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ミステリの祭典

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zusoさんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:266件

プロフィール| 書評

No.66 7点 犬の力
ドン・ウィンズロウ
(2021/10/13 22:49登録)
麻薬に憑かれた三人の男と一人の女が織りなす、血と暴力と信仰に彩られた愛憎劇に打ちのめされた。悪ガキどもの宿命を淡々と綴った語り口が絶妙。


No.65 4点 禁断のパンダ
拓未司
(2021/09/30 23:01登録)
文章で美食をたっぷり堪能させてくれる。食の世界という題材にやや頼った印象があり、ミステリとしての構成に難あり。


No.64 6点 化身
宮ノ川顕
(2021/09/21 23:16登録)
限定空間に終始しつつも、ひとならざるものへと変貌を遂げていく物語は、決して閉塞することなく自在に動き、生きる限り逃れられない根源的な恐怖と人間の在り方を寓話的に示してみせる。
生と死の境界線を飄々と描く筆の運びが気に入った。


No.63 5点 臨床真理
柚月裕子
(2021/09/21 23:06登録)
障碍者問題という難しいテーマと高い文章力と奇をてらわずにサスペンスを貫こうとする姿勢には感心する。
しかし、結末に意外性がないのと悪役が陳腐なのが難。


No.62 4点 UNKNOWN
古処誠二
(2021/09/07 22:55登録)
特殊状況なのに、そこで描かれる事件は日常の謎に近いというアンバランスさがいい。しかし、犯行動機は納得できないし、トリックも今ひとつ。


No.61 5点 無貌伝 ~双児の子ら~
望月守宮
(2021/09/07 22:53登録)
ヒトデナシという特異な設定と、心と身体に傷をもつ魅力的な名探偵と巨大な敵という、メフィスト賞の王道的伝奇ミステリ。
怪奇超常現象と謎解きで、一粒で二度美味しいと言いたいところだが、欲張りすぎた印象。本格ミステリとしての整合性は目をみはったが、ファンタスティックな設定は複雑で煩わしい。


No.60 4点 虫とりのうた
赤星香一郎
(2021/08/24 22:35登録)
都市伝説に絡めて、あり得ない出来事が重なるシンクロニシティの序盤は、掴みとしては良い。しかし、その偶然が必然へと連なっていかないもどかしさがある。
あくまでも、不気味な雰囲気を味わうための物語なので、ミステリとして読むと肩透かしを食らうでしょう。ありきたりのホラーに終わっている。


No.59 5点 玻璃の家
松本寛大
(2021/08/19 22:35登録)
昔から使い古されたあのネタでは?と思わせておいて、その先入観を利用して意外性を演出する手腕はなかなかのもの。
相貌失認という着眼点は面白いが、やや整理不足。


No.58 5点 屋上ミサイル
山下貴光
(2021/08/19 22:32登録)
読み心地の良い文章。屋上部という甘酸っぱさ全開な設定も良い。
ただし、伊坂幸太郎の作風にそっくりな点は少し気になる。プロットに関しては、数多くの偶然が重なるが、偶然に頼らずとも物語を動かせたのではないかと思えて仕方ない。


No.57 4点 妖精島の殺人
山口芳宏
(2021/08/03 23:11登録)
バカミスすれすれだけど、トリックの細部が練られている。ただ、展開がもたつき気味で残念だ。


No.56 5点 瞳の奥に
サラ・ピンバラ
(2021/07/26 22:41登録)
シングルマザーの秘書の物語。ボスに当たる医師と、その妻との3者の関係を描くサスペンス。
どこか不自然な夫婦。何かの企みが進行しているようだが、目指すところは全く見えない。そしてたどり着く結末は。茫然の一言に尽きる。普通のミステリで味わえる驚きとは異質だが、思わず最初から読み直したくなる。


No.55 6点 死ぬまでにしたい3つのこと
ピエテル・モリーン&ピエテル・ニィストレーム
(2021/07/16 23:30登録)
冒頭3ページで読者をつかみ、そのままの勢いで最後まで突き進む。米国とスウェーデンにまたがる物語は、どこに転がるか分からない展開と、謎とアクションに満ちた見せ場が連続する。良く出来たミステリとしての枠に収まっているが、その中で極上の驚きを味わえる作品。


No.54 7点 奇術探偵 曾我佳城全集
泡坂妻夫
(2021/07/16 23:27登録)
本格でしか描けない面白さ、変幻自在のアイデアの多彩さを評価。シリーズの締め括り方も鮮やか。
ただ動機の点で納得しがたい作品がいくつかあった。


No.53 8点 半落ち
横山秀夫
(2021/07/05 22:47登録)
妻を殺した警察官が自首してきて、最初から事件は解決している。そこに謎は何ひとつない。あるのは、殺してから自首してくるまでの空白の二日間。
人の心の奥底を探る試みが、これほどまでにスリリングであったのかと驚く。


No.52 5点 園児の血
前田司郎
(2021/06/21 23:41登録)
幼稚園児を語り手に園内の権力抗争を大人ぶった口調でハードボイルドに仕立てた表題作と、小学五年のクラスで一人の女子を標的にした、いたずらの犯人捜し「道徳の時間」を収録。
純粋、素直といった言葉では片付けられない子供の複雑な内面を紡ぎ出している。


No.51 8点 猿丸幻視行
井沢元彦
(2021/06/21 23:28登録)
「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声きく時ぞ秋はかなしき」の猿丸太夫は柿本人麻呂だったのか。この奇怪な謎を若き折口信夫がコード・ブレイカーよろしく解いていく。国文学推理小説の新たな境地を開いた傑作。


No.50 5点 階層樹海
椎名誠
(2021/06/08 22:47登録)
文明が崩壊し、あらゆる生物が樹海でしか生きられなくなった近未来の惑星。階層を成す熱帯雨林の中ほどで樹上生活を送っていた12歳の少年スオウは、虫の集合体につかまり、上へ上へと連れ去られていってしまう。やがてスオウの前に、奇妙な飛行体「コウクウキ」に乗ったアインシュタインと名乗る男が現れるが、その口から発せられるのは終末の黙示録なのか。濃密な謎をはらむ密林を舞台にしたSF冒険小説。


No.49 5点 ラスト・トライアル
ロバート・ベイリー
(2021/06/08 22:36登録)
老弁護士の真摯な姿に心を揺さぶられる法廷もの。情熱だけではなく、精緻な構成にも驚かされる。どっぷり浸かれる物語。なお、シリーズ第三作なので、ぜひ第一作「ザ・プロフェッサー」、第二作「黒と白のはざま」と合わせて楽しんでほしい。


No.48 5点 競作 五十円玉二十枚の謎
アンソロジー(出版社編)
(2021/05/28 23:17登録)
実際にあった不思議な出来事について、推理小説家たちが謎解きにかかる。飲み会で盛り上がるネタではあるが、それを本にしてしまう試みが面白い。


No.47 5点 浦賀和宏殺人事件
浦賀和宏
(2021/05/22 22:56登録)
浦賀作品を読んだことが無い人、作者のイメージに知識が無い人にはミスディレクションが効果を上げないように書かれている。クリスティーの「メソポタミヤの殺人」と同じでセルフイメージをトリックに用いているため、いくつか他作品を先に読むことをおすすめする。

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