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ミステリの祭典

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無貌伝 ~双児の子ら~

作家 望月守宮
出版日2009年01月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 zuso
(2021/09/07 22:53登録)
ヒトデナシという特異な設定と、心と身体に傷をもつ魅力的な名探偵と巨大な敵という、メフィスト賞の王道的伝奇ミステリ。
怪奇超常現象と謎解きで、一粒で二度美味しいと言いたいところだが、欲張りすぎた印象。本格ミステリとしての整合性は目をみはったが、ファンタスティックな設定は複雑で煩わしい。

No.2 4点 メルカトル
(2019/07/15 22:25登録)
人と“ヒトデナシ”と呼ばれる怪異が共存していた世界―。名探偵・秋津は、怪盗・無貌によって「顔」を奪われ、失意の日々を送っていた。しかし彼のもとに、親に捨てられた孤高の少年・望が突然あらわれ、隠し持った銃を突きつける!そんな二人の前に、無貌から次の犯行予告が!!狙われたのは鉄道王一族の一人娘、榎木芹―。次々とまき起こる怪異と連続殺人事件!“ヒトデナシ”に翻弄される望たちが目にした真実とは。第40回メフィスト賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

無駄に長く、途中でダレます。冒頭望が探偵秋津の助手になるところまでは、これは期待できるかもと思いましたが、それ以降さしたる盛り上がりもなく、正直読まされている感覚を覚えました。最早苦行に近い感じでやっと最後までたどり着いた、みたいな。
無貌やヒトデナシは単なる装置に過ぎず、もっと言えば帳尻合わせに用意されたものにしか思えません。物語をミステリとして成立させるためには、どうしても欠かせないにせよ、それが雰囲気を構築している訳ではなく、ちょっとした小道具として使用されているわけです。
まあやりたい事は分かりますが、どうも私には合わなかったようです。伝奇ミステリと言えば聞こえはいいですが、事件の真相は驚くようなものではありません。独特の世界観であるのは確かだと思いますよ。しかしねえ、全体的にメリハリがなく、緊迫感も持続できていないように感じました。最後も上手く纏めようとしていますが、どうにもスッキリしないエンディングになっています。畢竟、シリーズを追いかけて最後まで読破しなければ、作者の狙いは見えてこないのかも知れません。

No.1 8点 band box
(2010/02/17 11:28登録)
メフィスト賞受賞作。
鉄道を経営する旧家が舞台で、最近のミステリの流れとはちょっとずれて横溝正史風。でも、この作品では一つ尖った部分があって、さまざまな超常的な能力をつかさどるヒトデナシという魔物が登場する。
このヒトデナシが本作にひねりをきかせていて、それが評価の分かれ目にもなるだろうが、僕は楽しく読めた。期待の新人といっていいだろう。

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