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ミステリの祭典

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ことはさんの登録情報
平均点:6.28点 書評数:254件

プロフィール| 書評

No.94 5点 七人のおば
パット・マガー
(2020/10/18 01:13登録)
ドメスティック・サスペンスとでもいえばいいのか。登場人物たちの人間関係でじっくりよませます。
メインの趣向の「殺人者の正体」については、なるほどと思いましたが、どうも琴線にひびかない。
良く出来てるんだけど、なぜだろう? なにかが好みと違うのでしょう。


No.93 5点 ウェンズ氏の切り札
S=A・ステーマン
(2020/10/18 01:04登録)
うーん、これはだめだ。
併録の「ゼロ」のメインの仕掛けは、(いまでこそよくあるが)時代を考えると、実に先進的だ。仕掛けのアイディアはよい。
でも、小説としてどうなの? と思ってしまう。
(とくに「ウェンズ氏の切り札」に顕著だが)セリフとアクションだけで、描写が無い。人物描写、心理描写、風景描写が無い。また物語をすすめるエピソードも面白みがない。小説として面白くない。他のステーマン作品も、そんなイメージだったな(昔過ぎて朧な記憶ですが)
ミステリとしてのアイディアはいいけど、それだけの作品。幻の……となるわけです。
ま、アイデイアはよいので、加点してこの点数かな。


No.92 8点 恐怖の誕生パーティー
ウィリアム・カッツ
(2020/10/18 00:52登録)
昔々に、なにかで好評を読んで、買っておいたものを、ふと読んだので、予備知識ゼロでした。
予備知識が無く、読めてよかった。傑作。
序盤の不穏な情報から、少しずつサスペンスが高まり、終盤クライマックスへ。エピローグも漫然とすることなく、サスペンスの傑作。
ま、ネットの感想で「B級……」と言われてしまう雰囲気もわかるので、それが「幻の女」級の名作にはなれなかった原因かな。
終盤、ある人物がある物を修正するのだが、そこを読んだときは「それはちょっとなぁ」と思ったが、理由が明かされたときは「なるほど!」と感心した。似たような趣向は既読だが、心理的理由との絡め方はオリジナル。これはいい。
これこそ予備知識が入ってしまうと、興味が半減してしまいそうなので、今から読む人は、是非ネットの情報を取得すること無く読んで欲しい。


No.91 8点 フランス白粉の秘密
エラリイ・クイーン
(2020/10/17 21:22登録)
創元の新訳で再読。初読時の印象は相当良くて、国名シリーズでは一番好きだった。
ローマ帽子と比較すると、全体の構成はかなり似ていることがわかる。事件発覚から捜査が始まり、初日の操作が完了するのは、300ページになったところ。前半は操作の段取りをみせることですすみ、それがかなりの量を占めることは同様の構成だ。
ローマ帽子から改善されているのは、捜査の段階で数々の手がかりが提示されて、興味を引くこと。例えば、途中まで塗られた口紅、他人の口紅が残っていたこと、タバコの吸殻、置かれていた不自然な本、ブックエンドのフェルトなどなど、たくさん。
これらのたくさんのパーツからどのような絵が描けるか、色々考えさせられて、ここが楽しい。これが楽しめないと初期クイーンは楽しめないかな。
そして、1日の捜査の最後に、エラリーから推理の一部が披露されて、ここで手がかりのいくつかは、きれいにかちかちと嵌っていく。整理の快感というべき楽しさ。これが謎解きミステリの楽しみだなぁと、あらためて思う。
面白いと思ったのは、置かれていた不自然な本の理由があかされるところ。黙っていた理由が、彼女のためで、構成から考えると、恋人同士の設定は、この告白を後ろにもっていくためだけに思える。
今回の再読では、最後の推理の決め手が弱いなぁと感じたので、若干記憶より評価が下がったが、やっぱりこれは好きだな。
謎解き以外には、キャラ立てや、捜査以外のプロットの起伏もないから、「謎解きミステリ好き」以外は楽しめなさそうだけど、「謎解きミステリ」ファンとしては、こういうのが「謎解きミステリ」だよねと思って、好感。
(それにしても、被害者の娘の扱いについては、ドラマ要素の無視がすごすぎて、愕然とする)


No.90 6点 ローマ帽子の秘密
エラリイ・クイーン
(2020/06/06 22:42登録)
創元の新訳で再読。初読時よりは楽しめた。
新本格を経た視点で謎解きミステリとしてみると、推理としては1点しかないので、ページの割には小粒だ。(後半の帽子の隠し場所の推理は、推理とはいえないようなものだし)
代わりにページを費やしているのは、捜査の段取りだ。劇場で殺人が発覚し、劇場内に観客を残して捜査が開始される。搜査当夜が終了するのは百ページ台の後半あたり。この捜査の段取りを楽しめないと、本作は楽しめないと思う。
この読み心地は、やはりヴァン・ダインの影響だろう。執筆時期を考えると、参考にしたのは、ベンスン、カナリヤの2作だけではないだろうか。
ヴァン・ダインからの改定点としては、(「プロの警官をそこまで馬鹿に書くのはどうか?」と思ったのか)視点人物を優秀な警官にしていること。そして解決として「読者にも可能な推理」を組み込んだこと。これにより「挑戦状」というスタイルを説得力をもって実現したこと。
評価姿勢としては、「推理が小粒である」ことより「初めて推理を組み込んだ」ことを肯定的に捉えるのが適切と思う。(けど、点数はこんなものかな)
また、「九尾の猫」とつづけて読んだからか、クイーンは最初から街(劇場)を描こうとしていたんだなぁと思った。こういうのも、私はクイーンに好感触をもつところだなと思う。


No.89 9点 九尾の猫
エラリイ・クイーン
(2020/06/06 22:15登録)
再読してよかった。傑作。
まずは暴動のシーンがよい。デ・パルマ監督のスローモーションのように描写され、実に印象的。(デ・パルマ監督の有名なシーンは、「アンタッチャブル」の大階段のシーンとか、「ミッション・インポシブル」の大水槽の爆破シーンとか)
暴動前のシーンでは、次のような文章がある。
「だれかれかまわず勝手に警察官の真似をさせるわけにはいかない。これでは無政府状態だよ」「人々が耳を傾けていたのは、内なる恐怖の声だ」
コロナで自粛警察などが騒がれている今、肌感覚としてリアルに感じる。原作は1949年。70年前の小説が、まるで現在の社会を映し出しているようだ。
初読時は戸惑いが大きかった。そのため高い評価ではなかったが、それは謎解きミステリを期待していたのに、別ものだったからだろう。再読では、作風を把握した上で読んだから、実に楽しめた。
これから読む人は、本作を読む前の心持ちとしては、アメリカの私立探偵小説を読むつもりがよいだろう。
エラリーが街を歩きヴェリーと会う部分は、スカダーもののような味わいで、街の雰囲気がよく感じられる。「都会を描く」とはアイリッシュに対してよく使われるが、この作品にも当てはまる。電話が四人に一人しかもっていない時代(!)なのに、都会の雰囲気とは変わらないものだなと思う。
謎解きミステリとしては、ミッシング・リンクの判明する部分などの見せ場はあるが、読者との知恵比べという姿勢はなく、犯人も予想の範囲内ではある。しかし読みどころは動機なのだと思う。ハードボイルドの傑作と同様の「悲劇」としてのドラマだ。
前半の社会的な広がりから、後半はプライベートな視点に切り替わり、悲劇として収斂する。面白かった。
不満点は、エラリイに協力する二人の存在だ。ミステリ的な必要性は理解できるが、作品から少し浮いているように感じられた。
他、思いついたことをいくつか。
作中にも引用されるクリスティの有名作と比べてみると、二人の巨匠の方向性の違いが出ているようで面白い。同じフレームを使って、違うものを見せている。クリスティは、読むものを違う方向に誘導する。クイーンは、読むものが気づかない繋がりを見つける。
北村薫だったと思うが、「十日間」「九尾」「ダブル」「悪の期限」を称して「クイーンのミッシング・リンク四部作」と書いていた記憶があり「なるほどなぁ」と思う。この切り口で色んな人が色々書いてくれたら面白そうなのに。
クリスマスのシーンで「ロックフェラーセンターでは……高さ百フィートのツリー……」とあり、70年前からあったんだぁ。
解説にひとつ文句。「二回分載の切れ目は7章の終わり……」と書き、「クイーンよ、おまえはおしまいだ」以降と書いているが、これは旧訳からの引用で、新訳(少なくとも私の版は)「わが同胞Qよ、おまえはおしまいだ」となっている。校正はどうなってるの?
(2024/9 追記)上記の解説に対する文句ですが、店頭で確認したところ「5刷」では修正されていました。


No.88 5点 ルピナス探偵団の当惑
津原泰水
(2020/05/06 15:55登録)
執筆時期が違うせいだろうが、1.2話と3話ではだいぶレベルが違う。
1話目は「ピザを……」という理由がストンと腑に落ちない。
2話目は全体的にチグハグ。構想は悪くないが、作品の雰囲気(軽いコメディ・タッチ)と、プロット(結構シリアス)が相容れず、そのため「その場でこんな事言うか?」というようなキャラに対する反感などもでてしまう。
3話目は、スムーズに話が進行し、(トリックは強引なところがありながら)真相もよくできている。1、2、3話それぞれ4、4,7点かな。
3話目のできから、続編も読む気にさせられる。


No.87 7点 世界推理短編傑作集5【新版】
アンソロジー(国内編集者)
(2020/05/05 00:05登録)
この時代になると、ホームズ風の短編は採用されなく、コリア、アイリッシュ、ブラウンなど、異色作家短編集にもとられる作家が増えてきます。
時代の流れも感じるけれど、私の好みと少し外れてきているのも感じる。
カーは元版の「見知らぬ部屋の犯罪」から「妖魔の森の家」に変更。(元々翻訳権の兼ね合いで「見知らぬ~」だったらしい)
1作選ぶとすれば、やはり「妖魔の森の家」。これはよくできている。(翻訳としては乱歩訳(本当か?)の版が好きですが)
次点で「証拠のかわりに」。ウルフ物は、やはりこの程度の長さが最適。


No.86 8点 世界推理短編傑作集4【新版】
アンソロジー(国内編集者)
(2020/05/04 23:58登録)
1930年代にかかり、作品が充実してきたといってよいでしょう。
セイヤーズの作品が一番退屈と思えるラインナップ。
乱歩曰く「奇妙な味」の名編「二壜のソース」「銀の仮面」や、「密室の行者」の豪腕、ハメットの短編まで。
私が読んだアンソロジーでは最強のラインナップですね。
1作選ぶとすれば「信・望・愛」。ミステリとししては変化球で、この中からこれを選ぶ人は少ないと思いますが、これ偏愛している1作なので。


No.85 7点 世界推理短編傑作集3【新版】
アンソロジー(国内編集者)
(2020/05/04 23:28登録)
1920年代に入った3巻は、ヴァラエティにとんでいるといえます。
「茶の葉」のようなトリック1本勝負の作から、ヘミングウェイまで。これがミステリの幅の広さだというセレクションがよいです。
1作選ぶとすれば「偶然の審判」です。「偶然の審判」とくれば「毒入りチョコレート事件」との関係ですが、解説で触られているのは、「The Avenging Chance の謎」として真田啓介さんがネットに公開している説の結論を、引き写したものと思えます。「The Avenging Chance の謎」では、1990年代に見つかった中篇版 The Avenging Chance の存在を軸とした、作品毎の差異を手がかりに、実にミステリ的に創作の裏側を推理していきます。「偶然の審判」と「毒入りチョコレート事件」の両作を読んだ謎解きミステリファンには、ぜひ読んでもらいたい傑作です。すごい説得力あり!


No.84 6点 世界推理短編傑作集2【新版】
アンソロジー(国内編集者)
(2020/05/04 23:12登録)
元版からは、「放心家組合」が1巻から移動してきて「奇妙な足音」が追加。かわりに「好打」と「窓のふくろう」が抜けています。
「好打」の発表年は、1913から1937に変更。どんだけ違ったんだよ!
作品としては「ホームズの追随者」という感じが強い。ホームズの型を刷新するにはまだ時間がたりなかったのでしょう。
1作選ぶとすれば「オスカー・ブロズキー事件」ですが、訳者が元版から変わっています。読み比べてみましたが、私は元版のほうが好き。ソーンダイク物では最も好きな作品だったのですが、井上勇訳による部分があったのだなぁと実感。


No.83 7点 世界推理短編傑作集1【新版】
アンソロジー(国内編集者)
(2020/05/04 22:50登録)
元の版は、私の読書歴の最初期に読み、ミステリを広く概観させてくれて、ミステリ観の基本を作ってくれた作品集。
版を改めて、今後もアンソロジーの基本図書として読みつがれていくことを期待します。
新版になって、年代順という方針は変わらないけれども、作品の年代特定が更新されたり、収録作が増えたり(ポーとドイルとチェスタトンが追加)して、いくつも作品の異動があるので、元版とは別に登録します。
第1巻は、ポーとドイルが新規収録されて、かわりに「放心家組合」が2巻に移動しています。そのため、有名な名探偵の作品5作、他3作と、ホームズ時代の趣が強くなりました。個人的にはこのバランスのほうが好き。
個々の作品は、古臭いといえば古臭いかもしれませんが、実際に古いのだから、これはもう味ですね。
1作選ぶとすれば「十三号独房の問題」。


No.82 7点 四つの署名
アーサー・コナン・ドイル
(2020/04/23 23:20登録)
長編代表作の人気投票をすれば、少し前ならば、まず「バスカヴィル家の犬」でした。最近は「恐怖の谷」の評価も高く、第1作として「緋色の研究」もあがるなか、本作は、世評はあまり高くないといえる。
でも個人的には結構好きなんですよね。
偶然の要素が強くて、ミステリ的構築度としては弱い。けれど、犯人の足取りを追っていく、探索行として面白い。こういうのなんかワクワクする。
私は古典の評価を考えるとき、「これを元にした作品は……」と考えるのだが、これにインスパイアされたと思えるかなり好きな作品があるので、この作品も点数は低くできないな。
インスパイアされたと思える作品は、御手洗ものの「ギリシャの犬」。


No.81 6点
アンドリュウ・ガーヴ
(2020/04/19 23:05登録)
これは驚き。完全に謎解きミステリ。
クロフツ風……、というより、鮎川哲也のほうが空気感が似ているかな。ガーヴ、こんなのも書けるんだ。
全編、会話が主体で軽快に読める。
トリックは確かに有名なのかも(知ってるし)。軽い謎解きミステリとして、なかなか好感触。
とはいっても、ガーブの味がなく、個性が薄いといえる。埋もれていってしまうのは、しかたないのかも。


No.80 8点 ABC殺人事件
アガサ・クリスティー
(2020/04/18 23:19登録)
私は「この人読もうっと」と決めると、発表順に読むのだけど(クイーン、ヴァンダイン、ヒル etc)、クリスティーはそうでなく、体系的に読んでいないため、自分の中でとらえ方が定まっていなかった。けれど、ここ2、3年、発表年度を気にして何作か読んで、少し捉え方がわかってきた。
クリスティーは、50年の作家生活で、作品世界の構築については驚くほど変わっていない。そのためか、作家生活を「第x期」という区分に分ける話を聞かないのだが、騙しの仕掛けとしては「前期」「後期」に分けられると思う。1つのアイディアを核にして物語を構築する「前期」と、物語の見せ方に騙しを仕掛ける「後期」だ。
そして「前期」代表作のひとつが本書になると思う。
メインのアイデアは、今では読む前に知っている人が多いと思うけど、それも模倣されてきたから。(クイーンの「九尾の猫」でも引用されていて、1949時点で既に定形とされているのがわかるが)これが嚆矢と思えば評価せざる得ない。
クリスティーの凄さはアイデアの活かし方がとてもうまいことで、本作でも謎の人物の語りを入れるなど、嚆矢でありながらこの完成度はすごい。
ついでに、クリスティー文庫の解説はただの感想が多い中、法月の解説は作品の新たな見方を提示していて流石だ。


No.79 7点 緋色の研究
アーサー・コナン・ドイル
(2020/04/14 00:59登録)
今、これを新作で読んでも、評価できないけど、やはり古典としてどう評価するかですね。
私は、「ある作品を”面白い”と思い、それに元となる作品があったとしたら、元の作品に評価は移すべき」と考えているので、そんなに低くはできないです。
けど、どこまで「評価は移すべき」かは、難しい。
ホームズは、「冒険」以降の短編シリーズがあってこそ、後の評価があると思うし、とはいっても、ホームズのキャラは、ここですでに確立しているし……。
「冒険」の各話と比較して語ると……。
ミステリ的に「緋色」は、「冒険」の1話文しかないという感じ。
「緋色」は、ホームズ時代前、ディケンズetcの大長編時代をひきずっていて、キャラクター描写や因縁話など、いろいろな要素が入っている。
「冒険」は、枚数の制約から「事件とその解決」に特化したためか、無駄なくスッキリまとまった構成になって、そのため近代小説として短編ミステリの嚆矢となれたのだと思う。
では、「緋色」はつまらないかというと……。
ホームズのキャラ描写は大いにあるので、キャラ物としては、読みどころがある。
また、捜査の顛末は他作品より丁寧で、(快刀乱麻をたつというわけにいかないかわりに)ヴィクトリア朝の捜査小説の味わいがある。これは、プロファイリングなどを使った近代の捜査小説の直系の先祖ではと思うほど。クロフツの作品にも影響があるのではとも思える。
書いてるうちに、やはりひくくはできないなと思えるけど、8点はためらうので、7点。


No.78 7点 死は万病を癒す薬
レジナルド・ヒル
(2020/04/14 00:34登録)
ダルジール・シリーズで、クリスティ的なクローズド・サークルをやるとこうなるのか。
前半は、シリーズ・キャラでない人物視点がかなり長く(退屈ではないけど)いつもの楽しみとちがって、ちょっと戸惑った。
ダルジールは、まだ調子がいまひとつで、まるでパスコーが上司のよう。
ルートの件やら、ダルジールの暗躍(?)など、飽かずに楽しめたけど、長さの割にはインパクトはないかな。これは、(厚さのため)シリーズ・ファンでないと途中で飽きてしまうかも。


No.77 6点 ダルジールの死
レジナルド・ヒル
(2020/04/14 00:28登録)
謎解きミステリではないと思います。
ルエル名義の作の冒険スパイ物のプロットに、ダルジール・シリーズのキャラをぶちこんだ感じとでもいうのでしょうか。
ハスコーがとうとう独り立ち。以降の作でも、まるでダルジールの上司みたい。
シリーズ・ファンとしては、キャラ物としては楽しめますが、冒険スパイ物が好みではないので、後期作では、下から二番目かな。


No.76 6点 真夜中への挨拶
レジナルド・ヒル
(2020/04/14 00:19登録)
久しぶりに「謎」の興味でひっぱる話。
(後期作は、いろいろな話が並行してすすみ、「謎」はメインでなかったりするので……。ま、それがいいのだけど)
とはいえ、この話は「解決」はしりすぼみな感じ。ヒルは「謎と解決」でみせる作家ではないのだなぁと、あらためて認識。
ダルジールとノヴェロの関係性が、(当人同士の感覚はともかく)よんでいるといいコンビな感じがする。
作者としては、「ダルジール/パスコーでやっていたことを、パスコーが優秀になりすぎたためできなくなったので、かわりにノヴェロでやっている」のだと思う。
後期作では下の方。でも他ヒル作品が楽しめるならば、これも楽しめるはず。


No.75 7点 死の笑話集
レジナルド・ヒル
(2020/04/11 22:05登録)
「死者との対話」の続編です。「死者との対話」を読んでいない人は前作からどうそ。
「死者との対話」が楽しめた人は楽しめるはず。
前作につづいて、ボウラーもメインのひとり。複数の話が重層的にすすむ。
いやー、それにしても厚い。もうヒル、書きたいこと全部書いてるだろ。
飽きずに読ませるんだけと、パスコー/ルートのパートは、どうもあまりのれなかったなぁ。それが最後にああ絡んでくることはよかったけど、途中は冗長に思った。その分「死者との対話」よりは落ちる印象。

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