悪魔を呼び起こせ |
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作家 | デレック・スミス |
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出版日 | 1999年11月 |
平均点 | 7.12点 |
書評数 | 8人 |
No.8 | 8点 | ことは | |
(2022/05/26 00:22登録) 再読。(いまひとつだった記憶だけで、完全に忘れていて、初読の感覚でした。犯人も仕掛も忘れていた。やはり、どんどん記憶を失っているなぁ) 結果……。いや、これよくできてるなぁ。傑作。 事件が起きるまでが案外長く、視点人物もぶらつきがあり(複数の人物の心理が3人称記述で行われる)読みづらく、少し退屈して「やはり、記憶どおり、いまひとつかな」と思ったが、読み終わってみると、事件が起きるまでの退屈な部分にも、いくつもの伏線がはられていて、唸らされた。もちろん、事件発生後にも、いくつも伏線がはられていて、うん、これはすごくよい。 推理の取っ掛かりになる情報は(解説にある通り)少しフェアでないが、そこからパタパタと展開される論法もかなり説得力があってよい。解決編では、正面衝突しそうな2つの乗り物がするっとすり抜けるイメージが浮かんだ。エピローグに相当するシーンも(ちょっとピント外れ感もあるが)微笑ましく好感。途中に挟まれる密室談義(ロースンの小説が、作品内では現実扱いになってるし!)も楽しい。 なぜ、昔の私は楽しめなかった? 思うに、密室の解法が”知恵の輪”のように丁寧に外していくもので、一読、インパクトに欠けたからかもしれない。そして、そのひとつひとつは、どこか既視感があったからかもしれない。また、xxxのxxがxxならxxxxできると思ったからかもしれない。 まあ、探偵も個性に欠けるきらいはあり、ストーリーは一本調子といった感じもある。しかし、逆に言えば、謎解きミステリとして不要なものは入っていないとも言える。 もう一度いうが、よくできている。これは好き。 |
No.7 | 8点 | レッドキング | |
(2018/06/12 11:27登録) 「密室」はミステリの最も魅惑的な華だ。 カーはじめ、いろいろな人が密室トリックを分析しているが、要するに・・・ A・「隠し扉」「隠し通路」「鍵穴と針と糸の操作」etc・・構造的道具的仕掛け。 B・読者に、その空間その時間が「密室」であったと思わせる「あざむき」の話術。すなわち叙述によるトリック。 そう、 美しい密室トリックとは、叙述トリックなのだ。作者が、用心深く読者を欺こうとするのを、何とか読み解こうとして読み解けず、種明かしされて、どれだけ「ああ そうかあ」と感心できるかが、ミステリの醍醐味。で、この作品さすがだな。 |
No.6 | 7点 | ボナンザ | |
(2017/05/03 10:55登録) 凝った演出と地味ながら丁寧な2種類の密室トリックが素晴らしい。所々の描写なども粋な伏線になっていてうならされる出来である。 |
No.5 | 10点 | nukkam | |
(2016/09/10 05:58登録) (ネタバレなしです) 英国のデレック・スミス(1927-2003)はミステリーマニア、それも密室研究家として名高い人物だそうですがそんな彼が自ら筆を執って完成させた本格派推理小説が1953年発表の本書です。アマチュア作家の作品とは思えぬほど完成度の高い傑作です。これでもかと言わんばかりに構築された密室の謎、そして真相もまた(ちょっと気に入らない部分もありましたが)実に緻密に考え抜かれています。複雑なトリックなので読者が完全正解するのは難しいとは思いますが謎を解く手掛かりも極めてフェアに提示されています。ストーリーの流れもスムーズで読みやすいです。日本には長らく紹介されていませんでしたが幻の傑作と称賛されるに価する作品だと思います。ガチガチの本格派がお好きな読者ならぜひご一読を。 |
No.4 | 4点 | 蟷螂の斧 | |
(2013/12/25 10:03登録) 厳重な監視下、内部から施錠された密室での殺人。機械的密室でもなければ、自殺でもない。さて・・・。密室の定義を一つ一つ潰していくあたりまでは楽しめたのですが・・・。う~ん、これは自分にとって駄目なパターンの典型でした。残念。 |
No.3 | 6点 | mini | |
(2012/09/21 09:40登録) ”本の雑誌社”というベタな名前の出版社が在る、本に関する話題がテーマのその名も月刊『本の雑誌』という雑誌を出していて、最新号で採り上げているのは国書刊行会だ もちろん一般的文芸の出版社としての採り上げ方なわけだが、我々ミステリー読者からしてみれば国書刊行会には足を向けて眠れません的な出版社である事は説明の要はないだろう 国書が先鞭をつけたから論創社などの後続の商売が成り立ったんだろうしね 国書の世界探偵小説全集だからこそ出せた作品はいくつも有るが、「悪魔を呼び起こせ」もそんな1冊 * 今年の私的読書テーマの1つ、”スミス姓の作家を漁る”の1人 ミステリー作家にはアマチュア作家も数多いが、デレック・スミスは自身が密室作品コレクターで、密室好きが高じて自分でもこんなん書いちゃいましたってのがこの作だ 良い意味でたしかにいかにもアマチュアのマニアが書きましたって感じの丹念な密室本格である 残念ながら私は密室トリックはほぼ分かってしまった、事件の概要からして、こいつが○○○で、こういう風な手順で行なえば成立するのではないかと推測したら大体はその通りだった 部屋の鍵の後処理まで気を回せば完璧に見破れたのになぁ 第2の事件の方も、要するにあれじゃなくてこっちを○かせば成立するのではと思ったらやはりその通りだった アマチュア作家って、大真面目に書く人と、おふざけで書く人と両極端な印象が有るが この作品は真面目に書き過ぎて、よく考えれば見抜けてしまうが、その真面目さが取り柄となって佳作になったのだと思う |
No.2 | 7点 | kanamori | |
(2010/06/17 21:53登録) ”密室ミステリファンが書いた密室ミステリファンのための密室ミステリ”という惹句がぴったりの本格編。 鍵のかかった部屋、衆人環視状況、足跡のない現場と不可能興味がてんこもりで、「人を殺す部屋」テーマの似非カー・ミステリを堪能できます。 一発ネタのトリックではないので、仕掛けは少々複雑ですが、アマチュアの作品にしては及第点です。 |
No.1 | 7点 | あい | |
(2009/02/16 16:02登録) 面白かった。しかしトリックにはちょっと拍子抜けする部分もある |