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ミステリの祭典

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風桜青紫さんの登録情報
平均点:5.62点 書評数:290件

プロフィール| 書評

No.70 5点 緋色の囁き
綾辻行人
(2015/12/21 07:10登録)
あや様を始めとした変な高校生たちを楽しむ学園小説……なのか? まあ、ホラーもののというより、ホラーものっぽいテイストを楽しむ作品だろう。ミステリもストーリーも薄味なんだが、アーヤの演出力がそこそこあるおかげか、退屈せずに読むことができた。まあ5点はつけてもいいかな。


No.69 6点 眼球綺譚
綾辻行人
(2015/12/21 07:00登録)
『特別料理』のシュールテイストが好きなのですよ。登場人物がなんともノリノリな調子でゲテモノ食いしていくアレ。なんともいえないおかしさに怖いもの見たさが合わさってぐいぐい引き込まれる。アーヤの短編ではこれがベスト。『再生』もなかなか旨味。単純な発想ながら、意外性と納得があって、ほっとさせつつも気味の悪いラストがなんとも絶妙。『呼子池の怪魚』も先行きに恐怖を予感させる設定と、どこか安心と寂しさが余韻を残す結末が印象深い。この三つだけなら7点なんだが、アーヤがノリで書いてしまったような「なんじゃこりゃ」な作品が余計。『鉄橋』とかどこらへんを楽しむのか気になったんだが、アーヤ本人がコミック版のあとがきで「面白くない」と書いてるから、やっぱり面白くないのだろう。まあ、総合で6点。


No.68 6点 どんどん橋、落ちた
綾辻行人
(2015/12/21 06:32登録)
メタ視点を交えての仕掛けに重点を置いた作品。作中作の形式で登場人物に作品をフォローさせているのがなかなか新しい。『どんどん橋、落ちた』みたいなせこいトリックを納得させるにゃこれ以上の方法はなかろう(笑)。でもまあ、『ぼうぼう森、燃えた』みたいな作品は確かにこの形式じゃなきゃ種明かしできないし、犯人当てを組み立てる手法のひとつとして十分あり。楽屋裏っぽいネタは嫌いじゃないし、なかなか楽しめた。それにしても『伊園家の崩壊』のやっつけぶりときたら。アーヤの自己嫌悪っぽい「疲れてるな……」がじわじわくる。萎えた表情で民平だのタルちゃんだの書いてたのかアーヤは。


No.67 5点 フリークス
綾辻行人
(2015/12/21 06:06登録)
『夢魔の手~三一三号室の患者~』はアーヤの好きそうな結末が二転三転するホラーもの。月並みな話だが、まあ、そこそこ面白い。『四〇九号室の患者』は某フランスミステリのオマージュ。途中で明かされる「なにやっとんねん」な真相には苦笑い。しかしオチは月並みでやや呆れた。フランスミステリっぽいのならアーヤよか連城のがいいかな。そういやこの作品、連城からツッコミくらったんだっけ。わかる気がする(笑)。『フリークス~五六四号室の患者~』はホラーの皮を被った本格ミステリ。ネタ本であろう『孤島の鬼』はビックリ人間大集合みたいなハチャメチャ作品なんだが、こっちはジトッとしたフリークスの物悲しさを演出しているらしい。そんなに幻想味うんぬん良さは感じんかったのだが、ややマニアックな犯人当て小説としては楽しめた。暗黒館でプッシュされてたアーヤのビックリ人間趣味がちょっと出てきてるかな。それでもこのあたりはまだミステリの一線を守ってる感じがする。アーヤには、このタイプの短編をもっと期待したいんだが……。


No.66 7点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2015/12/21 05:19登録)
トリックはそうインパクトがあるわけじゃないし、SF設定を用いた謎解きについてもそう成功してるとは思わんのだが、いかにもって感じの雰囲気がいいんだよね。作品のタイプとしては水車館と近いんだろうけど、ストーリーの盛り上がりではこっちのほうが上。ヤリさんのうんちくもウザいけどなんか嫌いじゃない(笑)。幻想小説ってほど高尚(?)じゃないにしろ、アーヤは雰囲気作りがうまいな、と思えた。遊び心に満ちあふれたワクワクする館ミステリ。十角館を別格にすれば、これが綾辻行人のベスト作品かな。


No.65 5点 殺人鬼2
綾辻行人
(2015/12/21 04:56登録)
もはやミステリ部分が投げやりすぎて笑えてくる。あまりに伏線が露骨すぎやしないか。これでは「どうぞ驚いてください!」と真相が明かされたところで「お、おう」としか反応のしようがない。まあ、謎解きは前作から期待していなかったし、楽しそうなアーヤの筆運びを見れたので満足。風船ガエル、風船ガエル。


No.64 6点 殺人鬼
綾辻行人
(2015/12/21 04:49登録)
作者がなんかノリノリのスプラッター小説。みみっちいトリックもついてるが、それよりも、神の視点が機能しまくりの殺戮風景が読んでいて楽しい。「おなかがぐちゃぐちゃにかきまわされてるぅ!」とかきっと笑顔で書いてたんだろうな(笑)。なんだかんだで終始面白かったから6点。


No.63 6点 奇面館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 04:37登録)
フェアな伏線の提示から、そこそこ納得のいくロジカルな謎解き。初期の館シリーズらしいって意見もあるけど、館シリーズでこういうクイーンっぽい作品は初めてなような気がする。全員仮面を被るってなふざけた設定だとか、島田さんが正体を明かすところの盛り上がり(悪魔の折り紙!)だとか、読んでて飽きなかったし、バランスの取れた作品。まあ、叙述トリックは「ああ、うん……」と呆れちゃったけど。犯人当てだけでも良くできた作品と思うんだが、インパクトが薄めになると思ったのかな。現実味のなさMAXなうえに、暗黒館みたいに変な説得力のある説明もないし、正直要らんかった。アーヤについてきた(暗黒館で切らなかった)読者だからといっても、ある程度の納得は欲しいのよ。


No.62 5点 びっくり館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 04:21登録)
「伏線からするとこんなトリックか?」と思って読み進めたら、予想以上のトンデモぶりだった。こういう物語の構図が変わってくるトリックは嫌いじゃない。ただ、その説明についてはトンデモぶりを消化させるほどではなかったかな。もっと上手く料理してほしかった。あと、「びっくり館」が中村くんの失敗作としか思えないほどつまらない(『消える総生島』の霧越館のがずっといいレベル)。ただのおもちゃ王国じゃないですか。館シリーズっぽい道具仕立てが楽しめなし、全体的に、なんていうか、地味。館シリーズにする必要あったのかな。島田さんに至っては子どもたちからジャングルジムを占拠してただけだし。本当にただの不審者じゃないの(笑)。


No.61 6点 暗黒館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 04:05登録)
時計館が館シリーズの決定版なら、暗黒館は囁きシリーズの決定版かな。アーヤが趣味全開でキャラクターを書いてったらとんでもない長さになってしまったって感じ。トリックについては、館シリーズのバカバカしさが悪い方向に行っちゃってるんだよね。あざとい親切設計を免罪符にしてるかもしれないけど、やっぱ、なんていうか、無理だわ。ハッと驚くというより、単に「なんじゃそりゃ」って気持ちが先にきちゃう。犯人当ても、途中の推理がなんともしょうもないし、あざとさばかりが目立ってしまう。ただ、アーヤがメイントリックとして設定したであろう中也くんの正体は素直に驚けた(お前かよ!)し、暗黒館のいろいろカオスな雰囲気は楽しめたので、まあ、6点はつけてもいいだろう。館の住民のグロさが『孤島の鬼』を思い出させたので、玄児さんが諸戸道雄みたいなホモに見えてしかたがなかった。たぶんホモとして書かれているのだろう(笑)。


No.60 5点 黒猫館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 03:49登録)
「ここが伏線になっていたんだよ!」をやりたいがための親切設計。メイントリックにしろ、老人の正体にしろ、伏線が露骨すぎてすぐ気づいちゃうんだよね。密室トリックに関しても、もうちょいやりようがあるだろうと。まあ、アーヤは同期(法月や有栖川)に比べて細かいトリックを煮詰めるのがヘタクソっぽいしねえ。いつもはメイントリックの派手さでごまかしてるが、こういうあざとい作品だとそこが浮き彫りになっちゃう。アーヤのフェアっぷりが伝わるのはいいんだが、これ以降、館シリーズが長らくお休みしてしまった理由がなんとなくわかります。舞台の雰囲気は相変わらずいいし、読み物としては結構楽しめるので5点。なんでソバージュヘアの人たちはいつも不幸になるんですか(笑)。


No.59 7点 時計館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 03:38登録)
一番館シリーズっぽい作品といえばやっぱこれ。先行きを気にさせる大量殺戮、つっこみどころ満載(仮面ってなんやねん!)の怪人物たち、バカらしいがなんだか納得してしまう大トリック。まさしく十角館の冒頭でエラリイが求めていたような遊び心に満ちた作品。同じバカバカしいジャンルでも、新本格第一期の作品がメフィスト系作品より好感が持てるのは、「道具」よりも「仕掛け」に重点を置くところなのよ。まあ、館シリーズは、「館」って「道具」の魅力で売ってるところもあるから、後追い作家がここを使いたがる気持ちもわからんでもない。アーヤもこのあたりから道具重視にシフトしてくしね。


No.58 6点 人形館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 03:06登録)
盛り上がりに関してはシリーズの前三作よりトーンダウン。まったり(?)した京都のニートの日常なんて退屈です。ただトリックのインパクトに関しては十角館や時計館に次ぐんじゃないかな。シリーズ通して探偵役の島田さんって影が薄いんだけど、やっぱあのプータローは殺伐とした世界観の館シリーズにとって一種の清涼剤になってると思うのよ。それを逆手にとって一物語をカオステイックにしようってアイデアにはなかなか感心したんだが……多くの読者が館シリーズに求めていたものとはずれていたらしい。残念。しかしこの作品に限らずアーヤの作品の語り手はプータローが多いねえ。作者たるアーヤが半分プータローみたいなもんだと言ってしまえばそれまでなんだが(笑)。


No.57 6点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 02:54登録)
メイントリックは手垢がついてるし、犯人当ての伏線についても、首切り講義の途中で「なんでこれについて触れないの?」と察しがついてしまったから、素直に驚けなかった。いや、まあ、犯人については、普通にフェイクにひっかかったんだけど(笑)。どっちかといえば、作中作内の作中作だとか、財産をかけた執筆バトルみたいな読んでてワクワクする要素を評価したいかな。館シリーズってパーツひとつひとつで見ていけば大したことないんだが、こと読者を盛り上げることに関して、後追いの凡作と一線を画してると思うのよ。まあ、与太を与太として楽しむ姿勢がいるかもしれないけど。


No.56 6点 水車館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 02:42登録)
ベタな材料を使っていても作者の色合いを強く出せば面白くなる好例。確かに驚くようなオチはないし、真相も肩透かしといっちゃ肩透かしなんだが、いかにもって感じの道具仕立てが好きなのよ。ところでこの作品の三田村医師に限らず、アーヤの書くイケメンにはバリトン声が多いんだが、作者の好みなんだろうか。


No.55 8点 十角館の殺人
綾辻行人
(2015/12/21 02:34登録)
本格ミステリに興味をもったきっかけ。ある程度読書を重ねていけば、バカバカしい舞台設定や、薄味のキャラクターたちが鼻について、高い評価はできなくなっちゃうんだけど、わかりやすくて興味をひきたてられるプロットや、切れ味抜群の真相は今でも十分輝いている。本格ミステリの面白さを伝えるという意味では最高クラスの作品。8点はかたい。


No.54 5点 エル 全日本じゃんけんトーナメント
清涼院流水
(2015/12/20 05:22登録)
薄いわりにはとんでもなく大袈裟なストーリー。結構面白い。『コズミック』なんかよりずっと薄い分、単なるおばかな話と肩の力を抜いて読める。ところでクイズ大会の参加者たちが『コズミック』で死んだ人ばかりなのだが、これは前日譚か何かなのですか。


No.53 2点 Wドライヴ 院
清涼院流水
(2015/12/20 05:16登録)
流水からハチャメチャさを抜いたらただの手作り感あふれる文字の羅列ではないか。試みは悪くないんだけど、話がなんつーか、大学の軟弱な文芸サークルが書いてそうな感じ。メモちゃんのやっつけな語り以外、どこを楽しめばいいかわからんかった。というか流水の一文一文が読者への挑発状に見えてしまう。読み終えたときには(ある意味で)やられた、と思った。


No.52 6点 ジョーカー
清涼院流水
(2015/12/20 05:08登録)
スナック菓子のごとくころころ死んでいく事件関係者たちのおかげで妙に話が盛り上がっていく。「ミステリの構成要素30」とかなんとか風呂敷広げてくれるし、なんかもう流水がノリノリ。どうせ推理しても無駄なので、次から次へと飛び出す必殺推理や探偵バトル(?)を『ONE PIECE』でも読むような感覚で楽しませてもらった。まあ、なんていうか、流水って、話の盛り上げかたは上手いよね。大量殺戮イエーイ!な終盤とか。それに乗れない人があまりにも多すぎるんだろうけど。


No.51 6点 コズミック
清涼院流水
(2015/12/20 04:53登録)
キャラはうすっぺらだし(JDCの連中はどうして考えが似たり寄ったりなのよ)、前半がすごく無駄だし(被害者一同なんてダイジェストで飛ばしちまえ)、もうなんか色々と酷い。まあ、半分ギャグだと受け止めて、ハチャメチャさを楽しむのが一番。(あらゆる意味で)とんでもないトリックが明かされてから結末に至るまでのハッスルぶりは格別。少年ジャンプの漫画『BLEACH』みたいなおもしろみあり。ただ、ふざけて薦めてみたら友だちが減ってしまったので、取り扱いには注意が必要だろう。

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