home

ミステリの祭典

login
館島
小早川探偵事務所

作家 東川篤哉
出版日2005年05月
平均点6.35点
書評数26人

No.26 5点 ボナンザ
(2023/07/18 19:21登録)
まあ、こんな建物で何の仕掛けもありませんでしただとその方が凄いので、これは読めました。

No.25 7点 パメル
(2022/01/06 08:44登録)
瀬戸内海の小さな島「横島」に建てられた別荘が舞台。建築会社社長であり建築家の十文字和臣が設計した銀色のステンレスの壁に覆われたその建物は、六角形の四階建てで屋上にドーム型の展望室があり、別荘というには風変わりなものだった。その建物の螺旋階段脇で和臣が墜落死体となって発見される。建物の中心を占める螺旋階段は壁に覆われ、転落事故はあっても墜落はあり得ない。別荘より高い建築物のない島で彼はなぜ墜落死をしたのか。
建築会社の後継者争いをする三兄弟、十文字家の跡取り息子と娘を結婚させようと画策するやり手の県議とその娘。どろどろの争いを展開するには十分な設定。とはいえ作者の持ち味は軽妙なスラップスティックコメディー。大げさな演技と台詞にツッコミを入れるノリでストーリーは展開するが、登場人物のドタバタとした行動の中に事件の鍵が隠されているから油断ならない。
螺旋階段に壁があることで、建物の中にいる人の行動を隠す役割を果たしており、人の動きの把握を階段の上り下りの単純な動きを制限することで、複雑な事件現場を生み出す効果を上げている。なんと言っても舞台とした建築が生み出すトリックが素晴らしい。

No.24 7点 人並由真
(2021/05/06 15:40登録)
(ネタバレなし・ただし他の方のレビューを参照するときは注意)

 新本格「館もの」の典型のような作品。
 楽しかった感慨と同時に、読み終えた時点でこの手のものにいささか食傷している自分に気づいた。いやきっと、まだまだ未読のこの系譜の作品はあるのだろうが。

 ちょっぴり社会派の風味が匂う過去の時代設定を謎解きの要素に活かし、最後の真相で細部をツメていくあたりは得点的に評価。
 ただし先行レビューでmediocrityさんや名探偵ジャパンさんがおっしゃっている疑問はまったく同感。でもまあ、その辺は見て見ぬふりをしてもギリギリ、いい……のかな?

 主人公の探偵コンビ(トリオ?)はシリーズ化してもいいんじゃないかと思ったが、過去設定に意味をもたせるのがシンドイのだろうか。その意味ではこの作品はよくできてるし、同じかあるいは近いレベルのものを書けないなら、あえてシリーズ化したくないというのなら、作者の心情はなんとなく察せられる。こっちの勝手な思い込みに一分の理でもあるというのなら、送り手にとっても大事にされて愛されている作品なんでしょう。 

No.23 7点 mediocrity
(2020/07/24 21:35登録)
創元社だしタイトルも地味だし、普段と全く違うテイストの作品なんだろうと予想して読み始めましたが、1文目からいつもと同じノリでした。
ただ中身はかなり普段と違っていて新鮮でした。

<ネタバレあり>


まず建物自体の仕掛け。どこかが動くのだろうとは思っていましたが、なるほどそう来ましたか、予想外でした。これは高得点。瀬戸大橋との関連性も良かったですね。
マイナス点は建物の動きと人間の動きのシンクロがあまりにも都合が良すぎることですかね。あれだけ動いてれば1度や2度「階段から廊下に出ようと思ったら自動ドアの前に壁が!」とう状況が発生するでしょう。

No.22 4点 ねここねこ男爵
(2018/04/03 13:24登録)
この作者の他のシリーズものに比べるとユーモアはやや抑えめで、個人的にはこのくらいでいいと思う。が、ミステリとしての出来が今ひとつ。

以下ネタバレ含みます。

館の見取り図を見た瞬間、慣れた人なら「錯覚か回転」と思うだろう。そこに死体の状況や被害者が芸術家肌の建築家であったことなどを加えると構造はすぐに見当がついてしまう。部屋の間違いを伏線にするなど状況をフル活用して頑張ってはいるが…
どちらかと言うと、殺人より館の作られた場所や理由の方が謎として魅力があったように思う。答えも鮮やか。なので本来3点の所プラス1点で。

No.21 7点 ロマン
(2015/10/20 16:05登録)
天才建築家・十文字和臣が自分が、建てた家で墜落死した。半年後、和臣の妻の意向により、当時の事件関係者たちが集められ、新たな殺人事件が…。そこに居合わせた刑事と女探偵が事件解決に挑む。斬新かつ大胆なコンセプトで建てられてた舞台の館。トリックも大胆である。

No.20 5点 CHABI
(2015/08/06 22:37登録)
犯人以外の人、気付きませんかねぇ。
音も大丈夫なんでしょうか。
ただ、このトリックというか、こういう発想は好きです。

No.19 6点 名探偵ジャパン
(2014/07/21 15:19登録)
屋上(展望室)の形状の説明があった時点で、「もしかして」と思ったが、「いや、それはあまりに荒唐無稽すぎるだろう」と思っていたのだが、実際の仕掛けはこちらが考えていたものと違ったので、まあ、納得した。(私は屋上のネジ穴に実際にクレーンか何かで巨大なドライバーを突き刺して回すのだと思っていた)
最初の段階で、どうも建物の外観を把握しずらかったので、外観図を入れてくれればいいのに、と思ったのだが、それを入れたら一発で見抜かれてしなうからやらなかったのかと、ここでも納得。
あれだけ巨大な物体を動かすのは甘くないと思うが、(福岡ドームの開閉でも20分かかるという。あと動力とか)そういう突っ込みを入れるのは野暮だ。(じゃあ言うなよ)
この大胆で豪快なトリックを素直に楽しみたい。

No.18 6点 いいちこ
(2014/04/04 15:40登録)
犯人特定に至るプロセスはロジカル。
メイントリックは豪快ではあるが、意外性に乏しく実現性にも無理を感じる

No.17 6点 yoneppi
(2013/03/15 21:43登録)
この手の“動き”をする館は何度目かだけど読後も気持ちのいい作品。女探偵の覚醒すごすぎ。

No.16 4点 mozart
(2012/09/26 15:03登録)
メイントリックは確かに大がかりだけれど、それほど意外性も感じられなかった。何より、探偵役のコンビが、烏賊川市シリーズのコンビ(トリオ)に比べて、魅力が乏し過ぎ。

No.15 6点 ミステリ初心者
(2012/06/20 09:58登録)
ネタバレがあります


 ページ数が結構あるのですが、一瞬で読める読みやすさが最高です。
 トリックは大掛かりというか、タイトルや雰囲気で絶対仕掛けがあるって分かったのですが、それ自体は好みでないのでちょっと辛めの点数です。

 主人公ボケ・女性ツッコミなどのパターンが多いですね

No.14 6点 蟷螂の斧
(2012/06/13 09:00登録)
ユーモアは笑うに笑えない中途半端な感じのものでした。相馬刑事のキャラクターをもっとドタバタにした方がよかったのかも。建築家・十文字和臣のアイデアと芸術性に+2点、住人の誰もが気がつかないという不自然さが-1点

No.13 7点 HORNET
(2012/06/03 18:50登録)
※ ネタバレ気味注意!!
 作者らしいユーモアタッチでありながら、推理の過程や手がかりの散逸具合など秀逸で、ミステリとして上質な作品と感じる。メイントリックはバカミスともいえるものだが、個人的にこういうのは好き。島田荘司の某有名長編ミステリを彷彿とさせる。
 登場人物のキャラクター等は相変わらずだが、作者の違う一面が見られる作品とも言える。

No.12 7点 ようじろう
(2012/02/17 21:05登録)
ユーモアが苦しいというか、そういう部分が少しあったような気がするこの一冊。

館の形にこだわって読んでいなかったので大仕掛けには全く気付かないという始末。ちゃんと読んで入ればわかったと思いますが……。
しかし論理やトリックは結構無理矢理なのに、最終的に館の正体を軸として納得させてしまうところには感心。こういうやり方はうまいですね。

作者も自身の代表作と豪語していますから、ここは7点がちょうどいいでしょう。

No.11 7点 こう
(2012/01/23 00:41登録)
 烏賊川市シリーズ以外では一番の収穫でした。結構壮大なバカミストリックが炸裂していますが伏線もしっかりまいていますし私は楽しめました。
 相変わらずのギャグ、ユーモアの世界ですが私は好きですね。ただ女主人公ものより鵜飼-朱美-流平の烏賊川市シリーズの方が肌に合う感じですが。

No.10 6点 つよ
(2011/05/01 22:27登録)
まあ軽く読むという感じで。

No.9 7点 seiryuu
(2011/01/22 23:11登録)
トリックは予想できたけど最後まで面白かった。
沙樹がかっこよすぎかなあ。

No.8 6点 まさむね
(2010/11/29 21:27登録)
まあ,ある意味で「館モノ」の王道かもしれませんが,何ともスケールのでかいトリックでしたね。
場合によっては,相当の批判も想定されるところですが,島に突きつけられた事情や時代背景を織り込むことによって,上手く批判をかわしてるなぁと(少なくとも私は)納得しました。
題名も良いですね。氏の作品にしては珍しい題名では?と思いつつ読み始めましたが,読み終えた後には「なるほど…」と。
でもなぁ。最初の殺人の「動機」はちょっと…。
本格をコミカルに描こうとする試みは否定しないけれども,仮に動機を「ギャグ」で逃げ切ろうとしたのであれば反則っぽい。
それ以外は,個人的には本格ミステリとして「アリ」な作品だと思います。(表現手法の好き嫌いはあるでしょうが…)

No.7 5点 メルカトル
(2010/07/08 23:38登録)
相変わらず文体がまったりしているし、ギャグも結構寒い。
せっかくの逸材をユーモアタッチで描いている為、緊迫感の欠片もなく、いわゆる孤島ものとしての雰囲気をぶち壊しているのは勿体無い限りである。
トリックとしてはよく練られていると思うが、個人的には「そうですか」くらいにしか感じられなかった。
驚愕の結末には程遠かった。
それにしても、刑事の相馬の情けなさは何とかならなかったものか、少々腹立たしい思いすら残る。

26中の書評を表示しています 1 - 20