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ミステリの祭典

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mediocrityさんの登録情報
平均点:6.23点 書評数:286件

プロフィール| 書評

No.226 4点 アクロイド殺し
アガサ・クリスティー
(2020/12/18 12:26登録)
<ネタバレあり>



ちょっと自分はレアなパターンだったようだ。
ヘイスティングス大尉が出て来ない時点で、今回は大尉でなく医者の手記なのだと勝手に思い込んで読んでいた。
で、ヘイスティングス大尉が出ない理由は、ヘイスティングス役が犯人だからなんじゃないの、とほぼ決めつけていた。
ゆえにこれほど驚けなかった作品も珍しい。
そのあたりの事情を別にしても、『スタイルズ荘の怪事件』や『ゴルフ場殺人事件』に比べストーリー展開も面白くなかったので低評価。
キャロラインのキャラクターとジェームズ医師との会話が一番楽しめた。


No.225 9点 女王国の城
有栖川有栖
(2020/12/18 07:42登録)
密度はシリーズ2作目、3作目の方が上だが、楽しさは圧倒的にそれらを上回っている。
謎解きは長さのわりにシンプル過ぎないかと始めは感じたが、さらなる仕掛けがあり重層的で驚いた。
この作品に限ったことではないが、有栖川作品は時々信じられないくらい貧相に感じるトリックが混ざっているのが逆に良い。


No.224 5点 仮面城
横溝正史
(2020/12/18 07:40登録)
中編の表題作と短編3つ。『仮面城』は少年探偵団の金田一版と言ったところ。読者の対象年齢は若干上、中学生くらいか。
ジュブナイルとしてはまずまずなのだろうが謎もミエミエな上、妙に長くてだるかった。
短編3作『悪魔の画像』『ビーナスの星』『怪盗どくろ指紋』の方が無駄がなく楽しめた。


No.223 8点 凶鳥の如き忌むもの
三津田信三
(2020/08/18 00:45登録)
文庫本の番号が「み58-9」なので、読むまで刀城シリーズ2作目だと知らなかった。1作目と3作目を既に読んでいるので飛ばしていたことになる。荘重かつページ数もあるので、読み始めるのに心の準備が必要なシリーズ。

今回は島が舞台である。紆余曲折の末に驚愕の解決にたどりついたが、正答が最も納得のいく推理であったのはポイントが高い。
メイントリックは可能性の一つとしては想像していたので、むしろ周辺の細々とした事柄の置き方に技巧を感じた。2番目に可能性の高そうな推理ではダメな理由が、はっきりと示されているのがすばらしい。このあたりが適当で、ドンデン返し前の推理の方が良くない?という感想を抱く作品は非常に多い。
一つ注文をつけると、建物の立体図が欲しかった。渡り廊下を登りきるまではわかるが、その先の一番重要な場所がわかりにくい。綾辻作品の異様な建築でさえ平面図でほぼ全体がイメージできるのだが、本作は最後まで頭の中で「絵」が定まらなかった。


No.222 9点 冷たい密室と博士たち
森博嗣
(2020/08/15 05:01登録)
『すべてがFになる』に続く2作目の作品。
<ネタバレあり>



またまた妙な研究施設を舞台にして、予想もできないビックリなトリックを使うのかと思ったら、ほとんどがハリボテで、実はものすごく古典的な地味な作品だったというのが最大の驚き。完全に騙された。冒頭の数学の問題のくだりはそういうことだったのね。
あの特殊な氷を何かに利用するんじゃなかろうかとか、パソコンと室温を連動させて何らかの温度変化の条件で非常ドアを開くようにしたんじゃないかとか、読み終わってみれば荒唐無稽なことばっかり考えていた。
地味だと書いたが、理詰めで色々な可能性がどんどん否定されて物事が単純化していくのは圧巻だった。


No.221 9点 君と時計と嘘の塔 第一幕
綾崎隼
(2020/08/14 06:11登録)
タイムリープミステリと銘打っているが、ファンタジー、恋愛小説要素の方が強い。4巻1000ページ超の大作。
時間遡行物はまあ大体面白いのだが、本作も例に漏れずワクワクしぱなっし。同じタイムリープ作品『蒲生邸事件』がなんだかイマイチだったのはエンタメに徹せなかったからだろうか。
結末は若干疑問が残る点はあるが、この手の物で完全に整合性を取るのは不可能に近いと思うので、あまり深く考えない。
点数はあくまでSF・ファンタジーとして。


No.220 7点 ビブリア古書堂の事件手帖4
三上延
(2020/08/06 03:52登録)
シリーズ初の長編。今回のテーマは江戸川乱歩。
3作目はちょっとマンネリ化してきたように感じましたが、今作は母親本格的参戦で新展開に入り良い感じです。
長編らしく謎も大量にあり、予想していなかった捻りもあり満足。
ただこの親子の推理力はいくらなんでも超人的過ぎる気がします。読者が推理するのはかなりきついのではないでしょうか。


No.219 6点 少年探偵団
江戸川乱歩
(2020/07/31 17:07登録)
2部構成。
1作目と同じく、子供向きだからと言って手抜きは一切感じられない。


No.218 6点 怪人二十面相
江戸川乱歩
(2020/07/27 04:04登録)
対象年齢は小学校高学年くらいでしょうか。
もっと子供だましなのかと思っていましたが、子供向けには贅沢すぎるのではないかと思うほどネタが詰まっていて、予想していたよりはるかに読みがいがありました。実際何か所かは、自分の読みが外れていましたから。


No.217 7点 館島
東川篤哉
(2020/07/24 21:35登録)
創元社だしタイトルも地味だし、普段と全く違うテイストの作品なんだろうと予想して読み始めましたが、1文目からいつもと同じノリでした。
ただ中身はかなり普段と違っていて新鮮でした。

<ネタバレあり>


まず建物自体の仕掛け。どこかが動くのだろうとは思っていましたが、なるほどそう来ましたか、予想外でした。これは高得点。瀬戸大橋との関連性も良かったですね。
マイナス点は建物の動きと人間の動きのシンクロがあまりにも都合が良すぎることですかね。あれだけ動いてれば1度や2度「階段から廊下に出ようと思ったら自動ドアの前に壁が!」とう状況が発生するでしょう。


No.216 9点 孤島の鬼
江戸川乱歩
(2020/07/24 21:34登録)
<ネタバレあり>


最高のエンターテインメントでした。
最初の3分の1が密室物の推理小説。シンプルかつロジカルですばらしい。当時の家屋がイメージしにくいけれど、それは仕方ない。
次の3分の1は怪奇小説でしょうか。アイデアが豊富すぎて圧倒されっぱなし。ストーリー運びも最高。
最後の3分の1は冒険小説。途中までは楽しんでいたんですが、あいつがお宝見つけて発狂という所だけは何だかきれいじゃないなあ。


No.215 6点 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵
歌野晶午
(2020/07/18 02:09登録)
なぜかスマホのブックストアで無料だったので、数か月前にとりあえずダウンロードしていたもの。短編集の1作目のみ無料とかはよくあるが、これは1冊まるごと無料だった。今でも無料なのかはわからない。

小学生の女の子が探偵として大活躍するのかと思ったが、主人公は警察官の叔父さんだった。叔父さんが、姪との何気ない会話の中から事件解決の糸口を見つける。
短編だが、前の話の登場人物が、少し違った形で後の作品に登場するのが面白い。3作目までは可もなく不可もなくという感じだったが、4作目、なんだこれは・・・。たまげたなぁ。ジュブナイル風味かと思ってたら、えげつないものぶち込んできましたね。
5作目、6作目はまたごくノーマルなお話。


No.214 3点
麻耶雄嵩
(2020/07/16 18:14登録)
前にもどこかで書いたが、置いてなさそうな所にトリックが置いてあれば、それが大したものでなくても驚けるのだが、間違いなく仕掛けてるのが分かっている所にどんな見事なトリックが置いてあっても「へえ、うまくできてますねえ」で終わってしまう。
この作品はまさにそのパターンだった。もうちょっとトリックのありかをうまく隠せないものかと思う。入念に読んでいれば違和感を感じる箇所が多すぎるのだ。凝っているとは思うんだけど予定調和で驚きが全くない、非常にもったいない作品だと感じた。
エピローグもなんでこんな結末にするのかよくわからない。この方はこういう結末が多いが、私にはワンパターンですべってるようにしか思えない。


No.213 6点 密室殺人ゲーム・マニアックス
歌野晶午
(2020/07/16 03:52登録)
シリーズ3作目。平均点4点ということで全く期待せずに読んだのですが、それほど悪くないと感じました。
確かに1作目から1点ずつ点数下がってきてますが、こんな特殊設定で3冊目を書けるだけでもすごいと思う。特にQ1のトリックは想像して笑ってしまった。
4作目は9年経ってもまだ出ていないようですね。よほどいいアイデアが浮かばない限り書きたくないんだろうなあ。


No.212 5点 パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から
似鳥鶏
(2020/07/03 02:44登録)
100ページほどの中編が4つ。タイトル、表紙から想像していた印象とはかなり違った。なんだか全体的に重い。表紙買いした人は途中で読むのをやめそうだ。
女刑事が「そうッス。えへへへへ」みたいな口調を一切崩さないので、その点でも受け付けない人がかなり多いと思う。暗い話が多いので余計に彼女だけ浮いて見える。
トリックには面白い物もいくつかあったのだが、どの話においても、警察は科学捜査を本当にきちんとやったのかと突っ込みたくなった。


No.211 6点 双仮面
横溝正史
(2020/06/27 00:08登録)
由利先生シリーズ。今テレビドラマでやっているせいか安くなっていたので購入。表紙が怖い。夜スマホで起動して叫びそうになった。中編の表題作と短編が2つ。

『双仮面』
所々講談調で内容もかなりハチャメチャ。ジュヴナイル風のサスペンスといった感じ。変装、曲芸と何でもありで、場面も目まぐるしく変化し最後まで一気に読ませます。終盤は思ってた以上に凝っていて良かった。
『鸚鵡を飼う女』『盲目の犬』
ミステリとしては両方よくあるパターンでしょうが、かなり短い話の割には十分楽しめた。


No.210 6点 ビブリア古書堂の事件手帖3
三上延
(2020/06/18 05:51登録)
第1話は謎は小粒だが古書会館の様子が興味深い。第2話は読者には解けないタイプの謎であまり楽しめず。今作では第3話の盗難事件が一番読みがいがあった。裏に隠された真実が良い。


No.209 5点 魔法使いと刑事たちの夏
東川篤哉
(2020/06/06 06:53登録)
シリーズ2作目。今回も倒叙短編集。
前作はよほどつまらなかったみたいで3点なんて付けてしまっていますが(正直全く内容を覚えていない)今作は普通に楽しめました。
とはいえ、各作品にコメントを付けるほどのトリックも驚きもなかったので5点で。


No.208 7点 すべてがFになる
森博嗣
(2020/05/29 23:30登録)
冒頭がわかりにくすぎて、最初の数ページだけ読んで放置していた本。大学のシーンに切り替わると、それ以降はむしろ読みやすい部類の小説だった。
小説としてはかなり楽しめたが、推理小説としては良い所と悪い所が非常にはっきりしているように感じた。
タイトルの意味は「すべてが無駄(futile)になる」だと予想していたけど見事に外れだった・・・

以下疑問点<ネタバレあり>


・メイントリックは衝撃だったんだけど、周りが誰一人として全く気付かないのはいくらなんでも無理がある。
・殺人動機が結局よくわからない。天才ゆえの苦悩とか言われたらどうしようもないけど。
・犯人が島から出られた経緯がよくわからない。一人男性ぽい女性が混じってたとかいうのは偶然だし、そもそもあの少人数の中に潜りこめないだろうと思った。
・タイトルの意味、トリックの半分くらいがコンピューターのデータがどうのこうの・・・という結論だったのはちょっと残念。分かる人にはあっさりわかるのだろうし、分からない人は結論を聞いても「へー、そうなんだ」というしかない。トラミスで「鉄道車両の形式が違うから、この写真は上り電車でなく下り電車のものです!」とかいうのと大して変わりがないように思えた。
・色々な本が15巻までしかないというのも何だかよくわからない。どの本の中にも16以降の数字が全く出てこないの?


文句は色々あるのだが、エポックメイキング的な作品であるようだし、後発の戯言シリーズに影響を与えていると思われるので7点で。


No.207 6点 踊るジョーカー
北山猛邦
(2020/03/25 05:19登録)
<少しネタバレあり>
世界一弱気な名探偵、音野順の事件簿。ほのぼのかわいい系ユーモアミステリ。コミック版も出版されているようだ。ドラマ化すれば人気が出そう。

①『踊るジョーカー』
島田荘司氏の有名作へのオマージュでしょうか。フィージビリティは元ネタより低いでしょうね。物理的にも難しそうだし、そこに時間の調整が加わるわけだから尚更です。まあ最悪決行中止にすればいいと考えてその点は不問で。短編としてはかなりの力作だと思うので8点。
②『時間泥棒』
1作目からのスケールダウンが甚だしい。4点。
③『見えないダイイング・メッセージ』
もうちょっと具体的に金庫のナンバーを知りたかった。5点。
④『毒入りバレンタイン・チョコ』
心理トリックだと思い込んでいたのでビックリ。6点。
⑤『ゆきだるまが殺しにやってくる』
定番の雪の中での事件だが、トリックはユニークで面白い。6点

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