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ミステリの祭典

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二人目の私が夜歩く

作家 辻堂ゆめ
出版日2024年04月
平均点7.25点
書評数4人

No.4 7点 みりん
(2025/02/03 11:42登録)
他人とうまく打ち解けられない茜はボランティアで交通事故で半身不随になった咲子と出会う。茜は境遇の似通った咲子の心の綺麗さと芯の強さに惹かれて、次第に心を開いていく。物語のキーは夜間、睡眠中に起こる2人の精神の入れ替わり。夜は人の本質が見える時間だという…
人間の温かみだけでなく、偽善や虚栄といった負の一面にもスポットを当てながら、読了後にはほろ苦い気持ちが残る青春小説であり、ミステリーとしても違和感の配置と種の明かし方が絶妙にうまく、衝撃成分を最大化できていると感じました。本サイトの高評価で気になり、読んで見て良かったです。

No.3 6点 sophia
(2025/01/22 00:31登録)
ネタバレあり

最初の方に答えが出ているのに見過ごしてしまうなどミスリードも上手く、夢遊病小説(?)としては面白いのですが、過去の事故に関する謎解き部分がしっくり来ません。事故当時の街並みや登場人物たちの動線を頭の中で再現するのが難しかったですし、事故のあらましや過失割合の話もよく分かりませんでした。発端となった親友と先輩との三角関係も何が何だか。主人公が自分でも知らずに抱えている大きな秘密と過去の事故の部分がもっと自然に融合していたら評価は上がったと思います。

No.2 8点 メルカトル
(2025/01/15 22:39登録)
これは何を書いてもネタバレになるので、書評の書き様がありません。ただ、途中で何度も「え?」となったのは間違いありません。
人間もよく描かれており、特に主役の二人の心理描写は手に取る様に鮮明に脳内に浮かんできますね。

こういうのが嫌いな方も結構多いというのは想像に難くないです。
でも、何でもいいから面白い小説を、という人にはお薦めです。ジャンルとしてはその他でも良いと思いますが、どちらかと言うとサスペンスではないかと言う気がします。
取り敢えず多くの方に読んでもらって、色んな感想をお聞きしたい作品ではあります。高評価は伊達ではないと確信しています。

No.1 8点 人並由真
(2025/01/06 06:38登録)
(ネタバレなし)
 両親を幼少時に交通事故で失い、祖父母に養育された高校三年生の女子・鈴木茜。茜はボランティアで、ほぼ全身不随だが会話だけは可能な29歳の女性・厚浦咲子と友人になる。幼少時の事故のトラウマの影響で人との関りも不順な茜は、年の離れた咲子と奇妙な友情を築いていった。だがそんな茜は、ある日、自分の体の変調に気づく。

 大き目の級数の本文で、スラスラ読める。
 孤独な主人公ヒロインたちの邂逅の中からやがて予想外の事実が浮かびあがるが、もちろん詳しくは書かない。
 だが広義の? ミステリとしてもヒューマンドラマとしても非常に手応えのある作品で、特に終盤で明らかにされる真相の作り込みとクロージングの余韻はあまりに鮮烈。

 いい年になったいま読んでも十分に良かったが、十代の後半か二十代の前半に出会いたかったな、とも思った。そうであったら、たぶん強烈にこちらの胸に突き刺さったであろう。
『卒業タイムリミット』とはまた違う味わいの優秀作で、こちらも作者の代表作のひとつになるのでは?

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