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ミステリの祭典

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天に昇った男

作家 島田荘司
出版日1994年10月
平均点6.70点
書評数10人

No.10 7点 斎藤警部
(2021/01/21 18:40登録)
赤い公園の「108」曲想を彷彿とさせる、時系列行ったり来たりの複雑な一筆書きを一気に書き切ったような疾走作。短篇でなく、長~い長篇でもなく、中篇に近い短めの長篇だからこそ活きる、このエンドでしょう。しかしこんな渋い主題の作でも微妙にバカな偽装トリックを持って来るなど、流石はしまそうです。 こういう内容の●を●●って事は、つまり、主人公の心の奥底に。。。。 というもう一つのどんでん返しも含んでいるわけか。。残酷だ。。 しかし(作者本人も語る)死刑に関する問題提起方向の押しはさほど感じられなかったです。

No.9 4点 いいちこ
(2019/11/03 20:05登録)
1個の物語を構成し、読ませる筆力はあるものの、ラストシーンには愕然とした。
変化球でゴマカシてはいるものの、その本質は夢オチそのものではないか。
読後に本作の全体像を俯瞰すれば、結局ファンタジーの枠組みを借りた死刑廃止論文でしかなく、この評価が妥当と思料

No.8 4点 ボナンザ
(2019/09/13 14:40登録)
とことん社会派小説として読むべき一作。
すっかり死刑制度廃止論が下火になりつつある今こそ読まれるべきかも。

No.7 7点 メルカトル
(2013/06/16 22:44登録)
再読です。
まさに異色作という言葉がピッタリの作品。一応社会派とジャンル分けされているが、どちらかというとファンタジーに近い内容となっている。あのオチがなければ確かに社会派だが・・・
冒頭の死刑執行のシーンは、真偽のほどは定かでないが、私にとっては十分にリアリティの感じられるものであり、その後の展開も意外ではあったが、そんなこともあるのだろうかと初読の際は思ったものである。
知恵遅れの少女との恋、前科者に対する差別、死刑を生き延びた奇跡的な男のロマンなど、短いページ数のわりには様々な要素が盛り込まれており、充実した中身となっている。
なので、ミステリとしてよりも一つの物語として楽しめると思う。
そして読者を島田氏独自の世界へ誘う筆力は相変わらず素晴らしいものがあるのではないだろうか。

No.6 8点 蟷螂の斧
(2013/04/16 16:17登録)
(タイトル・男⑩)昭和51年祭りの櫓に3人の男女の死体が吊るされた。犯人とされた男は、17年の収監ののち、死刑を執行されるが、奇跡が起こり彼は生き延び釈放された。死刑執行までの状況が生々しく描かれ、冤罪を扱った社会小説風?、また、知恵遅れの少女との純愛小説風???・・・長編異色小説とあるので、このまま終わってもまあいいかな~と思いきや、さすが島荘、2段構えでひっくり返えされました。

No.5 5点 E-BANKER
(2010/05/09 17:16登録)
「秋好事件」からの一種のスピンオフ作品。
島田イズムともいえる、「冤罪事件」と「死刑廃止論」をベースに、ミステリーというよりはファンタジー作品でしょう。
冒頭の死刑執行シーンは、他作品でも割合目にするシーンですが、作者の筆力差のせいか、十分にリアリティ・迫力を感じさせます。
「本当にそんなことってあるの?」と思わせますが、ラストシーンでは一応オチが付くようになっています。だからこそ、途中の話が浮いてしまって、意味のないものを読まされた感がどうしても残ってしまいます。(夢オチと一緒ですね)

No.4 9点 Tetchy
(2008/10/31 23:17登録)
ヤバイ。ものの見事にハマッてしまった。

本作は島田作品の中でも異色の物で、作者本人でさえあとがきで全く予想外に生まれた副産物であると述べている。
島田ミステリに通底する弱者への真心とロマンシズム、これが一貫して物語のBGMとして流れ、進んでいく。最後には珍しく悲劇的な結末で無機質に締められ、読者の心には冤罪に対してのほろ苦さが色濃く残る。最後に門脇春男は救われたのか、それは判らないが不幸な者がここにいるということを強く教えられた。

No.3 8点 sasami
(2008/07/07 20:20登録)
途中で「え、これマジ?」って思ったんですが最後のオチで納得しました。
とにかく哀しい話でした。

No.2 8点 Tetchy
(2007/12/09 17:42登録)
意外に好きです、この作品。
恐らくノンフィクション『秋好事件』を書くための取材中に生まれた作品だろう。
最後のオチはいただけないが。

No.1 7点 なおゆう
(2003/11/23 15:11登録)
冒頭の拘置所・処刑場での場面は本当に怖かった。が、・・・・・ラストで完全に裏切られた。あれはないよね・・・・・。

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