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ミステリの祭典

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暗い燈台

作家 アンドリュウ・ガーヴ
出版日1965年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2024/11/22 23:14登録)
ガーヴの中でも冒険小説色が強い...というか、凶悪な青年ギャングによって占拠された、僻地の灯台の職員たちのサバイバルの話。だから細かく言えばミステリというよりも冒険小説だと思う。
まあガーヴ、冒険小説味のあるミステリが主体だけども、時折「冒険小説」以外の何ものでもない作品を書いたりもする。「レアンダの英雄」なんてそうじゃない? でも、ガーヴらしさ、というのは善人が不意に悪人たちに脅かされる話、という面で一貫していると思うよ。「黄金の褒章」とか「道の果て」とか、そういう話で、とくに「道の果て」の人より自然が好きなネイチャー指向がしっかりと出た作品だとも感じる。

灯台という閉鎖空間の中に、ギャング3人+そのスケ vs 灯台職員3人という構図だから、「狭苦しい孤立した環境」での闘争が主眼。まあそりゃさあ、そういう閉鎖空間に慣れている灯台職員と、慣れてなくてすぐにイライラしだす町育ちのギャングじゃあ、最初から勝負は見えてるよ(苦笑)
ギャングたちは自滅するのが当然というものだ。

(執筆が後の「罠」の翻訳が先にはなるが、本作がポケミスで訳された最後のガーヴ。今のところ訳された最後のガーヴは、創元の「諜報作戦/D13峰登頂」。これはガチの山岳小説だから、未訳のガーヴって冒険小説のウェイトが高いのかしら...後期の未訳作は9作ほどあるみたいだ。1978年まで書いているんだもんねえ)

No.1 5点 ことは
(2022/02/13 11:04登録)
コンパクトで(ポケミスで170ページ)、楽しいサスペンスではあるので、つまらなくはない。
でも、なんともサスペンスが盛り上がらない。
読み終わって考察してみると、下記2点が原因かな。
1つめは、視点が3人称他視点であること。これだと全体を俯瞰する形になるため、ハラハラしないのだと思う。
2つめは、心理描写があっさりしていること。やっぱりサスペンスは、登場人物によりそうことが重要だと実感。
あとは、「罠」の感想にも書いたが、「ガーブの味がなく、個性が薄いといえる」のは、本作にもあてはまる気がした。
ひとつひとつ要素を取り出してみると、「舞台が特徴的(本作は燈台)」「冒険風味あり(本作でも海をわたるシーンあり)」「ラストがあっさり」と、ガーヴ印なのだが、ガーブの味がない気がするのはどうしてだろう? ひとつひとつの要素が薄味だからか?
いずれにしろ、これがポケミス最後(ポケミス914)のガーヴとなってしまった。

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