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ミステリの祭典

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犬の力
アダン・バレーラ&アート・ケラーシリーズ

作家 ドン・ウィンズロウ
出版日2009年08月
平均点7.33点
書評数6人

No.6 7点 zuso
(2021/10/13 22:49登録)
麻薬に憑かれた三人の男と一人の女が織りなす、血と暴力と信仰に彩られた愛憎劇に打ちのめされた。悪ガキどもの宿命を淡々と綴った語り口が絶妙。

No.5 7点 八二一
(2020/02/25 19:39登録)
壮絶なヴァイオレンス描写を詩的に語った空前絶後の犯罪文学。互いに噛みつき合う如き、血と暴力と進行に彩られた三つ巴の愛憎劇。圧倒的な筆力にねじ伏せられる快感を味わった

No.4 7点 あびびび
(2013/03/06 18:15登録)
かなり重厚な物語だと思う。麻薬捜査官とコロンビア経由のコカインを扱うメキシコのファミリー。巨額が動くだけに全編にわたってけた違いのスケール。マフィア同士の報復合戦も陰惨だが、それがファミリーの結束の固さを余計に際立たせている。

最後はファミリーが分解され、麻薬捜査官が人生を賭けた闘いに勝利するのだが、すぐに次の組織が誕生し、新たな麻薬ロードが生まれるメキシコの土壌(中南米?)には、ため息しか出ない。

No.3 9点 itokin
(2011/11/29 09:51登録)
麻薬捜査官と麻薬ファミリーのドン一家の泥沼と執念の戦い。麻薬戦争の実態に多少の誇張はあるにしろ驚愕した。登場人物が多いので名前を覚えるのに苦労したが全編ダレもなく興奮の内に読み終えた。そして、第2,第3のアート・ケラーの健闘を祈った。それにしても、ウィンズロウ筆力は感嘆の一語だ。

No.2 7点 Tetchy
(2010/10/30 16:42登録)
麻薬。この現代の錬金術とも云える、人を惑わす物質はそれに関わる人々の人生を流転させる。正義を謳い、悪を征する側に付いていた者は賄賂と便宜にまみれた一大情報ネットワークを構築し、巨大組織を殲滅せんとする。が、しかしそのネットワークが次なる麻薬王誕生の足がかりとして悪用され、正義が巨悪へと転ずるのだ。
本書のドン・ウィンズロウは最初からフルスロットルだ。ゴッドファーザーといえばイタリア系マフィアが有名だが、ウィンズロウはメキシコ人の血よりも濃い“家族(ファミリー)”の絆を描く。赤茶けた砂漠と土塊で作られた建物が林立する埃立つ町並みが、常に汗ばみ、黒々と日に焼けた皮膚で佇む男どもの体臭が、そして灼熱の太陽が行間から立ち上ってくるようだ。

しかし面白いとは思うものの、世評の高さほどには愉しめなかった。先にハードボイルド路線に徹した作品『歓喜の島』というのがあるが、私が楽しめなかった作品の1つでもある。この作品の出来栄えの素晴らしさは認めるものの、何かを残す作品ではなかった。しかしこれは全く好みの問題。恐らく『ゴッド・ファーザー』が好きな人は本書を21世紀版のそれとして読み、愉しむことが十分出来る濃厚な作品である。

No.1 7点 kanamori
(2010/04/14 18:05登録)
メキシコの組織と捜査官アート・ケラーとの30年に及ぶ麻薬戦争を描いた大作。
テイストは<ストリート・キッズ>ニール・ケアリーシリーズと随分違いますが、物語の疾走感はいつものウィンズロウ節です。
麻薬組織の兄弟、貧民街育ちの若い殺し屋、高級娼婦ノーラなど主要人物だけでも10人を超え、人物もそれぞれが魅力的で、衝撃的な一つ一つのエピソードは読ませますが、疾走しすぎの感じです。
これだけの人物を配した30年間の物語であれば、この分量では短すぎで、じっくりと全5巻ぐらいで書きこんでもらいたかった。

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