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ミステリの祭典

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さよならドビュッシー
岬洋介シリーズ

作家 中山七里
出版日2010年01月
平均点6.07点
書評数29人

No.29 5点 zuso
(2022/02/13 22:48登録)
延々と続くヒロインの独白と少女コミック風のお話作りにいささか食傷したが、終盤それは十分に報われる。前半の伏線やミスリードが一気にカタルシスとなって実を結ぶ終盤は圧巻。

No.28 4点 バード
(2019/12/11 11:32登録)
一章はプロローグの役割で、二章から物語の本筋が始まる。五章だてで、文庫版だと総計400p.くらい。

私には音楽関係の描写が難しかったが、込められたメッセージは嫌いじゃない。ストーリーにもう少しオリジナリティを持たせるべきとは思うが、そこそこ楽しめた。

しかし、細かいところは抜きにねー、本作のメインの仕掛けねー、残念ながら最序盤(二章が開始して40p.くらい)でわかっちまったんだよねー。仕掛け自体がダメなのではなく、多分書き方の問題で、隠し方が不自然だったのだろう。
メインの仕掛けで感心できたら、面白かったのだろうけど、ネタバレ済みの手品を延々と見てる感じだった。騙されたかったなー、早々に種が割れた手品に高評価はつけられん。

No.27 5点 初老人
(2019/12/02 19:03登録)
私もいいちこさんと同じくこの作品に対して高い評価はつけられません。
ただ、この作者の音楽の描写は大したもの。まるで、こちらが実際に聴いているかのように胸に迫ってくる。
美点も沢山ある作品なので、酷評をするのはためらわれる。

No.26 6点 いいちこ
(2019/10/19 11:38登録)
まず、青春小説としては叙述の拙劣ぶりが目に余る。
ピアノのパフォーマンスの凄さを伝えようと力が入っているのだが、陳腐な言葉が上滑りし躍るばかりで、読んでいて興が醒めること、甚だしい。
一方、ミステリとしては既視感、フィージビリティの低さ、ご都合主義等を指摘されているものの、一定のサプライズを演出できたと評価してよいのではないか。
毀誉褒貶の激しい作品だろうが、力作感を好意的に評価して6点の下位

No.25 1点 mediocrity
(2019/06/06 06:11登録)
書評88作品目ですが、現状ワーストです。
・とにかく気分の悪い描写、言葉遣いが断続的に出現する。『作家刑事毒島』の書評でも同じことを書いたが、よくこんな不快感を与える文章を書けるものだと感心してしまう。
・医学関連にしても、音楽関連にしても、自分の知識内でも事実と異なると思われる箇所が数か所あった。となると専門家が見れば間違いだらけなんじゃないのだろうか(この点は推測です)。
・メインの仕掛けが分かりやすすぎる。ノーヒントでも勘のいい人は気付くだろうに、自分が見つけただけでも3つあからさまなヒント(というかほぼ答え)があった。しかも、うち2つは序盤。さすがに読者を馬鹿にしすぎじゃないかと感じた。失礼ながら、気付かなった人はよっぽど鈍感か、ちゃんと読んでいないかのどちらかです。
・スポ魂的ストーリーも、あまりにベタすぎて全く面白くなかった。

No.24 6点 ボナンザ
(2018/12/09 20:06登録)
ミステリ的な雰囲気ではないが、うまく引き込む文体と最後の一本技が見事な佳作。

No.23 6点 VOLKS
(2018/09/12 10:29登録)
近頃はまっている中山七里のデビュー作、今ごろ読みました。
御子柴シリーズにどっぷり浸かってしまったため、どうしてもそっちと比べてしまいがちですが、どうにもこうにも御子柴のキャラクターが鮮烈過ぎて…(笑)文体もあちらの方が好みなのかもしれません。
作者の家族にピアノ(エレクトーン)奏者がいるとのこと。この本の音楽センス云々の蘊蓄や描写は流石です。全てに共感出来るわけではないですが、それを差し引いたとしてもとても楽しめました。
ただ、終始纏わる雰囲気がどうも苦手でした。
その原因がハッキリとわからないのですが、例えば遥の最初のピアノの先生、学校の先生方や同級生、その辺りを読んでいると胸くそ悪くなります。
そんな部分など一部の筈なのですが、なぜか本作は気分がのらない感じがしました。

No.22 6点
(2017/11/26 19:45登録)
今を時めく、大どんでん返し推理作家。
といっても、初めてなので、よくは知らない。

クラシックやピアノの蘊蓄が多いのは本書の大きな特徴。でもしつこく感じることはない。
それよりも気になる点がいくつかある。
(以下、ネタバレ)

途中、長科白が気になった。登場人物の主張、意見なのだが、結果的に謎解きには関係なかった。作者が登場人物の言葉を借りて何かを訴えたいだけなのか?
とにかくこういうのは好きにはなれない。

それと肝心なことが一つ。
この人物設定だと、ミステリー慣れした読者なら、真相にはピンとくるだろう。
それに一人称視点だから限界もあれば無理もある。だから岬洋介の謎解きは無理やり感がある。

と、問題ばかりを指摘したが、じつはこの種の青春ミステリーは好きな分野。雰囲気もいいし、締め方もいい。
だから、総評としては絶賛とまではいかないが、新人ながらよく頑張ったなあとも思うし、これからも読み続けたいとも思わせてくれたことには違いない。

No.21 8点 ねここねこ男爵
(2017/10/25 20:56登録)
すご〜く採点しづらい。もし本格ミステリ読むぜ!という前提で読んだら5点くらいだったかも。書評って読者の心持、予備知識などに大きく影響されるケースがあるという事を再確認させられた本作。

恥ずかしながら全く予備知識無しで読んだので(映像化されていたことすら知らなかった)、思いがけず結構驚いた。
ミステリ要素と同様に音楽パート部分にも賛否あるみたいですが、ワタクシはものすごく惹き込まれたクチ。演奏時の、おそらく字数のリズムすら考慮された文章にシビレたぜ。最後の演奏は泣きそうになったのは恥ずかしいが。

ミステリ部分の批判はもっとも。ただ、伏線は非常に上手いものと失敗しているもの、フェアなものとアンフェアなものがあり、読者によってはマイナスが目立つが、よく出来ている部分も評価してほしいなぁと。某アマゾンでも賛否入り混じりですが否の中に全く仕掛けを理解していない的外れなものが多いので。

繰り返しますがミステリとしての採点ではありませんのでご容赦を。

No.20 8点 Tetchy
(2017/04/23 22:39登録)
どんでん返しの王と云えば現代の海外ミステリ作家ならばジェフリー・ディーヴァーだが、日本では最近中山七里氏の名が挙がるようになった。実際「どんでん返しの帝王」という異名もついているらしい。本書はそんな彼がデビューするに至った第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作である。

まさに新人離れした筆致とストーリー展開であれよあれよという間に物語に引き込まれる。
本書に織り込まれたクラシックの曲調に対する描写が実に絵的で美しく、頭の中で音が奏でられるように錯覚する。私はクラシックには疎いのだが、それでも聞いたことのある題名から知らない曲名までもがなぜかその描写によって曲が自動再生させられていく。音の躍動感、またきらびやかさが粒のように空気に舞い、弾け、そして溶け合い、人々の耳に余韻として残る。それら一つ一つの音符やメロディに感じるのは中世・近代の名のある音楽家たちが譜面に込めた情熱や美、そして常に新しい技を生み出そうとする研鑽の姿だ。そしてそれらを譜面を通じて理解し、どうにか再現しようと、そしてそのメッセージと喜びを観客と共に分かち合おうとする演奏者の思いが神々しいほどに美しい描写に込められている。常に頭の中で音楽が奏でられ、思わず眼前にリサイタルが成されているかの如く錯覚に陥ってしまった。後でその題名でググって実際の曲を聴いてみると全く違っているのが常だが、中には合っているものもあったりして、この作家の表現力の豊かさを頭ではなく心で感じる思いがしたものだ。

そんな物語である本書はミステリというよりもなんとも清々しい青春小説、いやビルドゥングス・ロマンなのだろうという思いで読んだ。
しかし読み進めるうちに次のような作品だと思った。これは戦いの物語なのだ、と。
突然業火に包まれ、全身大火傷という重傷を負い、皮膚移植をされた一人の女子高生が、ピアノを通じて松葉杖を突き、5分以上の演奏ができない不具の身体でコンクールを勝ち抜く。社会の障害者に対する偏見と好奇の目に晒されながらも敢えてその逆境に挑み、岬洋介という素晴らしいピアニストを師に迎えて音楽という雄大に広がる宇宙を具現化させることに執着し、そしてその世界観を一人でも多くの聴者に届けようと苦心する一人の女子高生の戦いだ。
そしてまた彼女の師、岬洋介もまた戦う男だった。法曹界にその名を轟かせた凄腕の検事正を父に持ち、また自身も司法試験でトップ合格するほどの頭脳と適性を持ちながらピアノの夢を捨てられずに片耳が不自由とハンデを持ちながらも再び音楽家の道を歩み、新進気鋭のピアニストとなった男。ハンデを持つがゆえに世間の残酷さを知っているからこそ、障碍者の遥にも甘い言葉を掛けず、社会の厳しさを教え、その覚悟を常に問う。お坊ちゃん風の穏やかな風貌をしながらも心の中に太くて強い芯を持つ男だ。彼は音楽を究めんとしようとする者を後押しし、援助を拒まない。それが犯罪者であっても。
本書はこの2人の音楽の求道者がそれぞれ抱えた肉体的ハンデと戦い、そして世間と戦う物語なのだ。

これほどまでに犯人に対して憎しみどころか潔さや気持ちの良さを感じたミステリはない。本書に収められたどんでん返し最後の真相なのかもしれないが、本当のどんでん返しはこの気持ちよさにあると思う。

No.19 5点 itokin
(2016/09/05 20:18登録)
現実性のないトリックは読み終えるまでひかかってるので最後まで集中出来なかった。音楽の表現はこれでいいんだろうがなんだか少女漫画を読んでる感じだった。

No.18 6点 りゅうぐうのつかい
(2016/02/09 13:49登録)
文庫本の帯に書いてある文章を読んで、先入観を持っていたため、この作品のミステリーの核に当たる部分には、すぐにピンときた。それを読んでいなければ、もっと驚くことができただろう。ただし、このような間違いが実際に起こるとは思えない。警察で厳密に確認されてあるべきはずのことではないだろうか。
階段や松葉杖に細工をした人物、母親を殺した人物に関する岬の推理もあまり説得力のあるものではなかった。
一方、ピアノ演奏に関する描写は、表現力豊かで極めて饒舌。ピアノを弾く人、クラシック音楽が好きな人には、楽しめる内容だと思うが、そうでない人には、全く関心が持てないだろう(自分はピアノは弾けないが、クラシック音楽を聴くのは好きであり、ここで取り上げられている曲は、練習曲以外は聴いたことがある)。
ミステリーとしてよりも、ピアノ演奏に関する描写を味わい、主人公の音楽を通しての成長物語として捉えるべき作品ではないだろうか。

No.17 8点 斎藤警部
(2015/07/09 11:58登録)
略して「さよッシー」か。
(以下、途中からネタばれ気味)
音楽の美しさの描写に半端でない臨場感があり、楽器を扱う肉体感覚にもリアリティがある。 火傷やリハビリのくだりは本当に痛々しい。 物語の紡ぎ出しがスムーズだなぁ~~  と思って読んでたら、まさかの!! 火災事故で一人生き残りって設定あまりにベタ過ぎて逆に疑いもしなかったよ~ そしてあまりに堂々たる青春小説ぶり、音楽小説ぶりも大きなミスディレクションでしたね。 陳腐なトリックだけど見せ方が良かったね。

No.16 6点 まっち
(2014/12/06 21:41登録)
ラストは大どんでん返しで驚きました。私は音楽に疎いので多少読み飛ばした部分もありましたが、ピアノの演奏シーンなどはまるで青春小説のようで、爽やかな読後感でした。

No.15 7点 あびびび
(2014/09/17 17:58登録)
クラシック、ピアノの薀蓄が多く、少しページを飛ばしてしまったが(ほとんど興味なし)、ドビュッシーの曲を聞いてみたい…と言う気になった。特に「アラベスク」は近いうちに!

ストーリーの流れも悪くない。最後のどんでん返しは想定内だが、最後まで「ピアノの腕が…」と、こだわっていたから少し意外な気がした。探偵役の岬は司法試験トップで通過しただけあり、すべてに万能。次の作品も興味津々である。

No.14 6点 HORNET
(2014/09/14 14:14登録)
 物語冒頭の、真相に関わる登場人物の出し方がちょっと露骨で、分かりやすすぎるきらいがあり、ミステリとしてはやや大味な印象は否めない。が、クラシック音楽の世界を織り込んだ物語の雰囲気作りがそれを補っているかなと思う。ピアノ演奏に関する描写は正直読み飛ばしていたが、苦になったのではなく、「雰囲気」として楽しんだということ。
 どうやらこのピアニストを主人公としたシリーズになっているようなので、機会があればそれも読んでみたい。

No.13 3点 ムラ
(2013/04/01 13:28登録)
ミステリというジャンルでこの本は読みたくなかったなぁ。このミス大賞に言うべき言葉ではないが。
火事で障害を背負った少女がピアニストになるストーリーだったらこの本はレベルが高いんだとは思うけど、ミステリとしてはちょっと面白くない。
メイントリックがわかりやすいというか意外性を持たせるための演出だし、途中で気が付いても面白さは変わらないけど、その他の殺人事件がやっつけすぎる。これが一番悪印象。
火事の描写や痛みの描写がレベル高く、本題材のピアノの描写もやはり上手いんだが、さすがにくどかったな。最後、がむしゃらに演奏してるシーンは面白かったけれども。


ここからは作者の責任じゃないが、帯にある『驚愕のラスト!』はその存在がネタバレになる上に、拍子抜けするから止めて欲しいと主張し続けたい。こういうトリックは可能性の一つでも感じさせたらもう終わりなんだから、作者としては繊細に扱いたいだろうに編集が全てを台無しにする。

No.12 8点 メルカトル
(2013/03/15 22:22登録)
『カエル男』も良かったが、本作も負けていない。
私のようなクラシック音楽の素養がない者でもそれなりに楽しめたのだから、そちら方面、特にピアノ協奏曲や練習曲に詳しい人なら更に面白く読めるに違いない。
ただ、専門用語などはそれほど出てこないが、やはり本作に登場する曲を知っていたら、と思うと少し残念な気もする。
火災で大やけどを負った少女が、ピアノ・コンクールを目指して猛特訓をこなし、いかにハンディを克服していくのかが主題の、いわば音楽スポ根ものかと思いきや、本格ミステリの部分もしっかりしており、その二つが実に上手く絡んで、見事な音楽ミステリに仕上がっている。
そして想像もしていなかった衝撃の真実には、誰しもが目を疑うだろう。
探偵役の岬も爽やかで、好感が持てる。

No.11 8点 ドクターマッコい
(2013/03/05 08:06登録)
音楽に対する表現は素晴らしいものでした。
ミステリー要素も十分で久々に堪能できました。

ラストは鳥肌ものでした。

No.10 6点 白い風
(2013/02/19 22:31登録)
第8回「このミステリーがすごい!」大賞ですね。
登場人物も少なく読み易かったです。
ただ、前半の火傷の治療のシーンはちょっとリアル過ぎて読むのが辛かった・・・。
私は音楽(クラシック)に詳しくないから、その辺りが詳しい方ならより楽しめたと思います。

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