で
2次元の平面密室 +0点 まあそうですよね…
3次元の空間密室 +2点 いいよねぇこういうの
4次元の時間密室 +0点 これは真相からすると仕方がないヤツ
首切りの動機 +3点 2つ目と重なるが、圧倒的に素晴らしい
殺人の動機 +2点 どんでん返しにも繋がるが、この世界観であるからこそ…と言う謎の納得感あり。
天才の描き方が全国模試1位系の表現方法でチープ -1点

なにやらいーちゃんと玖渚友には過去が色々あるらしく、今後シリーズを読み進めると明かされていくのかな。1作目ということで西尾節はこれでも抑えられている方らしい。


No.284 7点 アッシャー家の崩壊
エドガー・アラン・ポー
(2024/05/24 02:35登録)
幻想的な館ものですね。途中で『早すぎた埋葬』と印刷ミスってないか?と不安になった笑
自分の好きな新本格の館系作品をトリックやプロットをそのままにして、ポーがリライトすれば、文学的価値の付与された隙のない作品になっただろうなあと意味のない妄想に耽ってしまった。


No.283 7点 黒猫
エドガー・アラン・ポー
(2024/05/24 02:31登録)
怪奇小説・・・と見せかけた異常心理犯罪小説。短編でここまで嫌悪感を覚えさせるキャラクターはそうそういないでしょう。


No.282 6点 赤死病の仮面
エドガー・アラン・ポー
(2024/05/24 02:29登録)
これがゴシックホラーってやつか。捻りの効いた皮肉なオチがいいね。


No.281 6点 黄金虫
エドガー・アラン・ポー
(2024/05/23 20:51登録)
こちらはかすかに読んだ記憶があった。
この作品がポーの存命中では最も人気な作品だったらしい。確かに暗号嫌いな人なんていないよねぇ…
ポーすごいなあ、なんでも生み出してんじゃん。
昨今の複雑すぎる真相や暗号に親しんできた人こそポーを読むべきなのかもね

※ところで、ポーは短編単体での登録が結構あるっぽいけど大丈夫なのかな?? 始祖ポー(と乱歩)だけ特別枠?


No.280 6点 お前が犯人だ
エドガー・アラン・ポー
(2024/05/23 20:41登録)
「犯人はお前だ」って決め台詞もこれが初なのかな。始祖ポーは陳腐な使い方をせずに、演出が派手で面白いね。ポーってなんだか楽しい人だな。


No.279 8点 モルグ街の殺人
エドガー・アラン・ポー
(2024/05/23 17:22登録)
さーて、最古典のお勉強の時間といくか…
『盗まれた手紙』はなんとも言えなかったし、コチラもどうせ今読んだらそこまでだよなと思いながら、重い腰を上げて読み始めると、、、Ohhh!密室殺人!!そして衝撃の犯人!!! 探偵小説の雛形を考案しただけじゃなくて、ハナからこんなにネジの外れたとんでもミステリを生み出していたのか。すごい、すごすぎるぞポー。
『オリエント』も『アクロイド』も『ABC』もネタバレされたのに、なぜこの作品だけ露知らず読めたのかが不思議である。
始祖への敬意 +1

※ちなみに本サイトのどっかの書評(失念)で、「『モルグ街の殺人』が史上初の推理小説ってのは間違いの可能性がある」みたいな感じのことを読んだ記憶があります。wikipediaみた感じ、E.T.A.ホフマンの『スキュデリ嬢』(1819年)がよく俎上に載せられるらしい。


No.278 7点 Rommy
歌野晶午
(2024/05/22 21:02登録)
これは「切断の理由」にあがってもおかしくなさそう。切断死体というといかにも本格という印象を受けるが、事件と犯人だけを取り出すと毎週の30分推理アニメレベル。主題はそこではなく、切断の理由にも結びつくとあるテーマですね。天才歌手Rommyの半生を追う小説として、終始惹き込まれっぱなしだった。458ページ5h29min読了。歌野サンって色んな意味で文章うまいなあ…
「愛がどうだ」とか「人生はこうだ」とかそんな曲で蔓延る邦楽界隈(よく聴きますし好きですよ笑)にファンタジー色の強い歌詞をつくるアーティストが現れたら確かに斬新かも。実在したら聴いてみたい。


※とある方面から怒られるかもしれない話
キーボード奏者に対してRommyとディレクターが「こいつは光る原石だ」と才能を見出す展開があるが、これが作中で1番リアリティないと思う(笑) ピアノならともかく、キーボードなんて誰が弾いても同じじゃないの?


No.277 5点 ユメノユモレスク
夢野久作
(2024/05/21 00:44登録)
夢野久作の恋の奇想曲(ユモレスク)がテーマで『死後の恋』『押絵の奇蹟』『ココナットの実』『瓶詰地獄』の4つの恋愛小説が収録。4人の銅版画家が幻想世界へと誘うカラー扉をそれぞれ担当しています。この作品集のこだわりである旧字体や歴史的仮名遣い(夢野久作の文章の完全再現!)をじっくり堪能しながら、300ページ4h17min読了。

しかしながら、これはあまりおすすめしませんね。作品のチョイスはまあいいとして、挿画が『死後の恋』以外イマイチです。まあ私は芸術を正当に評価できるような審美眼は待ち合わせていませんが…4000円でこれを買うなら、他の傑作選で良いし、絵を楽しみたいのなら乙女の本棚シリーズの方を強くお勧めします。
褒めるべきところはフォントサイズ!非常に読みやすい!創元推理文庫は見習ってほしい!(私怨)

にしても短編の未読作が減ってきたな。そろそろ夢野久作全集とやらでマイナー作品拾っていくべきか。


No.276 8点 聯愁殺
西澤保彦
(2024/05/20 04:58登録)
ははーん、Amazonの評価もやたら低いし、こりゃ"練習殺"ってぇ親父ギャグエンドだな
って笑ってたら予想の斜め上をいく衝撃の真相をかましてきた。脱帽。337ページ3h22min読了。

探偵役6人による推理合戦!『毒入りチョコレート事件』の完全オマージュ!重要な情報が後出しになるところまで完全一致!!こちらもザ・"推理"小説って感じです。
長すぎる推理合戦が評価を落としている原因の1つですが、たとえ舞台に空間的広がりがなくても、物語に起伏がなくても、私多重解決が好きなんで、飽きずに楽しく読んでいられました。
スマートな導入+楽しい推理合戦+衝撃の真相という感じで序盤、中盤、終盤、隙がない作品だと思いますよ。


氷川氏の熱量あふれる解説にて、デクスターに興味持った。メモメモ
そしてどうやら「メタ・ミステリ」ってのは私が軽々しく扱っていい言葉じゃないことも知れた。


No.275 5点 さよなら妖精
米澤穂信
(2024/05/19 20:23登録)
ぬ、これが「日常の謎」というやつか。記憶が正しければ、初めて読んだかも。
『王とサーカス』に登場した太刀洗万智の高校生時代が描かれた作品ですね。あれだけフラグピンピンだったのに太刀洗と守屋にはその後何もなかったのか…

「日常の謎」だと思ってかるーい気持ちで読んでいると最後で持ってかれますよ。352ページ3h10min読了。


No.274 8点 沈没船で眠りたい
新馬場新
(2024/05/19 02:20登録)
"どれだけ世界が変わっても たったひとつ この感情だけは"
良いキャッチコピーですね。井上真偽『ベーシックインカム』と少し似てる。

テセウスの船・自己同一性がテーマのガールミーツガールSF小説。つい最近、ChatGPTや生成AIなんてものが出てきました。それに伴い、AIを使用して創作活動を行う者が非難される現象がしばしば起こります。このことが「令和のラッダイト運動」だと揶揄されたりしますよね。本作品はその延長線上で、人間の仕事がほとんど機械学習に取って代わられた2044年の近未来のお話。急速に発展したテクノロジーを壊すネオ・ラダイト運動が起こるなか、機械と心中を決意した少女の謎を読み解くミステリーでもあります。326ページ3h48min読了。

人間は細胞の破壊と再生を繰り返すため、同じ状態である瞬間は一秒もありません。それでも昨日の私と今日の私を同一個体であると認識しています。しかし、その体のほとんどが機械になったとしても同じことが言えるでしょうか。私には自信がありません。実際に悠は自己同一性を保てなくなり、身体だけでなく精神も次第に朽ちていきます。テセウスの"船"であれば、そこで終わりですが人間は違います。悠と千鶴を繋ぎ止めている愛情だけは代替不可なのです。ましてやその愛情とは容姿や性格など一時の悠で形成されるものではありません。彼女と過ごした時間、講義、フェス、病室、コンビニ袋を揺らして走った夏の夜、今と地続きにいる歴史が愛を保証するのだと千鶴は言い切ります。

これは埋もれさせてはならないSF小説の傑作ではないでしょうか。『かがみの孤城』で泣けなかった私の目にもまだ涙が数滴残っていたんだと安心させてくれました。一応どんでん返しも2つほどあります。

※作中では『1984年』などの有名SFが多数紹介されます。気になったので(特に下から3つ目!)、詳しい方いたらタイトル教えてください。
「太陽風ヨットが出てくる話」←太陽からの風?
「少女が親友のために冴えたやり方を思いつく話」←たったひとつの冴えたやり方?
「ネズミのアルジャーノンが出てくる話」←アルジャーノンに花束を
「頭の中に埋め込まれた宝石が自我を持つ話」←?
「違う身体に接続されて恋をする女の話」←?
「意固地な猫が夏へと繋がる扉を探す話」←夏への扉


No.273 7点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2024/05/18 14:46登録)
カーは読みづらいと認識していたのだが、原因が判明した。旧版のフォントのせいだな。新訳で308ページ4h13min読了。
カー作品の中で1番評点が高い作品ですが、そこまですごいかなあ。トリックそのものではなく、読者を欺く叙述の技巧が評価されているのかな。クズ男に振り回される女性のラブサスペンスとしてかなり楽しめるので7点に。

旧訳と新訳の両方あるので、読んでて楽しかった部分を比較。自身の不倫を棚に上げて、妻には貞淑であることを求める夫トビイに妻イヴが怒りを爆発させるシーン。新訳の方が細大漏らさず拾ってる感あって好きかな(原文知りませんが…)

井上一夫の旧訳ver p186より
「ではあなたは私がそんなことをしたら、許して水に流してやるといえて? さぞや寛大なお心をお持ちでしょうよ! 百万だらぶつぶついってね! あなたの理想というのはどうしたの? それでもあなたは純真で清浄な道徳観念をもった、純情な青年紳士のつもり?」

駒月雅子の新訳ver p197より
「じゃあ、わたしが同じことをやっても許せるのね? なにもかも水に流せるのね? まあ、何でできた方でしょう。 さすがはきれいごとばかり並べる偽善者だわ! 『デイヴィッド・コパフィールド』に出てくるユーライア・ヒープ顔負けね! あなたの理想とやらはなんでしたっけ? この期に及んで、まだ品行方正な好青年を気取るおつもり?」

他にも夫を罵る下品な言葉として「ペテン師(旧訳)」→「いんちき男(新訳)」 こちらは旧訳の方がいいかな。うーん翻訳物って買う時にどっち選べば良いか分からないから厄介だ。


No.272 7点 涜神館殺人事件
手代木正太郎
(2024/05/16 10:45登録)
新本格ファンを自称しているにもかかわらず、最近まったく読めていなかった。が、実に3ヶ月ぶりにジュン・シンホンカク(ぼくのかんがえたさいきょうの…というような狭義なヤツね)に出会えた。最近新本格成分足りてねぇから目覚めが悪いなあって方にオススメの一冊。407ページ5h29min読了。

『べ○セ○ク』に登場しそうな山羊の装丁からも想像がつきますが、霊媒能力や超常現象、現実には存在し得ない獣などが跋扈するオカルトミステリです。今までホラーはオカルトを包含する、ホラー⊃オカルトの関係だと思っていたんですが、この作品を読んで全く別物だなと考えを改めました。見当違いだったらすみません。当然オカルト要素が恐怖を生むこともありますよ。
ですが、「200年閉ざされていた中庭に遺体を運んだ方法」「殺人者の消失方法」「小劇場での密室殺人」など魅力的な謎の解明にはオカルトに頼りません。「殺人者の消失トリック」のみHowがチープなんですが、部屋の配色と彫像の意味に感心するのでセーフです。他の2つはミスリードも含めてお見事という他ありません。そしてなんといっても真犯人の登場シーンがクライマックス。素晴らしい。そこからはややチープに…… エピローグは心霊現象に対する見識を述べてから晴れやかに締めくくられます。

久しぶりに読んで「ああやっぱ新本格いいなあ、定期的に補充しないと」と思えたので、好意的に評価したい!てか好き!感情的には8点つけたい!なんだけど、少々ぶん投げた部分を差し引いて、迷った挙句7点に。作風が大変気に入ったので、著者の他作品も必ず読みますよ。


No.271 7点 夢野久作 ちくま日本文学
夢野久作
(2024/05/14 20:12登録)
私はあまり再読をしません。未知の衝撃を求めて、未読の作品に手を出してしまいます。しかし夢野久作は例外です。昨日読んだとしても、今日また読むと新たな印象を受けたり、新たな解釈が生まれたりします。読めば読むほど味が出るスルメ作家ですね。一読では私の理解が及ばないだけという説もあります(苦笑)

夢野久作の実の父親にして、政界の黒幕・杉山茂丸について語る実話が面白かった。まさにこの親にしてこの子ありですね。父親は「息子の小説は最初の一二行読むうちに、何のことやらわからなくなる」と評していたそうです笑 
著者は能や歌舞伎に精通しているので、謡曲のすゝめエッセイ『謡曲黒白談』もついていますが、しっかり夢Qらしいオチがあります(実話かは不明)。
『猟奇歌』とは雑誌『猟奇』の編集者が立ち上げた短歌のジャンルで、色々な作家が投稿していたそうですが、いずれもレベルは低く、夢野久作の独壇場となっていたそうです(笑) 童話や怪奇小説だけでなく、詩や短歌まで軽くこなす多才さに驚きます。

おそらく本書は、自由闊達に趣味を楽しんできた夢野久作だからこそ書けたような個性あふれる作品をあえてチョイスしていると思われます。『いなか、の、じけん』『瓶詰地獄』『押絵の奇蹟』『氷の涯』『人間腸詰』『猟奇歌』『謡曲黒白談』『杉山茂丸』の8編。
前半6作はメジャー作品が並びますが、『死後の恋』はさすがに入れて欲しかったかなあ…


No.270 5点 夢Q夢魔物語-夢野久作怪異小品集
夢野久作
(2024/05/13 23:01登録)
「真の幻想家的資質をそなえた作家」たる夢野久作の知られざる本領を提示すべく選ばれたアンソロジーとのことです。「怪異小品集」という名の通り、怪奇系短編や童話、連作短歌、エッセイ、ルポルタージュに至るまで合計60作品収録された短編集。他の傑作選などには載らないような小品ばかりで、60作品中既読だったのは『髪切虫』『瓶詰地獄』『縊死体』『青ネクタイ』『崑崙茶』のわずか5作品と、痒いところにまで手が届くセレクトでした。
気に入ったのを4つ挙げると『正夢』『虫の生命』『病院』『ツクツク法師』 何度読んでも意味がわからないお話もあれば、逆になんの捻りもないフツーのお話もあり、玉石混交でしたね。

1つ1つは5分足らずで読める短いものばかりなので、トイレに置いておくと丁度いいな。ペラペラめくって目に止まったのを読めば、毎朝の快便の助けになること間違いなし!


No.269 6点 毒入り火刑法廷
榊林銘
(2024/05/12 14:55登録)
『毒入りチョコレート事件』+『火刑法廷』かと思って読んだが、両方ともあまり関係なかったね。
読みにくい文章ってわけでもないのに、なぜかやたら疲労感が…405ページ6h4min読了。 

魔女を断罪する火刑法廷は一筋縄ではいかない。「魔法」は「殺人」よりも罪が重いのです。なので、殺人は認めるけども魔法だけは使ってねぇぞと偽証する展開があったりして笑えます。取り上げられる3つの事件はすべて密室であるため、見取り図とにらめっこしながら2転3転する真相を追うのは本格的味わいがありますし、御子柴礼司シリーズで味わえるような法廷ミステリ特有の駆け引きも楽しめます。まあ、本格としては小粒感があるので、魔法少女2人の切ない友情を見届けるキャラクター小説として読めば良いのではないでしょうかね。よって、個人的には1つ目の事件がお気に入り。
1つ目の裁判は「飛行」2つ目の裁判は「変身」3つ目の裁判は「感応」がそれぞれテーマであり、しっかりとなんたらルールの順番になっている事に読後しばらくしてから気づき、シナリオ構成の妙にうなる。

※読み飛ばしたのか不安ですが、結局2つ目の事件の密室のHowって明かされたの?


No.268 7点 火刑法廷
ジョン・ディクスン・カー
(2024/05/12 14:52登録)
あれ、何かがおかしい。中学生の頃に、「頬杖ついてるオバサンは読みやすいけど、このドヤ顔のオッサンはすこぶる読みづれぇから要注意だぜ!」と心得ていた。けど、なんか知らんが今読むと翻訳物にしては普通に読みやすかった。379ページ5h10min読了。

二つの人間消失トリックが論理的に明かされるエピローグ前までは佳作(6点)。ちなみに遺体消滅の方法で、そんな芸当ができたのか?なんかズルくね?と思った私のような方はレイ・ブラッドベリへさんの書評を読むと良いでしょう。作者の騙しのテクニックが分かりやすくまとまっていて、感謝です(*^^*)
エピローグをミステリを超越したボーナスステージと捉えるのか、台無しにした蛇足要素と捉えるかは読み手次第ですね。この小説を支える最も魅力的な"謎"が解明されたということで私は+1点。
ちょっと前なら「は?そんなひっくり返し方ダメだろ」と怒ってたかもしれないけど、最近は「ないよりはあった方がいいんじゃね」の欲張り精神が脳内を支配するようになってきた。


No.267 7点 遠海事件: 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?
詠坂雄二
(2024/05/09 19:45登録)
ああああああやられた〜!これは秀逸なミスリードですね。
Whyを当ててみろ!と言わんばかりの挑発的な副題もいいです。タイトルだけのコケオドシではなくそこにはしっかりした理由が存在します(少しボカされますが)。首切り連続殺人という猟奇事件の裏では、人間の本質について問う社会派要素も。

※みんな教えての「切断の理由」にて、信頼度の高いお二方が勧めていたので気になって読みました。良い読者体験ができました。ありがとうございます。


No.266 6点 冥土行進曲
夢野久作
(2024/05/08 19:49登録)
夢野久作が1932〜1934年に発表した短編が8編収録。未読の6編の感想を。

狂人は笑う 5点
「青いネクタイ」と「崑崙茶」の2つ 
相変わらず狂人の解像度が高いですね。

縊死体 5点

焦点を合わせる 6点
スパイ小説。正直騙し合いが複雑すぎてよく分からなかったので、再読してようやく掴めた。痛快なラストに至るまでの前フリも結構面白い。

斜坑 6点
スカッとしますね。にしても、三津田信三『黒面の狐』もそうだが、炭坑って薄暗いのに小説だとやけに映えるね。もっとこの舞台を採用した方が良いのでは?

爆弾太平記 7点
舞台は韓国併合時の釜山周辺の島。
爆弾漁業とはその名の通り爆弾を水中で破裂させ、水面に浮かび上がった魚を狩る方法。この方法は生態系の破壊を招き、結果的に不作に陥るという不正漁業。実際にこういう漁業が横行していたとは知らなかったので、勉強になりました(日本史で習うのかな?) 轟雷雄は50万の漁民の思いを背負い、不正漁業を取り締まるべく行動を起こします。結果的には9名の死者を出す大事件へと発展するのですが、不正漁業の裏で密かに行われていた権力者達の悪辣極まる趣味が暴かれるのでした。轟雷雄視点の独白体形式で冒険譚のような形で語られますが、こういうのを書かせたらやはり抜群に面白い。

冥土行進曲 6点
ベタな復讐物語かと思いきやドタバタ・ギャング・サスペンスが始まり、そしていつもの幻想風味が香ってきたところでめでたしめでたしオチ。タイトルに反して軽いお話

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